最近の新刊から、いくつか紹介。
藤井誠二『殺された側の論理−犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」』

- 作者: 藤井誠二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/02/27
- メディア: 単行本
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このタイトルは、本多勝一の『殺される側の論理』(ISBN:4022608072)を意識したものだろう。殺されてしまった人の遺族に取材した本。
こういうテーマを考えるときは、これらの本もおすすめです。

- 作者: 奥野修司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
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1969年に起きた、高校生による同級生殺人事件の話。この本の宣伝では「加害者はいま、弁護士をしている!」みたいな部分が強調されているようだ。でも実際の内容は、被害者の家族が事件後たどった道の聞き取りがほとんどである。
「法の下で罪を償った」ことと本人の更正意識の関係など、いろいろ考えさせられた。
- 宣伝から期待した内容ではなかったと感じた人の感想:「naoyaのはてなダイアリー - 『心にナイフをしのばせて』読後感想」
:これは個人的には「『フィフス・エレメント』のバカ映画問題」(→d:id:Imamura:20060722:lie
)につながる。

- 作者: 佐藤幹夫
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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- →読後の感想(d:id:Imamura:20050609:book)
こちらも、罪を罪と意識できるか、罰が罰として機能するのかというテーマが扱われている。この事件の犯人に自閉傾向があっても特別な話にはならない。自分が意識せず「犯罪者」とされ、裁判にかけられたとき、自分には「罪」の意識が芽生えるだろうか。そして「罰」を受ければそれでよし、ということになるだろうか。
中島茂『その「記者会見」間違ってます!「危機管理広報」の実際』

- 作者: 中島茂
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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企業のマスコミ対策本が、ここ数年増えているような気がする。不祥事が発覚したときにどうすればよいのか、冷静な対応をできれば不幸になる人が減るだろう。
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- 「ひき逃げこわい」(d:id:Imamura:20060612:kowai)
:ひき逃げをした人が「恐くなって逃げた」になってしまわない心構えとか、飲酒運転の厳罰化でかえって事故が増えている話とか。
- 「思わず口をついて出る言葉に、その人の本質が表れる」(d:id:Imamura:20060719:word)
:不祥事のマズイ対応といえば、やっぱり「私は寝ていないんだ!」。そこまで極端でなくても、ちょっとしたときの言葉で人となりがわかる、という話。
- 「ひき逃げこわい」(d:id:Imamura:20060612:kowai)
佐々木丸美『花嫁人形』

- 作者: 佐々木丸美
- 出版社/メーカー: ブッキング
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 単行本
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2005年の暮れに亡くなった作家、佐々木丸美の復刊。世間の評価は高いものの、彼女の本は本人の意志で長らく絶版のままだった。
著者が亡くなったことで復刊されるのは決して悪いことではない。詩のような美しい文章で繊細な物語が描かれており、とても独特でいい本なので、たくさんの人に読んでもらいたいとも思う。のだけれど、この一件ではなぜか、とてもとても複雑な気持ちになる。
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- 「佐々木丸美亡くなる」(d:id:Imamura:20060126:sasakimarumi):佐々木丸美が亡くなったと知ったときに書いた記事。「これはけっこうショックだ。」と書いている。
- 「復刊ドットコムblog: 佐々木丸美復活!」
- 「復刊ドットコムはてな分室 - 【復刊】花嫁人形、風花の里/佐々木丸美」