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99/01/09 (Sat.)

元記事:ただ日記−99/01/09 (Sat.)】

耳かきが見あたらない。耳の中がむずがゆい。耳かきは日本だけの道具なのだろうか。
 つまようじは台湾や香港にもあった。この2都市で見たつまようじは、両端がとがっていて実用一点張りだ。日本のつまようじの尻に彫られている微妙な意匠は、その由来がよくわかっていないという話を聞いたことがある。『モーニング』には、その日本式つまようじの尻に彫りを入れる職人に弟子入りした男のマンガ『ドリーム職人』が連載されている。今の彼は、ぬいぐるみ職人を目指して奮闘中である。
 それはさておき、耳かきがない。やむなく綿棒で耳の中をこすることにした。
 綿棒のコンセプトは、敵をとりもち的にからみつかせて一網打尽にしようというもので、西洋的合理主義が耳を掃除している気分。両端が綿になっている様子も、舶来のつまようじと同じ実用重視の心意気を感じさせる。一方耳かきはといえば、その尻が白いケサランパサランだけでなく、さまざまなバリエーションを持っているあたり、本来の機能に関わらない部分に「粋」を求める心が日本式つまようじに近い。そして耳かきの方法論はといえば、基本的に相手との一騎打ちを旨としている。殺るか殺られるかの真剣勝負。綿棒では決して味わうことのできない緊張感は、『椿三十郎』の決闘シーンに優るとも劣らない。
 とはいっても、耳かきがない今は仕方がない。ふぬけた気分の綿棒で耳をこする。綿棒には耳かきで鍛えた力加減が通用せず、こすりすぎて思わず咳が出てしまった。ケホケホ。