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注の説明は注のあるページで読みたい

【元記事:注の説明は注のあるページで読みたい:d:id:manpukuya:20060413:chu

そうそう、昨日紹介した本『戦争請負会社』でとても気になったのが、注の説明が章末ごとにまとめられていることだった。いやこの本だけではなくて、最近読んだ本では『ウェブ進化論』でも気になったし、そもそも多くの本は、注釈を章末や巻末にまとめて載せている。

でもこれって、とっても読みにくいと思うのだ。

こういう本、皆さんはどうやって読んでますか。本文用と注釈用に、2つしおりを使ったりしませんか。それって不便だと思いませんか。

はてなダイアリーでも同じで、長い記事に脚注記法*1がたくさん使われていて、しかもそれぞれの注釈が長いともう大変。「*1」の部分にマウスポインタを乗せれば注の内容が表示されるブラウザもあるが、長いと省略されるのもあるし数秒後には消えてしまう。こうなるとブラウザを2つ開いて、1つで本文を読み、1つは注釈を表示させておくとかしたくなる。

本の話に戻すと、自分が作る本では基本的に注を作らず、小見出しを増やすなど工夫して本文に入れてしまう。または対談集やトーク本によくあるように、全ページに注釈用の空白を作っておき、注と注釈がなるべく近くなるようにする。

もしどうしても注が必要で、かつ注釈用の空白を全ページには作れない場合、注のあるページだけは注釈用に数行あけて、そこに注釈を入れるだろう。

注釈を、章末や巻末にまとめて入れる気持ちもわかる。いったん本文を組んだあと、校正で行が前後することがあるからだ。注と注釈を同じページに入れていると、校正時の行数調整に手間がかかる。特に、注がページの終わり近くにあると苦しい。そのページに注釈を入れると、本文の注がついている部分が次のページに流れてしまうのだ。ああ面倒。そういう事情はわかる。

でもそれって、読者の利便を考えていないと思うのだ。

索引も同じで、索引の項目1つには参照ページ1つ、という原則をできる限り守るようにしている。本によっては1つの項目にいくつもの参照ページが示されていたりして、どこから見たらよいのかわからない。もし複数のページを参照させなければならない場合、まずもっとも基本的な説明があるページを載せておく。該当ページを見ると、注釈で「応用となる××については×ページで」などとわかるようにする(『Webサイト作成術』(ISBN:4767802504)をお持ちの方は、索引を見てみてほしい)。

こういう作業は、もちろん本を作る上では手間になる。しかし、読者にとって読みやすく使いやすい本を作る手間を惜しんではならない。制作者が手を抜くと、結果的に読者全員の生産性を下げてしまいかねないからだ(だからMS Pゴシックは社会の生産性を下げている…とか思うけれど、それはまた別の話)。

ともかく、DTPなら注釈の移動も比較的楽だし、本を作る側としてはなるべく読者の利便を考えて、手間を惜しまず面倒がらず、いろいろ工夫していきたいという話でした。

*1:こうやって記事の終わりに注を出す方法。→「はてなダイアリーのヘルプ - 脚注をつける(脚注記法)