H-IIAロケット26号機/はやぶさ2打上げ経過記者会見

(動画はのちほどアップロードします)

公式情報

第一部:打上げ経過記者会見(機関代表報告)

登壇者

(「打上げ結果について」資料読み上げ)
はやぶさ2は分離と通信を確認、相乗り衛星は分離信号の送出を確認
H-IIAは通算26機中25機成功、20機連続成功。H-IIBとあわせると30機中29機成功97パーセント

JAXA奥村理事長の談話

阿部さまから報告があった。ロケットの打ち上げを実施していただいた方々にお礼を申し上げたい。
JAXAがになっている安全管理業務を果たせたことをご報告したい。
打ち上げに当たっては天候のため3日遅れたが、はやぶさ2はこれから長い距離を旅立つ門出が予定通り始まったことを安堵、喜んでいる。支援にお礼を申し上げたい。
はやぶさ2についてはこれまで説明してきたとおり。さらに今回は太陽系の起源、生命の起源をさぐるC型小惑星にサンプルリターンを目的として旅立っていく。装置そのものの信頼性を前回の教訓を生かし、あるいはロバスト性を上げるなどして必ずや実を結ぶだろうと信じている。
はやぶさ2はたいへん多くの国民からご支援をいただいて40万を超える応援メッセージをいただいた。安倍総理、下村文部科学大臣などからも。PV、インターネットでたくさんの方々が打ち上げを見たと聞いている。
大変多くの国民の皆さんのご支援ではやぶさ2ミッションが始まっている。
寄付金もたくさんいただいた。その寄付金で小型のモニターカメラを搭載した。
本日門出をしたばかり。気を引き締めて運用していきたい。
もう一点、国際協力で成果を拡大できていくミッション。ドイツやフランスの宇宙機関が製作したMASCOTが乗っている。これもお互いの成果を相補的な役割を果たせるだろう。アメリカとロシアとは運用を協力。NASAとはオシリス・レックスでも協力。宇宙探査においては協調・共同の世界で進めていく。
来年末に地球スイングバイし2018年に到着、2020年に戻ってくる。皆さんには逐一報告し気を引き締めつつ進めていく。引き続きご支援をお願いしたい。

藤井文部科学副大臣のあいさつ

いまお二方から紹介があった通り基幹ロケット25機連続成功、信頼性の向上をしめすもので喜ばしい。前回10月7日、ひまわり8号に続き精巧に立ち会えて感動。今後も国民生活の向上に資するだろう。
探査機の状態確認ののちC型小惑星へ行き東京オリンピックパラリンピックが開催される2020年に帰還予定。
国民の夢を乗せたはやぶさ2がサンプルを持ち帰ることを期待してやまない。
ご尽力・ご支援いただいた関係者の方々にお礼を申し上げたい。
応援いただいた全国の皆さんに感謝、これからの帰還までの6年間についても注目していただきたい。

第一部質疑応答

(政策に関する全体的な質問に限ってほしいとの要望あり)

日経新聞うえさか:阿部部長へ。これまでの成果と今後の取り組みは

阿部:原動力についてはやはりひとつひとつの部品を確実に作り確実に実施していく。ていねいに打ち上げていく以外にない。コツや魔法はない。積み重ねしかない。
30機40機に向けては慣れ、マンネリ、形骸化、おごりをいましめていく。それを自らやっていくことが必要。自分たちとの戦い。

毎日新聞あおの:奥村理事長へ。2020年まで国民に逐一知らせたいとのことだがその広報戦略についてお考えがあれば

奥村:広報戦略というほどではないかもしれないが広報で常日頃心がけているのは正確にわかりやすくお知らせするという原点。
はやぶさ2についても6年と長い。平板なトーンにならないよう工夫していくことが重要という議論をしている。
国民の皆さんに引き続き関心を持っていただけるような工夫を継続する努力が結果的に国民の皆さんにわかりやすい広報になるのではと。

