宇宙作家クラブpresents・ロケットまつり18は「日本で一番多く人工衛星を設計した男」。ゲストは小野英男さん。日本最初の人工衛星「おおすみ」をはじめ、たぶん日本で一番たくさん人工衛星を作った人。
小野さんは電通大から日本電気に入社して、人工衛星の担当になった。というと順風満帆エリート人生のようだけれど、実は全然そんなことはなかった。
大学では電気工学ではなく経営工学を専攻(これは松浦晋也さんも知らなかった事実)、卒業に最低限の成績だったという話。
「私が会社を経営したらすぐつぶれますよ!(笑)」
そして当時のNECは超エリート企業で、各大学から主席クラスを一人採る程度だったという話。
でも学生時代の1957年、「人工衛星の電波を受信する短波受信機」を無線雑誌に投稿したら、ちょうどスプートニク1号の打ち上げにかち合って評判になった。その記事がきっかけで、NECに呼ばれていきなり社長面接の結果、採用になった。
アマチュア無線のコールサインが5桁(今は6桁)という無線好き。
スプートニク1号で人工衛星に興味を持ち、人工衛星を作りたいと思っていた。そしていよいよ日本でも人工衛星を上げよう、となったときにNECが作りますよと手を挙げた。たまたま人工衛星担当のポストが空いていた。小野さんはそこにぴったりはまった、という話。
興味を持つ対象がしっかりあったところへ、たまたまスプートニク1号の打ち上げや日本電気の採用・事業方針といった周囲のできごとがタイミングよくやってきた。なんて幸運な人生。小野さん自身、「本当にラッキーだった」と語っている。
ここにもいた。やりたいことを楽しみながらやってきた結果、幸運を引き寄せてしまう人。
こういう話を聞くといつも思うのは、小野さんにとっての無線のような、楽しめる趣味を見つけた人は本当に強いということだ。
対象に興味があるから、熱意が尽きることはない。それが好きだから、苦労も苦労と感じない。「単に好きだから」周囲を気にせず続けていくと、その成果が自然と周囲に伝わっていって、結果的に幸運をもたらしてくれる。
「メガスター」の大平貴之さんだってそうだし、『コダワリ人のおもちゃ箱』に出てくる皆さん、「熱中時間」で紹介される熱中人たち、「クレイジー☆エンジニア」で紹介される技術者たちもそうだ。
この人たちは、熱意を注ぐ対象を見つけることができた。その結果、とても充実した人生を送っている。
一方で世の中には、打ち込めるものを持たない人がたくさんいる。その違いはどこにあるのか。またどうすれば、楽しめるものを見つけやすくなるのだろうか。
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- 「『クレイジー☆エンジニア』とその周辺」(d:id:Imamura:20070612:person)
関連書籍

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