観測ロケット「MOMO」2号機の打ち上げ実験後記者会見

日時

  • 2018年6月30日10:00~

登壇者

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(image credit:NVS

稲川社長からの説明

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(提供:インターステラテクノロジズ

結果としては途中で推力を失い推進剤を残したまま墜落、内部の燃料が結合して爆発的な燃焼を起こした。

多くの方の支援、協力で打ち上げに来られたが失敗したところは深く反省し申し訳なく思っている。

ペイロードとしてインフラサウンドセンサーを搭載していた。打ち上がり遠くへ行かないと機能しない。今回はデータを取れなかった。

起きたことを改めて。エタノールのメインバルブを開く信号を送ったときを0秒とする。燃焼が始まったが途中で不具合を起こしt+4秒で推力を失った。飛び上がったあと地上へ自由落下。

打ち上げ実験に際しては作業員は機体から600メートル離れている。一般の方は1.5キロメートル。機体の墜落や炎上で破片は飛び散ったがこの距離までは届かず人的被害はなし。

射場の墜落・炎上でかなり火が回ったが遠隔で見る限り地上設備の大きな破損は非常に軽微。そこは不幸中の幸い。

起きた事象と原因推定はすぐには難しい。速報的な情報になる。

t+4秒でメインエンジンの燃焼圧力(推力に比例)がなくなったことはテレメトリで確認済み。

t+5秒でホットガススラスターの燃焼圧も下がり停止。映像データを見るとホットガススラスターの周囲に火が出ている。配管が破れたものと思われる。ホットガススラスターそのものの不具合ではなく周囲の状況に引っぱられたものと推定。

t+1秒以内に燃焼圧力が1MPaになるが0.7MPaに下がったことが確認されている。(…)

過去の試験ではこのようなことは起きていない。メインエンジンに何らかのトラブルが起きたものと推定。

現物調査をしないと圧力低下の根本原因はわからない。現状射点周囲に火があり近づけない。安全確保中のため現物確認できていない。テレメトリから判断している。

メインエンジンが主原因とはまだ断定できない。

ホットガススラスターは新規開発要素。ロール制御用。見えているデータでは不具合見られず。フェアリングに搭載されているアビオニクスからのテレメトリは×秒後までデータが来ていた。大きなトラブルは確認されず。電子部品は健全であったと現時点では推定。

メインエンジンがt+1秒で圧力がガクンと下がりt+4秒で圧力がほぼゼロになった原因はまだ特定できていない。

2号機の失敗だが初号機の不具合とは違うところで発生と考えている。

初号機から2号機にかけて各種の改良やペイロードの搭載などをしてきたがそこに不具合は今のところ見つかっていない。

メインエンジンの設計は変わっていない。起きた現象が設計由来なのか、製造由来なのかは断定できる情報は揃っていない。現物も含めて調査していく。

原因究明、調査はインターステラテクノロジズの社員が中心に行う。外部の有識者にも協力を求める。初号機でも有志のロケット開発経験者に入ってもらいFTA解析など原因究明にご協力いただいた。今回もそのような形で原因究明を行っていきたい。

今後原因調査が本格的に始まる。公開をなんらかの形で行いたいが詳細は未定。

2号機は「みんなのロケット」という形でやってきた。支援いただいた方々、打ち上げ協力してくれた、クラウドファンディングしてくれた方、みなさんに説明しなければならないと考えている。

初号機においてもテレメトリなど多くの情報を公開している。2号機でも開かれたロケット開発として「みんなのロケット」をコンセプトにしている。時期は未定だが公開していきたい。

MOMO3号機以降の今後の計画。現段階ではまだなにも決めていない。インターステラテクノロジズだけで打ち上げ実験できるわけではない。金銭的なスポンサー、地元の協力者(地元の協力者のおかげで実験できている)の協力が必要。

現状インターステラテクノロジズのメンバーは墜落が起きてから原因究明、対処、復旧に向かい前向き。気持ちはチャレンジし続けたい。ただ多くの方の協力が必要なこともありどういう形になるかは今後決まってくるだろう。

事象説明と今後のスケジュールはこんなところです。

堀江貴文氏から

僕が言うことはあまりありません。今回打ち上げに際して技術的に問題がある部分はひと通りつぶして打ち上げに臨んだか今までにない失敗モード。ちょっとだけ上昇して墜落。これから次のMOMO3号機を打ち上げるためにどう改善が必要かが課題になってくる。そこへ全力投球できるようにバックアップ体制を強化していきたい。

藤野英人氏から

声をからして応援していたのでこんな声で失礼します。失敗についてはスポンサーサイドとしてとても残念。宇宙開発事業に我々がスポンサーとなりなんらかのデータを残して次へつながる材料ができたことは一定の役割を果たせたのではないか。

3号機のスポンサーをするかは未定。宇宙開発をここで止めるわけには行かない。インターステラテクノロジズを応援したい。そのためにファイナンス面で支えていくことが重要と考えている。いろいろな支え方がある。

今回稲川社長から、メンバーがやる気を失っていないと聞いた。心強く思っている。3号機は未定だが前向きに宇宙開発をやりたいと思っている人がいてそれを支える北海道の人たちの気持ちがあれば3号機もあるだろう。

今回は残念だがスポンサーとしては人的被害がなかったのはよかった。次につながる失敗だったのではないか。今後もサポートしていきたい。

質疑応答

HTBよだ:堀江さんのほうから「失敗」とあったが稲川さんとしては「失敗」という認識か

稲川:明確に失敗。ただ完全な失敗ではない。完全な失敗はデータが取れない、なにも残らないもの。今回はテレメトリを取れたしカメラでモニタリングできている。機体の一部は残っている。原因の究明ができる、結果が残り次につなげられる失敗。

よだ:改めてふり返って、墜落を見てのまずの気持ちは

稲川:自分自身は機体を見ずテレメトリだけを見て緊急停止の判断をする。燃え広がっているところから見た。最初はなにが起こったのかすぐにはわからず。過去のロケット開発で多い失敗例。V2ロケットアポロ計画に続くようなロケットで見てきて研究してきている。そういう意味では宇宙開発の黎明期の現象が目の前に広がったと感じた。

よだ:改めてロケット開発の難しさをどう考えるか

稲川:たくさんの部品のすべてが合格しないとうまくいかない。そこが難しいところ。初号機で多くの不合格、うみを出し切ったと思っていたが不十分だった。ぱっと見にはわからない、一見うまくいったようでもそうでない。そういうところが難しい。

よだ:堀江さん。落胆の表情だったが今後への意気込みを

堀江:自分はバックアップ。そのことで頭がいっぱい。今後の軌道投入機の開発もありそこをどう進めていくかもある。ベンチャーではデスバレー、死の谷があるとよく言われる。ソフトウェアのデスバレーはそれほど深くないがロケット開発のデスバレーは深い。アメリカでは幾多の先人がデスバレーを超えず消えていった。そこを超えられた会社はスペースX社くらいといっていいくらい。
モチベーションを保ちつつどう進めていくか考えているところ。

よだ:稲川さんに。デスバレーの深さは想像以上か

稲川:大変な時期があるだろうと覚悟があって始めている。実際こういうところに至ると苦労はある。しかし現場は死んでおらず次に向かっている。モチベーションは落ちていない。

朝日新聞はまだ:今後の予定について。インターステラテクノロジズ2020年代前半に100キロのペイロードを高度500キロへという計画はどうなるか

稲川:MOMO計画がどうなるか現時点で未定。不具合の解消、開発にリソースは取られる。順風満帆には行かないだろう。目指すところは超小型人工衛星を打ち上げるロケット。そこで会社は大きく成長する。すべてのリソースをそこへ注げるわけではないが開発のスピードを殺さず進めていきたい。

はまだ:映像では少し浮上してから落ちてきている。何メートルくらい上昇したか

稲川:はっきりしたことはいえず今後公式データを出したい。

NVS齋藤:1.2トン級のエンジン開発でこのような出火は今までにあったか

稲川:小さいものも含めた燃焼試験は40回ほど。同じような現象は今のところ確認できていない。今後の精査が必要。過去のデータを洗い直さないと。現場の直感、第一印象としては過去にない燃焼。

齋藤:打ち上げ中止後バルブなどを改良しただろう。配管関係に苦労しているように見える。そのあたりはまだわかっていない?

稲川:1秒で少し下がり4秒でほぼゼロになったというのが見えている現象。あらゆるパターンが考えられ現時点で配管に問題とは結論できない。

読売新聞:前回から2か月での再チャレンジをした理由は。拙速ではなかったか

稲川:GWでトラップ、不具合になったところを洗い出し機器の交換、リハーサルの実施(t-0秒まで)、直前までエラーをつぶしてきた。今回はtプラスからの現象なのでリハーサルや地上の検証では出てこない。地上の燃焼試験でも同じようなことは見られなかった。事前の確認で発見するのは難しかった。飛ばしてみなければわからない。やれるだけのことはやってきた、人的被害はなく安全に実験できたことについてはよかった。

読売新聞:出資者や地元に結果を出せなかったことについて社会的な責任をどう考えるか

稲川:クラウドファンディングしてくれた方、大樹町や北海道、地元で応援してくれた方は今後に期待してくれていると感じる。今回の打ち上げもマイルストーンだが期待は民間での宇宙産業が育ち宇宙開発が面白くなるところだから支援してくれているのだろう。
ステークホルダーの方にどう恩返しをするかといえば開発を止めないこと。前向きなところは止めないことが肝心。

フリーランス大塚:推力低下については。ノミナルでは1MPaへ1秒かからずに上がるのか

稲川:0.0秒のタイミングではバルブが開いただけで推力が出ない。0.1秒くらいですっと推力が立ち上がり1MPaで定常状態になるのが正常な燃焼。速報データでは0.6秒ほどで通常通り立ち上がっている。その後0.数秒でガクンと圧力が落ちてゆっくりグッと下がり(…)4秒でストンと落ちている。
なにが起きたか決めつけにくい。
まったくわからないということではなく特徴的なデータを取れている。フォトロンさんに撮影のスポンサードをしていただきハイスピードカメラで撮影している。そのデータは確認中。さまざまなカメラでデータが取れているのでこれからの解析でわかってくるだろう。

大塚:射点でなにかが起きることへの想定は

稲川:安全計画を立てている。こういうことが起きたらこうしようという。どんなことが起きても人的被害を出さないことが大事。一般の方も含めて。射点の物的な損傷は二の次。ある程度は許容するポリシーで進めている。

大塚:計画通りに進んだか

稲川:地上で火災が起きたときのモードは周囲のボンベなどが破損しても人的被害がないよう待避するよう決めていた。その通りにできた。その点については計画通り。安全は確保できていた。

(以上)

小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星到着に関する記者会見(2018/06/27)

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星Ryugu(リュウグウ)の高度20㎞地点到着に際して、以下のとおり記者会見を開催いたします。

小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星到着に関する記者会見(18/06/27) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年6月27日(水)16:00~17:00

登壇者

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(image credit:JAXA

  • ミッションマネージャ 渡邊誠一郎(わたなべ・せいいちろう)
  • プロジェクトエンジニア 佐伯孝尚(さいき・たかなお)
  • 光学航法カメラ担当 杉田精司(すぎた・せいじ)

中継録画

配付資料とリンク

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非公式サイトのリンク

津田プロマネからコメント

今日はお集まりいただきありがとうございます。今日はいい報告をさせていただきにまいりました。

(原稿を読む)本日私たちは前人未踏の探査の入口に立つことができました。今日午前9時35分にリュウグウホームポジションに到着。1302日、32億キロメートル。探査機は正常。今後1年半かけて探査を行う。