毎日新聞永山:広報を続けていくにあたってJAXA内の体制整備についてどう考えるか

奥村:ご指摘の通りで科学ミッションであるから科学成果をどうわかりやすい形でお伝えするかが重要、広報戦略もどう強化するかを検討している。
そう遠くないうちお話しできるだろう。

共同通信すえ:藤井副大臣に。宇宙科学への関心の高まりがあると思うが宇宙政策について探査への不安を述べる人も。どう考えるか

藤井:いま口火をきっていただいたように宇宙に関心が高まっていることは感じている。人類共通の知的財産、産業利用を拡大していく。安心・安全な社会の実現に向けたひとつのジャンル。
欠かせないのは若田飛行士の活躍など日本を元気にさせてくれる力を内在させている。宇宙に夢をはせる子供たち、活躍を考える若者たち。
いっそう促進していかなければならない。
今回の打ち上げで得られた成果とともに新しい基幹ロケットの開発に着手することも考えなければならない。財政状況もありコストもふまえて開発していくこと。
国際宇宙探査、宇宙科学など科学技術ぜんたいの向上に資するもの、安全保障、環境監視、気象や台風予測などに衛星開発は利用価値がある。産業振興などに資するようにしていきたい。

JAXA東京事務所へ)

JAXA相模原キャンパスへ)

東京新聞さかきばら:阿部部長へ。政府は新しい宇宙基本計画の策定が大詰め。それへの期待は。国際的な受注について円安の効果は

阿部:まず期待について。将来、先がある程度見通せるようにしていただきたい。それで民間も努力していけるし先を見据えて技術開発できる。
円安について。一時1ドル80円くらいだったが今は120円くらい。国際競争力が高まっている。昔は歯が立たなかったが今であればオンタイム打ち上げの高さ、サービスなどである程度戦えるところまで来ているという感触を得ている。

種子島へ)

産経新聞くさか:阿部部長へ。来年を展望するようなコメントを。テレサット社の打ち上げ、高度化したH-IIAもデビューするし基幹ロケットの姿も見えてくるだろう。どのように見渡すか

阿部:打ち上げサービスとしてはテレサットをしっかり上げたい。世界標準でやっていけることを世界に認めてもらう。ハンデが大きかった価格面も円安を追い風にしていきたい。
新型基幹ロケットについては近々SDRで姿を見せたい。開発を加速。世界に勝てるロケットにしたい。

(東京会場へ)

(相模原会場へ)

(終了)


第二部:技術説明の質疑応答

登壇者

  • 三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 技監・技師長 打上げ執行責任者 二村幸基
  • JAXAはやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトマネージャ 國中均
  • ドイツ航空宇宙センター(DLR)MASCOTプロジェクト システムエンジニア Caroline Lange(キャロライン・ランゲ)
  • フランス国立宇宙研究センター(CNES)MASCOTプロジェクト プロジェクトマネージャ Muriel Deleuze(ミュリエル・ドゥルーズ
  • JAXA鹿児島宇宙センター所長 打上安全監理責任者 長尾隆治
  • (相模原会場)JAXA月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトサイエンティスト 渡邊誠一郎

朝日新聞東山:國中さんへはやぶさ2の現状を。またこれから6年間52億キロの旅について

國中:まずご報告したいのははやぶさ2の宇宙航海がいよいよ始まった。お礼申し上げたい。天候とはいえ延期でやきもきしたと思う。今日深宇宙に打ち上げていただいた。
第2段エンジンの再着火で深宇宙へ脱出してもらっている。続いてH-IIAから分離し太陽電池パドルの展開、太陽捕捉、0.1rpmでのスピン安定を確保。すぐにNASA DSNゴールドストン局で追尾。送信機のパワーをオンにし1540ごろGS局で電波を受信。SLAの展開、姿勢の安定、太陽捕捉を確認。現在はキャンベラ局で追尾中。

