小惑星探査機「はやぶさ2」のMINERVA-II1分離運用について②(14時~)

日時

  • 2018年9月21日(金)14:00~15:00

登壇者

中継録画

NVS

※約6時間の動画になっていて、12時から、14時から、16時半からの説明をまとめて視聴可能。(放送前にタイムシフト登録せず視聴できるのはプレミアム会員のみ)

関連

久保田スポークスパーソンから

久保田:はやぶさ2は現在正常、ジェットを噴いた関係で現在ローゲインアンテナ(LGA、通信速度が低いアンテナ)での通信になっており、データのダウンロードに時間がかかっている。
はやぶさ2は高度50~60メートルでMINERVA-II1を分離した。LIDARのモードが近距離モードに切り替わったのは高度約300メートル。詳細は16時半から。

分離コマンド13時6分、13時25分に約18分遅れで信号がこちらに届いた。MINERVA-IIとの通信は正常、自律モードに切り替わった。フォトダイオードやジャイロのデータからMINERVA-IIは現在降下中の模様。13時35分にプロマネより分離成功の宣言がなされた。

これは落下実験で使った実験装置。OME-B(Bはベース)。

f:id:Imamura:20180922153802j:plain
(image credit:NVS

探査機の底面にこの向きでついている。下方向に5度くらい傾いている。MINERVA-IIを支えていたカバーが外れると、ばねで押し出されるように飛び出すしくみ。飛び出す速度は秒速20センチくらい。射出速度はもう少し小さくしたかったが打ち上げの衝撃に耐えるようにしっかりさせた。軽く作るとたわんで、ばね的に作用する。(今村註:「試験では」と思われる)40~50センチという予想になったのでその半分以下で分離した。
探査機が横方向に移動して速度をキャンセルさせながら分離するのでゆっくり下りていった。

1つのコマンドでカバーを外してMINERVAを分離するようになっている。初号機と同様。ノウハウがあり特許になっている。誰が使うかわかりませんが。

朝日新聞こみやま:分離は13時6分?

久保田:正確な時刻は16時半の会見でお知らせする。探査機上の時計で13時6~7分に分離信号が出て、その情報が13時25分ごろ地球に届いた。

こみやま:さらにそのあともろもろのデータを総合して分離を宣言した?

久保田:分離コマンドが出ただけでは実際に分離したかわからないので、分離コマンドとともにさまざまなデータを見る。はやぶさ2が健全か、MINERVAと通信できているか、MINERVA-IIの状態などを見て13時35分に分離をアナウンスした。

こみやま:MINERVA-IIはAとBの2台でひとつ?

久保田:初号機のときは1台だったのでワンチャンスだった。2台にすることで成功確率を上げようとした。ミネルヴァは火星の女神なので姉妹。
MINERVA-IIは内部の温度が上がってくると機器を守るためスリープする。リュウグウの自転軸がもし大きく傾いていたらMINERVA-IIにずっと太陽の光が当たることになるかもしれない。Bのほうは熱を積極的に逃がすため、太陽電池を一部外して放熱板をつけている。
2台は独立していて、それぞれを合わせてMINERVA-II1。
MASCOTやMINERVA-II2(こちらは1台)とあわせて4台と表現してよい。

こみやま:率直な感想を

久保田:分離は成功したが着地はしていない。まず第一歩だがまだこれから。初代は分離まではしたが小惑星の表面に下りなかった。
分離したこと、探査機とMINERVAが正常であることを確認した段階。管制室では拍手が出たがまだ喜ぶときではない。

読売新聞とみやま:分離時の高度は?

久保田:50~60メートルだがLIDARだと地形の影響がある。これから下りてくるデータを見て16時半に詳しく。

とみやま:久保田さんは初代のときはなにを担当していた?

久保田:初号機では航法誘導とMINERVAの開発を担当した。MINERVA-IIも少し関わっているが基本的には若い人にまかせている。

とみやま:前回に対してどういう工夫をしたかおさらいしたい

久保田:基本的な設計方針は変わっていない。地上からの望遠鏡観測でわかるリュウグウの大きさなどから設計をやり直している。一番大きいのは2台で行くということ。2台の同時分離をどうするか頭を使った。
通信機器も工夫し、前回10kbpsだった通信速度は32kbpsに。

とみやま:前回は上昇中の分離だったが

久保田:分離の方法は今回大きく変わった。はやぶさのときも自律で分離することを考えていたが、探査機のリアクションホイールの故障があったし、小惑星にいられる期間が3か月しかなかった。緊迫した状況で降下リハーサルの時に放出せざるを得なかった。今回はミッション期間が1年半くらいある。その間に十分なリハーサルができている。
地球からのコマンドによる分離が失敗の原因だったので、今回は自律で分離するよう切り替えたのが大きなテーマ。

とみやま:前回より高い位置で分離?

久保田:初代は高度約30メートルで分離する予定だった。それよりは高い。リュウグウイトカワよりサイズが大きいので小惑星の重力が強く、もう少し高くから分離しても大丈夫。
初号機は上昇中の分離がよくなかったわけではなく、分離したときのMINERVAの速度が大きすぎた。(今村註:上昇中の分離でも速度が小さければ、いずれイトカワの重力に引っぱられて小惑星に向かって落ちていく)
低いところで分離すると下ろす位置の精度が上がる。ただあまり低いところで分離するのも探査機にとってリスクがある。いろいろ検討してこの高度になった。
小惑星の表面でなにかをするとなると遠隔のコマンドでは難しい。一方自律だと、こちらがプログラムした範囲のことしかできない。そこは腕の見せどころ。
初代も自律がよいとわかってはいたがトラブルもあり、限られた期間の中で分離するために地上からのコマンドで分離することになった。

フリーランス秋山:MINERVA-II1Aと1Bのカメラの違いについて。1Bの3つのカメラとは

久保田:前の2台はステレオカメラ、後方にある1台は広角カメラ。カメラは2つのローバーで同じにしたかったが重量の制限でこうなった。

秋山:太陽電池を外したところにはなにを貼っているか

久保田:よく使われる熱放射板。太陽に向いていると熱くなるが、それ以外では熱を逃がす。MINERVA-IIは80度以上になると機器をオフにしてスリープモードに入る。窓があるとそこから熱が逃げていく。

ライターあらふね:MINERVA-IIの着地確認は早くても明日?

久保田:画像をダウンロードできればいいのだが今日中はたぶん無理。フォトダイオードのデータでどれだけ言えるかわからないが、16時半にご報告したい。
写真を撮れたかの確認も時間がかる。高度20キロからのデータをまず下ろさないと。

NVS齋藤:はやぶさ2の受信機は今後MINERVA-IIからのデータを受信し続けるのか

久保田:まずは安全なホームポジションへ行くのが第一。その間もMINERVA-IIと通信し続けている。MINERVAが小惑星に着地するとリュウグウは自転するのでそのうちはやぶさから見えなくなる(今村註:はやぶさは基本的に地球とリュウグウを結ぶ線上で活動)。そろそろ夕方になるので通信はいったん途切れる。MINERVA-IIにはゆっくり休んでもらって、3~4時間後にリュウグウが朝になったら活動再開。

(以上)

小惑星探査機「はやぶさ2」のMINERVA-II1分離運用について①(正午~)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、引き続き小惑星Ryugu(リュウグウ)の観測活動を実施しています。

今回は、「はやぶさ2」に搭載している、小型探査ローバMINERVA-II1の分離に関する運用状況説明を行います。

小惑星探査機「はやぶさ2」のMINERVA-II1分離運用について | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年9月21日(金)12:00~13:00

登壇者

f:id:Imamura:20180922153800j:plain
(image credit:JAXA

※左から吉川氏、久保田氏

中継録画

JAXA公式

※中継時の問題で、音声の大部分が聞こえないか同時通訳(英語)になっている

NVS

※約6時間の動画になっていて、12時から、14時から、16時半からの説明をまとめて視聴可能。(放送前にタイムシフト登録せず視聴できるのはプレミアム会員のみ)

配付資料

f:id:Imamura:20180921145451p:plain

関連

  • 小惑星探査機「はやぶさ2」のMINERVA-II1分離運用について②(14時~) - ただいま村(http://ima.hatenablog.jp/entry/2018/09/21/140000
  • 小惑星探査機「はやぶさ2」のMINERVA-II1分離運用について③(16時半~) - ただいま村(http://ima.hatenablog.jp/entry/2018/09/21/163000

久保田スポークスパーソンから

今日はMINERVA-II分離運用を進めている。状況と今後を説明する。

現在はやぶさ2は順調に降下中。探査機は健全。ローバも先ほど電源を入れて健全であることを確認。予定通り降下を行っている。

資料は9月9日と多くが重複しているが新情報もある。

目次

f:id:Imamura:20180921145452p:plain

はやぶさ2」概要

f:id:Imamura:20180921145453p:plain

ミッションの流れ概要

f:id:Imamura:20180921145454p:plain

1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

f:id:Imamura:20180921145455p:plain

9月10日に始まった1回目のリハーサルは、LIDARが近距離モードに切り替わらなかったため高度600メートルで中断した。
原因はリュウグウが想定していたよりも暗く、LIDARのレーザーが戻ってこず近距離モードに切り替わらなかったため。LIDARは20キロから数百メートルまで計測する。広いレンジを計測するのは1つのセンサーでは難しく近距離モードを持っている。高度600メートルくらいまでは遠距離モード、それよりも近くでは近距離モードと設定していたが切り替わらなかった。
今回はパラメータを変えて150メートルくらいまで計測するようにした。その途中で近距離モードに切り替わるように。
それ以外に問題はないことを確認したため昨日から降下を始めている。

運用概要

f:id:Imamura:20180921145456p:plain

(「併せて、以下を行う予定」の「小惑星表面の観測」について)…タッチダウン付近の写真を撮影する。小惑星表面の状態の確認と観測も行う。

2.MINERVA-II1分離運用について

f:id:Imamura:20180921145457p:plain

小惑星探査ロボット「MINERVA-II1」

f:id:Imamura:20180921145458p:plain

MINERVA-II1 Roverの仕様

f:id:Imamura:20180921145459p:plain

ここの「直径180ミリ」は前回から訂正した数値。

MINERVA-II1分離の主要なスケジュール

f:id:Imamura:20180921145500p:plain

これは新しいページ。本日のスケジュール。ONC-Wで撮影した写真は随時公開している。(下記)

