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小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(低高度降下観測運用PPTD-TM1Bの結果と第2回タッチダウン運用について)

(編集中)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(19/6/25)ライブ中継(配信) | ファン!ファン!JAXA!

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの第2回タッチダウン運用実施の可否について検討を続けています。

今回の説明会では6月11日から13日にかけて実施した低高度降下観測運用について、第2回タッチダウン運用実施の可否判断結果について説明を行う予定です

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(19/6/25)ライブ中継(配信) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2019年6月25日(火)15:00~16:00

登壇者

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(image credit:JAXA

(左から久保田氏、津田氏、吉川氏)

中継録画

関連リンク

配付資料

本日の内容

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目次

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はやぶさ2」概要

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ミッションの流れ概要

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1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.低高度降下観測運用(PPTD-TM1B)の結果

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上昇時刻は予定より数分早かった。

PPTD-TM1B運用(実績)

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PPTD-TM1B運用の低高度シーケンス(実績)

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ONC-Tの連続画像を合成

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3.第2回タッチダウン運用実施可否判断結果

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(久保田氏より)

第2回タッチダウンの実施を決定。タッチダウンは7月11日

第2回タッチダウン運用に関するプロジェクトとしての判断

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(津田氏より)

文句なしの場所にターゲットマーカを落とすことができた。

4.第2回タッチダウン運用について

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※名称は「第2回タッチダウン」とするが、運用の記号はPPTDとなる。

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C01-Cbはターゲットマーカから2.6メートル離れた地点を中心とした半径3.5メートルの楕円。安全エリアを広く取れる場所を選んだ。

目立つ岩に通称をつけている。

前回から安全高さが緩和されている。SCIが終了し燃料も減って機体が軽くなっているため。

右画面の「PPTD-TM1B画像」で配付資料に「H=140cm」とあるのは配付資料では「150cm」とあるが140cmが正しい。

C01-Cb領域

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デジタルエレベーションマップ。写真から3次元の地図を復元した。

PPTD-TM1A上昇時にONC-Tで撮影した画像

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ターゲットマーカのツノもとらえられている。

タッチダウン運用シーケンス

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降下開始のシーケンスは今までと変わらない。低高度シーケンスは次ページ。

低高度シーケンス

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最初のタッチダウンとほぼ同じ。

高度30メートルまでは人間の手でコントロールする。目を開いたとき視野内にターゲットマーカが見えていなければならない。高度が低いので見える範囲が狭くなっている。きちんとターゲットマーカの上空に連れて行かなければならない。高度を低くしたのはカメラの受光量が下がっているため。

前回は大きな岩をできるだけ避けるためヒップアップした。今回もするがタイミングを早くしている。前回は④でヒップアップしたが今回は③で行う。シーケンスを短縮化できた。

第1回タッチダウンシーケンスからの変更点

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30メートル上空でターゲットマーカが見えていなければならず精度向上が必要。サンプリング達成確率は少し低下。リミットを逸脱したらアボートし上昇。アボート条件は前回と共通。

前回はターゲットマーカが安全でない場所にあったためターゲットマーカからオフセットして斜めに降下した。今回は垂直降下。

5.今後の予定

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参考資料

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はやぶさ2」のミッションサクセスクライテリア

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工学的価値

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サイエンス的価値

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複数地点でのサンプリングはOSIRIS-RExでも行っていない、はやぶさ2独自の探査。

C01付近のSCIクレーターからの放出物

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NIRS3によるSCIクレーター観測

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緑の点はNIRS3が観測したところ。うち4本のスペクトルを選んだ。クレーターの内外で赤外線の反射率が異なっている。物質になんらかの違いがある。ただし波形はほぼ同じ。

物質分析科学からの2回目タッチダウンへの期待

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リュウグウの地下物質はさらに黒い。

タッチダウン候補地点

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質疑応答

NHKすずき:第2回タッチダウンをするかどうか、どんな迷いがあったのか

津田:最初のタッチダウンがうまくいってサンプルを採取できた。コンテナ内にはサンプルがある。その状態でタッチダウンを実施するか。技術的にはリスクの確率の議論をする。これはゼロや100にはならない。「99.何パーセント」といった計算をして決断。
(…)懇談会を開いたりして一般の方々の意見を聞いてみたかった。

すずき:7月11日はタッチダウン可能期間の中では遅めのタイミング。どうやって決めたか

津田:成功確率を上げられる日を考えた。後ろ倒しにできると考えた副次的な理由は熱的な成立性。リュウグウの温度予報ができるようになってきた。リュウグウの温度に対してはやぶさ2がどんな温度になるか解析し余裕があるとわかった。通信局の手配を含めてバックアップ期間を設定できるとわかった。

すずき:着陸できる、していいと判断した理由は。第2回をどう挑むのか

津田:技術的には冷静な評価、きちっとした評価をしてきて技術的な蓄積を変えるべきではないと思った。リュウグウでの技術力は十分にあると判断。
そうはいっても確率は100パーセントにはならない。技術ではそれが当たり前。JAXAの宇宙科学プロジェクトは確かな宇宙技術の上の挑戦。
確かな技術はきちんとできている、挑戦しない判断はないというのが結論。
今まで積み重ねたものをもとにきちっと冷静に第2回タッチダウンを遂行する。淡々と計画通りに、積み重ねをもとに自信を持って。

月刊星ナビなかの:第2回タッチダウンを決行することになった経緯。賛成や反対の比率は

津田:自分としてはありがたいというか不思議なほど、「どうしたら第2回のタッチダウンができるか」という議論になっていた。リスクはゼロではない。その中で外部の皆さんにどう説明できるか、チーム内で団結できていた。

なかの:資料14ページ。タッチダウン場所の評価について。地形の難易度は第1回と比べてどうか

津田:前回よりは広い。第1回は幅2.8メートル、今回は3.5メートル。着陸の安全性としては安心感がある。凹凸はあまり変わらない。

(編集中)