鹿児島テレビ:二回の延期について6年間のモチベーションの高め方について

國中:いい日取りを待っていて少々やきもきしたが正確に軌道投入していただいた。ウィンドウのほぼ中日であり軌道変換マヌーバは低く抑えることができる。たいへんよい期日に打ち上げられたと思っている。
今日がだめだと数日遅れてウィンドウの後半になってしまうところだった。
6年間の深宇宙航海、たいへん緊張している。簡単なものではない。はやぶさ1ができたからといって2もできるとは思っていない。困難が待ち受けているだろう。
はやぶさ2はよく作りこんだ。650キロと言う小さな船。厳しいオペレーションが眼前に広がっているだろう。チーム一同緊張したおももちで宇宙航海に備えている。

読売新聞ながの:2回の延期で平日になったが3000人以上が詰めかけた。ほかに各地のPVなど。そういう方に見守られての旅立ちについて

國中:はやぶさ2はたいへん恵まれている。多くの方から応援いただき門出を見届けていただいた。
応援にこたえられるようがんばっていきたい。

南日本新聞やました:内部物質採取の科学的意義について

國中:1999JU3はC型、炭素質小惑星はやぶさが行ったイトカワはS型、岩石質。宇宙風化をとらえた。持ち帰ったのは大変小さな砂粒だったが表面をそっとごくきれいに拾ってきたともいえる。表面物質の硫化がわかった。宇宙にさらされている物質は太陽風で変質している。
はやぶさ2が目指しているのは表面物質だけでなく露出していない新鮮な物質を採取する。そのためインパクタを開発。クレーターを作り内部物質を採取する。
表面と内部を比較して表面で起きていることをよりつぶさに分析できるだろう。

NHKおかだ:これから小さい小舟で出るというが改めてチームとしてどういう意気込みか

國中:我々が希望して育てた船である。それを使いこなすこともJAXAの仕事。新しい海に新しい船で新しい目標へ船出した。6年で戻ってくるようチーム一同念じている。

よみうり新聞ふなこし:打ち上げと分離の瞬間どうしていたか。ミッションを成功させる自信について

國中:分離のときはSFAというセンター内の建屋の中にいた。ここは相模原とつないでいてはやぶさ2とのテレメトリを受信できる。ロケット系の情報もテレビ画面で見ることができる。情報を得ていた。
クリスマス島からビデオデータが送られてきて分離画像を見ることができた。次にゴールドストン局の追跡が始まった。
成功するよう努力していくが約束されたものではない。たいへん難しい。小惑星の観察、着陸、離陸が必要。ひとつでも機会を失えば航海はあやうくなる。宇宙と言う大自然に小舟をほうり込んでしまった。気を引き締めて慎重に、かつ挑戦的にしなければ成功しないだろう。どうやって成功させるか緊張感をもって取りかかろうとしている。

NVSさいとう:MASCOTのドゥルーズさんに。フィラエと同系統の観測器を乗せている。フィラエは大バウンドした。優しく下ろしてといった要望はあるか。彗星とC型小惑星を同じように観測できることについて

ドゥルーズ:フィラエは着陸してからアンカーだがMASCOTははやぶさから切り離されたあとバウンドするようになっている。15~20分程度で体勢を立て直す。
どこに降りるかはわからないが降りてから表面を移動して調べることができる。

フリーランス大塚:これから3軸制御の確立やイオンエンジンの点火など今後のシーケンスについて

國中:クリティカルフェーズは約2か月、RWをランアップ、サンプラーホーンの伸展などを計画。要注意のオペレーション。そのあと時間は比較的猶予があり各機器の初期チェックを実施。それにはイオンエンジンの点火も含む。
姿勢制御装置の調整も初期運用フェーズで。各チェックと試運転。2月くらいまで。

大塚:探査機の状態は

國中:ゴールドストン局のデータを見る限り探査機は健全。

南日本新聞たかの:二村さんへ。第2段再着火の難しかった点と感想を

二村:これまでの最長の再着火はJAXAと開発している第2段高度化の技術を使っている。中身はJAXAに聞くのがよいが開発・設計に参加させていただいた第2段が無事機能してとても安堵している

JAXA東京会場へ)