分離運用シーケンス

f:id:Imamura:20180921145501p:plain

高度60メートルで水平移動させるのは分離速度をキャンセルするため。横移動の速度をなるべく小さくする。リュウグウから見てMINERVAがまっすぐ下りてくるようにする。

MINERVA-IIは分離後約15分で小惑星表面に到達。そこでおそらくバウンドする。整定し着地するまで少し時間がかかる。

探査機は分離後すぐにはジェットを噴かない。MINERVAが近くにいるので吹き飛ばしてしまわないように。はやぶさ2の上昇は50センチ/秒くらい。

分離後や上昇する間、MINERVAの写真を撮れればと思っている。広角カメラ(ONC-W)のほか望遠カメラ(ONC-T)でも撮影するが望遠カメラは視野が狭いので、MINERVAが写るかは撮ってみないとわからない。

はやぶさ2ホームポジションに戻るのは明日になる。

参考資料

f:id:Imamura:20180921145502p:plain

参考:資料P10図の用語解説

f:id:Imamura:20180921145503p:plain

これは今回追加。

MINERVA-IIの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180921145505p:plain

MINERVA-IIの着地候補地点選定(MINERVA-IIの着地点候補:北半球で検討)

f:id:Imamura:20180921145506p:plain

着陸実現に向けた戦略

f:id:Imamura:20180921145507p:plain

レーザ高度計(LIDAR)

f:id:Imamura:20180921145508p:plain

動画

MINERVA-IIがどのように分離するかのCG。MASCOTも出てくる。

MINERVA-IIはワイヤーを切ってばねで出てくる。写真を撮ったり温度を計測したりしてジャンプする。

小惑星時刻でいうと昼間に分離するがリュウグウの一日は7.6時間。分離後着地して1時間くらいで夜を迎える。その間はお休みする。3.8時間後に朝が来るとまた活動する。今日の活動時間は短いと推測。
写真はいったんはやぶさ2のデータレコーダーに記録されるため、すぐには地球に下ろすことができない。安定な場所に来たところで転送するので今日の提供は難しいと思う。ご了承ください。

質疑応答

読売新聞とみやま:撮影された画像は22日未明に出てくる?

久保田:降下中のデータがはやぶさ2のデータレコーダーにたまっていて、順番に下ろしてくることになる。いつになるのか、ちょっと時間が読めない。MINERVA-IIからの写真を取得できたらなるべく早く公開したい。
地球へ送信する順序としては降下中の画像(特に着陸候補地点の写真)、分離してからはやぶさ2が撮影した写真、分離後のMINERVA-IIが電力がある限り撮影した写真となる。

とみやま:MINERVA-IIは着地してから写真を撮り始めるのか

久保田:電力があれば分離直後にも写真を撮る。宇宙空間を撮るかもしれないし、相棒のローバーを撮るかもしれない。着地寸前の写真を撮る可能性もあるが分離時に回転するものと思われるためうまく撮れるかは運まかせ。
着陸前に撮る写真、着陸後に撮る写真がともにある。

とみやま:MINERVA-IIで取得できたデータは、はやぶさ2タッチダウンするときの役に立ったりするのか

久保田:MINERVA-IIが撮る画像は表面においての画像なので景色が全然違うだろう。降下中にどのくらいの精度でタッチダウンできるかのシーケンスシナリオを向上できる。
MINERVA-IIは高さ7センチしかない。我々が実際に小惑星に立っている状態での景色を撮影できる。科学的に興味深いものを得られればと思っている。

NHKすずき:着地したかどうかの確認はどうやっていつごろまでに?

久保田:確認はなかなか難しいところがある。百聞は一見にしかずで、小惑星表面の写真を撮れれば完全。ただ今日は難しいかも。状況証拠ではあるが、MINERVA-IIにはフォトダイオードという光を検出するセンサーがある。これが一定の値になったら静止した状態といえる。ただ小惑星表面で停止したらすぐホップする。いろいろな情報をもとに「整地している」と言えれば。
写真が撮れれば一番。

すずき:今日のところは「分離は成功した」と記事に書ける?

久保田:はやぶさ2が地表から50~60メートルに近づいてMINERVAを分離した。分離はさまざまなデータを見て判断。
はやぶさ2と通信できているとき、MINERVAははやぶさ2からのコマンドを受けて動く「遠隔モード」で、分離と同時に「自律モード」になる。自律モードではMINERVAが自分で判断して動く。モードが切り替わったという信号を受け取れば分離ができたと考える。探査機とMINERVAからの信号の両面から分離を確認する。

すずき:LRF(レーザーレンジファインダー)の確認はするのか

久保田:できるならしたいが、高度50~60メートル――スラスタを噴かずに自由落下する時間があるのでもう少し下がるが――LRFは下ではなく横を向いて地形の傾きを見るもの。なのでその高度だとなかなか難しい。反射率が高いところに当たればデータを取れるかもしれないが。今回はLRFの試験ではなく50~60メートルの高度まで誘導できることの確認。
LRFのデータを取れればラッキー。

産経新聞くさか:MINERVA-IIがホップして移動するところをおさらいしたい。整定したらすぐジャンプする感じなのか

久保田:条件としては、電力があると写真を撮るのを一生懸命やる。小惑星接触するので太陽電池に傷がつく可能性もあり寿命はわからない。整地したら電力がある限り写真を撮って移動する。

くさか:小惑星の表面に届く前に充電している?

久保田:分離前にフル充電しておきます。

くさか:充電を待たないとホップできないというわけではない?

久保田:充電池からの電力で1~2回ジャンプできる。たまたま下りたところが真っ暗だとフォトダイオードに光が当たらず、これは危ないと判断してすぐジャンプする。それが1~2回できる。

くさか:ジャンプしたらバウンドしつつ何回か移動するというイメージ?

久保田:小惑星の表面に整地したら写真を撮ってジャンプ。跳んだときも写真を撮る。重力が小さいのでジャンプした後もピタッとは止まらず転がる。しばらくして整地し止まったら写真を撮ってジャンプ。それをくり返す。

くさか:中のモーターを使うのは最初のジャンプのときだけで、バウンドするときは自分ではなにもしない?

久保田:はい。ジャンプするときモーターを回す。ジャンプ中はモーターを回しても姿勢が変わるだけなのでモーターを止める。着地したときもモーターは回さず自然に転がるにまかせる。

くさか:1回のジャンプで15メートルという話があったが、この15メートルはバウンドも含む?

久保田:ジャンプで最初のタッチまでの距離を15メートルとみている。そこからバウンドして戻ることも考えられる。最初のコンタクトまでの距離を15メートルと見ているということ。角度などにもよるが、地表の重力などから15メートルを推定。最終的な移動距離はさまざまになるだろう。

ドキュメンタリージャパンやまもと:初号機のMINERVAを担当した立場の久保田さんから率直なコメントを

久保田:初代はやぶさではいろいろ不具合があり、リハーサル中にMINERVAを分離せざるを得なかった。地球からの信号で分離したが、信号の往復に30分以上かかる遠隔操作の難しさを実感した。
2回目のチャンスがあるのは工学研究者としては嬉しいし恵まれている。惑星探査はいろいろなことが起きるので2台持っていって可能性を高める。時間はかかったが再チャレンジはうれしい。今までの経験から工夫を盛り込んでいる。成功してほしい。小惑星の写真を1枚でも撮れれば大喜びかなと思っている。

フリーランス大塚:タッチダウンリハーサルでの、LIDARの長距離モードと近距離モードの切り替えについて。反射光の強さがレンジを超えるとモードを切り替えるようになっていた?

久保田:光のセンサーは精度よく計測するためにある程度の光量が必要。光の強度が十分あったとき自動的に近距離モードに切り替えるようにしていた。近距離に替えるとき思ったより暗かったので切り替わらなかった。

大塚:高度で決めたわけではない?

久保田:高度ではなく光の量。
LIDARは20キロメートルからずっと計測している。600メートルくらいまでは精度よく行き、それ以降は精度が落ちるよう設定していた(遠距離モードで)。近距離モードに切り替わらなかったので戻ってきた。
今度はもう少し近くまで計測できるように設定。
LIDAR自身は20キロメートルから数十メートルまで計測できる。遠距離モードでも150メートルくらいまでいけるのではないかと思っていたがリハーサル時は安全を見て600メートルまで遠距離モード、その途中に近距離モードに変わると想定していた。
これは小惑星に到着して計測した値や、重力計測降下運用で850メートルまで下りたときのデータからマージンを持って決めた。リハーサルではレーザーが当たった場所が暗かったか、傾いていて光があまり返ってこなかったものと推定。
150メートルまで下りたとき近距離モードに切り替わるかはやってみないとわからないところがある。今回もたまたま暗いところにレーザーが当たると近距離モードに切り替わらないかも。また逆に明るいところだともっと高い高度で切り替わるかも。実際に近づいてみないとわからない。

大塚:近距離モードに切り替わらなかったら今回も分離せずアボート?

久保田:その通り。近距離モードに切り替わらなかったらシーケンスを止めてアボートする。

大塚:ONC-W(広角カメラ)なら写りやすい?

久保田:初号機でも、分離後に何枚か撮ったら広角カメラに写っていたということがあった。今回も写っている可能性は高い。

フリーランス秋山:降下中のはやぶさ2本体が撮った写真は臼田でおろせるのか

久保田:現在臼田から運用中。時間的には海外局に切り替わる可能性も。

秋山:下ろすことは可能だけれど臼田から下ろすかどうかはわからない?

久保田:シーケンスはタイムラインといいまして、時刻で管理しているわけではない。ある段階で小惑星表面との距離をはやぶさ2自身が測定するようになる。分離時刻は予想はしているが高度による。そして場所によって小惑星の重力が異なるため所定の高度にいつ来るかはその時次第ではやぶさ2自身が判断。分離が遅くなるとデータのダウンロードが遅くなり海外局からになるかも。

秋山:ホップ成功の確認方法は写真以外にあるのか?

久保田:MINERVA-IIの目的は移動メカニズム。初号機ではデータをおろすことができなかった。今回は小惑星の表面に下ろすことが第一目的。MINERVA-II1/2、またMASCOTでも下ろすことができれば、はやぶさ2としては分離技術を確立できたということになる。
下りて撮った写真としばらくあとに撮った写真が違うものならホップがうまくいったと判断できる。ホップ中の写真も複数枚あれば距離を予測できる。画像1枚では難しい。異なるアングルの写真が少なくとも2枚撮れれば間違いなくホップできたという証拠になると考えている。

秋山:基本的には写真?

