配付資料
- 報道関係者向け資料:「きぼう」日本実験棟 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA(http://iss.jaxa.jp/kibo/library/press/)
- HTV3ミッション完了後記者会見資料(2012年09月14日)[ PDF: 2.01MB ](http://iss.jaxa.jp/kibo/library/press/data/120914_press_conference.pdf)
NVSによる中継録画
- 【放送予定】9月14日16:30~「こうのとり」3号機(HTV3)ミッション完了後記者会見 #nvslive | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-(http://blog.nvs-live.com/?eid=45)
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ミッション報告
小鑓:打ち上げ時は雷が来ていてハラハラした。
船外活動が増えて離脱の日が約1週間のびた。
昨日の早朝離脱したが、通常の離脱ではないアボートがあり本来の軌道へ戻す作業を今朝までやっていた。とはいえ設計範囲内で軌道離脱は予定通り。当初計画の約3分遅れで所定の場所へリエントリした。
内山:資料のミッションタイムラインをもとに説明。きぼうのポンプを緊急打ち上げし交換(8月3日)。6日に曝露パレット(EP)をこうのとりから取り出しNASAとJAXAの実験ペイロードを敷設。この曝露ペイロードのほかに与圧部(宇宙飛行士が入れる場所)からの荷物の移送を随時。9月5日の船外活動は前回の活動で作業が終わらず急遽設定。これでこうのとり3号機の大気圏再突入が約1週間のびた。こうのとりはISSを離脱したあと3回の軌道離脱マヌーバを経て先ほど大気圏へ再突入した。14時26分ごろ。
小鑓:i-Ballのデータは受信が確立したと会見前に確認。23時ごろデータをお出しできるだろう。
質疑応答
朝日新聞やまもと:再突入の時刻について、27分の資料と26分がある。どちら?
小鑓:27分。
やまもと:予定通りi-Ballの放出に成功したと言うことか
小鑓:パラシュートが開いてデータも来ている。写真も撮れて送られてきている。なにが写っているかはまだわからない。
やまもと:推定で高度何キロぐらいで放出されたか
小鑓:そういうのを調べるためのi-Ballだが…76キロくらい。高度70〜80キロ。
やまもと:「放出」という表現は
小鑓:うーん正確ではない。
内山:i-BallはHTV内に固定されていて、破壊とともに一緒に落ちていく。
やまもと:「分離」は
小鑓:アクティブなバネなどを使っていないので…記者さんのほうがいい表現を考えていただけるかと。「高度65キロくらいで放出」が一番いいかも。
やまもと:ISSから出たゴミの量は
小鑓:約2トン。
やまもと:燃えるとき何割くらいが燃え尽き何割くらいが海に落下するか
小鑓:100キロちょっとくらいが燃え残って海に落ちると想定している。
NHKこぐれ:3回連続成功の率直な感想を。また内山さんは前回もピンクのシャツだったが
小鑓:ほっとしています。3号機ということでいろいろ国産の機器も積んでいて成功させなければならないという重圧もあった。不具合やリエントリ前のアボートもありやきもきした。次回に活かせるいいデータを取れたし運用についても勉強になった。訓練では何度もやっているが実際に再軌道計画を立てることもできた。開発は3号機で終わらせなさいと言われていたがその通りにできた。
内山:わたしもほっとしているというのが強いですね。フライトコントローラは最後に再突入させるのが使命でそこまで気が抜けない。i-Ballのデータ取得もありまだ仕事は残っている。その使命の中でやっていきたい。ピンクのシャツは…3号機のミッションカラーが緑なのでグリーンのシャツも考えたが持っていない。華やかなこのピンクのシャツを着たら反響があり、勝負服のような気持ちでキャプチャのときも着た。そうなると再突入の時も着ないわけにはいかなくなった。
JAXA坂下:廃棄品の質量は2.1トンです。
毎日新聞のだ:最後に送っていたコマンドは23分40秒くらい。これはなにを送っていた?
内山:時刻までは正確に覚えていないが…28分から29分くらいまで打っていたと記憶している。軌道離脱マヌーバのあとはいくつか技術データを取得するための指令を打った。できる範囲でデータをすべて取ってやろうということ。
のだ:となると拍手はどんなタイミングで?