ニッボン放送はたなか:打ち上げに際して川口先生とやり取りはあったか、なかったら伝えたいことはあるか

國中:川口先生からは開発中もたくさんのアドバイスをいただき作りこんできた。出荷前審査、射場作業審査、打ち上げ完了審査など。資料を見ていただきコメントをいただいている。メールでも指示やアドバイスをいただいて作業を行ってきた。
打ち上げ後はとくに話していないがこれまで陰に日向にアドバイスいただき感謝している。

日経サイエンスなかじま:國中先生へ。ひとつの大きな危険の可能性が太陽フレアだと思うが来ると分かったときの対策は

國中:対策はない。CMEといった放射線の嵐を耐える、乗り越えるしかない。太陽は11年周期で活動する。これから太陽活動が活発になってくる。はやぶさ1もくしくも11年前に出発、半年後に大きな太陽フレアを受けた。今回も同じような可能性がないとはいえない。とはいえ放射線耐性がある部品で構成しているため数回の太陽フレアには耐えられるだろう。

NVSかねこ:二村さんへ。高度化の適用範囲について

二村:無事打ち上げに成功し安堵している。高度化については衛星に対する負担を軽減できて商用衛星のオペレーターにアピールできる。海外のライバルであるほかの打ち上げ輸送サービスに対抗できる力になる。今後もアピールして事業を発展させたい。

JAXA相模原キャンパスへ)

赤旗新聞なかむら:はやぶさ2が地球とどのような相対速度でいるのか、通信ができた地点でもよいがどのくらいの距離など位置や動きが分かる数字を。また開発は短かったがやきもきや苦労について思い起こすことはあるか

國中:はやぶさ2の速度は秒速数キロメートル/秒で離れている。1Wの送信電力で通信しているが20Wまで電力を上げて通信していく。
当初の1年間は地球近傍…といっても0.1~0.2AUと比較的近くを飛行する。1年後地球に舞い戻りスイングバイ、一路小惑星に向かう。こうなると1天文単位。到着時は太陽を離れて3億キロ離れる。
開発条件は厳しくて平成23年着手。プロジェクトとしては3年半で作った。1年間は設計フェーズ、ハードウェアの開発にはとりかかれない。1年後のレビューで承認後に開発するため開発期間は実質2年半。はやぶさ2は多くの機材を積んでいる。多くを日本国内だけでは製造できず海外に頼らざるを得ないところもありタフなネゴをしつつ機器を作りこんできた。これができるのも宇宙技術にたけているから。
日本が誇っていい技術と思う。
人工衛星を作る数が日本はアメリカより少なく部品の多くを海外に頼らなければならない。それでも機器がどういう作りこみをされているか、フィロソフィーを熟知しているからこの期間で開発できた。

サイエンスライター青木:渡邊先生に。今回のミッションでサイエンス面で期待できること、また不安なところは

渡邊:ヨーロッパではロゼッタが彗星に行きフィラエを下した。小天体へのさまざまなアプローチが進んでいる。はやぶさ2はやぶさの成果の元小惑星へ行く。
さまざまな小天体に行くことで比較できるようになり太陽系の起源、物質の進化などが明らかになると考えている。はやぶさ2だけでなくほかのミッションと合わせることで知識が広がっていく。国際協力が大切。だからMASCOTを乗せることができた。
不安な点はいろいろあるが目的地に到着するまで時間がある。探査機を自在に動かせることが必須。それの練習をしたりさまざまな状況を考えて計画を立てていく。不安が少しでも少なくなるようにしていきたい。

フリーランス秋山:ドゥルーズさんへ。DLRのコメントの中に「MASCOTははやぶさ2の着陸地点の選定に資する」とあるが

ドゥルーズ:MASCOTに搭載されているマイクロメガという機器が小惑星の表面を分析する。それによってはやぶさ2タッチダウンする場所を選定する役を担う。

渡邊:補足したい。サンプルリターンの質を決めるのはどういう場所にどういう分布をしているかという観測、さまざまなに組み合わせることが大事。
着陸点の選定だけでなくほかにも使えるためマイクロメガはたいへん重要な機器。

sorae.jpとりしま:ドゥルーズさんとランゲさんへ。フィラエとMASCOTという独創的な着陸機を作ったが今後への希望や期待は

ドゥルーズ:CNESとしてはこのような着陸機をまた開発していきたい。国際協力という形で進めていきたい。

ランゲ:DLRは彗星にまず降りたので彗星を調べる。また2つの小惑星についても調べていきたい。そのために着陸機を開発していきたい。

種子島会場へ)