久保田:はい。あとはモーターを動かしたというステータスも取れる。また時間帯にもよるがフォトダイオードで太陽の方向がわかる。フォトダイオードのデータが変わればMINERVA-IIが動いたという証拠になる。写真が一番だが、モータが動いた後のフォトダイオードの値、またジャイロも搭載している。ジャイロのデータからも移動の証拠になるだろう。

ライターあらふね:60メートルまで近づいてからの行動を再確認したい。北側へ移動して自由落下なのか、それとも自由落下しながら北側へ?

久保田:資料16ページのN6は赤道よりも少し北側。降下は赤道へ向かって。その後N6がある北側へジェットを噴いて移動する。北へ移動しながらMINERVA-IIを下ろす。N6にもし人がいたら、MINERVA-IIがまっすぐ落ちてくるのが見えるだろう。

f:id:Imamura:20180921145506p:plain

あらふね:北側へ移動しつつ自由落下なのか?

久保田:太陽を背にして高度60メートルまで下りて来たらジェットを噴いて北側へ。N6へ到達したと判断したら(MINERVA-IIを分離して?)自由落下。スラスターのプルームがMINERVAに影響しないところまで自由落下したら上昇。

あらふね:どこまでがはやぶさ2の自律か

久保田:高度500メートル以下は地上からの遠隔では運転できない。はやぶさ2が自力で近づき、N6へ移動、MINERVA-IIを分離して上昇する。データとしては17~18分遅れで届く。届いたデータを見てこちらからコマンドを送っても、はやぶさ2に届くにはまた17~18分かかる。小惑星近傍の運用はすべてはやぶさ2が自分で行う。

あらふね:MINERVA-IIからはやぶさ2を経由して送られてくるデータは写真以外にはなにがあるのか

久保田:フォトダイオードという光を検出するセンサのデータやジャイロのデータ(加速度データ)。加速度データを取れれば着地の時刻がわかるだろう。また温度センサは外側と内部の両方ある。内部はMINERVA-IIの体温。画像の取得は一番時間がかかるだろう。ステータスデータと一緒に画像データを探査機経由で取得。

ライター林:MINERVA-IIは15メートルくらいジャンプするとのことだが、どのくらいの高さまで上がったかはどうやってわかる?

久保田:ジャンプ中に写真を撮る。特徴点があれば自分の位置はだいたいわかる。何枚か撮影できれば。距離情報は同じ場所を異なるところから撮れればわかる。自分自身の影を撮影できればその面積からも高度を推定できる。数枚あればある程度の予測はできる。
写真が大事。あとは光の強度、ジャイロなどから。ジャンプした時刻と着地した時刻は加速度計のデータから。

林:写真をどのタイミングで撮るのか

久保田:MINERVA-IIが自分で判断。電力や温度環境などから。ジャンプするときの電力と温度状況から何枚撮るかを決定。モーターの回転速度も枚数の決定に使う。遠くへ行くときはたくさん撮る。
写真を格納するメモリに制限があるのでそこも勘案する。

林:MINERVA-IIがリュウグウの上でどういう経路で移動したかはわかるか

久保田:できればそうしたいが、重なっていないといけない(今村註:なにが重なっていなければいけないかはわからず)。MINERVA-IIがどこに着地してどう動いたかがわかればいいのだが難しい。限られたデータからどこまでできるかはなんともいえない。

林:小天体上を移動するロボットはMINERVA-IIが世界初?

久保田:はい。以前ロシアが火星の衛星フォボス上にホッピング型ロボットを分離したが、分離後に通信途絶した。最近ではロゼッタのミッションでチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着地したフィラエがある。しかしフィラエには移動メカニズムがないので、ローバーというよりランダー。
移動するメカニズムはいろいろあるが、MINERVA-IIが小天体でホッピングして移動したとなれば世界初。

林:一般向けにどこを注目してほしい?

久保田:重さ1キロしかないが太陽電池で動き、モーターもあってコンピュータを搭載、カメラも3台や4台ある。日本の技術が織り込まれた一品もの。3億キロメートル離れたところで人工知能を持ったものが活躍できたとすれば、日本の力はすごいと特に若い人に見てほしい。

時事通信かんだ:着地してから日暮れまで1時間半くらいとのことだが、うまく進行すれば夜までに最初のホッピングはしそう? 夜までに写真を送ってくる?

久保田:下りる地点の重力にもよるが15分くらいで最初の着地がある。そのあと整定するまでの時間は…すぐに止まるとは考えておらず長いと数十分くらいか。残り時間で写真を撮って送ってきてくれれば。
夜を迎えてゆっくり休んでもらい、翌朝また活動できれば。リュウグウは7.6時間で一周する。約4時間ずつ昼と夜が来る

かんだ:分離確認について。自律モードへの切り替えタイミングは

久保田:いまMINERVA-IIは暗い箱の中にいる。分離信号が来たら太陽電池モードになり自律モードに自動で切り替わる。我々はMINERVA-IIから「自律モードになりました」という信号を待つだけ。それはテレメトリで確認できる。これはデータレコーダーというよりステータスなので、分離したという情報は比較的早くわかるだろう。

かんだ:分離確認の情報ははやぶさ2から17分後に届くと思う。離れた瞬間に自律モードに切り替わる?

久保田:その通り。

かんだ:MINERVA-IIが分離したという信号を出すタイミングと、はやぶさ2がMINERVA-IIを分離したという信号を出すタイミングは同時?

久保田:少しタイムラグはあるかもしれないがほぼ同時。

かんだ:2つの信号が揃えば分離と判断?

久保田:はい。

毎日新聞永山:初代MINERVAは分離時の速度が小惑星からの脱出速度を上回ってしまった。今回は分離時の速度が脱出速度以下であるというのはどうやって知るのか

久保田:分離速度がどのくらいだったかを知るのは難しい。ドイツの落下塔を使った地上試験で推測はできている。はやぶさ2自身の速度からも。MINERVA-IIの移動速度の推定は誤差があるがちゃんと着地できるようにはやぶさ2が支援する。
初代は上昇中に分離信号が来て分離してしまった。今回は自分の状態を知ってから分離する。最初の着地点の推定なども難しい。脱出速度を超えないよう分離することに集中したい。

永山:脱出速度以下で分離したと確認する方法は

久保田:MINERVA-IIをどのくらいの速度で分離したかは通信しながら見ていくしかない。すぐにはわからない。着地すればフォトダイオードの値から小惑星上にいると判断できる。また写真が届けば絶対的な証拠になる。
分離したことはすぐにわかっても、いい分離だったかはすぐにはわからないだろう。

林:写真の送信について。写真はすぐに送るのか、ためてから送るのか

久保田:撮影してもなにも写っていなかったらメモリにも入れない。いったんメモリに入れてから電力を見つつ送信。1枚だけ送るケース、数枚まとめて送るケースどちらもある。あとになるほど電力が厳しくなるのでなるべく早く送るようプログラムしている。

林:1枚の送信にどのくらい時間がかかるか

久保田:写真の内容でデータの容量は変わり送信時間も変わる。通信速度は最大32kbps、1秒間に4KB。2台のMINERVA-IIで通信回線をシェアするので通信速度は10kbpsくらい。4KBの画像なら1秒、もっと大きければもっと時間がかかる。

ニッポン放送はたなか:着地の衝撃はどのくらいか

久保田:聞かれると思って考えてきました。分離速度は秒速20センチくらいと推定。ただし横方向の移動成分ははやぶさ2の動きでキャンセルするので、リュウグウへ下りていく速度は毎秒数センチだろう。その衝撃は地球の重力でいうと1センチくらいの高さから落とした程度。まず壊れない。着地時にMINERVA-IIと小惑星の間に放電が起きて壊れないかは心配だが、着地そのものの衝撃では壊れない。

はたなか:どのくらいの衝撃に耐えられるのか

久保田:振動環境が一番厳しいのはロケットの打ち上げ時。何百Gにもなる。そこを耐えた。
着地時にとがった岩に当たって太陽電池が破損し、得られる電力が下がる可能性もある。それがくり返されたり、帯電してちりがついても作れる電力が下がっていく。
多少の傷では動作するよう作ってある。

NVS齋藤:リュウグウの地表面での脱出速度は

久保田:場所にもよるが35センチ~40センチ/秒。倍くらいのマージンは取ってある(=MINERVA-IIはその半分の速度も出ないようにしてある)。

NVS齋藤:MINERVA-IIがフルでホッピングしたときそれを超えない?

久保田:それはとても大事なので、そこを上回らないようリュウグウの重力を教えてある。

ライター林:MINERVA-IIが下りる場所で撮影とのことだが、科学的な観点からの注目点は

吉川:サイエンス的な注目は小惑星の表面すれすれの至近距離で写真を撮れること。はやぶさ2小惑星表面へ接近したときもはやぶさ2から撮影するが、表面から横方向に撮影することはできない。MINERVA-IIからの写真でレゴリスなどの状態がより詳しくわかる。

林:N6という着地候補地点の特徴は

吉川:リュウグウの表面は場所による大きな違いはない。どこに下りてもサイエンス的なデータに違いはない。MINERVA-IIやMASCOT、はやぶさ2タッチダウンはそれぞれ離れた場所で行いリュウグウの全体像を知る。N6はそれを総合して決定した。

久保田:今後の予定としては、13時から13時半くらいにMINERVAを分離するだろう。要所要所でご報告に上がりたい。14時ごろ目安で。探査機は予定通り降下中とのこと。

(いったん終了)

はてなダイアリーの全文一括置換などを可能にする環境作り

前回の続きです。

はてなダイアリーが終了するので、はてなブログに移行しようと思う。それにあたって、いまのダイアリーの書き方をなるべくそのまま、はてなブログでも使えるようにしたいという話である。

いま、はてなダイアリーの更新には「はてダラ」と「はてダラスプリッタ」を使っている。

はてダラは「ローカルに作った『2004-08-19.txt』のようなテキストファイルの内容を、 はてなダイアリーの『2004年8月19日の日記』として書き込むPerlスクリプト」である。

