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金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入に向けての記者説明会

取材 あかつき

日時

  • 2015年7月9日(木)13時30分~


登壇者

中継録画

金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入に向けての記者説明会 | ファン!ファン!JAXA!

http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/5016.html

※03:17くらいに始まります

【放送予定】7月9日(木) 13:30~ 金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入に向けての記者説明会 | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-

http://blog.nvs-live.com/?eid=308

※06:10くらいに始まります

前回会見

金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入に向けて

12月までの主要イベント

7月17日、24日、31日に軌道修正。2月ごろの記者会見ではDV4を7月末に1回しますと言ったがその後3回くらいに分けてはという話になった。
DV4を3回に分けたためDV4-1~3と呼んでいる。

7月実施予定の軌道修正制御 DV4の概要

100パーセントの効率で噴ければよい。トップ側スラスタが100パーセント噴けるかはわからない。3回噴いて87m/sに追い込んでいく。
足りないときはDV4-4を行うかもしれない。

姿勢制御用エンジンの位置

メインエンジンが昔あった側がボトム側。

軌道情報


姿勢制御用エンジンの噴射方向と軌道イメージ

金星への近づき方のポンチ絵。あかつきの後ろから金星が追いついてくる感じ。

お配りした資料にはないが各DV4の噴射の割合。

  • DV4-1:18m/s目標。94秒間噴射
  • DV4-2:53m/s目標。276秒間噴射。1回目の結果で変わる
  • DV4-3:1回目と2回目のΔVに応じて決定

質疑応答

読売新聞ほんま:3回トップ側を噴射とのことだがきちんと動かないときはボトム側を使うのか

中村:状況による。ボトム側を使うこともやぶさかではない。12月6日に姿勢変更せず7日の直前に姿勢変更することもあるかも。

赤旗新聞なかむら:最終ページの図。噴射の方向と速度変化について

中村:増速減速は相対的なもの。金星の後ろ側に引きつけられる。噴くとスピードを落とすので逆噴射と言っていいかも。

?:どうして今のままだと金星に墜落してしまうのか、また噴射すると大丈夫になるのか

中村:潮汐力をご存じだろうか。星の周りを宇宙機が回っていると潮汐力で減速し落ちていくフェーズと加速していくフェーズがある。
潮汐力と進行方向が一致すると加速し、交差すると減速する。

NVSさいとう:トップ側の4本のRCSで長時間の運用実績はないとのことだが短時間はあるのか

中村:はい。しょっちゅう使っている。姿勢制御なのでミリセカンド単位で噴いている。秒単位の長時間噴射を考えて作られていないため緊張がある。

朝日新聞おくむら:87m/sのΔVはどの方向か

中村:進行方向、軌道の接線方向に対して。少し逆噴射して速度を落とし、金星への到着を遅らせている。

(聞き取りそこない):7月17日の噴射時刻は何時ごろ?

中村:日本時間で午後イチくらいかも。準備にもたつくと遅れたりする。少しの遅れは問題ない。3回に噴射を分けられるくらいだからあとの噴射で差を吸収して87m/sへ追い込んでいく。

赤旗新聞なかむら:DV1~3でどのくらいの速度変更があったか

中村:正確な数字は今ないが…DV1は9分間くらい噴射。90m/sくらい。DV2はもうちょっと短くて、DV3は5分間くらい。3年前のことなので記憶が定かでなくすみません。

なかむら:噴射時の金星とあかつきの距離は

中村:DV4-1~3でそれぞれおおむね0.88AU、0.81AU、0.73AU。

なかむら:加速が成功したら金星との最接近時の距離は

中村:ノミナルとしては500キロメートルくらいを考えている。軌道を下げすぎると金星大気にぶつかり落ちてしまう。正確な数字は議論中。300~500キロを目安に考えている。

かはくしんぶんしゃくろは:DV4が万が一ダメだった場合のスケジュールは

中村:まず失敗の記者会見があります(笑)。どう失敗したかしっかり確認しなければならず時間的な余裕が必要。
どのくらい制御がきいたかわかるのに3日くらいかかる。8/3くらいに発表できるかと。8/4に夏休みを取得。
具体的にどうなるかは考えたくないので考えていない。

くろは:これを逃したら何年後、というのはないのか

中村:ダメだったらあきらめる。

宇宙エレベーターニュース秋山:DV4は日本の地上局からの運用になるか

中村:台風が来たらどうなるか。いずれにしてもスケジュールは変わらない。下からコマンドをリアルタイムで送っても間に合わないのであらかじめ噴射の予約プログラムを送っておく。
そういう意味では日本からというより地球からの通信がとだえてもやるということ。

秋山:今のあかつきの健康状態は

中村:まあまあです。特に悪くない。メインエンジンは壊れているのでどうしようもないが。太陽に何度も近づいているのでおおっているカバーはあめ色になっているだろう。ハイゲインアンテナは真っ黒になっているだろう。
内部は温度的に悪くなっているということはなく機能をきちんと維持している。