中京テレビよこお:二村さんへ二点。はやぶさという国民的関心の高い衛星を打ち上げる責任の重さ、打ち上げを終えての感想。延期を決めたのも二村さんと思うがその時の心境は

二村:今回のペイロードはやぶさ2は皆さんの期待が大きくさまざまな思いが詰まっていると思う。そういうものを宇宙へ運ばせていただく。少なくとも期待に添えることを目指す。少し緊張した思いもあるがはやぶさ2という注目度が高いものでなく国民目線で大事な衛星もある。同じように打ち上げに臨んだ。
延期については期限が12月9日と決まっていて天候も厳しかった。プレッシャーに感じた。最善を尽くして打ち上げたため今日と言うチャンスを必ずものにする思いで心を一つにして臨んだ。

(東京会場)

NVSかねこ:國中先生へ。地上局の更新の計画などあれば

國中:現在日本で深宇宙と通信できるのは臼田と鹿児島の2つ。鹿児島は比較的新しいが臼田の64メートルは1985年のさきがけ・すいせいのために作り古くなってきた。交信したいと考えて相談している。
通信電波についても昔の探査機はSバンドを使ってきた。のぞみまで。
はやぶさではSバンドではなくXバンドを使うようになってきている。宇宙通信は高周波に移行する傾向。はやぶさ2ではKaバンドを使う。しかしKa波は日本に受信局がない。NASA局、ESA局でダウンリンクする。ぜひ日本でも受信できるようにしたい。国際協力で。

(相模原会場へ)

(終了)


第三部:公募小型副衛星 技術説明

登壇者

  • 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 沢田恭兵(ARTSAT2-DESPATCH)
  • 九州工業大学大学院 先端機能システム工学研究系 教授 奥山圭一(しんえん2)
  • JAXA研究開発本部研究推進部 次長 渡戸満(わたんど・みつる)
  • (相模原会場)東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 准教授 船瀬龍(PROCYON)

現在の衛星の状況について

船瀬:(衛星の紹介)プロキオンは50キロ級と小さな人工衛星東京大学JAXAが共同運用。超小型衛星で深宇宙探査をするためのバス技術を実証。うまくいけばはやぶさ2とは違う小惑星へ行くことも目指す。

まずプロキオンについての質問

共同通信すえ:プロキオンの現状について

船瀬:ロケットから分離信号が正常に送出されたと報告を受けた。地上局の可視が1910ごろから。そこで状態を確認する。(そのために会見を早めに抜けます)

(東京会場へ)

NVSかねこ:プロキオンの目標小惑星の決定時期は

船瀬:フライバイする対象小惑星の選択にはさまざまな条件がある。投入軌道、イオンスラスタの性能など。初期運用の結果を総合して狙う小惑星を決定し軌道計画を立てる。計画通りに行けば打ち上げから1年後ないし2年後に地球スイングバイ、目指す小惑星をフライバイする軌道へ。

(相模原会場へ)

フリー××:プロキオンの運用ははやぶさのような自律性はあるのか

船瀬:はやぶさ2は深宇宙用の地上局として臼田や鹿児島のアンテナを使う。プロキオンもその点は同じ。

(船瀬准教授、退席)

渡戸:小型副ペイロードの状況について。しんえん2は今日の1516に分離信号送出、分離されたことを画像で確認。ARTSAT2は1520に分離信号、同様に画像で分離を確認。プロキオンは1524に分離信号、画像が送られてきたが視野の中に太陽が入り逆光になって画像では分離を確認できていない。間もなく可視に入り受信ができるだろう。
しんえん2やARTSAT2も追って受信できるだろう。
多くの成果を期待している。