はてダラスプリッタの説明は同じページにある。

これは「1個のファイルdiary.txtをはてダラ形式の複数ファイルに分解するツールです。(中略)これを使うと、日記を書くときに編集するファイルがいつもdiary.txtだけになって便利です」というもの。

これらを使った、はてなダイアリーの更新手順は以下である。

  1. ダイアリーの全テキストをおさめたテキストファイルに新しい記事を書く。
    f:id:Imamura:20180904231745p:plain
  2. コマンドプロンプトから、はてダラスプリッタとはてダラを実行する(というバッチファイルを実行する)。
    f:id:Imamura:20180904231746p:plain
  3. ダイアリーが更新される。
    f:id:Imamura:20180904231747p:plain

上げた記事を書き直したいときは、diary.txtを修正して同じバッチファイルをもう一度実行すればよい。ダイアリーの編集画面は基本的に使わない。編集画面を使うのは、エントリの登録前に見栄えをチェックしたいときくらいである。

この方式が便利なのは、ダイアリーの内容の全文検索や一括置換を、使い慣れたテキストエディタでできるところだ。

たとえばはてなダイアリーはてなブログにインポートする前に、改行の扱いをはてなブログに合わせたい(前回の記事参照)という場合も、テキストファイルを一括置換して「はてダラスプリッタ」と「はてダラ」にかけてあげればよい。いったんすべての改行を改行2つに置換してから、行頭で連続させることが重要なはてな記法、「-」、「+」、「:」、「|」あたりが連続している行の改行を詰めてあげればよさそう。正規表現を使えば簡単だ。

はてダラ」を使い始める前の日記を「はてダラ」形式に変換して、「diary.txt」に加える方法は以前書いた。

こうしておけば、全記事を簡単に編集できるようになる。過去の日記というのは「Imamuraの日記」だけでなく、それ以前にネットに書いてきた日記的なコンテンツすべてである。1997年から現在までの日記を1つのテキストファイルに入れてある。20年前に書いたこともすぐに読めるのはライフログ的でなかなかいい。

その結果「diary.txt」は現在15MBという大きさになっている。URLなども含まれるから全部自分でタイピングしたわけではないとはいえ、テキストファイルでこのサイズとは我ながらたくさん書いたものだと思う。

さて、はてなブログで同じような更新環境を整えることはできるだろうか。

テキストファイルからはてなブログを更新する「はてなブログライター」はすでにあり、便利に使わせてもらっている。

はてなブログライターで作ったエントリははてなブログライターの管理下に入る。複数のテキストファイルにまたがって検索するgrep機能を使えばローカルでの過去記事の検索は可能だ。grep機能はテキストエディタが提供していたり、専用のツールがあったりする。ただ、すべての記事が1つのテキストファイルにまとまっているのに比べると便利さはもう一つ。

また、「はてなブログライター」を使わずに登録したエントリを「はてなブログライター」の管理下に入れる方法はない。と思う。そこがちょっとねえ、なんだけれど作者のid:rnaさんが必要性を感じていないなら仕方がない。そして「はてダラスプリッタ」を「はてなブログライター」向けに自分で移植するスキルもない。

来年の春、「はてなダイアリー」が終了する前にいい感じになってくれるといいな。他力本願ですみません。

次回は、はてなダイアリーはてなブログへ移行させるにあたって、はてなブログにないこんな機能がほしいという話をする。

追記

はてなブログライター」を使わずに登録したエントリを、「はてなブログライター」で管理できるようにしたい。原理的に可能なのか聞いてみたら「できることはできるけど」という話だった。

とすると、はてなブログのAtomPubでメタデータだけ取得するようなAPIを実装してもらえるといいんだな。(フィードバック済み)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(2018/09/05)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、引き続き小惑星Ryugu(リュウグウ)の観測活動を実施しています。

今回の説明会では「はやぶさ2」の現在の状況、「はやぶさ2」やリュウグウのアストロダイナミクスのほか、MINERVA-Ⅱ-1の開発経緯や、機体構造、ローバーとしての特徴といった工学的な内容、「はやぶさ2」からの分離シーケンスなどについて説明を行います。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(18/09/05) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年9月5日(水)11:00~12:00

登壇者

f:id:Imamura:20180906143723j:plain
(image credit:JAXA

※左から吉光氏、池田氏、吉川氏、久保田氏

中継録画

配付資料

f:id:Imamura:20180905231933p:plain

本日の内容

(吉川氏)

f:id:Imamura:20180905231934p:plain

目次

f:id:Imamura:20180905231935p:plain

はやぶさ2」概要

f:id:Imamura:20180905231936p:plain

ミッションの流れ概要

f:id:Imamura:20180905231937p:plain

座標系の注意点

f:id:Imamura:20180905231938p:plain

1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

f:id:Imamura:20180905231939p:plain

2.Box-B運用状況

Box-B運用の説明図

f:id:Imamura:20180905231940p:plain

  1. y方向に9キロ移動し、南極の大きなボルダーを観測。また-x方向に9キロ移動し、リュウグウの夕方側を観測した。

Box-B運用で撮影したリュウグウ

f:id:Imamura:20180905231941p:plain

3.小型モニタカメラ(CAM-H)

f:id:Imamura:20180905231942p:plain

直近のサンプラーホーンの様子

f:id:Imamura:20180905231943p:plain

参考

f:id:Imamura:20180905231944p:plain

打ち上げ直後と同様正常に見える。

レーザー照射で反射板との距離を測定、距離が縮まったら小惑星表面にタッチダウンしてサンプラーホーンが縮んだものと判断し弾丸を発射する。

4.アストロダイナミクス

池田氏より)

f:id:Imamura:20180905231945p:plain

4.小惑星の重力測定

f:id:Imamura:20180905231946p:plain

4.重力計測降下運用

f:id:Imamura:20180905231947p:plain

f:id:Imamura:20180905231948p:plain

4.小惑星近傍の力学環境

f:id:Imamura:20180905231949p:plain

5.MINERVA-II

(吉光氏より)

f:id:Imamura:20180905231950p:plain

MINERVA-IIはシステムの名前。MINERVA-II1にはAとBの2つのローバーを搭載している。形は同じだが表面特性などが違う。

5.MINERVA-II-1

f:id:Imamura:20180905231951p:plain

5.MINERVA-II1 Rover

f:id:Imamura:20180905231952p:plain

5.分離運用シーケンス

f:id:Imamura:20180905231953p:plain

(久保田氏より)

「①LIDAR高度60メートル」のところで、落下地点「N6」へ向かって北へ移動しつつ自由落下。分離から350秒後に赤道方向へ戻って上昇。

6.今後の運用スケジュール

f:id:Imamura:20180905231954p:plain

6.タッチダウン1 リハーサル1

f:id:Imamura:20180905231955p:plain

ボルダーがたいへん多いので、降下を途中で中止して戻ってくる可能性も含めたリハーサル。

7.今後の予定

f:id:Imamura:20180905231956p:plain

参考資料

f:id:Imamura:20180905231957p:plain

f:id:Imamura:20180905231958p:plain

f:id:Imamura:20180905231959p:plain

f:id:Imamura:20180905232000p:plain

f:id:Imamura:20180905232001p:plain

f:id:Imamura:20180905232002p:plain

質疑応答

日刊工業新聞とみい:池田さんに。リュウグウの質量が4.5億トンというのは今回が初めての発表か。また自由落下について

池田:4.5億トンは前回発表済み。自由落下は重力にまかせて落ちるもの。

とみい:MINERVA-II1が飛び跳ねる理由は

吉光:表面を移動するというのは、表面に働いている重力に対して水平に動くこと。これをどうやって実現するか。ガスジェットを噴くなど考えられるが燃料が尽きると動けなくなる。そこで表面の摩擦力を使って動く。地球上でも車輪で動く、足で動くなどはすべて摩擦力で移動している。
摩擦力の値は接触力×摩擦係数。接触力はロボットと表面の間に働く力、重力の反力。重力で地球の中心へ落ちるのを表面がとどめているから表面から接触力を受ける。その接触力に摩擦係数を掛けると摩擦力がわかる。
地球のような重力が大きい天体では接触力も大きく、摩擦力も大きくなる。リュウグウのような小惑星では重力が小さいため接触力も小さい。摩擦係数は不明だがともかく摩擦力がなければ横方向へは速度が出ない。
接触型のポイントは摩擦力が小さくても接触し続ければ力をもらい続けて加速できること。自動車の加速など。しかし小惑星表面はフラットな地形ではなくでこぼこしている。いろいろな方向から力を受けると表面から離れてしまい、そうなると摩擦力がなくなり加速できない。接触型のメカニズムでは接触を保てないため加速ができない。また摩擦力も小さい。結果として移動速度が落ちる。
ホップするメカニズムは接触を保つ時間は短い。代わりに接触力を瞬間的に大きくすることで短いながら大きな加速を得る。ホップするメカニズムは接触力が重力の何倍も大きくなる。ホップする挙動で表面に押しつける力が働くため。それが接触力を増加させるポイント。短時間ながら横方向へ一気に加速できる。

久保田:NASAの火星ローバーのような車輪型のローバーリュウグウに持っていくと重力が小さいためすぐに浮いてしまう。浮いてしまうと着地するまで待たなければならない。そこで逆に積極的に浮いて移動する方法を考えた。

読売新聞こみやま:重力計測降下運用時の最下点について

池田:資料15ページにある距離「約1,400メートル」は小惑星中心からのもの。16ページの「高度850メートル」は小惑星表面からの距離。

f:id:Imamura:20180905231947p:plain

f:id:Imamura:20180905231948p:plain

久保田:「高度」というときは表面からの距離、ホームポジション高度は小惑星中心からの距離。高度とホームポジション「高度」はまぎらわしいので今後「小惑星中心からの距離」と書くようにしていきたい。
重力を考えるときは質点を考えるので小惑星中心からの距離で計算。GMという数字を使うと距離の自乗で割るとおおよその重力加速度が出る。今後もなるべくわかりやすくしたい。

こみやま:自由落下するときの加速度で重力加速度を求めている?