はやぶさ2が正常な状態で探査できることを喜ぶ。後押ししてくれた日本と全世界の皆様に感謝を申し上げたい。

技術スタッフ、運用メンバーについて。きわめて高い精度で往路を完走に導いた方々におめでとうと言いたい。

今後とも見守っていただければ。

佐伯さんからコメント

無事到着しほっとしている。長い航海をへて探査機が健全な状態で到着できた。この先に期待。これからはリュウグウが支配する領域。放っておいたら落ちてしまう。これから毎日運用し探査していく。手をかけていく。これまで以上に慎重に一歩一歩着々と進めていきたい。

渡邊誠一郎さんからコメント

プロジェクトサイエンティスト

リュウグウがどんな天体か解き明かし、最高のサンプルを取って帰れるようにしなければならない。時間は限られている。理学と工学、人馬一体のミッション。

これから1か月半くらいかけて表面を探査し、どこからサンプルを取るか検討する。皆さんにも関心を持って応援していただきたい。よろしくお願いします。

カメラ観測理学責任者杉田さんからコメント

これから本格的な科学探査が始まる。非常に面白い画像が撮れている。リュウグウが興味深い星であることはわかっている。問題はタッチダウンする決断するまで、ベストの情報を得て望みたいということ。理学の研究者の力の見せ所。

リュウグウ到着

(津田プロマネ)ここから取得できたデータなどについて。

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管制室の写真。ふだん巡航中は3人くらいで運用。今日はプロジェクトにとって歴史的な瞬間なのでたくさん入った。20キロメートルは宇宙のスケールでは短い距離。正確に小惑星に横付けしなければならなかったため集結。

到着時のデータ

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なにで到着を判断したか。3つの条件。

  • 小惑星上空20キロメートルに到着したこと
  • 高度を維持できていること(小惑星に対する相対速度をゼロにすること)
  • 探査機が正常であること

到着時の速度はドップラーで見る。0時51分は地上で観測した時刻。電波が届く15分間を引いて午前9時35分に到着と判断。

これで近傍運用フェーズに入った。

リュウグウ観測の連続画像

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イオンエンジンを止めた6月3日以降、小惑星がどこに写っているかでスラスティングの計画を立て指令を送っていた。そのコマ送り。

スラスターを吹くのは2日に1回程度。その間に詳細な観測をし噴射計画を作り送っていた。

リュウグウの最新画像

(距離約22キロメートル)

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撮影時刻は昨日の12時50分。ホームポジションから見えるのはこの姿。のちほど詳細に解説。

リュウグウのカラー画像

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このような黒い姿がリュウグウのカラー画像。非常に暗い小惑星。これがC型小惑星

新しいミッションパッチ

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スイングバイまで、スイングバイ以降で色を変えた。到着したのでまた色を変えた。竜宮城のイメージでこのような赤にした。

真ん中の紫は乙姫さまの高貴なイメージ。リュウグウも描き直した。

ミッションスケジュール

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佐伯プロジェクトエンジニアから。

今後、どこに下りるかを決めてあげる大きなミッションがある。それが8月下旬。そのために高度を下げた運用を行う。前半のハイライトであるタッチダウンやローバの投下は9月から10月。

11月から12月の通信できない期間を過ぎたらタッチダウンの2回目、クレーターを作る運用など。

ただしスケジュールは組み直す可能性がある。

ミッションの流れ概要

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帰還は2020年末ごろを目指す。サンプルを戻せるよう確実な運用を目指す。

はやぶさ2」の国際協力

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津田プロマネから。

はやぶさ2は日本だけのミッションではなく国際協力の中で実現。NASAとの協力関係は科学、運用の両面でクロスサポート。OSIRIS-RExも今年ベンヌに到着。緊密にコミュニケーションを取りつつ進める。

DLRとCNES。着陸機MASCOTをはやぶさ2に搭載。リュウグウの表面を探査。リュウグウの環境の研究や上空での着陸機の運用でもこれらと共同で行っている。

リュウグウの画像

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渡邊プロジェクトサイエンティストから。

リュウグウの最新画像

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そろばんの珠のような形をしている。円錐の底面を張り合わせたような形。珍しい形というわけではない。そんなに早く自転していない(1周7.5時間)小惑星なのでこのような形はあまり想像していなかった。

クレーターが中央から少し左に。直径約200メートル。リュウグウは赤道の直径が約900メートル。

大きな石が転がっている。それもこの天体の特徴。

約40kmから見たリュウグウ

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ホームポジションより遠く少しぼやけている。大きなクレーターに模様が見える。太陽光が横から当たったことによる影かもしれない。

サイエンスは可視光カメラのほかに赤外線で撮影し温度も見る。近赤外線のスペクトロメーターで表面物質の吸収スペクトルを取得(NIRS-3)。

リュウグウの立体模型を作ってタッチダウンする場所を決めていく。

220~100kmから見たリュウグウ

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少しずつ大きくなってくる。この時期ドキドキしていて毎日新しい画像が来る。少しずつ詳しく見えてきて幸せな期間。

330~240kmから見たリュウグウ

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このころからクレーターが見えている(Cの画像など)。

このミッションは地球から何億キロと離れた天体へ行き20キロまで近づくと倍率1,000万倍。実際に行くことによって得られる大きな成果。

リュウグウのカラー画像

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カメラ観測理学責任者杉田さんから。

非常に暗い天体。炭素をたくさん含んでいる。炭素質コンドライトという隕石の反射率と同等か暗め。炭素に富んでいるといえる。地上からそう見えていたことを確認できたことが大きい。

リュウグウ観測の連続画像

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毎日だんだん大きくなっていくのを見るとダイヤモンドの形に見える。いつ見てもこの形ということは自転軸が立っている…北極が下の逆光自転。「だからいつも同じ形をしていたのだな」と。形が変わらないということは上から見るとまん丸の形をしている。まさにそろばんの珠。

OSIRIS-RExが行くベンヌ(B型小惑星)もこんな形をしている。その形とは違うところへ行くと思っていたら同じ形だった驚き。局面が変わった。向こうのチームも盛り上がっている。

リュウグウの最新画像

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大きめの岩塊がそれなりの数ある。ある程度予想していた。多いほうがうれしい。タッチダウンには向かないが。岩塊から組成が見えたりする。岩塊は母天体が来た可能性が高いのでそれらの構造がわかることは母天体の起原を知ることにつながる。調査のしがいがある星。

真ん中の白い筋は玉手箱のひもではないかと。これも太陽系の起源のヒントになるのでは。

海外機関から届いたお祝いのビデオメッセージを流す

NASAのOSIRIS-RExチームリーダー、ダンテ・ロゼッタさんから

(49:53から)

吉川:彼らとは密接な協力を行っている。

NASA長官、ドイツDLR長官、CNES長官から

津田:はやぶさ2に積んでいるMASCOTはDLRとCNESが開発した着陸機。開発を始めてから3年、運用を始めてから3年、何度も先方と顔をつきあわせて設計を検討、一緒に悩みながら進めてきた。日本だけではなく欧米の科学者もまだ見ぬリュウグウをどう攻めようか考えてきた。いい相互理解に至れている。日本がハブとなってこういうプロジェクトができ責任を感じるとともに(…)

楽しく、激しく意見を戦わせながら進めていきたい。

質疑応答

(1:04:58から)

産経新聞くさか:おめでとうございます。到着の気分は

津田:いやもう天にも舞い上がる気持ちです。とても嬉しいです。いつも慎重になどと言っていて変わっていないつもりだが今日ばかりはもろ手を挙げて喜びたい。本当に嬉しい。

くさか:今後リーダーとしてどんな心構えで立ち向かう覚悟か

津田:リュウグウは人類が今日初めて到着した天体。誰も見たことがない世界の探査に今日から取りかかる。なにもわからない初めての世界。何が起こるか、どんな発見があるかわからない。果敢に挑戦してわかったことはすぐリアクションをして創造性をもって立ち向かう。

くさか:日本の宇宙探査の歴史の中でどんな意義があるか。

津田:普通のミッションの3倍4倍あり、到着するだけで意義がある。到着前提で探査する、さらにその前提でタッチダウンなどをする。そして地球に帰ってこなければならず多段のミッションが直接につながっていて慎重さと大胆さが求められる。

日本の科学力、技術力で進められること、はやぶさで培ったものを含めて成果としていきたい。

毎日新聞永山:初代はミッションごとに点数が加算された。はやぶさ2は現時点で何点?

津田:帰ってくるまでで100点という考え方もあるが一つひとつが挑戦的。まず今日は到着の成果をかみしめたい。今日までの到着は100点。ここからまた点数を積み上げていきたい。

永山:ボルダーが多いが運用面でどんな課題があるか。どんな検討をしていくか。

津田:リュウグウを見た印象はカクカク、でこぼこしているということ。予想通りだったこともある。自転レートや大きさなど。大きさは予想通りで驚いていたら渡邊さんに「それはサイエンスの冒涜だ」と言われた。サイエンスでは当たり前かもしれないが自分はとても驚いた。エンジニアリング的にどこに着陸するか検討していく。
どのくらいでこぼこしているかはこれからの観測。いろいろな場所の傾斜度も重要。計画の観点での朗報は自転軸が立っていること。同じ場所にいれば7時間半で同じ場所が見えるのは計画の立てやすさにつながる。

共同通信すえ:津田先生に。到着おめでとうございます。慎重な運用とのことだがどんなところに気を遣ったか

津田:2点。まずイオンエンジン航行。3年半のうち合計1年半くらい。イオンエンジンは決められたタイミング、方向、量で噴くのを厳格に守る必要がある。イオンエンジンの具合を見つつ軌道を補正しつつちゃんと飛んでいるか見る。これがうまくないとリュウグウに着かないので気を遣った。もう一つがイオンエンジンの航行が終わってからのアプローチフェイズ。その段階でリュウグウの軌道は100キロメートル以上不確定だった。小惑星の位置を正確に決めつつ到着させなければならない。小惑星の位置決定は徐々に大きく見えてくることで精度が上がっていく。精度が上がるとさらに接近。踏み外すと到着しないので慎重に。
佐伯さんをはじめとするプロジェクトエンジニア、技術陣が面白がってやっていた。難しい運用に挑戦しつつ面白さを加味しつつ、必要以上に正確にやってやろうとしてやりとげた。

すえ:到着時に川口淳一郎先生とどういった言葉を交わしたか

津田:おめでとうと言っていただいた。

サイエンス誌ノーマイユ(?):渡邊先生。まだ早いと思うが観測データを取っていると思う。特に面白いことは見つかっているか。想像外の現象など。普通の小惑星

渡邊:アプローチフェイズで得られたサイエンスについて。近づくにつれていろいろ見えてきていろいろ議論している。データを分析し証拠を積み上げ論文にすることで成果が決まる。それには各機器のキャリブレーションが大事。そういう意味では時期尚早で、これからサイエンスの議論ができるようにしていく。
一つ話すと、着陸の時ボルダー(岩塊)が多いのは予想外。重力が小さいので他天体が衝突すると飛び出していってしまうはず。どういうことが起きているのだろう。リュウグウが経てきた歴史や母天体の歴史がボルダーが多い理由になっている可能性がある。調べていきたい。