沢田:(衛星の簡単な紹介、状況、感想)ARTSATは宇宙と地球を結ぶメディアとして衛星を作った。多摩美術大学東京大学のコラボレーション。芸術面を多摩美術大学、衛星の製作を東京大学
ARTSAT1は先日打ち上げられ大気圏に再突入した。
ARTSAT2は重さ35キロ。

  • 「深宇宙彫刻」(芸術作品を宇宙に展示)
  • 「宇宙生成詩」(センサーの値をもとに詩を生成し宇宙を感じやすい言葉に変換し地球へ送る)
  • 「共同受信」(地球から遠ざかっていくため電波は微弱と考えられる。アマチュア無線家に協力を仰ぎ受信データを断片的に集め復元を目指す)

深宇宙彫刻について。無事分離され画像でも確認したため達成。
残りの2つは受信待ち。

奥山:(衛星の簡単な紹介、状況、感想)鹿児島大学と共同で開発。50センチほどの球形、18キロ。今回の副ペイロードではもっとも小さい。ミッションは3つ。

  • 月より向こうの深宇宙を開発するにあたって重要なのは通信。大学や民間企業は大きなアンテナを持たないがアマチュア無線を使う技術を開発する
  • 強化プラスチックを採用。初めて宇宙で主構造として用いる
  • NASAとテキサス大学が作った放射線センサーで宇宙放射線を計測

これらのために宇宙の飛行を開始した。

第三部質疑応答

読売新聞ながの:分離確認で信号が返ってくるのを待っているとのことで共同研究者とのやりとりを

奥山:共同研究の相手は鹿児島大学。我々は構造と熱、コンピュータ、鹿児島大学は通信と電源装置を担当。2つの大学が1つの大学であるかのように仲良くやってきた。ほかの衛星もそうだが1年間という短い開発期間で苦しいこともあったがチームワークがよかった。
分離してからのやりとりは…本来鹿児島大学の先生方がいらっしゃるはずだがちょうど今日本からしんえん2の受信のため研究室にいる。このようにチームワークがよいため信頼関係があり吉報を待ちたい。

沢田:共同開発したところは渦巻の部分、15キロほどで3Dプリンタで製作。ソライズに依頼。それを支える下の金属パーツは難しい曲面、ゆうき精密株式会社。送信機は7W、にし無線。企業と大学というだけでない共同で一致団結して開発した。
いま日本の可視時間に入って電波を待っているところ。わくわくとはらはら。

フリーランス大塚:超小型衛星で深宇宙との通信はどこまで可能と考えているか

奥山:しんえん2は地球からのアップリンクについては月の3倍くらい、100万キロくらいまで可能、ダウンリンクは300万キロくらいまで可能と考えている。3日や7日くらい通信期間があるだろう。
しんえん2とDESPATCHは1年後に地球に近づくのでそのときまた通信したい。

沢田:我々はダウンリンクのみで地球からの送信はない。距離は100万キロ程度を目指す。太陽電池を積んでおらず深宇宙へ行くため割り切って太陽電池を積まずバッテリーで1週間のみのミッション期間となる。それが終われば宇宙をさまよう彫刻となる。

読売新聞でみず:奥山先生へ。九州工業大学鹿児島大学、地方の大学で衛星を開発することの意義は

奥山:しんえん2は九州で作ってきた。我々の研究室は半分が留学生で国際色豊か。九州にこだわらず世界中の人々とともに作った。小さな探査機だが留学生たちは国に帰れば宇宙開発をするだろう。それぞれの国でがんばってもらいたい。
世界で仲良くやっていってほしい。

(東京会場へ)

日経サイエンスなかじま:渡戸さんへ。3つの副ペイロードの軌道。はやぶさ2を追いかける似たような軌道をとるのか

渡戸:はやぶさ2は推進系を持っていて軌道を変えていける。
3つの副ペイロードのうちプロキオンをのぞく2つのペイロードは推進系を持たないため放出されたらそのまま慣性で動くため軌道が変わっていく。