久保田:その通り。重力がなければ現在の速度を維持して下りていく。小惑星に重力があると引っぱられ、加速しながら下りていく。その距離と時間を計って重力を求めている。

こみやま:資料17ページにある「赤道での重力は地球の約8万分の1程度」とある。地球での重力加速度9.8メートル/秒2を8万で割ればいいのか

f:id:Imamura:20180905231948p:plain

池田:そうです。資料の0.11~0.15というのは小惑星の遠心力も考慮した表面加速度なので重力加速度より少し小さい。

こみやま:重力環境がわかったことで今後の運用にどう活用されるのか

池田:GMがわかった。久保田が先ほど述べた通り、距離の自乗で割ると重力加速度になる。タッチダウン時には自由落下になるため探査機にかかる重力の計算に使う。

ライター喜多:吉川先生に。質量がわかってバルクの密度がわかった。そのことで新たな知見はあるか。小惑星が資源として注目されてきていることもあり、この数字でわかることはあるのかどうか

吉川:今後もう少し表面物質などを調べないとわからないが、基本的にC型小惑星としては典型的。どのくらいの空隙率があるかなどはもう少し調べて。

喜多:小惑星の重力加速度は実際にそこを訪れて自由落下させないとわからないもの?

池田:基本的にはそうです。

久保田:初代はやぶさの時も、地上観測ではイトカワの自転周期くらいはわかるが大きさや重力は行ってみないとわからない。小惑星探査では行ってみないとわからないことがわかった。

喜多:将来的に小惑星を資源として使うにはショットガン的に探査機を送って自由落下させて重力を測る? メソッド化するものだろうか

吉川:資源として水を求めるのか金属を求めるのかにもよるが、もう少しいくつかの種類の小惑星を探査しないとどういう方法がよいかはわかってこない。今のところイトカワリュウグウ、もうすぐベンヌだけ。資源利用としてどういうミッションを作ったらいいかはまだ難しい。アメリカの「サイキ」という探査機が金属型小惑星への探査ミッションを計画中。これらの結果を見ないと資源利用はまだ先の話ではないか。

毎日新聞永山:前回MINERVAは小惑星に着地できなかった。今回工夫したことや意気込みは

吉光:着陸できるかどうかはロボット側の話でこちらではどうにもならない。前回との違いはちゃんと距離を測って探査機の自律的な処理で放出する。それで中止になって放出されないということも当然あり得るが。処理がうまく進めば着地に問題はないだろう。

永山:ホップの方法について。ほかにも方法があると思うがMINERVAがモーターの回転の反動を採用している理由は

吉光:ホップするものはカエルなどいろいろある。小惑星は重力が小さいため、どんな姿勢からでもホップできる必要がある。そこで考えたのがこの方法。

永山:モーターだけで大丈夫なもの?

吉光:数値的には計算しているし無重力実験も行っている。

永山:MINERVA-II1はリュウグウのどのくらいの範囲を探査できると期待しているか

吉光:1回のホップでひと声15メートルくらいと考えている。同じ方向にホップしていけば探査範囲は広がる。ただ着地した姿勢にもよるのでどんどん遠ざかるかはわからない。あとはどのくらい長く生きるかが鍵。

共同通信すえ:資料17ページの小惑星近傍の力学環境は従来考えられていたモデルから妥当なものなのか

f:id:Imamura:20180905231948p:plain

池田:加速度環境は形状とGM(重力の大きさ)から計算できる。OSIRIS-RExが向かっているベンヌと形は似ているし分布もそう変わらない。自転速度が違うのでその差はあるかも。

すえ:イトカワの数倍程度の重力というのもリュウグウとの大きさの比から妥当か

池田:まあ妥当だと思います。

ライターあらふね:小惑星の重力がわかったことでラブルパイル型かはわかったのか。表面加速度は赤道付近が小さいがその理由は

吉川:ラブルパイルかどうかはまだ判断できない。表面の様子や素材、種類によっても変わるためもう少し検討が必要。

池田:表面加速度は内部の密度の偏りがわかっていないため一定のものとして計算している。

あらふね:MINERVA-II1について運用時間の目安は。自律行動の判断材料は

吉光:運用中は、はやぶさ2側の中継器をオンにする。このあとMASCOTの運用があるがそこまで生きていればずっとオンのまま。MASCOTの運用が終わっても生きていたら中継器をMASCOT向けからMINERVA-II1向けに戻してずっとオンに。いつまでというのはわからない。
自律行動は探査機からの通信リンクがあるかを見る。また電源系の電圧が低いときは消費電力が大きい通信機は使わない。ただし最後のリンクからの時間が長いとマズイのでときどき通信機をオンにする。ほかにはフォトダイオードやジャイロの値から、ジャンプ中か表面にとどまっているかを判断するなど。

あらふね:環境がよければずっと生き続ける?

吉光:そうです。

あらふね:どこかにとどまった後も通信し続ける?

吉光:電力があれば。

あらふね:探査の成否はどこで判断?

吉光:きちんと分離して小惑星の画像を得られるか。

あらふね:タッチダウンのリハーサルでレーザーレンジファインダーを使いたいとのことだがそのときが初めて?

久保田:LRFは2つある。小惑星表面を見るセンサー(LRF-S1)とサンプラーホーンを見るセンサー(LRF-S2)。

f:id:Imamura:20180905231944p:plain

LRF-S2のテストは終わっている。S1は高度30メートルくらいにならないと検出できないため今回のリハーサルで初めて確認する。

あらふね:MINERVA-II1の投下のGO/NOGOはどう判断?

久保田:MINERVA-II1の分離は降下中に予定軌道を通っているか判断が入る。そのロジックはリハーサルで確認。

NHKふるいち:MINERVA-II1は着陸機として初挑戦。意気込みと期待を

吉光:意気込みはわたしがしてもしょうがないのでありません。ロボットがやることですので意気込んでも仕方がない。準備はすべて終わりましたのであとはちゃんと自律動作するかどうか。運用によってはそこをスーパーバイズする。

ふるいち:どうしても期待を聞きたいので吉川先生お願いします

吉川:確かにローバーがすることなので意気込んでも仕方がない。初代はやぶさの時は切り離したあとMINERVAから写真が届いたのに小惑星表面に行かなかった。今回はぜひとも表面から写真を送ってほしい。そのために運用に間違いがないように。リハーサルはしてきているが、さらに慎重な運用をしていきたい。

月刊星ナビなかの:Box-B運用について。資料9ページのような写真で新しくわかったことはあるか

f:id:Imamura:20180905231941p:plain

吉川:南極側を撮影したのは大きなボルダーがあるため。極付近の形状モデルの精度が上がるのがサイエンス的には重要。

なかの:タッチダウンのリハーサルについて。候補地点のうち最有力候補に下りるのか

久保田:3つのうち一番いいところへ。ただしほかの候補地も近いので降下中に写真を撮れるだろう。情報収集を含めてリハーサルを行いたい。

ニッポン放送はたなか:重力情報や表面加速度の分布でタッチダウンの難易度や注意点はあるか

久保田:17ページの図は密度を均一としているため中心からの距離で決まってくる。

f:id:Imamura:20180905231948p:plain

赤道は中心からの距離が大きいため重力が小さい。南北へ移動すると重力が大きくなって引っぱられる。そうすると誤差が増えてくるため修正が必要。重いものがあると重力が変わってくる。そういうことも含めてリハーサル。表面近くでどのくらい引っぱられるかがわかると小惑星の中身がわかってくる。すき間があるのかなどの知見につながる。思った方向へ行かないことがあるだろうところがリハーサルの難しいところ。
これは初期モデルの重力分布。この通りならばそのまま行くがそういうことはない。引っぱられることも覚悟の上でリハーサルを行う。

はたなか:けっこう繊細な運用ということ?

久保田:ちょっとずれると引っぱられるので。イトカワのときも引っぱられて、六体問題に変えるなど工夫をした。今回もリハーサルで確認しながらモデルを更新していく。

時事通信かんだ:資料8ページのBox-B運用について。常に一自転ぶんを見ているのか

f:id:Imamura:20180905231940p:plain

吉川:その通り。だいたい1日くらい滞在して1回自転するのを見ている。

かんだ:夕方側を見たい理由は

吉川:影ができるななめ方向を見たいという点は明け方側でも同じ。これまで夕方側を観測しづらかったのでそちらへ向かった。

かんだ:夕方側の温度変化などを見ている?

吉川:できれば明け方側も行きたい。今回は夕方側にしたので次があれば明け方側も見たい。

かんだ:影ができるところを見る科学的な意義やねらいは

吉川:光の当たり方が違って表面の凹凸がよくわかる。温度変化やスペクトルも向きが違うと得られるデータが変わるかもしれない。

かんだ:MINERVA-II1がホップしたときの滞空時間は

吉光:5センチでホップすると約1,000秒=15分くらい。そこからまたバウンドするので落ち着くまでさらに時間がかかる。

産経新聞くさか:資料18ページ。右側の写真の下側にあるものが本体で、上に見えているのが分離機構?

f:id:Imamura:20180905231950p:plain

吉光:その通り。右上が土台で左上がカバー

くさか:左の写真の丸で囲っているところに見えるのはカバー?

吉光:土台に2つのローバーを入れてカバーをし、ワイヤーでくくって1つの箱にする。それを探査機の下面につけている。ローバー自体は外から見えない。2つのローバーは連結はしていない。土台の上下の中間付近に仕切りがある。箱は上下にローバーを入れるところがある。

くさか:はやぶさ2から分離したときに2つのローバーが独立して下りていく?