NVS齋藤:仮想天体のリュウゴイドでシミュレーションをしてきたがリュウグウが近づいてきてここが合っていた、ここが違ったということがあれば

渡邊:初号機と大きく違うことは小惑星のシミュレーションをし地上でチェックしてきたということ。サイエンスと工学系で協力しいろいろな準備ができた。リュウグウを想像し作ったのがリュウゴイド。実際見てみるとちょっと違うなと思うかもしれないが、いろいろ想像しつつ訓練に向く形を作った。違っていたから意味がなかったということはない。シミュレーションしたことを本物のリュウグウで試せるのでわくわくしている。

齋藤:訓練は本番に役立ちそうか

渡邊:それはものすごく役に立つでしょう。いろいろ起きることを事前に訓練できた。本番で新たなことが起きるだろう。チームとしての力が高いのでサイエンスとしてはその力量を生かしたい。

時事通信かんだ:これからサイエンスの本番に入る意気込み。またOSIRIS-RExと競争になる面もある。はやぶさ2がここは先に明らかにしたいということがあれば

渡邊:意気込みはわくわくしている。小さいものが大きく見えてきて謎が見えてきている。どのように謎を解くか。単に眺めるだけではなく最後にはサンプルを持ち帰らなければならない。それには工学系とともにうまくやらなければならない。その積み上げでなしとげられる。着いて淡々と観測するのではなく冒険が始まる。わくわくしている。
OSIRIS-RExの目的地のベンヌリュウグウは形がよく似ていて意外だった。スペクトルも似ている。ともに広い意味でのC型、炭素質のものが表面にある。似た天体どうしどこが同じでどこが違うかを調べるととても多くのことがわかる。似ている2つを比べるのはサイエンスとしてとてもよい戦略。奇しくもそういう状況が作られた。協力して解き明かしていく。競争的なところもあるがコラボレーティブにやっていきたい。

ライターあらふね:佐伯先生。リュウゴイドでの訓練は到着までどう役に立ったか

佐伯:訓練は何十回もやってきた。訓練をすると課題が出てくる。この手順を入れ替えたほうがよいなど。事前に想像できる範囲で抽出し今後の近接運用に向けて修正し手順をよくしていた。訓練は1年以上密にやってきたのでチームの結束も高まった。コミュニケーションもスムーズに。訓練してよかった。

あらふね:訓練してよかった事例はあるか

佐伯:この方法で下りるのはとうてい無理とわかったりした。非常に有益だった。

あらふね:これからの近接運用で気をつけることは

佐伯:意気込みという点では急に難しいことはできない。訓練はシミュレーションだったが今回は本番。ステップを踏んで少しずつ歩みを進めていく。そのようにスケジュールも組んでいく。日々の運用から得られるフィードバックを反映させることを大事にしていきたい。

あらふね:渡邊先生へ。面白そうな地形などはあるか

渡邊:先ほどの画像いろいろ面白いものが見えてくる。自分の目で画像を見てほしい。キャリブレーションでより正確なことがわかってくる。キャリブレーションはこれから1週間くらいかけて。そのあといろいろお伝えできるようになってくるだろう。

ニッポン放送はたなか:津田先生。今後のタッチダウンインパクターを使うための必要条件は。また現時点で難易度をどのくらいと感じているか

津田:必要条件は…8月下旬までかけて小惑星の素性をよく知る観測をする。重力を測定、三次元形状モデルを作る。小惑星に近づくことの危険性、安全性、どこにアプローチするか決める。重力のかかり具合でタッチダウンできる場所を選び、一番価値が高い場所に下りる。タッチダウンは1回だけでなくMASCOTやミネルヴァを下ろしたりする。それらは同じところではなくリュウグウが自転している中それぞれ違う場所に下ろす。どこをなんのために運用するのか、場所取りのようなことをする。それらを整合させるのが8月下旬。

はたなか:地表面の条件はどうか。でこぼこしていて大変そうだが

津田:難易度が上がることは織り込み済みだが、それにしても難しそう。モノが見えたら「神様はそんなに優しくないんだな」と。それでも着陸できる場所はあると思うので精査して決めていく。

フリーライター喜多:津田プロマネに。月曜のサッカー、セネガル戦を解説していた岡田武史さんが「日本のサッカーは壁を越えた」と言っていた。今回の到着で日本の宇宙探査で越えた壁があるとしたらどういうものか、またどういう景色が見えたか。

津田:直近の比較対象ははやぶさ(初号機)と思う。その経験をふまえて技術を盛り込んだ。それが十分できたから信頼性高く小惑星に到着できたことだと思う。無傷で到着したのは宇宙研としては快挙。そういう意味では壁は越えただろう。ただもっと高い壁がある。ワールドカップ優勝を目指したい。

日刊工業新聞とみい:津田さんに。往路をふり返りはやぶさ2に関わっている企業や大学への評価は。協力体制についても

津田:順調に来られたのはJAXAだけでなく日本や世界の企業、運用に携わった企業の成果も忘れてはいけない。国内外の研究機関や研究者の知見も盛り込まれている。それらが有機的につながってここまで来られた。宇宙探査技術はメーカーや研究機関含めてさらに高まったと感じている。

久保田:先ほど壁の話があった。はやぶさ2は国際協力で成果を上げている。ビデオメッセージを4つ紹介させてもらったがとても力が入っていた。ふつうは「おめでとう」というメールが来るだけなので驚いた。天文学では日本は世界を引っぱっている。探査でも引っぱっていく仲間に入ったのだなと思う。ベピコロンボESAと協力して秋に打ち上げる。MMXやデスティニーは計画段階だが国際協力でいい感じ。そういう意味で壁を越えたのではないか。

朝日新聞はまだ:津田プロマネに。先ほどの今後の心構えとして、創造性を持ってというのはどういうことか

津田:まだ見ぬリュウグウへの訓練をしてきた。多くのケースを想定し綿密な計画を立てている。理学、工学、メーカーと一緒に。とはいえまだ見ていないリュウグウに対してこうしますとはまだ決まらない。綿密な計画をベースにしてメンバーと議論しつつわくわくしながら計画を練り直そうとしている。

はまだ:ミッション全体を通してJAXAにどういう意義があるか。あかつきやひとみの失敗もあったがどう位置づけるか

津田:C型小惑星を選んだのは科学的なストラテジーがあって。それは狭いメンバーで決めたのではなく国際的な潮流だった。イトカワというS型小惑星の次にサンプルリターンはと科学者に聞くとC型だと。それをはやぶさ2が攻めたことが大事。科学者の興味・関心を牽引してこの企画を立てられた。宇宙科学探査のハブとなってはやぶさ2を企画できた。国際協力としては日本だけがメインになって行うものではなくお互い得意なところをギブアンドテイクして。対等な立場やリーダーとして参加できるのは意義深い。

とちぎテレビいわむら:栃木出身の吉川先生に。改めてミッションマネージャーとしての意気込みと、ふるさと栃木県の人にメッセージを

吉川:自分にとって長い計画。はやぶさ2を最初に提案したのは2006年。はやぶさが大変なときでなかなか予算が通らなかった。ふり返ってみると苦労はあったがリュウグウを目の前にすると吹っ飛んだ。探査できることが嬉しくわくわくしている。
自分は高校卒業まで栃木県にいた。都会ではなかったが宇宙をやりたいという思いがありここまで来ている。栃木に限らず若い人は夢を持って自分のやりたいことをやってほしい。

東京とびもの学会金木:渡邊先生に。リュウグウの自転軸が立っているというのはなにに対して?

渡邊:そのあたりは少しややこしい。地球は北極を上にすると右へ回っている。右へ回せる軸を北とするのが小惑星のルール。大きな惑星になるとルールが変わり、地球の北極と軌道面(黄道面)に対して同じ方向を北と呼ぶ。なので金星のように地球から見て逆回転していても黄道面に対して同じ側の極を北極としている。
リュウグウの場合南極側を北極と呼ぶ。

金木:自転軸が立っているのは公転面に対してか、地球の黄道面に対してか

渡邊:自転軸は少し傾いている。黄道面とリュウグウの公転面の差は5度くらいなのでどちらに対しても立っている。このあと精密観測でより正確な数字がわかるだろう。

ライター林:渡邊先生に。たくさんあるボルダーはどのくらいの大きさのものを指していうのか

渡邊:リュウグウの直径は赤道面でおおむね900メートル。大きなクレーターの直径は約200メートル。たくさんの岩が飛び出している。ぼこぼこ出ているものを仮にボルダーと呼んでいる。100メートルクラスのボルダーもあり、リュウグウの大きさに対してとても大きいので不思議なこと。

林:表面全体に対してボルダーが多いことが不思議?

渡邊:数と大きさ。小さいものがどこまであるかはタッチダウンに関係してくる。ボルダーは日本語では岩塊と訳される。

林:大きい岩塊に模様が見えると杉田先生がおっしゃっていたが

渡邊:そこは聞いていなかった。これから解像度が上がればいろいろ見えてくるだろう。リュウグウは水が関与してできた天体が壊れてできた破片天体であるという予想がある。そうだとすると層を作る可能性がある。それが岩の表面に見えることがあるかも。

林:津田プロマネに。「創造的」と一緒に「大胆に」と言っていたが真意は

津田:見れば見るほどどこに着陸したらいいのかという天体。安全に生き残ることとタッチダウンを成功させることは別で、タッチダウンの可能性は低くても安全は100パーセントという状態は作れる。でこぼこ具合が思った以上でタッチダウン中にはやぶさ2が着陸しないと判断することがあるかもしれない。それでもそこがタッチダウンの成功確率が一番高い場所ならそこへタッチダウンする。
リュウグウという初めて見る天体でどこを攻めるか大胆に決めていきたい。

赤旗新聞なかむら:佐伯先生に。この地形が気になるなどはあるか。

佐伯:写真を見てどこに下りるかの議論が盛んになっている。皆さんはどう思いますか。訓練より格段に難易度が上がっていると感じている。
工学からすると無事着陸させなければならない。(サイエンスの)渡邊先生はここに下りろと言ってくるだろう。そこは話し合って着陸点を選定する。リュウゴイドでの訓練でも白熱した議論があった。実物でも同じような活発な議論が出るだろう。
訓練の時は神様が少しだけ優しくて、着陸できそうな場所を作っておいてくれた。実物は現時点では裏を見てもどこに着陸するべきか悩ましい。皆さんも頭を悩ませてみてほしい。
大きなクレーターの底はどうかと思うだろうが200メートルくらいある。可能かどうか話し合いをしている。

テレビ朝日さとう:津田さんに。着陸の宣言ではどんなことを言っていたのか、映像ではちょっとわからなかった

津田:探査機から計画通りの噴射をしたと返ってきたので、これをもって到着と判断したいと思う。続いてはやぶさ2リュウグウ近傍フェーズに移行しますと宣言した。
宣言のあとの段取りですか。近傍フェーズに移行したらすることは決まっていて、必要なコマンドを淡々と打つ作業に移行した。

さとう:宣言の時の気持ちは

津田:やりとげた。小惑星に向けて32億キロメートルの飛行をタイミングよくすべてのことをうまくこなしてホームポジションに着く。その達成感を感じた。

サイエンスライター青木:本日はおめでとうございます。津田先生に。画像を見るとどこに下りたらいいか大変な状況。安全面と科学的に下りたい場所のバランスが難しいと思うがどう考えるか

津田:基本的には探査機は工学のものであり安全が最優先。探査機の性能の範囲内でどんな挑戦ができるかが科学的な選択となる。安全と成功確率は概念が違う。安全は絶対守らなければならないがその範囲なら成功確率が100パーセントでなくても高いところを選ぶ。それが新しいところでの必要な概念。技術的な要素もあるし科学的にいい場所に着陸しなければならないというところもありそれを掛け合わせて成功確率が高いところを選ぶ。