NVSかねこ:宇宙に行くものとして難しかったところは

奥山:変わったサッカーボールのような形をしている。回転しながら宇宙を飛んでいく。太陽からの熱入力を一定にして宇宙への表面積を一定にするには球が一番良いが真球では太陽電池を貼れない。0度から40度におさまるよう設計。熱可塑性の強化プラスチックを採用。前例がないため苦労したところはある。JAXAと知恵を絞りつつ解決した。

沢田:わたしはDESPATCHの構造を担当。ロケットに搭載するために振動や耐荷重の条件をクリアしなければならず解析が大変だった。形状がばねのようになっているため振動条件を満たすように中心の棒の材料や位置を調整するのがつらかったなど。
丸い穴はすべて3Dプリンタの構造物と金属をつなぐねじ穴。どこにどう開けるかの決定が大変だった。

日経サイエンスなかじま:奥山先生へ。しんえん1の教訓が生かされていたりするところは

奥山:しんえん1は金星探査機のあかつきとともに打ち上げられ今は行方不明。2つの教訓。深宇宙通信を成功させること、構造が複雑で部品の数が多く設計、製造、品質保証とも大変だった。そこで熱可塑性の強化プラスチックを採用した。ボルトの数を劇的に減らせた。将来的にはさらに減らせるだろう。
バッテリ量や通信機の改良なども。

(相模原会場へ)

フリーランス秋山:渡戸さんへ。深宇宙への相乗りはなかなかないと思うが世界からの反応はあるか
またプロキオンが成功するとGTO静止軌道)から深宇宙への相乗り可能性が上がることへの期待は

渡戸:他国からの問い合わせは残念ながらいまのところない。
GTOについてもわたしの範囲では聞いていない。

種子島へ)

南日本新聞ゆきまつ:しんえん2のアマチュア無線の受信状況について。分離後南米で通信が可能になる可能性があり5時間後には36000■で通信が可能になると聞いたが

奥山:分離の5分後くらいから電波を出し始める。オーストラリアなどの国々では受信可能になるが今のところ受信報告はない。
今しんえん2の電波を日本で受信しようとしている。
いま月軌道へ向かっている最中。

NVSさいとう:奥村さんと沢田さんに。しんえん2には3億年もつという石英ガラスが乗っているという。ARTSAT2はだんだん宇宙放射線などで崩れてくると思うが意見を

奥村:哲学的な質問で難しいが…いずれにしても鹿児島大学の先生が音頭をとって石英のプロジェクトをしてきた。1万年後の人類がしんえん2を見つけて感慨にふけるかもしれない。それは1万年後の人間にまかせたい。

沢田:MEMSメモリにマイクロ加工によって設計図やメンバーの写真を入れている。それは何千年も残るだろう。崩れるところははかないのがよいところだろう。

(東京会場へ)

NVSかねこ:渡戸さんへ。推進系を持つ副ペイロードの苦労は

渡戸:一般的には推進系があると安全性で厳しい網がかかるが問題がないようがんばっていただいた。苦労はプロキオンチームにぜひ。

(相模原会場へ)

赤旗新聞なかむら:プロキオンの分離確認ができるスケジュールについて

渡戸:画像では分離を確認できなかったがいま運用中で受信中。受信によって分離を確認できるだろう。その時点でアナウンスする。

種子島会場へ)

フリーランス大塚:渡戸さんへ。今年から有償の相乗りを始めたが反応や感触は

渡戸:この4月に募集、H-IIAの相乗りと「きぼう」からの放出がある。
H-IIAは7機の応募があった。I/Fできちんと乗るのは4機。調整の結果1機について手続きを進めている。
「きぼう」は3件の応募。契約も結んでいる。有人宇宙システムが仲介してブラジルのキューブサットを3件契約している。すでにJAXAが引き取っている。米国での打ち上げに向けている。
キューブサット10×10×30cmのを2つ。ブラジルとメキシコの衛星。
年内打ち上げで作業を進めている。
早ければ年内に有償の打ち上げで放出があるだろう。

大塚:4月のリリースの段階で試行的とあったが本格的には

渡戸:今後どうするかは今回の募集をもとにこれから考える。

(以上)