秋山:外側の劣化の原因は

中村:紫外線ですね。

東京新聞さかきばら:最後の周回軌道投入では何秒噴くのか

中村:1145秒です。DV4の倍くらいの時間噴く。

さかきばら:DV4がうまくいけば周回軌道投入がうまくいきそうな手ごたえがあるのか

中村:最後の近金点を生き残れるかが心配だがその通り。
数百秒の単位で温度が安定したところへ行く。そこへ行けばもう大丈夫。
こんな長さの噴射実績はほかの宇宙機ではたくさんある。ただあかつきは初めての長時間噴射なので心配。

フリーランス大塚:4ページめの絵で軌道投入時熱を避けたいのでトップ側を使うとのことだが太陽はどの向きにあるのか

中村:通信もしたいなどといった制約もいろいろあって答えにくい。

大塚:最悪ボトム側でも?

中村:ボトム側を1日太陽へ向けておくのはリスクになる。

大塚:1日余裕をもってできるメリットがある?

中村:はい。
以前ボトム側を使ったのはそちらにメインエンジンがあったため人情としてそちらを使いたくなる(笑)。工学者の先生に聞いたらもっとちゃんとした理由があると言うかも。

朝日新聞おくむら:現在あかつきはどのくらいのスピードで飛んでいるのか

中村:うーん、考えたことがない。地球が太陽を回っているのと同じくらいの速度で飛んでいる。地球から飛び出してほんのちょっと速度を変えただけ。
内側へ入っていくと速度が上がっていく。

おくむら:その速度は太陽から見たものか

中村:太陽を中心とした静止系でということ。

おくむら:3日後にうまくいったかわかるときのポイントは

中村:噴射終了後衛星の位置を測る。レンジングとR&R。電波がどのくらいの速度で返ってくるか、ドップラー周波数。
8/3の時点で軌道を特定できるとそこに来るためのΔVがわかるということ。

おくむら:投入までに時間がある。一連のDV4がうまくいかなくてもチャンスはないのか

中村:それはね、苦しいです。燃料もそれほど残っていない。全部を8月にやるとなると燃料が足りなくなる。

産経新聞くろだ:DV4-4をするとしたらいつまでに必要か

中村:どのくらい噴くかによるのでいちがいにはいえない。DV1~3に近いのがよい。
毎回金曜日に噴射するのは、情報が回ってきてなにをするか決めて、という段取りで1週間。だからたぶん8月上旬に噴くだろう。ほんのちょっとでよいのなら9月にするかも。

くろだ:うまくいったかわかるのは最短で8/3?何時ごろ?

中村:夜になるんではないでしょうか。海外局との時差がありますから

くろだ:人の手で制御する関門としては最後なのか

中村:ここ数か月の難所。ここを過ぎれば楽になる。

NVSさいとう:ヴィーナスエクスプレスの観測で新しい知見もあると思う。あかつきが金星に到着してどんなものを見たいか

中村:VEはあかつきとかぶらないようサイエンスの目的を設定していた。VEは金星大気の成分、どういった雲がどこにあるかといったものを観測。
VEでわかったことを参考にして新しい観測計画を立てるからプラスにこそなれマイナスにはならない。
彼らは極軌道にいるためスーパーローテーションのことはわからない。

朝日新聞おくむら:改めて位置づけと意気込みを

中村:実はすごく緊張している。ご飯ものどを通らない。DV4-1で初めてトップスラスタを長時間噴射する。これが気になる。
川口淳一郎先生からはそういった長時間噴くのはやめてもっとこまごま噴き、2018年軌道再投入を目指すべきと言われた。
100パーセント近い効率で噴射できればいい。正念場。

おくむら:ぜひ成功させたいか。すみませんコメントを勝手に作れないので…

中村:それはその通り。では言いましょう。「ぜひ成功させたいです」。

毎日新聞永山:徐々に噴いて再投入を延期しない理由は。また2010年の投入目標軌道と今回の軌道はどのくらい違うのか

中村:何年間も太陽の周りを回すのはリスクがある。あかつきの耐用年数はすでに過ぎている。
入る軌道に関してはもともと1周30時間、遠金点30万キロ。今度のは32万キロを1週間で周回する軌道。(※今村註:ここは聞き違いがあるかも)

?:トップ側とボトム側というのは燃料の供給ルートはつながっているか

中村:はい。別系統ではありません。2系統あってトップの2本ずつ、ボトムの2本ずつがつながった系統が2組ある。
燃料のアンバランスは出るのでカウンターバランスを積んで重心位置を調整している。

?:配管やスラスターが時間で劣化していたりするのか

中村:熱的に一番やられるのは端のバルブのあたり。近金点で燃料が漏れだすということはあるかもしれないがトップ側スラスタもしょっちゅう使ってはいる。ただそれは短時間。長時間噴くのは初めて。噴射後バルブが閉じず噴き続けてしまうのは怖い。
長い時間噴射したことがないために想定されるリスクはない。

?:新軌道の周回速度について

中村:だんだん軌道を下げていくので周回が早くなっていく。

(以上)

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