内山:拍手は何回かあったと思うが、最後はこうのとりのデータが途絶えたところ。こうのとりが破壊された点イコールミッションの完了。
のだ:それが27分?
内山:いや、もうちょっとあとです。27分は120キロのところを通過した時刻。
のだ:何時ごろ着水したかのデータはあるか
小鑓:出ているがあとでお知らせします。
のだ:どんな写真やデータが撮れているかはまだわかっていない?
小鑓:その通り。
のだ:i-Ballはデータの取得はいつからやっているのか。星出さんがi-Ballのスイッチを入れている写真があったが
小鑓:加速度を検知して動き出す。大気圏突入後のこと。GPSも加速度をトリガーとして取り始める。
ニッポン放送はたなか:再突入が3分ほどずれたそうだが、はたから見ていて3分とはいえ大丈夫かとハラハラした。そのあたりの心情は。また船外活動も含めて日程の変更がいろいろあった。想定の中であったろうがやきもきしたのか。星出さんが操作したことについてやり取りの内容は。
内山:3分ずれたのはISSから離脱後アボートがありバックアップの軌道に行ったため。まったく違う軌道に行ったのに3分しかずれなかったのは手前味噌ですがすごいこと。担当者はアボート直後にリプランを立てていた。くり返し訓練していた成果が出た瞬間。なので3分は誤差の範囲かなと。結果として3分遅れたが3分早くなる可能性もあった。
日程の変更についてはもう慣れた。打ち上げが天候で延びることもある。NASAとの調整時、ISSでの作業が長引くこともあるし「これもゴミとして捨ててくれ」ということもある。延長はあったが最低限。調整はいつも難航するがよくあること。
星出飛行士とジョー・アカバ飛行士が船外活動を行った。離脱のための星出飛行士の操作は船外活動が終わって一息ついてから。2回の船外活動は体力的にもつらいだろうが激励のメールを送り向こうからも。うまく協調して進めていく中でメールをやりとりした。
NVSさいとう:HTVが離脱する状況で安全に抜けているのはわかるのだがロボットアームのほうにちょっと戻って見えた。状況を詳しく教えてほしい
内山:我々にも原因はよくわかっていない。ビデオを再生したりしてなにが起きたのか調査中。確かにゆっくりとだがロボットアームで放したあとななめに近づいてくるようなシーンがあった。そのことをこうのとり3号機が検知して離脱した。安全上の機能が正常に働いたということでもある。原因は調査中。
さいとう:今回の知見は今後に活用されるのか
内山:NASAのチーム、ISSのチームなどとも連絡し、ATVやドラゴン宇宙船に活かされる。
赤旗新聞なかむら:成功して喜び合っている様子を先ほど見た。どんな話をしていたのか。i-Ballのデータの開示について。REBRは一部不開示だそうだが弾道ミサイルなど軍事にも利用されかねないデータ。開示されたデータに誰がアクセスできるようになるのか。
内山:管制室ではこの56日間、その前の訓練も含めてずっとやってきた仲間。製造をしていた人、運用の人もいる。打ち上げてからもいろいろあったのでそれをねぎらった。最後まできっちりミッションをやりとげられてよかったねという話をした。
小鑓:温度データは設計情報にかかわること。i-BallはIHIエアロスペース(IA)が作ったもの。JAXAも共同開発なのでデータを得る。
なかむら:外部の研究機関や防衛省に開示されることはないのか
小鑓:どんな目的でなどを聞いてIAとともに判断する。
ライター林:アボートについて。記者発表では50分に検知し55分に軌道を離脱とある。異常を検知して軌道を離れるのがアボートか
内山:その通り。こうのとりが離れて起動したあとゆっくりと下がっていく。小さなマヌーバを打ちながら。予定のエリアから、このままだと5分後に逸脱すると検知した。そこで緊急でアボートした。
林:アボートとは緊急離脱ということか
内山:その通り。それをこうのとりが判断した。通常離脱していくプラン通りにいけばそのプランを使えるが、今回アボートした位置から本来の場所に再突入させるためのリプランをした。
林:そういう訓練をしてきたのか
内山:アボートするタイミングは無限にあり状況もさまざま。そういうときのための訓練をした。
林:その上で3分のずれはよかったということか
内山:3分のずれはほとんどないのと同じ。本来はISSの下に行ってから前に行く計画だった。今回は後ろ500キロまで離したあと上に抜けていった。(今村註:ここは不正確です)
林:2回目の船外活動について
内山:ISSの電力事情が改善しなかった場合太陽電池パドルをある角度に止めたままこうのとりを離脱させなければならない。そうなると太陽電池パネルを太陽の向きに合わせられずますます電力事情が悪くなる。それを改善するために2回目の船外活動を行って電源を交換した。
小鑓:4系統ある電源のうち3系統に不具合が出ていた。NASAも検討を行い最悪の場合係留を延ばして離脱することを考えていた。
産経新聞おの:離脱について、こうのとり側の原因ではないのか
小鑓:ロボットアーム側の問題と考えている。NASAが解析中。つかむ場所(グラップルフィクチャ)を離したあとなにかが起きたようだ。原因究明中。
おの:3分の遅れは再突入前にわかっていた?