青木:ミネルヴァIIとMASCOTの切り離しは地上からのコマンドか、それとも自律判断か

津田:基本的に探査機自身に自律で判断させて分離させる。

青木:初号機のときはなぜ地上からのコマンドで切り離したのか

久保田:当時も自律で切り離す予定だったがリアクションホイールの故障でシーケンスを変えたりしたためコマンドでということになった。

読売新聞まえむら:津田先生に。日本は小惑星探査を続けていくべき? もしそうならどんな意義があるか

津田:はやぶさはやぶさ2と続けてこられているのははやぶさの成果が非常に大きかったからと、これによってこんな探査ができると世界に示せた。それによってはやぶさ2ができたしMMXにもつながっている。サンプルリターンは宇宙探査としては珍しく、はやぶさが切り開いた世界。それができるのは我々の特有の技術。これを伸ばしていくことで新しい科学に迫れる。これが我々の宇宙探査の攻め口。これで科学を牽引できる限り広げていきたい。
小惑星探査はS型の次はC型という機運だったのは太陽との距離が関係している。太陽から遠い軌道に行くほどS→C→D…と変化していく。順に調べていくことで生命の謎に迫る。我々がサンプルリターンできるのは今はC型が限界。これをさらに遠く、火星や木星圏までとなるとD型など新しい小惑星の世界が見えてくる。順番に攻めていくことでわかる科学的な世界がある。入口を切り開いた経緯があるので小天体探査を進めるのがよいと思う。

(以上。終了時に記者から拍手)

小惑星探査機「はやぶさ2」の取得画像に関する質疑応答機会(2018/06/21)

日時

  • 2018年6月21日(木)14:00~15:00

登壇者

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(image credit:JAXA

中継録画


配付資料とリンク

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今日は質疑ということで最新の画像を紹介する。

本日の内容

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1.本日の「はやぶさ2

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2.リュウグウの画像(01~16)

合計16枚。左がオリジナル。画像処理は画像平滑化、明暗強調。

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形が非常に特徴的。コマ(独楽)型。またはそろばんの珠のような形。ちょっと意外。理由はのちほど。

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200メートルより小さそうなクレーター。溝なのか複数のクレーターのつながりかはわからない。たくさんの特徴を読み取れる。

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リュウグウから100キロで撮影。

中央に大きめのたぶんクレーター、丸い構造。てっぺんのすぐわきにもたぶんクレーター。横にでっぱり、ボルダー、岩塊がある。(南半球の)小さなボツボツはボルダー、岩塊。

正確な大きさはまだわからない。正確な距離がわからないから。LIDARで正確な距離がわかれば大きさもわかるだろう。

いまの距離は軌道から推定したもので誤差がある。

この大きな丸いクレーターはおおむね直径200メートルくらい。見えてる範囲の小さなボルダーは数十メートルくらいと予想。

これまでリュウグウは「丸い形」と言ってコマ型とは言ってこなかった。形状がアップデートされてきてコマ型、トップシェイプとは明言していなかった。行ってみたらきれいなコマ型だった。

参考:他のミッションの探査候補小惑星

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ベンヌはコマ型、2008EV5も同様。ディディモスもコマ型。このような形の小惑星がけっこうあることはわかっていた。

参考:他の“コマ型”小惑星

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これらは探査対象ではない小惑星。どれも似たコマ型をしている。自転周期が短いのが共通した特徴。2時間から3時間台。

一方リュウグウは7時間半なのでコマ型とは想像されていなかった。

参考:“コマ型”小惑星の形成シミュレーション

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自転周期に依存する理由について。自転速度が速いと球形からコマ型に変型していくシミュレーション。自転が加速していく。ヨープ効果で加速する。高速回転する小型小惑星はコマ型になるという研究があった。

リュウグウは比較的大型で自転もゆっくりなのにコマ型なのが意外。

今回初めてコマ型の小惑星を探査することになり生成や進化のメカニズムがわかるだろう。サイエンスは非常に期待している。

参考:軌道図

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ほかの小惑星リュウグウに近い軌道を回っている。

探査機からのリュウグウ観測の履歴

前回と同じ。

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探査機が見た小惑星

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シュテインスはややコマ型。ほかの小惑星はおおむね球形。

探査機が見た彗星

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参考資料

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質疑応答

産経新聞くさか:現時点でリュウグウの形状がなぜこうなったのか想像できることは

吉川:細かい情報がないためなんともいえない。かつては自転が早かったのが遅くなったのだろう。そのメカニズムが謎。ヨープ効果は熱放射の圧力で自転速度が変わるもの。ヨープ効果が遅くなる方向に働いたのかも。

コマ型の小惑星には衛星が多い。衛星が分離したときに周期が変わったのかも。

今後ミッションで情報を取得していく。

バイナリーは2つ、トリプルは3つ衛星がある。

くさか:コマ型であるとわかったために衛星がある可能性が高まった?

吉川:はい。でもバイナリーやトリプルは大きな衛星を持っている。今のところリュウグウにそのクラスの大きさの小惑星は見つかっていない。

くさか:凹凸が目立つから金平糖型とかいえる?

吉川:そう言ってもいいかも。

時事通信かんだ:着陸できないということはなさそう?

吉川:イレギュラーな形ではないのが安心材料。ただ狭い領域の凹凸が問題になる。大きなクレーターの内部が平らだとすると着陸の可能性が出る。数メートルの岩があっても障害になるので着陸のリスクは評価できない。

かんだ:ここを見たら面白そうというものは

吉川:特定していない。どこを見ても面白いだろうと。クレーターは地下が見えている可能性がある。大小の岩塊、ボルダーがどのくらいめり込んでいるとかなど。今後表面のスペクトルが取れると物質の違いがわかってくるかも。目指すのは有機物。それがあれば興味深い。

テレビ朝日さとう:ネットで公開すると「スター・ウォーズ」のデススターに似ているという声。現場では?

吉川:確かにデススターに似ているとかガンダムのソロモンに似ているという声も。お団子ではなかったということで運用の工学チームにとっても関心が高い。

さとう:吉川さんとしてはなにに似ていると思うか

吉川:そろばんの珠に近いと思った。

ライターあらふね:形状と自転の関係について。リュウグウが逆回転していることは関係ある?

吉川:回転方向で違いはないと思う。高速自転すればコマ型になるだろう。

あらふね:逆回転であることは確か?

吉川:はい。

あらふね:自転軸の傾きなどで驚きはあるか

吉川:きれいなコマ型になっていたのが驚き。自転軸がほとんど傾いていない(10度くらいと予測)のは今後の探査計画を立てやすい。

ニッポン放送はたなか:形状が探査の都合のよさにどう影響するか

吉川:基本的には変わらない。一つだけ気になるのは赤道部分が張り出している、リッジと呼ぶがここはタッチダウンしやすい。この傾斜がきつすぎるとリスクが上がる。赤道部分にクレーターがあり平らになっていたら下りやすい。

はたなか:赤道を避ける可能性もある?

吉川:あまり避けられない。探査機は地球と小惑星の一直線上から下りていく。太陽電池パネルに光が当たりやすい赤道が有利。極地方へ下りようとすると探査機が傾いて電力が少なくなる。

毎日新聞永山:コマ型になるところ。高速回転で扁平になるのを言葉で説明するとどうか

吉川:シミュレーションを見てほしい。球形から高速回転させる。ゆっくり回っているうちは変化しないが高速になると遠心力で形状が変わる。レゴリスがゆるやかにつながっているだけなのでこうなる。

永山:極域にあるレゴリスが遠心力で赤道に集まっていく?

吉川:その通り。

永山:砂礫だとかレゴリスでおおわれていることが条件?

吉川:ひとつの大きな岩だとこうはならない。

永山:工学チームはタッチダウンのシミュレーションを始めている?

吉川:それはまだ。タッチダウンにはもっとローカルな地形がわからないといけない。基本的には極域への着陸は難しいので赤道付近でよい場所を探す。

NHK水野:27日の到着は赤道面の上空20キロということ?

吉川:どこから20キロとは決めていないがLIDARのレーザーが小惑星に当たると赤道から20キロということになる。

水野:リュウグウに到着したら追随して移動していく?

吉川:小惑星のまわりを回ったりはしない。常に小惑星と地球を結ぶ線上、小惑星から20キロの距離。

水野:クレーターは他天体がぶつかったものと思うが岩塊はどうしてできるのか

吉川:面白い研究テーマ。大きな丸がクレーターだとして天体がぶつかったものとするとその破片が落ちて岩塊になっている可能性がある。ラブルパイル天体の構成物がこう見えているのかも。

イトカワはラッコ型だった。たくさん細かい岩塊が集まってできていると考えている。その一部がボルダーとして見えているというもの。

フリーランス秋山:リュウグウの南極北極はすでに決まるのか。小惑星に地名をつけるのはいつごろになるか

吉川:南極点や北極点はまだわからない。到着して精密観測してから。画像からいうと逆行自転しているため下が北極、上が南極となる。

地名はまったく決まっていない。地形が見えてきてどの地形に名前をつけるべきか…名前をつける理由がある場所に名前をつけていく。プロジェクト内で検討中。勝手に名前をつけられず、IAUへの申請が必要。

NHKふるいち:TCMについて。6回目までは順調か。27日に到着できるのか。到着はなにをもっていうのか

吉川:参考資料の図「リュウグウ-探査機間の相対速度」を参照。6回目までは順調、予定通り。TCMのたびに軌道を測定して次を決めていく。非常に細かい制御をしている。残り4回目のTCM10は小惑星から20キロに静止させる。その時点をもって到着。20キロという距離を確認するのはLIDAR。

相対速度もモニタしゼロになっていることを確認する。ドップラーの変化を観測する。

(「両方同時に」という回答は質問が聞き取れず)

共同通信すえ:クレーターの直径は大きいと思うが不思議ではない?

吉川:小惑星の直径に対して大きなクレーターがあることはままある。小惑星シュテインスなどは半分くらいの大きさのクレーターがあったり。

すえ:鮮明な姿が見えてきたことの感想

吉川:本当にワクワクしている。イトカワが見えてきて表面がでこぼこだったのが驚きだった。今回はコマ型だったのが驚き。まだ大きなクレーターやボルダーしかわからないがもっと鮮明になってくればいろいろな特徴があるはずで非常に関心を持っている。

朝日新聞はまだ:先ほどおっしゃった小惑星の形成や進化のメカニズムがわかるというのは小惑星一般についてわかるということ?

吉川:最終的にはそう。まずはコマ型のほかの小惑星についての形成過程がわかるのではないか。

はまだ:小惑星の大きい、小さい、自転が早いというのは基準はあるか

吉川:基準はとくにない。見つかっている小惑星は数メートルから数百キロまである。自転はだいたい4時間未満を早いとしているがもっと短いものもある。いろいろな性質がある。ここでいう「小さい」はおおむね直径1キロ以下、「自転が早い」は3時間以下。

はまだ:小惑星の自転が遅くなる原因は

吉川:早くなる原因と遅くなる原因、両方がある。ヨープ効果。小惑星の表面温度が上がると熱放射が出てその反作用で自転速度が変わるというもの。もともとヤーコフスキー効果というものがある。赤外線による熱放射で軌道速度が変化する。これがあることは観測でわかっている。さらにヨープ効果が関係すると考えられている。

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はまだ:自転方向が変わることはあるのか

吉川:そこまではないような。自転が逆行している原因は小惑星が誕生した時までさかのぼるのでは。生成時の状況に依存するのでは。

日本テレビいだ:コマ型、トップシェイプという呼び方は一般的なのか

吉川:日本語でコマ型という言い方はあまりしてこなかった。論文ではトップシェイプという。

ライター林:赤道付近が着陸しやすくクレーター内がよさそうだが大きな岩がないところ、有機物がありそうなところを選ぶのか。

吉川:岩は1メートルクラスのものがないところを選びたい。サンプラーホーンの長さは1メートル程度なので。有機物があるかどうか判断して選ぶ。

林:南極近くの岩塊はそれほど面白いわけではない?