吉光:その通りです。

くさか:「MINERVA-II1には2つの探査ローバを搭載」とあるが

吉光:探査機の中では「MINERVA-II1」は一体化した箱のことを指していた。すべてのものに名前が必要なので。だからそういう表現になっている。

くさか:なるほど、右写真の4つの要素をひっくるめて「MINERVA-II1」と

吉光:その通りです。

(以上)

はてなダイアリーのインポート機能ではてなブログにしてほしいこと

ということで、はてなダイアリーは来春サービスを終了すると発表された。いつかそういう日が来るのかもしれないと思ってはいたが、それは人はそのうち死ぬという程度の心証でありあまり現実感がなかった。来てみると案外早く来たものだと思う。

はてなダイアリーのユーザーは、はてなブログへの移行が推奨されている。ほかのブログサービスへの移行も可能だが、はてなブログにインポートすればダイアリー当時のURLははてなブログにリダイレクトされるし、ブックマークやはてなスターもそのまま引き継がれるのがいいところ。

はてなブログへ移行しなかったダイアリーや、管理人が亡くなったダイアリーでも終了後は閲覧できるとのこと。伊藤計劃id:Projectitoh)や鈴木芳樹id:yskszk)、はてな会長の異名を持っていた犬、しなもんの日記(id:hatenacinnamon)などもはてなダイアリーには残っている。こういう人たちのウェブ上の活動記録は最近『故人サイト』という本にまとめられている。

故人サイト

故人サイト

近藤社長(当時・id:jkondo)は「ダイアリーを書いている人が亡くなったからそのうち消えるということがないようにしたい」といったことをどこかで語っていた。その精神は、はてなの社長が替わってもきちんと受け継がれているようでほっとした。

はてなダイアリーの終了アナウンスで、はてなブログへ移行するユーザーが急に増えたそうだ。インポート機能の負荷が上がったために一時停止されているという。じゃあ再開されたらさっそくはてなブログへ移行するかというと、なかなかそうはいかない。

ダイアリーからのインポート機能は3つのステップからなり、以下の記事で解説されている。

はてなダイアリーからのインポートは、手順ごとに3つのステップに分かれています。

  1. 記事・コメント・はてなスターのインポート
  2. はてなブックマークの移行
  3. 記事のリダイレクト設定
はてなダイアリーからのインポート(ブログの移行) - はてなブログ ヘルプ

実は以前、はてなブログのインポート機能を試してみたことがある。それで作ってみたのが↓である。

このはてなブログは、上でいうSTEP1で止めてある。インポート機能の基本的な評価になるのではないだろうか。

はてなブログへのダイアリーのインポートで、すぐに気がついた問題点は2点あった。

  • id記法の解釈の違い
  • 改行の扱いの違い

まずid記法の解釈の違いについて。これは上のはてなブログの最新記事にもある。

  • ローガンさんがやってきた(id:Imamura:20110818:rougan)
床屋で眉にはさみを入れてもらう - Imamuraの日記(テスト)

ここは「<a href="http://blog.hatena.ne.jp/Imamura/">id:Imamura</a>:20110818:rougan」というHTMLになっているが、そうではなくダイアリーと同じように、下のようになってほしい。

床屋で眉にはさみを入れてもらう - Imamuraの日記

HTML的には「<a href="http://blog.hatena.ne.jp/Imamura/20110818/rougan">id:Imamura:20110818:rougan</a>」になってほしいということだ。

id記法のヘルプにはこうある。

また、はてなダイアリー内に限り、以下の指定も行うことができます。

id:hatenadiary:20030319 id:hatenadiary:20030319 特定の日付の日記へリンクします
id:hatenadiary:20030319:1048060671 id:hatenadiary:20030319:1048060671 特定の記事へリンクします
id:hatenadiary:20030319#1048060671 id:hatenadiary:20030319#1048060671 (日記モードのダイアリーで)特定の記事へリンクします

(以下略)

はてなユーザーにリンクする(id記法) - はてなダイアリーのヘルプ

はてなダイアリー内に限り」だから、ダイアリー内での書き方をそのままはてなブログに持ってきても期待通りに展開されない。理屈ではそうなのだけど、ダイアリーをはてなブログにインポートするとちゃんとリンクしなくなるのでは、はてなブログに移行しようとは思わない。

id記法から期待されるHTMLは一意に定まるのだから、インポート時にid記法をa要素に展開するなどしてほしい。具体的にはたとえば、「id:hatenadiary:20030319」と書かれたダイアリーをインポートするとき、「<a href="http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20030319">id:hatenadiary:20030319</a>」にするみたいな感じで。

次は「改行の扱いの違い」について。

はてなダイアリーはてなブログでは、改行の扱いが異なっている。加えてはてなダイアリーには改行の扱いが違う「段落モード」と「改行モード」があるのがややこしい。

はてなダイアリーの改行の扱いについては、改行モードが実装されたときのはてなダイアリー日記がわかりやすい。

改行モード
改行を入力すると、そのまま画面上に反映されます。記事全体に <p> <p>、改行毎に <br> が入ります。

(中略)

段落モード

改行を段落の区切りとして認識します。とくに長文を書くブログに便利です。

改行が段落になり、改行毎に前後に <p> </p> が入ります。何も書かない行を2回続けると <br> が入ります。

2011年3月23日以前に開設されたダイアリーでは「段落モード」が、それ以降に開設されたダイアリーでは「改行モード」が標準で選択されています。

記事を編集した時の改行がそのまま画面に反映される「改行モード」を新たに追加しました - はてなダイアリー日記

そしてはてなブログでは、改行1つだと<br>になり、改行2つだと<p>~</p>で囲まれる。

詳しくは以下を。

はてなダイアリーで改行の扱いを段落モードにしていても改行モードにしていても、はてなブログにインポートすると基本的にどちらでもないHTMLが出力されてしまう。これはいただけない。

唯一、段落モードにした上で段落ごとに2つ改行を入れてあれば、はてなブログへインポートしても同じHTMLが出てくる。でもそうでない改行をはてなブログ向けにするために、全記事に改行を手作業で追加するなんてやってられないだろう。

はてなダイアリーでの改行の設定に合わせて、インポート時にはてなブログ向けの書き方に書き換えてくれるなどしてほしい。(改行モードのダイアリーをどうはてなブログでの書き方に変換するかは難しいところですが)

はてなダイアリーはてなブログにインポートするときの問題点を2つ紹介した。自分は少なくともこの2点が解消し、ダイアリーに書いたときと同じ結果が出力されるようにならない限り、自分のダイアリーをはてなブログにインポートしようとは思わない。

次回は自分のダイアリーの更新環境(はてダラはてダラスプリッタ)を紹介し、はてなブログでも同様の環境を使えるようになりたいという話をする。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(2018/08/23)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、引き続き小惑星 Ryugu(リュウグウ)の観測活動を実施しています。

今回の説明会では「はやぶさ2」の現在の状況、リュウグウの観測状況、タッチダウン地点・MASCOTやMINERVA-IIの着陸地点選定の進捗と候補地(※)について説明を行います。

※ 候補地であり、8月23日時点で決定している情報ではないことにご注意ください。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(18/08/23) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年8月23日(木)16:00~17:30

登壇者

  • JAXA宇宙科学研究所 研究総主幹 久保田孝(くぼた・たかし)(JAXA宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 教授)
  • はやぶさ2」プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 津田雄一(つだ・ゆういち)(JAXA宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授)
  • プロジェクトサイエンティスト 渡邊誠一郎(わたなべ・せいいちろう)(名古屋大学大学院 環境学研究科 教授)
  • ドイツ航空宇宙センター(DLR) 小型着陸機MASCOT担当 Tra-Mi Ho(トラミ・ホー)
  • フランス国立宇宙研究センター(CNES) 小型着陸機MASCOT担当 Aurélie MOUSSI(オーレリー・ムーシ)

f:id:Imamura:20180823215409j:plain
(image credit:JAXA

※向かって左からムーシ氏/ホー氏/渡邊氏/津田氏/久保田氏

中継録画

トラミ・ホー氏からのコメント

DLRを代表して、はやぶさ2ミッションに関わることができて光栄。8年にわたって実りが多かった。これからもよい関係を続けたい。

オーレリー・ムーシ氏からのコメント

CNESにとっても光栄。機会を与えてくださったJAXAにお礼を。いろいろチャレンジなことがあると思うが一緒にがんばっていきたい。

着地点候補について+本日の内容

f:id:Imamura:20180823155916p:plain

目次

f:id:Imamura:20180823155917p:plain

はやぶさ2」概要

f:id:Imamura:20180823155918p:plain

ミッションの流れ概要

f:id:Imamura:20180823155919p:plain

1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

f:id:Imamura:20180823155920p:plain

本資料における注意点

f:id:Imamura:20180823155921p:plain

2.着地候補地点と予定日

(津田氏より)

f:id:Imamura:20180823155922p:plain

8月17日の会議で結論を得ることができた

2.着地候補地点と予定日

f:id:Imamura:20180823155923p:plain

  • タッチダウン:L08(バックアップはL07、M04)
  • MASCOT:MA-9
  • MINERVA-II-1:N6

場所のすみ分けをしつつ科学的に意義がある場所を選んだ。

2.着地候補地点と予定日

f:id:Imamura:20180823155924p:plain

Lは低緯度、Mは中緯度の意味

2.着地候補地点と予定日

f:id:Imamura:20180823155925p:plain

  • タッチダウン1リハーサル1:9月11日~12日(最下点到達は12日14時ごろ予定)
  • MINERVA-II-1運用:9月20日~21日(分離は21日13時ごろ予定)
  • MASCOT運用:10月2日~4日(分離は3日11時ごろ予定)
  • タッチダウン1リハーサル2:10月中旬
  • タッチダウン1:10月下旬

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の前提条件1

f:id:Imamura:20180823155926p:plain

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の前提条件2

f:id:Imamura:20180823155927p:plain

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込みの手順

f:id:Imamura:20180823155928p:plain

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第1段階(形状モデルより)

f:id:Imamura:20180823155929p:plain

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第1段階(形状モデルより)

f:id:Imamura:20180823155930p:plain

色のついた範囲で100メートルにわたって青い領域があればよいのだが見つからなかったため、相対的にいいところを選定した。低緯度に11か所、中緯度に4か所。候補にする場所は低緯度のみとする予定だったが、いい場所が見つからない可能性を考え中緯度にも4か所を選んだ。

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第2段階(画像より)

f:id:Imamura:20180823155931p:plain

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第2段階(画像より)

f:id:Imamura:20180823155932p:plain

L07、L08、M03、M04は右側のM01、L05、L12に比べて岩塊が少ないため選定した。(正方形の1辺は100メートル)

こうやって選定していく過程でボルダーが少ないところが見つかるのではないかと期待していたが、リュウグウに関しては一面ボルダーだらけだった。

光学的に安全な場所を絞りきったあと、そこに科学的評価を行う予定だったがこの状況なので、相対的に安全なところを科学的に評価することになった。

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第2段階(実現性より)

f:id:Imamura:20180823155933p:plain

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第2段階(実現性より)

f:id:Imamura:20180823155934p:plain

L05地点のボルダーマップの例。はやぶさ2の着陸位置の精度は100メートル四方。この正方形の中のどこかにタッチダウンする。運が悪いと大きなボルダーに当たる。直前の安全機構はあって離脱できるがそもそも成功確率があまり高くなさそう。