小鑓:軌道の再解析でわかっていた。破片の落下地点は少しずれたがもともとの範囲を広めにとっていてその中におさまった。
おの:i-Ballはちゃんと機能したか
小鑓:データを良好に取得中。今後帰還型を作るときの知見となる。
フリーランス大塚:HTV分離時について。ビデオで見るととてもゆっくりでよく見ないとわからないくらい。相対速度はどのくらいか
小鑓:高度差が10メートル。1秒間に数ミリから数センチくらい動くはず。
大塚:通常はRCSを噴かして下がっていくが下がる前にアボートしたのか
内山:下げる前にメインエンジンでアボート。コマンドではなく自動で検知。
大塚:ノミナルだと下のほうにどのくらい下がる予定だったか
内山:まず200メートルがISSの安全領域。コントロールしつつそこよりも下がっていく。4回の小さなマヌーバ。そのあと5キロ下の軌道へ入っていく。そうすると自然に前方に来るので3回の大きなマヌーバで再突入。
ISSの下5キロに入れることを目標に軌道を決める。そこに行くまでにISSに当たらないよう下がってから。タイミングが合えばISSにいる宇宙飛行士が下のHTVを見ることができたができなかった。
大塚:アボートの原因について
小鑓:現状駆動回路の電源系の部品ではないかというところまで追い込んでいる。
大塚:再突入前に今まで使わなかった機構を使ったりというのを前回まで行っていたが今回は
小鑓:しなかった。運用上の負荷を上げないため。
大塚:今回で開発が終わりとのことだが4号機でこうしたほうがというアイデアはあるか
小鑓:HTVの設計そのものはフィックスだがこれを使った実験をいろいろしたい。太陽電池パネルで宇宙空間の電位をはかりたい。
共同通信わたなべ:管制室の拍手のタイミングについて。通信がとだえたというのが大気圏への再突入を確認したときなのか
内山:もうちょっと前。14時27分に高度120キロ。その後データ取得のためのコマンドを打っていた。運用としては来るデータがなくなったところで終了。
120キロに入ったところをリエントリと定義しているだけということ。
朝日新聞??:i-Ballからイリジウムにデータを送るとのことだがそれは日本のどこで受信するのか
小鑓:北海道の大樹町で受信する。テストでここを使っていて慣れているため。また受信感度も良かった。
??:着水したi-Ballが浮いている時間は。また回収は行わないのか
小鑓:最大1週間くらいで沈む。回収はお金さえあればできるのだが。
NVSさいとう:1号機は蛍光灯を外して再突入した。3号機でもLEDは外している。壊れてきたら光が入ってきて写真に写るようになるのか。
小鑓:蛍光灯は外していて中は真っ暗だがそれでも撮影はできる。
さいとう:破壊で温度が上がってきて熱で船内が見えてくるのか
小鑓:外が熱せられて赤くなってくる。それも撮れる。
(終了)
i-Ballは撮影成功
- 新着情報:宇宙ステーション補給機(HTV) - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA(http://iss.jaxa.jp/htv/120914_iball.html)