吉川:そんなことはない。解像度が高い写真が撮れてくれば面白いだろうと注目している。溝のようなクレーターの連なりのようなところも。

NHKつつい:自転軸が垂直だと極地方の観測は可能なのか

吉川:はやぶさ2の居場所をずらすことはやってみる予定。極地方も観測する。

毎日新聞永山:ラブルパイルがコマ型になりうるのか

吉川:ラブルパイルでない、ひとつの大きな岩だとコマ型にはならない。

永山:リュウグウイトカワと同じように岩塊が集まってできたと考えるのか

吉川:それは今後の観測。イトカワはS型、リュウグウはC型とタイプが違うのでそれで構造の違いがあるかもしれない。面白いところ。

NHK水野:有機物をどうやって探すのか

吉川:有機物は直接見るというより含水鉱物があるところを探す。含水鉱物があるところに有機物がある可能性がある。NIRS3という赤外線スペクトルを取るセンサで全体をくまなく調べた上で3ミクロン単位の吸収がある場所を探す。

水野:現状どこがというのはわかるのか

吉川:赤外線のスペクトルはまだ取れていない。ONC-W(広角カメラ)のフィルタで観測はしているがNIRS3ではこれから。

水野:ではなぜ現状で有機物があるらしいとわかっているのか

吉川:リュウグウはC型小惑星。スペクトルから決まる。C型小惑星から来たと考えられている隕石が炭素質コンドライト。その中に有機物が確認されている。だからC型小惑星には有機物があるだろうと考えられている。

フリーランス大塚:自転軸が垂直に近いのが意外。自転軸が寝ているという予測が外れた理由は

吉川:自転軸が寝ている予測のほかいくつかの予想があった。寝ているのが一番ありそうな予測だった。立っているという予測もあることはあった。結果的に自転軸が立っていたので計画は立てやすくなった。

もともと丸い形ということで自転軸を予測しづらかった。もっと細長ければライトカーブ、明るさの変化から自転軸を予測しやすい。

大塚:極地方の観測について。近づいていってONC-Wで見るのか

吉川:まっすぐリュウグウに向かっていけば赤道地方しか見えないが上下から回り込むようにして極地方を見る。

(…):たびたびすみません。クレーターにリュウグウ固有でないものがあるとしたらそれをサンプルリターンしてしまう可能性は?

吉川:どの小惑星にも隕石が落ちる可能性はあるからそれは排除できない。今回リュウグウ固有の物質がたくさんあるだろうところにタッチダウンする。月のクレーターを見ると放射状の筋がある。そういうのも見る。

(以上)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(2018/6/14)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、現在小惑星Ryugu(リュウグウ)に向けて順調に航行を続けています。「はやぶさ2」は、6月3日にイオンエンジンの連続運転を終了し、光学航法を用いてリュウグウへ近づいていく段階にはいりました。 今回の説明会では「はやぶさ2」の現在の状況、光学航法の詳細、リュウグウ画像が撮像できている場合はその説明を行います。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(18/06/14) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年6月14日(木)11:00~12:00

登壇者

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(image credit:JAXA

(左から神山氏、久保田氏、吉川氏)

中継録画

(00:08くらいから)

配付資料とリンク

久保田スポークスパーソンからの挨拶

はやぶさ2の状況を随時皆さんに説明する。初代はやぶさではタッチダウン時の航法運用を担当した。はやぶさ2では同じ「こうほう」でも広報を担当する。

はやぶさ2リュウグウに向かって順調に飛行中。今日は接近方法や観測データを紹介する。まさしくワクワクドキドキする場面。今後もよろしくお願いします。

本日の内容

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  • リュウグウの観測
  • 工学電波複合航法(光学航法)の詳しい話
  • 衛星探索
  • スケジュール

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1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.リュウグウの観測

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背景の星を撮影し露出時間が長いためリュウグウが明るい

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リュウグウのサイズが10ピクセルくらいに(約920キロから撮影)

正確な形や表面の状況はまだわからないが形状や大きさはおおむね想像通り

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ONC-W1(広角光学航法カメラ)はONC-Tで撮影できなかったときのためのバックアップ的な位置づけ

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TIRでライトカーブを取得、明るさの変化の周期は地上観測による予想の自転周期と同じ7.6時間

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LIDAR(レーザ高度計)とNIRS3(近赤外線分光計)を電源投入

3.光学電波複合航法(光学航法)

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遠くの小さな天体に到着するための技術

地球の表面に沿って日本からブラジルへ行き、6センチの的に到着する必要がある

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(今村註:この図ははやぶさ2のトップページにある図と同じ座標系ですね※下の図は距離の数字を加工しました)

http://www.hayabusa2.jaxa.jp/

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地上観測チーム:ソウル大学日本スペースガード協会京都大学JAXA

航法チーム、誘導チーム、運用チーム

軌道制御(TCM)は10回行うことを予定している

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「OPNAV実施前」(オレンジ)はリュウグウの想定される位置

「OPNAV実施後」(緑)は実際の位置

右上は5月13日の観測を拡大したもの(想定位置の精度が上がっていることがわかる)

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10回の軌道制御(TCM)で相対速度を0にする

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4.衛星探索

(ここから神山氏が解説)

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リュウグウが持つ重力からHill半径(衛星が存在可能な範囲)を推定できる:リュウグウのHill半径は約90キロ

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リュウグウ周囲の輝点は恒星

50センチより小さい衛星は軌道半径50キロ以内にのみ存在する

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4回撮像すると恒星は動かないが衛星があれば動いてわかる、画像解析も用いた

5.ミッションスケジュール

(吉川氏に交代)

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6.今後の予定

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別紙

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参考資料

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(↑このライトカーブのページが新設)

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質疑応答

(29:59くらいから)

時事通信かんだ:ONC-Tの画像の評価について。地上観測と矛盾しないとのことだがこの段階で「球形とみられる」といえるか

吉川:ONC-Tの画像が現在一番詳細な画像なのでここから判断するしかない。時間をおいて撮影した画像も何枚か見ているが基本的にこの形と変わらない。自転軸の向きもわからないので確定的なことはいえないが、少なくとも極端に細長い可能性はほぼ排除できたと考えている。ただこの写真でも少し角張って見えなくもない。球形といえるかどうかはもう少し近づいてから。

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かんだ:自転軸についてわかることは

吉川:現時点では地上からの観測で得られた自転軸の情報より精度の高いデータは得られていない。今後詳しい写真が出てからになる。

かんだ:角張っている可能性は?

吉川:現時点の写真を見ると角があるようにも見える。今のところなんともいえないという状況。

NHKすずき:吉川さんに。リュウグウの姿がだんだん明らかになっていくことに対してどんな期待があるのか。昨日ははやぶさ帰還から8周年でTwitterなどで応援メッセージがあったこともふまえて、今後どのようにしていきたいか

吉川:昨日ははやぶさの地球帰還から8周年だった。その同じ日にリュウグウまでの距離が1,000キロを切った。感慨深い。現在はこの程度の写真だが来週には撮影画像の解像度がさらに上がってくるので非常に楽しみ。サイエンスのチームがエキサイトしてきている。この写真を見てへこみがあるのではないか、出っばりがあるのではないかなど議論をしており期待が高まってきている。

日刊工業新聞とみい:吉川さんへ。今日新しい情報や知見はどれか

吉川:写真の解像度が上がってきた。また科学観測機器が動き出した。TIRでライトカーブを取れた。

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とみい:ライトカーブによって自転周期は予想通りと確認したということか

吉川:実はTIRだけでなくONC-Tでも観測しライトカーブを取得。地上観測での自転周期に合致することを確認した。

とみい:TCMは具体的になにをするのか

吉川:こういう軌道↓をとって近づいていく計画。この計画通りに近づいているか確認し、ずれていたら3軸方向にスラスターを噴いて修正。

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とみい:神山さんに。何センチ以上のものを衛星と呼ぶのか。はやぶさ2の運用に支障がない大きさというものはあるのか

神山:小さな衛星が安定的にリュウグウを回る軌道にいられるか下限値を計算できる。リュウグウの衛星は10センチ以下だと太陽光圧によって軌道から外れていく。10センチ以上の衛星を見つける観測を続ける必要がある。現在は50センチ以上の衛星はないと確認している。

吉川:衛星の定義はとくにない。リュウグウの周囲を回っていれば小さくても衛星。ぶつかってくると数センチでも脅威であり心配。

産経新聞くさか:神山さんに。衛星がないとみられる根拠は

神山:小惑星の大きさと自転周期が衛星を持てるかのパラメータになる(リュウグウは直径約900メートル、自転周期7.6時間)。リュウグウには衛星がないだろうというのが理論的な予想。自転周期が早い、たとえば5時間や2時間の小惑星では衛星を持つことがあり実際に観測されている。リュウグウは過去の観測で見つけられている、衛星を伴う小惑星のスペックから外れる。リュウグウのスペックでは安定的に衛星を持つことはないだろう。

くさか:衛星がありそうな危ない小惑星には行かないということか

吉川:衛星の有無はあまり気にしていなくて(行ってみないとわからないし)、リュウグウは探査機が往復できる軌道にあるC型小惑星ということで選んだ。

くさか:10センチ以上の衛星がないと結論できるのはいつ?

神山:難しい質問。距離が半分になると半分の大きさの衛星を見つけられる。2,100キロの距離から50センチの衛星を探した。400キロくらいの時点で10センチの衛星を見つけられる。ホームポジションは20キロ。(10センチ以下の衛星はリュウグウに安定的に存在できないので)そこまでで衛星がないことは結論できる。段階的に安全を確かめていく。

月刊星ナビなかの:望遠カメラの画像の波長は短波長のモノクロ?

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吉川:フィルタを使っているが解析中。公開しているのは一つの波長。

神山:色フィルタは7つ持っている。Wideを含めるとONC-Tはさまざまな波長の光を一度に取り込める8つのフィルタを持っている。それぞれのバンドで観測していて色合成すればリュウグウの色がわかるところまできている。カラー画像は解析中。

なかの:カラー画像はいつ公開される?

吉川:正確には決めていないが数日に1回、軌道制御のたびに写真を公開していく。(今村註:カラー画像がいつ出るかは答えていないですね)

フリーランス村沢:DDORについて。クエーサーを使っている?

吉川:地上の2つのアンテナで同時に電波を受ける。探査機を見たりクエーサーを見たりスイッチングをし、大気や電離層による遅延誤差を補正している。

村沢:23日に取材できるのは新管制室?

吉川:その通り。

赤旗しんぶんなかむら:神山先生の肩書きに「人工知能研究センター」とある。先ほど「目を皿のようにして衛星を探した」とのことだったがAIを使った?