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第2段階(実現性より)

f:id:Imamura:20180823155935p:plain

3メートル以上のボルダーがある場所のマッピング。L08が比較的よさそう。次点はL07、M04。

3.タッチダウン候補地点選定

タッチダウン候補地点の絞り込み:第2段階(実現性より)

f:id:Imamura:20180823155936p:plain

ボルダーの分布。M04が一番小さいのだが中緯度にタッチダウンする難しさ(緯度が上がるほど精度が下がる)もあるためL08にした。

リハーサルで我々の技量を測る。中緯度でもいけそうだとなればM04にするかもしれない。リハーサルは高度30メートルほどまで行き近接画像を撮影。

4.タッチダウン候補地点についての科学的検討

(渡邉氏より)

f:id:Imamura:20180823155937p:plain

科学的には非常に興味深いところがたくさんあり面白い天体だが、タッチダウンしなければならないとなると難しい。どういうところを考えるべきか。

昼間の温度変化が小さいのは科学者的に驚きの結果。

4.タッチダウン候補地点についての科学的検討

f:id:Imamura:20180823155938p:plain

4.タッチダウン候補地点についての科学的検討

f:id:Imamura:20180823155939p:plain

物質の特性で赤い領域と青い領域に分けた。赤い領域と青い領域のどちらに行くか?→各候補地点を調べると、赤い領域の中に青い領域があったりまたその逆もあった。どこへ下りても両方のサンプルを採取できそう。

4.タッチダウン候補地点についての科学的検討

f:id:Imamura:20180823155940p:plain

青いところは粒子の多様性がやや高いが僅差。

4.タッチダウン候補地点についての科学的検討

f:id:Imamura:20180823155941p:plain

どこから採取してもリュウグウ全体を代表する多様性のあるサンプルを採取できそう。

5.MASCOTの着地候補地点選定

(ホー氏より)

f:id:Imamura:20180823155942p:plain

MASCOTは靴箱くらいの大きさ、重さ10キロ。

5.MASCOTの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155943p:plain

MASCOTが通信できるのは16時間に限られる。

5.MASCOTの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155944p:plain

5.MASCOTの着地候補地点選定

(ムーシ氏より)

f:id:Imamura:20180823155945p:plain

5.MASCOTの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155946p:plain

5.MASCOTの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155947p:plain

5.MASCOTの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155948p:plain

どういうバウンドをするかわからないので着陸候補地点は400メートルくらいの範囲に広がっている

(ホー氏より)
10月までは眠れない毎日を過ごすことになりそう。

ボルダーが少ないところがいいがどうなるかわからない。最終的な分布がわからないことがMASCOTのリスクになっている。

6.MINERVA-IIの着地候補地点選定

(久保田氏より)

f:id:Imamura:20180823155949p:plain

6.MINERVA-IIの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155950p:plain

6.MINERVA-IIの着地候補地点選定

f:id:Imamura:20180823155951p:plain

7.着陸実現に向けた戦略

(津田氏)

f:id:Imamura:20180823155952p:plain

ボルダーが多いことが挑戦的な条件。

7.着陸実現に向けた戦略

f:id:Imamura:20180823155953p:plain

(しばらく中継中断)

8.今後の予定

f:id:Imamura:20180823155954p:plain

  • 9月5日(水)11:00~12:00
  • 9月27日(木)14:30~15:30

質疑応答

NVSさいとう:津田氏に。着陸スケジュールについて。ターゲットマーカーは?

津田:ターゲットマーカーは着陸運用の最終的な降下のとき使用。

さいとう:ターゲットマーカーが落ちたところがボルダーが多かったとき、着陸をキャンセルするような判断は地上から可能か

津田:ターゲットマーカーの分離後は基本的に探査機の自律的な判断になる。そこから先は探査機がリュウグウの地形をきちんと判断できるかがポイントとなる。

NHKすずき:津田氏に。着陸候補地点について、どんな場所なのか

津田:緯度0度、リッジの上になる。尾根になっている場所。クレーターの中ではない。

すずき:50センチ以下の岩がある場所をリハーサルで選定?

津田:全体で平均的に見ると着陸に向く場所はないということになるが、一点一点で見ると3メートル以上の岩がない場所もある。そういうところに下りられるかどうか。

すずき:水や有機物は期待できるのか

渡邉:近赤外線で見るとリュウグウ全体から弱いが水の反応がある。またリュウグウが暗い天体である原因を一番うまく説明できるのが有機物が存在するということ。有機物はどこに下りても確実に、水も可能性は均等にある。

すずき:津田さんに。着陸点選定の気持ちは

津田:誰も行ったことがない天体に行くとなにが起こるかわからない。その典型を味わっている。経験できている。これこそ我々が実地に行ったから得られた知見であるとポジティブに考えている。探査した価値があると実感。
技術的には安心できないリュウグウの地形。ここからさらに挑戦が必要。訓練で技術習熟度は上がっているがどうやってタッチダウンを決めるかは創造的に解決していく必要がある。

共同通信はっとり:10月下旬の着地で行うことは。サンプル採取以外に観測をするか

津田:着陸はサンプル採取のみ。サンプリングして上昇しホームポジションに帰る。その前後に観測のため写真を撮ったりはするが主目的は着陸のみ。

はっとり:ボルダーが多いとのことだがぶつかって損傷するなども考えられるのか

津田:着陸が最後まで推敲できるか(着地できるか)。最後は探査機が自律的に判断し、ちょっとでも危なかったら逃げる。着陸できるかがポイント。
あまりに意地悪な地形の時、安全か危険の判定を誤らないかが心配。危険なのに安全、安全なのに危険、どちらの判断もよくない。はやぶさ2がどういう反応をするか、もっとよく調べる。

(?):渡邉先生に。水のスペクトルはNIRS3ではほぼないと前回話していたが、それと今日の水の反応があるという話との整合性は

渡邉:北里先生がおっしゃっていたのは、現在のところスペクトルから水の存在が確実といえる観測結果はない、ということ。一方で水の徴候は見つかっている。それが本当に水かどうかをNIRS3チームは解析中。

(?):津田さんに。はやぶさ2が危険の察知をくり返してなかなか着陸できないときは、危険検知のソフトウェアを書き換えるなども考えているか

津田:まずは情報収集。リュウグウの環境、はやぶさ2の特性。どういう手を打てば解決に近いかを随時考える。まずは着陸のリハーサルではやぶさ2のレスポンスを見る。

(?):みんなのメッセージが入ったターゲットマーカーはいつ落とすのか

津田:5つすべてに同じように名前が入っているのでいつどれを落としてもみなさんのメッセージ入りということになる。

ライターあらふね:着陸候補地の選定について。17日の会議でどのようなことが話し合われたのか

津田:まずこの日の会議までの解析は非常にスムーズだった。最終的な候補地点はそれぞれぶつかることもなくうまく選んだように見えるがこれこそ訓練の成果。お互い相手はここを選ぶだろうと理解しつつ候補地を挙げることができ自然にばらけた。どうコンフリクトしないかの議論はスムーズだった。
工学的な選択は絶対安全ではなく相対的安全。そこも含めて合意する必要があったため議論が白熱した。

ホー:トゥルーズで長い議論をしてきた。そのバックグラウンドをはやぶさ2チームに伝える必要があった。吉川先生がタイムコントロールを厳しくする中で発言した。すべての工学的、科学的側面について議論が必要で長い時間がかかった。

ムーシ:優先順位が高かった候補地とバックアップ候補地でほかと重ならないように考える必要があった。事前の訓練よりうまくいきラッキーだった。

あらふね:タッチダウンなどを行うかどうかの判断基準は

津田:これからの予定は以下で、それぞれうまくいくことが次へ進む前提になる。運用がうまくいかなかった場合、その理由が次に波及する場合スケジュールの変更もありうる。

f:id:Imamura:20180823155925p:plain

うまくいった場合でもタッチダウンのリハーサル1、2の後は着陸誘導制御技術とリュウグウの表面の状態から、安全に着陸できる精度があるかを評価してタッチダウンを行うか決める。

日刊工業新聞とみい:津田さんへ。リハーサル1は今までの運用とどこが異なるか。3つの候補地をいっぺんに判定できるのか

津田:リハーサル1は初めて小惑星の上空20~30メートルと非常に接近した高度になる。地上から誘導できる範囲を越えるのでタッチダウンは探査機自身が判断しなければならない。着陸時重要なLRF(Laser Range Finder)が機能するのは高度40メートル以下。それまではLIDARを使う。LIDARはすでに使っていて実績があるがLRFは実地で試すほかない。リハーサルが大きな試金石になる。
リハーサル時はL08メインに評価するが降下中は近くのL07やM04も観測できる。そちらも見て総合的に判断。

日刊工業新聞かとう:MASCOTとMINERVAの現時点での健全性は確認しているのか

久保田:MINERVA-IIは健全性を確認している。小惑星の重力に合わせてホップ速度を設定する。これも設定済み。

ホー:MASCOTについては堅牢性を保つよう設計している。このくらい(10センチくらい)から落としても大丈夫なように設計されている。
小惑星の表面地形がわかっていないので、不幸な場合には岩と岩の間にトラップされてしまう可能性がある。

久保田:MASCOTもこれまでに通信を行って健全性を確認済み。

かとう:クリティカルな運用が始まると海外局での運用が増えてくる。そのイメージは

津田:到着してからは必要なときに使わせてもらっている。マドリード、キャンベラ、ゴールドストーンは軽度で120度ずつ離れていて8時間ごとに切り替わりながら運用。
タッチダウンなどは連続運用になってくるのが今までとは違う。日本やキャンベラで運用し、通信が切れることなくキャンベラ、ゴールドストーンへスイッチしていく必要がある。そういうふうにアンテナを使わせていただく必要があるのが今までとは違う。
それぞれのDSN局は複数のアンテナを持っているので、各局使わせていただくといってもアンテナをはやぶさ2が占有するわけではない。

(以上)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(2018/08/02)

小惑星探査機「はやぶさ2」は、引き続き小惑星Ryugu(リュウグウ)の観測活動を実施しています。

今回の説明会では「はやぶさ2」の現在の状況、およびリュウグウの観測状況等について説明を行います。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(18/08/02) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2018年8月2日(木)15:00~16:00

