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99/01/06 (Wed.)

元記事:ただ日記−99/01/06 (Wed.)】

テレビドラマを見るという習慣をほとんど持たないのにゆうべ『救命病棟24時』を見てしまったのは、新聞の紹介欄にこのドラマが『ER』ライクであると書かれていたからだ。そういう目だから、オープニングを見たときにはまだ「おお、杉本哲太が挿管しているぞ」などと余裕な気分だったのだが、そういう目だから本編が始まると、新米の最初の仕事が控え室の冷蔵庫内整理だったり、ドラッグ入りのタバコを置きっぱなしにしていて愉快なことになってしまったりするエピソードを見てデジャヴを強く感じてしまったのだった。つまりこのドラマ、『ER』ライクというより『ER』そのもの。ドラマの狙いがわかるぶん、元ネタである『ER』との違いから妙な不自然さが浮き出て見えるのが興味深かった。
 ありていにいえば、登場人物の人格がなんだか変なのだ。主人公の松嶋菜々子は、救急救命センターに赴任したわけを、聞かれる前からさっそく「ここなら、女が男と対等に張り合えると思ったんです」なんてアジっていたり、松嶋の指導医である江口洋介は、松嶋の挨拶に返事をしないのはある種の「照れ」なのかと思えば単に自分勝手な人のようだし。松嶋と江口の関係は『ER』のカーターとベントン先生の関係に相似だが、松嶋も江口も「話に波風が立ちやすく脚本を書きやすい」性格でしかなく、元ネタの模写としてはずいぶん出来が悪い。次回予告で松嶋は江口のプライバシーにもう首をつっこむようで、またも「そんなことではいけません」とアジテーションである。こういう良くも悪くも「自分に正直」な人格の人を主人公に据えれば、話は作りやすいだろうが人間としては嘘くさい。そして内容は「『ER』ごっこ」にしか見えず、嘘くさい人が「ごっこ」をするという、二重に現実味のない話ができあがってしまっている。
 とか書きつつも、やっぱり来週も見てしまいそうだ。『ER』を見たことのある人が2人集まれば、必ず「じゃあ移すぞ、1、2、3」「血算、生化学」「バイタルは」「血圧は触診で40」「挿管する」「除細動器を使うぞ、下がって!」なんて調子で『ER』ごっこが行われるはずで、テレビで『ER』ごっこが行われているとあれば、それは見ないわけにはいかないのだ。