神山:AIは使っていない。衛星探しは教師データがあって真価を発揮するタイプの課題。あるかないかわからないところから見つけるのは人間の方が得意という判断。画像処理を組み合わせて探索した。

衛星ならこのくらいで輝くだろうというモデルも画像に入れてみて、近いものがないか判断。検出限界近くになると慣れないと難しいがだんだん見分けられるようになってきた。

なかむら:衛星の速度について。たとえばHill半径ではどのくらいになるもの?

神山:速度そのものは速くなく秒速数センチくらいだろう。はやぶさ2との相対速度や当たる場所によっては危険になる。衛星の大きさがわからないまま進むよりは事前に把握しておきたい。

なかむら:21ページの写真は10日だと中心にリュウグウが出ている。位置推定の精度が上がっている?

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吉川:位置の推定精度は現在解析中であり正確な数字はこれからだが、5月でリュウグウの位置推定精度は130キロだったのがいま数十キロ程度。接近していけばもっと小さくなっていく。

ライターあらふね:光学航法の作業について。4つの地上観測チーム(ソウル大学日本スペースガード協会京都大学JAXA)は別々に画像を見ている?

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吉川:その通り。誤差を減らすため。

共同通信すえ:吉川先生に。着陸に必要な表面情報は20キロ到着までにわかる?

吉川:着陸地点の判断は到着後。

すえ:角張っていると着陸が難しいなどあるのか

吉川:形よりも表面がでこぼこかどうかがカギ。

大きさは予想より大きく違わない。推定直径900メートルに対して1キロなのか800メートルなのかがわかる精度はまだない。

毎日新聞永山:TCMについて。10回目のTCMはリュウグウとの相対速度をゼロにするブレーキ?

吉川:その通り。

永山:現段階でここまで具体的なスケジュールを決められる理由は

吉川:この座標系でカーブをしているのは軌道運動があるから。津田プロマネを中心とする軌道計画グループが計画を決めている。

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久保田:21ページ参照。リュウグウに着いたとき真ん中にリュウグウが写るのがよい。ずれたらスラスタをふかして修正するがその間隔を広めにとるとリュウグウを横から見た様子がわかる。するとリュウグウまでの距離を正確に知ることができ、いつTCMをしたらよいかを決められる。これははやぶさの運用の成果を生かしている。

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永山:はやぶさのときはTCMの計画をここまで詳しく決められなかった?

久保田:はやぶさでは画像を撮って画角から外れてきたら噴くというのをやっていた。今は距離がわかっているのでこの詳しさ。到着が27日前後といえるのも精度が上がったことによる。

永山:形がちゃんとわかってくるのはどのくらいの大きさで撮れるとき?

吉川:100ピクセルくらいになればかなり形がわかってくるだろう。

日本テレビいだ:吉川先生に。久保田さんがワクワクドキドキすると話していたがリュウグウの姿を見ての現在の感想を

吉川:今のところ当初の想定からずれてはいないがイトカワのときは着いてみたら想定と全然違っていた。運用上は予想外でないほうがよいがサイエンス的には驚きがある小惑星がよい。どうなることやら、もうすぐ判明する。どう見えてくるのか非常に楽しみ。

いだ:見たときの感動などはあったか

吉川:小惑星がちゃんと写ったのは感動、ほっとした。まだこの見え方なのでそれ以上はなんともいえない。

いだ:若干角張っているかもということしかいえない?

吉川:そのくらいです。写真からそうも見えるというだけ。まだわからない。

久保田:専門家も皆さんと同じような印象を持っている。皆さんもいろいろ想像してみてほしい。完全な球ではなさそうだというのは皆さん思っていることだろう。だんだん詳しい画像が出てくるので皆さんと一緒に楽しみたい。

ライター喜多:アプローチの方法。「リュウグウを真ん中にとらえるように運用」とのことだが8ページの13日の写真でリュウグウが少しずれているのは意図している?

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久保田:残っている誤差によるもので、ずれているとき撮った。頻繁に真ん中に入れようとすると燃料を使う。ずれると距離情報をつかめる。わざとやっているというより誤差のずれを見てよりよい情報を取ろうという作戦でやっている。

喜多:誤差の範囲も含めてコントロールできているという自信のあらわれ?

久保田:そう理解していただければ。

(以上)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(2018/6/7)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、現在小惑星Ryugu(リュウグウ)に向けて順調に航行を続けています。「はやぶさ2」は、6月3日にイオンエンジンの連続運転を終了し、光学航法を用いてリュウグウへ近づいていく段階にはいりました。
今回の説明会では「はやぶさ2」の現在の状況、往路最後の連続運転を終了したイオンエンジンについて説明を行います。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会 | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年6月7日(木)11:00~12:00

登壇者

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(image credit:JAXA

(右から)

中継録画

(00:11くらいから)

配付資料とリンク

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本日の概要

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ミッションの流れ概要

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到着のところに日付が入った。6月27日前後予定。

1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.イオンエンジン運用

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1月にイオンエンジン2台から始めた。太陽から比較的離れているところから運用を始めたため。発電量が少なく3台運転ができない時期だった。

2月20日ごろ、一部3台運転が可能になるまで太陽に近づいた。ただフルパワーではなかった。推力を連続的に可変であることから少しずつ推力を上げていった。使える電力をなるべく使い切った。

最後の3~4週間は3台を10ミリニュートン(mN)という最大推力で運転。30mNに少しだけ足りないのは3台のイオンエンジンが向いている方向(ベクトル)の関係。

「動力航行」はIESを1台以上運転している状態。(←→慣性飛行)

運転時間としてははやぶさ2は6,500時間でリュウグウ到着。はやぶさでは12,000時間だった。

総力積はどのくらいの仕事をしたか。はやぶさ2の総力積ははやぶさの半分(往路分)より大きく、イオンエンジンの推力アップが効いている。

最大推力はほんの一瞬というものではなく1,024秒(約17分間)稼働したもの。

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はやぶさからはやぶさ2でどのくらい運用改善したか。

はやぶさはちょっと問題があったらまず止めた。宇宙のものは基本的に修理できないため慎重に。平均値はこの時間内に計画外停止が起きたということ。

イオンエンジンに特有の放電で計画外停止が起きる。それでもはやぶさ2は4回ですんだ。

運用の効率化。地上から見えてる時間帯だから監視しようというのは人的コストもかかる。はやぶさは毎日7~8時間追跡。1つの地上局から深宇宙探査機はこの時間見える。その間は監視した。はやぶさ2は週1日は可視時間すべて監視したがそのほかは1日4時間程度の「半パス」運用。

気付かないとき止まりっぱなしになる可能性がある。リュウグウ到着直前は1時間の停止を取り戻すために10時間かかったりする。

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スイングバイ後は3つの長い期間に分けて運転した。

3.光学電波複合航法(光学航法)

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今本格的に始まった。探査機から見たリュウグウの方向をもとに接近していく。光学航法だけでなく電波航法も使うため光学電波複合航法。ただ長いので通常は光学航法と。

リュウグウは地上からレーダー観測しておらず軌道の誤差が大きい。

はやぶさではDDORを本格的には使っていなかった。

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↑これは昨日の早朝ONCで撮影。リュウグウはかなり明るい。露光時間が約3分と長いためスミアが出ている。

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露光時間を0.09秒にすると3ピクセル。これが実際の大きさ。形はまだわからない。2,600キロメートルの距離から見てリュウグウの大きさは約0.9キロメートル。従来の予想に近い。

このような撮影を毎日のように続け、はやぶさ2からリュウグウを見て接近している。

4.ミッションスケジュール

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6月14日にも記者説明会。

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5.その他(アウトリーチなど)

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6.今後の予定

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6月27日ごろに記者説明会(相模原キャンパスで)

参考資料

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質疑応答

(32:44くらいから)

日経BPとみおか:西山さんに。イオンエンジン運用の最大推力のところ。スラスターBの最大推力が10mNではなく7.61mNになっている理由は

西山:2014年12月暮れにそれぞれのイオンエンジンの初期動作確認をしたときの数値。同じ条件でチェックしたためこのときはほかのスラスターもこの数値だった。

キセノンの流量を、最大推力を出せるよりさらに多いところから始めると推力が10mN出ていたものがカクッと落ちるところがある(ここにあるのはその数値)。地上試験の結果、長期間運転していなかったイオンエンジンはキセノンを過大な流量、小さい推力から始めると安定することがわかっていたためそういう方法でチェックアウトした。

スラスターBの運転時間は11時間。Bは初期動作チェックのあと運転していない。

ちなみにはやぶさのAは運転時間7時間。これは本当に壊れた。初期動作確認のあとイオン源に不具合が出てこうなった。

機器の接続状態として4台のうち3台に直流電源を接続できる。1つは予備という考え。スラスターと電源はあらゆる組み合わせができるようにしておくと、どこが壊れても生き残ることができるが探査機が重くなる。組み合わせも割り切りをして、電源1~3の3つに。電源1はスラスターAとBを担当でき、電源2はBとC、電源3はCとDを担当。(確率は低いが)電源1が壊れるとスラスターAを運転できなくなる。組み合わせ上、AとDを優先して運転するのがよい(=BとCは電源に冗長性があるため温存したい、AとDは先に壊れてもよいと考える)。そのためスラスター2台運転ではAとDを使う。

3台運転のときどうするか。スラスターAとDに加えてBとCどちらを使うか。(はやぶさ2太陽電池パネルを太陽に向けており)太陽から離れているスラスターCの方が温度が低く、燃費がややよくなる。有利なものを使おうということでCを使った。気まぐれにBを運転することもできるが、はやぶさ2イオンエンジンの実験ミッションではなくリュウグウに到達するのがミッション。そのためBは使わなかった。

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イオンエンジン担当としては4つのエンジンすべての特性を知りたいが、Bを使わざるを得ない状況にならないようにしつつ地球帰還させたい。

共同通信すえ:吉川さんに。リュウグウの姿がわかってくるのはいつごろ?

吉川:来週1週間で10数ピクセルくらいになる。形がわかってくるかも。2週間後には100ピクセルを超えてくるのでかなり形がわかるだろう。

すえ:イオンエンジン運転を前倒しで終了できた理由は

吉川:最後のイオンエンジン運用が順調だった。マージンを使わずにすんだ。

時事通信かんだ:西山さんに。はやぶさのときはイオンエンジンそれぞれにくせがあったようだが今回安定していたことが運用に与えた影響は

西山:運用の改善に役立っている。初号機は1つ1つのスラスターを寸法調整を個別に行っている。寸法形状はばらばら。特性を合わせようとしたが経年での変化のしかたはそれぞれ違った。

はやぶさ2は各イオンエンジンの特性が揃うようにしたいと切望していた。寸法に関しては機械加工の精度の範囲ではまったく同一。どの部品が性能に与える感度が高いのかもわかってきた。初号機に比べるとだいぶ整った特性になっている。安全のための設定のさじ加減で我々の経験値が増えたこともある。はやぶさに比べて安全係数をゆるめにできた。その上で望んでいないタイミングで止まってしまうということは避けられた。

性能を揃えるのは今後とも取り組んでいきたい。

かんだ:性能が揃ったことが効率アップに寄与した?

西山:そうですね。監視の値も各スラスターで共通の数値をあてはめている。

赤旗新聞なかむら:到着予定の誤差はどのくらい縮まった?

吉川:11ページ参照。STTで誤差が半分(100キロ強)に。12ページ。リュウグウを中心に写すつもりで撮影計画を立てたがこのようにずれている。このずれの距離は約70~80キロ。我々が思っているリュウグウと探査機の位置関係の誤差がずれとして出ている。今後これを縮めていく。

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なかむら:LIDARを使えるのはリュウグウまでどのくらい近づいてから?

