JAXA/ISAS 宇宙科学研究所特別公開

JAXA宇宙科学研究所宇宙研ISAS)の特別公開に行ってきた。例年金曜と土曜の開催で、去年は土曜に来てかなり混雑していた。今年は金曜に来てみたら平日のわりに想像よりずっとにぎやかだ。

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おととしの一般公開は、はやぶさのカプセルの初公開があってもう大変な状況だったらしい。去年はそれに比べれば落ち着いていたようだ。今年は去年より人が多いように感じる。去年から今年にかけて、はやぶさの映画が相次いで公開されたことと関係しているのかも。

さて、宇宙研に着いたらまずは隣接する相模原市立博物館へ。ちょっとお手伝いした、糸川英夫生誕100年記念展が開催されている(これは9月2日まで)。

この企画展には現存するうち、かなりの数のペンシルロケットが展示されていてそれだけでテンションが上がる。

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ペンシルロケット関係では、2005年の「ペンシルロケットフェスティバル」で行われた、水平発射再現実験のときのランチャーも展示されている。

展示で圧巻なのは、道川海岸時代の写真を数百枚並べたところ。

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ペンシルロケット、ベビーロケット、カッパロケットの実験は準備風景なども含め、専属の記録班によって撮影されていた。これがさすが専属、どの写真も構図や露出が的確でとてもよく撮れている。木造の小屋、馬車、筆書きの看板などはいかにも昭和30年代。人々の帽子や着ている服を見ているだけでも楽しい。そして皆さん実に生き生きしている。貴重な記録である。

博物館にまず来たのは企画展を見るのと、正午からのトーク企画「JAXA×JAMSTEC連携協定締結記念 海と宇宙の“深い”話」が目当て。登壇者がISASの矢野創さんとJAMSTECの高井研さんとくれば見ないわけにはいかない。

ISASJAMSTECは対象がそれぞれ宇宙と海という違いはあっても、それらの謎を解き明かしたいという動機では共通している。そんな2つの組織がタッグを組んだらどんなプロジェクトができるか、ということで、土星の衛星エンセラダス(エンケラドス)のサンプルリターンというアイデアが出された。

エンセラダスは南極付近から氷のようなものがつねに噴き出ていて、これが土星のEリングの材料になったと考えられている。はやぶさイオンエンジンと「イカロス」のソーラーセイルを組み合わせてエンセラダスまで行き、その噴出物を地球に持ち帰りたいという話。といっても具体的な計画になっているわけではなく、今のところは妄想の段階。それでも、こういうわくわくするアイデアをどんどん出していくのは研究者の日常である。新しい企画をつねに探しているという点で編集者と似たものがあるかもしれない。

このトーク企画は2日間行われ、初日の今日はエンセラダスからのサンプルリターンの話が出たところで時間切れ。まさかの「続きは明日!」となった。

お二人ともトーク慣れしているというか、お堅い内容にはならず会場は何度も爆笑に包まれた。こういうアウトリーチはもっともっとやってほしい。

さて宇宙研に戻ってようやく会場を回り始めたが、展示が多すぎてとても1日では回りきれない。はやぶさ2、ソーラーセイル、イオンエンジンイプシロンロケットなどを駆け足で見て回った。

はやぶさの実物大模型が「はやぶさ2」になっていた。

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新型イオンエンジンをテスト中の真空槽。

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中にはイオンエンジンの青白い光が。

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イプシロンロケットは来年夏の最初の打ち上げに向けて、順調に開発中とのこと。

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特別公開でなくても見られる実物大のM-Vロケット。

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その反対側はM-3S-IIロケット。これはハレー彗星を探査する「さきがけ」「すいせい」を打ち上げて、日本が初めて地球近傍を離れた惑星間空間に探査機を投入した記念すべきロケットである。

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特別公開で撮った写真

以下にまとめました。

去年の特別公開

(「一般公開」とあるがこれは昔の呼び方で、2009年以降は宇宙研の展示室が平日も公開されるようになったためそちらを「一般公開」と呼ぶようになった。夏休みの公開は今は「特別公開」と呼ぶのが正しい)

(8月5日記)

追記

ペンシルロケットの開発風景は同人誌になった。