吉川:LIDARは距離25キロメートルくらいから使える。到着直前までは光学航法。到着時の距離は20キロ。

なかむら:6月3日からの接近誘導では化学エンジンを使う?

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吉川:その通り。

なかむら:これからなにが山場? また抱負を

吉川:精密な誘導が必要。光学航法をいかに正確に行えるかがカギ。またリュウグウに衛星がないかこれから確認していく。広い範囲を撮影してリュウグウのほかに移動天体がないか確認する。たぶんないだろうが心配はしていて、もしあると運用に大きな影響がある。

抱負としては是が非でもリュウグウをちゃんと見たいので全力で取り組む。

ライターあらふね:動力航行の時間がはやぶさより短くなった。推力アップや軌道の違いのほかに要因はあるか

西山:打ち上げロケットの違い(M-VH-IIA)がある。地球離脱時の速度が大きく違う。地球スイングバイまでのイオンエンジン運転が非常に短い。初号機は最初の1年間で5,000時間運転した。イオンエンジン担当としては楽をさせてもらった。

あらふね:運用時間の削減について

西山:安定しているので削減できた。心配ならコストどうこう言わず監視する。大丈夫だと言うことで効率化していった。

あらふね:それはいつごろ決まってきたか

西山:地球スイングバイまででおおむね見極めができてきた。順調に推移した。

あらふね:リュウグウを電波観測しなかった理由は

吉川:レーダー観測はゴールドストーン局から電波を当ててアレシボで受けた。イトカワはやぶさの目標と決まってから地球に接近するタイミングがあった。リュウグウは決まってから地球に接近しなかったためレーダー観測できなかった。

毎日新聞永山:西山さんに。往路完走できたことへの率直な感想。自信はあったか。その理由、勝因は

西山:自信はあった。冷静な気持ちで、当然できるだろうと思っていた。はやぶさの不具合は絶対に直す。時間が限られた中とことんやりつくした。

はやぶさは中和器に不具合が出て壊れたり推力低下があった。中和器の耐久性確保がカギだった。はやぶさ2のミッションではイオンエンジンは1万時間の運転とわかっていたため、打ち上げまで2万時間の耐久テストをと考えてうまくいっていた。耐久テストはいまも続いていて48,000時間まで来ている。実験室でこれだけテストできているものを実戦で1万時間というならもう大丈夫。

宇宙作家クラブ上坂(@):ONC-Tの視野角について。12ページとうしろのページで記載が違う理由は。リモートセンシングの映像を作ったとき6.35度の正方形と聞いた。12ページでは6.3度×6.5度角。どうして?

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吉川:これはどうしてだろう。のちほどお答えします。

産経新聞くさか:予習したい。20キロに到着してからの運用について。どのように化学エンジンを使うのかなど

吉川:次回資料を作ります。簡単にははやぶさ2のWebのトップで見られる。これは画面上方が地球で、リュウグウを固定した座標系。光学航法はリュウグウを背景の星に対して見て近づいていく。そのため微妙にジグザグしつつ近づいていく。適宜確認しながら接近。20キロでスラスターを噴いて相対速度をリュウグウに揃える。すると地上から見たとき視線方向の速度が同じになる。またLIDARで距離も測る。それが到着ということ。

http://www.hayabusa2.jaxa.jp/

くさか:リュウグウがどのような星であるかという暫定の想定を知りたい

吉川:24ページ参照。自転軸の傾きが重要。垂直ではない。自転軸の傾きと接近方向によって見えない範囲がどのくらいになるかが決まる。

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ライター喜多:西山先生に。リュウグウに到着してしまったのでIESチームは仕事がなくなる。滞在期間中の仕事は次のイオンエンジンの研究開発と思うが抱負を

西山:抱負の前にまずはやぶさ2の運用から手を引くということはなく、特に若手はスーパーバイザーとして専門でなくても運用チームに組み込まれている。

そのうえで将来のミッションに向けて発展させていく。はやぶさ2の飛行中から手をこまねいているわけではなく課題に日々取り組んでいる。研究をリュウグウ観測期間中も行い、なるべく早く次のフライト機会を手にしたい。いくつか検討・提案中。はやぶさ2イオンエンジンを改良したり大胆に仕様変更したものなどで宇宙科学のさまざまなミッションに貢献していきたい。

なるべく早く次の飛行機会を得るのが当面の目標。

ニッポン放送はたなか:リュウグウの衛星について。あるとすると衝突や軌道修正の可能性がある? ないとわかるのはいつ?

吉川:衛星があるとはやぶさ2に衝突しないようにしなければならないため運用に影響が出る。はやぶさのときもイトカワの周囲に衛星があるか気にしていて写真を撮って確認した。撮影した範囲ではないだろうとわかるが実際問題絶対にないとは言い切れない。

ナビゲーションのための撮影や探査は行うが危険な天体がないか常に気にしつつ進める。

テレビ朝日さとう:計画全体の中でどういう時期に当たるか

吉川:いよいよミッションの本番にさしかかった。打ち上げから3年半ほど地球スイングバイイオンエンジンなどあったがはやぶさ2の目的はリュウグウの探査。ローバーやランダーを下ろしタッチダウンもする。それがようやく始まる。これからが本番。

さとう:この時期は緊張する時期?

吉川:その通り。ちゃんとたどり着けるかということ、リュウグウがどういうものかまだわかっていない。はっきりした時点で計画を作る。半分ワクワクしつつ半分は緊張している。相手がどういうものかによって対応策を考えなければならない。

(以上)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会

日時

  • 2018年4月19日(木)13時30分~14時30分

登壇者

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(image credit:JAXA

※写真左から杉田氏、佐伯氏、津田氏、吉川氏

中継録画

配付資料とリンク

2018年の小惑星リュウグウ到着にむけて小惑星探査機「はやぶさ2」の近況

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津田:おかげさまではやぶさ2は太陽系を飛行中、2か月半ほどで小惑星に到着する運び。間もなく到着するのでそれに向けた準備ができているご報告と今後のご案内。

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現状、スケジュール、リュウグウ初観測、広報とアウトリーチ活動について

はやぶさ2」概要

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6月21日から7月5日までの間にリュウグウ到着

ミッションの流れ概要

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スイングバイで地球のそばをかすめ飛ばすことで加速、リュウグウに軌道を向けた。うまくいった

プロジェクトの現状と全体スケジュール

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小惑星リュウグウの初観測

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実際に写真を撮って確かにそこにリュウグウがあることを確認

色の情報(スペクトル)を得ることでリュウグウの組成を知る

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動いているのがリュウグウ

「ちゃんと来ているな」という動かぬ証拠

リュウグウの近くに一瞬見える輝点はノイズ。「これはジェットですか」という質問が来た。みなさんよく見ている。

このときの撮像は最長露光(約3分)で、その間に宇宙線が来るためノイズが入る。リュウグウに近づけば露光時間がごく短くなるのでノイズはほとんどなくなるだろう

地上観測からの推測に合致する(調和的な)画像を撮影できている

カラー合成で星の表面温度による色の違いがわかる。少し緑に見えているがもう少し黄土色っぽくなる。変な吸収がなく太陽の光がそのまま反射しているというC型小惑星の特徴に合致する。水や有機物を持っている可能性を支持する結果

イオンエンジン運用

往路におけるイオンエンジン運用のまとめ

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往路におけるイオンエンジン運転のまとめ。黄色いハッチングのところでイオンエンジンを運転している。地球スイングバイの手前でも少し噴かして軌道修正している

イオンエンジン運転で2台に落とすところがあるのは太陽から遠ざかり、発生電力が少なくなるため

第3期イオンエンジン運転の状況

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グラフの平坦なところはイオンエンジンを止めて精密軌道決定している。はやぶさ2がどこを飛んでいるのか精密に測定する。

現在全体の70パーセントの増速量を獲得している

運転終了するとリュウグウまで2,500キロになる予定

軌道計画(今後の予定)

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今の予定ではリュウグウまで2,500キロに来るのは6月5日予定

小惑星の軌道は100キロメートルほど誤差がある。2,500キロから撮影し軌道を得た上で接近する

現在小惑星との距離は26万キロ。実測460キロメートルくらいで接近している(単位が?)

ミッションスケジュール(暫定版)

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アプローチ運用で2,500キロからさらに接近。リュウグウまで20キロに着くのは6月21日~7月5日予定。リュウグウは自転軸すらわかっていないので幅がある(自転周期は7時間とわかっている)

重力計測降下で自由落下させて重力を測る

「スロット」ごとにタッチダウンやローバの投下を行う

クレーターを作る運用は2019年3月~4月。結果がよければタッチダウン運用のスロット3を行う

運用訓練

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着陸点選定訓練(LSS訓練)と実時間統合運用訓練(RIO訓練)

RIO訓練の目的

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降下運用のスキルを上げるのが目的

コンテンジェンシーケース(想定外の状況)

RIO訓練の種類

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TRIO(トゥーリオ):訓練のための準備とRIO訓練(リアルタイム訓練の本番)

仮想の小惑星リュウグウリュウゴイド)

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模擬リュウグウリュウゴイド」を作成。4億ポリゴン程度

はやぶさ2ハードウェアシミュレータの構成図

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CMD遅延とTLM遅延:地球から電波を送ってはやぶさ2に届くまで最大20分かかる。この遅延を出すための装置。遅延なしで訓練するとわりと楽だが遅延が入るととたんに運用が難しくなる

GCP-NAV:画像を用いた地上からのフィードバック制御

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小惑星の画像を地上へ送ってきてそれを地上で見て探査機の位置を推定する

推定の見え方と実際の画像を合わせてずれを見る

右は下りてくるときのパス。緑が予定でそれに合わせて精度よく下りている

小惑星近傍で想定される降下運用

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コンテンジェンシー(不測の事態)を想定

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出題チームが不測の事態を出してくる。その分類の例3つ

RIO訓練の例

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訓練時のカメラ画像の動画

RIO大規模訓練の様子

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広報・アウトリーチの一覧

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小惑星リュウグウ”想像コンテスト

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科学館が主催で想像画を集めてもらう。たくさんの作品が寄せられているようだ

はやぶさ2トークライブ

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今後は「シーズン2」としてミッション報告会を行う検討中

「はや2NOW」

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アメリカのDSNが探査機との通信状況をリアルタイムに提供していて、それに似たものを作った。運用状況がわかるようになっている

打ち上げから到着までの動画

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暫定版。後日公開

今後の予定

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5月にスタートラッカ(STT)による撮像

参考資料

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探査機概要

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小惑星近傍運用検討の体制

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質疑応答

(52:41くらいから)

毎日新聞永山:準備が整ってきたということだが、どのくらいまでできていて残りはなにか

津田:実運用と訓練に分けて申し上げる。実運用は7割方。太陽系を動いている小惑星を追いかけるようにタイミングよく到着しなければならない。イオンエンジンをタイミングよく噴いたり止めたりする必要がある。うまくないと到着が遅れる。近づくほどタイミングが重要。残りの3割が大切。ここを慎重にやっていかなければ。
訓練は47回中43回終了。かなり習熟してきている。出題側もこういうことが起きるだろうと想定。それ以外は想定外となる。リュウグウの形も行ってみなければわからない。探査機の挙動もそれによって変わってくる。これからは想定外も含めて自信をつけたといえるのではないか

永山:5月のSTT撮像でわかることは

津田:科学観測には不向きなカメラ。小惑星の位置を精度よく決める。現在100キロ程度の軌道精度。ナビゲーション技術で精度が上がった。STTでさらに精度を上げる。

永山:自転軸がわかるのは6月以降?

津田:その通り。

時事通信かんだ:訓練の失敗から手順を更新したなど改善点の具体例を知りたい

佐伯:改善リストを作っている。何百個も改善点がある。たとえばリュウグウとの距離を測りながら下りるとき地上が持っているモデルと実際のリュウゴイドの形状(地上チームには非公開)の差で精度が上がらないことがあるとか、ツールの画面が見づらい、グラフのこの線は不要などといった細かいところまでいろいろ。

かんだ:打ち上げから休眠している観測機器の動作確認スケジュールは

佐伯:到着までは着くことに専念。到着後は本番になるのでチェックアウトで機器が正常かチェックする。

津田:ずっと休眠しているわけではなく半年に1回ほど恒星や惑星を見るなどして健全性を確認している。
LIDARは宇宙空間では近くにレーザーを当てる対象がなく確認できないので、センサーやカメラ類で航行中確認できるものは確認しているということ。

NVSさいとう:RIO訓練について。43回のうち大規模訓練9回で何回サンプルを採れたのか

佐伯:大規模訓練ではタッチダウン訓練だけでなくローバーの訓練なども行っている。タッチダウンの訓練は2~3回。サンプルは基本毎回採れているが精度がよかったのは…結果の評価は津田プロマネから。

津田:成功は成功でもスコアが低いこともある。「撃墜」と評価。2回は成功(うち1回は大成功)、1回は撃墜に近い成功(正しく失敗しているかなど)。43回のうち半分くらいは不満足だった。

さいとう:アポロやこうのとりの訓練では最初が易しく、だんだん難しくしていくそうだがはやぶさ2も同様?

佐伯:その通り。TRIOで最初は小惑星に下りられないことがあった。熟練度が上がっていくと難しい訓練ができるようになる

読売新聞たけうち:STTによる撮像について。どのくらいのレベルで見えるのか。7月のONC-Tではどのくらいの姿か。イトカワのような写真はいつごろ撮れるのか

津田:イオンエンジン運転中は小惑星に対する精度が2倍(50キロ程度)になる。小惑星まで20キロになったら2キロ程度の精度に。2,500キロですとONC-Tでは2~3ピクセル。20キロなら30~40ピクセル。日々お見せできるようにしたい。

杉田:イトカワは細長い形状と到着前からわかっていた。リュウグウは球形なので、かなり近づかないと具体的な形状はわからないだろう。明るさに関係なく大きなクレーターがあれば驚きの成分がある。6月以降の30ピクセル以上になってくれば。

ライター××:訓練の1巡目2巡目とは。残り4回の訓練の力点は。遅延について

佐伯:難易度を上げた。1巡目では真ん中にタッチダウン、2巡目は端にタッチダウンなど。1巡目で出てきた改善点を短期間で修正し2巡目へとするなど。
残りの訓練は運用訓練の総仕上げ。
遅延があると地上の対処が間に合わないことがある。探査機が自分で判断できるものが必要と訓練でわかってブラッシュアップされていく。

××:ファーストライト画像で「太陽の光をそのまま反射している」とはリュウグウにあまり色がついていないということか

杉田:その通り。わりと灰色。光の吸収がなく太陽の光がちょっと暗くなるだけでそのまま反射している

××:今後の希望は

津田:イオンエンジン往路の完走。我々がはやぶさ2の最重要技術。ぜひ完走してほしい。小惑星が見えてくるのでその報告をしたい。

(以上)

2018年の小惑星リュウグウ到着に向けて小惑星探査機「はやぶさ2」の近況

日時

  • 2017年12月14日13時30分~14時30分

登壇者

中継録画

(02:04くらいに始まります。下はそこから再生します)

現在の「はやぶさ2」概要

今日から、リュウグウまでの距離をはやぶさ2のページのトップに出すようにしている。

プロジェクトの現状と全体スケジュール

到着は計画通り来年6月~7月。

今日は運用訓練について詳しく。

2017年7月以降の運用

TIリセットは9月5日に実施。帰還までリセットの必要なし。

小惑星到着に備えて

事前情報がイトカワより少ない。今回は自転軸の向きなどがわかっていない

タッチダウンはやぶさでは予定通りにできなかった

前回は「こんなこともあろうかと」があったが今回もいろいろ考えている。

トラブル対処あれこれ。

サクセスクライテリアとの関連。可能であればフルサクセス以上のことをやりたい。

リュウグウが予想と異なる場合の対応案の例。行かないとわからないことがたくさん。

運用シナリオにおける対応。行ってみると予定が変わるかもしれない。

運用シナリオにおける対応の方針(案)。リュウグウに衛星があった場合、着陸機を分離できなかった場合など。1回目のタッチダウンができなかった場合原因を調べて再度試みる。

LSS訓練

LSSは着陸点選定(Landing Site Selection)。1か月程度で行う。短期間で的確なLSSができるよう訓練を実施。

出題側と回答側に分かれて訓練。出題側は正解のデータを作りその観測結果を回答側に渡す。

リュウグウは地球に衝突する可能性がゼロではない。直径800メートル台でイトカワの長径の1.6倍くらい。重力も大きいだろう。

メインベルトから外れてきたものと予想。そういう小惑星は1,000万年ほどで他天体に衝突したり太陽系外へ出て行ったりする。

リュウゴイドについて。訓練用の形状モデル。3億ポリゴン。

ONC画像からLSSを行う。

地形の命名ルールはなんでしょう。スノーホワイト(白雪姫)から。

自転周期を知る。LSSまでには確実に。

安全スコアの表面分布。タッチダウン時に地球が真上にあるかどうかなど。青いところが比較的安全、赤いところが危険、灰色は着陸できない。

ボルダーサイズ頻度分布。なるべく岩がごつごつしていないところを探す。

MASCOTはターゲットマーカーと間違える可能性を避けるため、タッチダウン点とは別のところに落とす。

サイエンス

科学目標。理学目標と工学目標。

リモートセンシング。層状含水ケイ酸塩。抜けきらなかった水分が岩石の中に取り残される。詳しくはサンプルリターンまで待たないといけない。

リュウグウ形成衝突。リュウグウ微惑星の衝突破壊で生成された破片天体。

まとめ:地球初期進化への知見を得られる。

国際協力。OSIRIS-RExは来年8月(中旬から下旬)にベヌーに到着予定(はやぶさ2と同時期)。相乗効果を期待。

広報・アウトリーチ

自転パラメータを発表。当選者はWebで。

リュウグウ想像コンテストは今日発表。http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20171214/

新しいトップページ。http://www.hayabusa2.jaxa.jp/ リュウグウまでの距離が出るようになった。

今後の予定

第3期イオンエンジン運転。ここでうまく運転できないと最悪到着できない。開始が1月8日の週くらい、終了が6月4日の週くらい。

6月21日~7月5日ごろホームポジションに到着予定。

来年の春のイオンエンジン運転中に記者説明会を予定。

5月以降は状況に応じて随時報告。

質疑応答

日刊工業新聞:41ページの今後の予定。今までの計画と時期がかわったことはあるか。

吉川:大きく変わったものはない。予定通り。

産経新聞くさか:LSS訓練について。初代はやぶさとの違いは。

渡邊:サイエンスのグループとエンジニアリングのグループが連携していること。100人近い人数で行っている。

くさか:訓練項目が変わったというより体制が強化された?

渡邊:はい。前回はS型、今回はC型という違いもあって異なる訓練になった

くさか:レーダー観測について。

吉川:リュウグウが事前に地球に十分近づかなかったためレーダー観測できなかった。

くさか:里芋型と以前は形容していたが。

吉川:とう表現しても構わないが51ページの図とは微妙に異なる。形状を随時アップデートしているがおおまかには変わらない。

くさか:32ページの図が配布資料とここで投影されているものと異なる。

渡邊:投影しているものが正しい。提供します。

NVSさいとう:LSS訓練について。タッチダウン運用の訓練は?

渡邊:LSS訓練はタッチダウン場所の決定訓練。タッチダウン運用の訓練はRIO訓練といって今やっています。(資料8ページ)

さいとう:LSSとミネルヴァなどの落下点選定について。26ページの図より広くなるのか。

渡邊:ターゲットマーカーと誤認しない場所に下ろす。なるべくリュウグウに近づいて投下したいので地球が上に見えるところでないといけない。

-(聞き逃し):LSS訓練でわかったことは。

渡邊:1か月という短い期間でデータを地球に下ろして解析を終えなければならない。間に合うのか、正しく選定できるのか。形状復元は訓練でうまくいかなかったので修正を考えている。探査機の位置の逆推定も誤差が大きかった。海外とも議論しながら本番ではスムーズにいくように準備している。

-:自転軸や形状が大幅に違ったときシビアになるのか。

渡邊:地上観測からの推定値はできているがそれで運用計画を立てているわけではない。幅を持たせている。自転軸に関してはわかったときに戦略を立てられるようになっている。イトカワはラッキーなことに自転軸が傾いていなかった。本当の姿がわかったとき残念だと思うことがないよう準備していく。

-:イオンエンジンの長期運転について。最後のところで少しのトラブルが命取りになるのかなど。

吉川:イオンエンジンは6月まで400m/sの加速。この時期は探査機と太陽の距離が近づく。速度が上がる。リュウグウとランデブーしなければならない。リュウグウとの速度差が小さくなっていく。ずれてしまうと軌道制御量が大きくなりリカバリーが大変になる。イオンエンジンは推力が小さいためより大変。

-:リュウグウに近づくことで制御が大変になる?

吉川:軌道制御そのものはイオンエンジンでランデブーできる。うまく噴射できなかったときにリュウグウがより離れてしまい回復が難しくなる。

渡邊:リュウグウにランデブーして速度や向きを合わせなければならない。ギリギリの時期に正確に運転できることが到着のカギになる。

時事通信:おおむね球形だがイトカワのようにゆるくダマになってたりするとか、インパクタで分解したりするようなことは考えられるか。

渡邊:いまわかっている形状をどのくらい信頼するかはそのデータの取得経緯で決まる。光の変化(ライトカーブ)などから推定。想像はふくらむがとても長い形状だったりすることはないだろう。比較的球形に近いのはおおむね正しいだろう。インパクタは小惑星を壊せるほどの力はない。とはいえなるべく大きなクレーターを作りたい。

時事通信:5月から観測とのことだがその時点ではどんな映像か。

渡邊:まだ点でしょう。6月に到着しないと形状がわかるほどにはならないだろう。科学観測と運用を並行して行う難しさがある。

吉川:イトカワは到着の1週間前にようやく点でなくなった。今回もおおむね到着1週間前くらいにならないと形状がわかるようにはならないだろう。

NHK水野:なにをもって「到着」とするのか。

吉川:特に決まりはない。前回は20キロのゲートポジション到着時に宣言した。今回もおおむねそのように。どこがいいのかは難しい。基準がないので。

渡邊:今回はホームポジションを20キロに設定している。6月頭にイオンエンジンを停止したあとはほかの方法で少しずつ近づく。そこに来れば到着、LSSに入る。

水野:イオンエンジンが不調だったときに到着や帰還できなくなるデッドラインはあるのか。

渡邊:ただ帰ってくれば成功というわけではない。現在でも日程はかなりタイト。到着の遅れは避けたい。もしそうなってもリカバーできるようにはしたい。

吉川:地球帰還は2020年末の予定。出発は2019年と決まっている。到着が遅れると地球帰還に間に合わせるため観測期間が短くなる可能性も。

(以上)