登壇者

f:id:Imamura:20180802165151j:plain
(image credit:JAXA

左から久保田/平田/北里/水野/吉川

中継録画と配付資料

小惑星探査機「はやぶさ2」のリュウグウ近傍における運用状況

f:id:Imamura:20180802145921p:plain

本日の内容

f:id:Imamura:20180802145922p:plain

目次

f:id:Imamura:20180802145923p:plain

はやぶさ2」概要

f:id:Imamura:20180802145924p:plain

ミッションの流れ概要

f:id:Imamura:20180802145925p:plain

1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

f:id:Imamura:20180802145926p:plain

2.レーザ高度計の初期観測結果

LIDARによる形状測定

f:id:Imamura:20180802145927p:plain

p44参照

近傍に来なければ観測できない。

クレーター地形

f:id:Imamura:20180802145928p:plain

クレーター仮番号6は写真の左端、仮番号12は写真の右側

f:id:Imamura:20180802145929p:plain

3.近赤外分光計の初期観測結果

装置概要

f:id:Imamura:20180802145930p:plain

マーチソン隕石は水分含有量が多く、反射スペクトルは特定の波長で吸収がある

装置の状態と観測実績

f:id:Imamura:20180802145931p:plain

観測被覆率

f:id:Imamura:20180802145932p:plain

探査機の首振りを利用して小惑星全体を観測する。色つきのところがNIRS3で観測済みのところ。赤いところはよく観測している。白いところは未観測

現時点のおもな結果

f:id:Imamura:20180802145933p:plain

4.リュウグウの形状モデル

(平田先生から)

f:id:Imamura:20180802145934p:plain

このページ↑のリュウグウは立体モデルデータ

f:id:Imamura:20180802145935p:plain

会津大学SfM法、神戸大学はSPC法

f:id:Imamura:20180802145936p:plain

2つともよく似た形状であり、写真から推定するリュウグウの地形がおおむね正しいとわかる

リュウグウの南北

f:id:Imamura:20180802145937p:plain

(動画)

リュウグウは地球と逆回りに回転しているので、地球の北極とリュウグウの北極は逆の位置にある

リュウグウの四面図(リュウグウの北極が上)

f:id:Imamura:20180802145938p:plain

リュウグウの断裁陰影地形図

f:id:Imamura:20180802145939p:plain

標高が高いところは赤、低いところは青

コマやそろばん玉のような形、赤道が出っ張っている、ボルダーが散らばっているなどが形状モデルからわかる

5.ミッションスケジュール

(吉川)

f:id:Imamura:20180802145940p:plain

BOX-C運用概要

f:id:Imamura:20180802145941p:plain

BOX-Cでの画像

f:id:Imamura:20180802145942p:plain

1pxが60センチメートル。数メートルのボルダーが見えている

中高度降下運用概要

f:id:Imamura:20180802145943p:plain

現在上昇中。順調に進行中

f:id:Imamura:20180802145944p:plain

中高度降下運用概要とBOX-C運用の比較

f:id:Imamura:20180802145945p:plain

高度はほぼ同じだがほかはいろいろ違うということ

中高度降下運用において撮影されたリュウグウ

f:id:Imamura:20180802145946p:plain

Twitterに公開した画像を並べたもの

重力計測降下運用概要

f:id:Imamura:20180802145947p:plain

約1.4キロまで降下する

f:id:Imamura:20180802145948p:plain

6.共同研究

(久保田より)

f:id:Imamura:20180802145949p:plain

JST科学技術振興機構)と共同で進めている

vSLAMについて

f:id:Imamura:20180802145950p:plain

はやぶさ2」への技術的貢献

f:id:Imamura:20180802145951p:plain

共同研究成果【その1】株式会社アイヴィス、株式会社ビュープラス

f:id:Imamura:20180802145952p:plain

共同研究成果【その2】株式会社コンセプト、株式会社モルフォ

f:id:Imamura:20180802145953p:plain

はやぶさ2」取得画像の処理結果

f:id:Imamura:20180802145954p:plain

f:id:Imamura:20180802165152j:plain
(image credit:JAXA

左端と右端ははやぶさ2チームが作成、左寄りは会津大学、右寄りは探査ハブが作成

吉川「色には特に理由はない。右端のは黒く塗った。これが一番実際の色に近いのでは」

探査ハブの共同研究

f:id:Imamura:20180802145955p:plain

7.今後の予定

(吉川)

f:id:Imamura:20180802145956p:plain

参考資料

f:id:Imamura:20180802145957p:plain

f:id:Imamura:20180802145958p:plain

f:id:Imamura:20180802145959p:plain

f:id:Imamura:20180802150000p:plain

f:id:Imamura:20180802150001p:plain

f:id:Imamura:20180802150002p:plain

f:id:Imamura:20180802150003p:plain

f:id:Imamura:20180802150004p:plain

f:id:Imamura:20180802150005p:plain

f:id:Imamura:20180802150006p:plain

f:id:Imamura:20180802150007p:plain

質疑応答

宇宙作家クラブ上坂:リュウグウのモデルデータはいつごろ公開になるか

平田:現在も新しいデータが得られるたびモデルを更新中。今は赤道上空から撮ったもの。南極や北極からのデータは不十分。
観測を続けてリュウグウの形状についてわかったとなるが公開を考えたい。科学的解析のデータとして最終的にはアーカイブとして公開される。それはかなり先のこと。
その前にどうするかは検討。需要があることは十分承知している。

上坂:画像から自分たちもモデルデータを起こしている。それはナンセンスと思う。20キロからのデータを公開しないか

平田:検討したい。

共同通信すえ:北里先生へ。表面の水について。今は水は見つかっていないのか

北里:その通り。ほぼ0パーセントに近い水分量。

すえ:地下にあるかもとのことだが深さの見立ては

北里:そこは難しい。表面は宇宙線によって風化していたり、太陽光の熱で蒸発していると考えられる。その深さは数センチレベル。人工クレーターを作れて水があれば観測できるだろう。

時事通信かんだ:極域に水があるかもとのことだが極域からNIRS3で観測?

北里:そのつもり。

かんだ:赤道域に水分がなく、極域にあるということはあるものなのか

北里:今後論文を書く関係上、ここは多くを申し上げることはできない。

かんだ:まだ極域を見ていないから含水好物があると期待しているのか、今見ているところにないから極域も同じ程度とみているのか

北里:NIRS3ではなくONCで見たとき南極の大きい岩はちょっと違っている。NIRS3で見ると違う結果が出るかも

かんだ:水や有機物の由来を探る場合、含水鉱物がなかったとしても有機物が存在しうるもの?

北里:リュウグウの特徴に反射率がとても低いということがある。それを説明するのは有機物の存在。水と関係なく存在しているのではないか。

ライターあらふね:クレーターのふちの高さはなにを基準にしているのか。ふちの高さはぶつかった天体の大きさや速さに由来するのか

水野:ふちの高さは周辺の平均な面からどのくらい盛りあがっているか。測定データを積み重ねて正確にしていく。
ぶつかった天体はすぐ知りたくなるが地形データは取り始めたばかり。これから積み重ねていく。

あらふね:はやぶさ2が接近するとき水や有機物があるだろうという話だった。観測で予想と違っていたことは

北里:リュウグウのようなC型小惑星はほかにもある。比較的大きいC型小惑星は地上から数十個観測できていて8割くらいから水の吸収を見つけていたので確率的にはリュウグウにも水が存在するだろうと考えた。その予想は外れたが「当たり」だと思っている。水の吸収がなくてこの低い反射率は隕石などにもない。初めての種類のものをサンプルリターンできそう。

あらふね:タッチダウン地点は絞れてきているのか

吉川:工学とサイエンスのチームがそれぞれ検討中。工学チームは安全にというので平らなところ、ボルダーが少ないところを調べている。候補地は現在十数個。サイエンスのチームはさまざまなデータから科学的に面白そうなところを探している。8月末に決定。今後の接近観測の結果で変わってくるだろう。
平らなところも20キロのホームポジションからが中心なのでそこにもボルダーがあるかもしれず今後変わる可能性も。

あらふね:9月や10月のタッチダウンに遅れはないのか

吉川:ランダー、ローバーの着陸やタッチダウンは予定通り進めるつもり。

毎日新聞永山:北里先生。水の枯渇状況について。アエンデ隕石との違い

北里:水の量としてはアエンデ隕石と同じ程度。ただしアエンデ隕石は反射率が比較的高く10パーセント。リュウグウは2パーセント程度でかなり低い。アエンデ隕石と同じ物質はないだろうと予想。

永山:水が多いC型小惑星との違いは

北里:水の吸収がなく反射率が決まっている小惑星がないので今はなんともいえない。

永山:形状データは今後わかる細かいボルダーも含めた再現をするのか

平田:はい。形状データを作るには画像で見えているもののいろいろなパターンを照らし合わせて復元する。画像と同じ解像度の形状モデルを作るのは難しい。現状得られている画像の解像度の数倍くらいの解像度で形状がわかっている。
SPC法はステレオ視に組み合わせて明るさの変化を追うことで細かいレベルまで凹凸を調べられる。これらの方法で細かいデータを作れるだろう。

永山:2種類の方法でモデルを作る理由は

平田:1種類だけではそれが実際そうなのか確証が持てない。異なる方法で作って同じなら信頼性が上がる。
一方の方法がダメになったときのバックアップとしても。方法が違うので得意な点、不得意な点があり補い合える。

NHKふるいち:水野先生に。クレーターの大きさと深さが新しくわかったことについてどうとらえているか

水野:改めてレーザー高度計で直接的に、より正確に求めることができた。小惑星の形成の科学について有意義なデータが得られている。

ふるいちリュウグウ全体の大きさに対してこのサイズはどう思うか

水野:大きさや形は測定を重ねて議論の対象にしていく。

ふるいち:着陸という面ではどうか

吉川:着陸はボルダー、岩塊が少ないことが大事。クレーターの中がそうなら着陸候補地点になる。
熱の問題もあり、深いところだと周囲から熱を受けてしまうかもしれない。
斜面に下りるとなると太陽電池パネルが傾くのでよくない。
現状、クレーターの中も候補地点にはなっている。

NVS斎藤:北里先生へ。NIRS3のデータが出始めている。リュウグウに含まれている岩石の種類やバラエティはどうか

北里:今のところ特徴はほとんど得られていない。

斎藤:極域に反射率が高いところが見つかっているが(音声途切れる)

北里:(音声途切れたまま)

吉川:(音声途切れたまま)

朝日新聞はまだ:水の可能性について。初期観測の結果だそうだが今後どのくらい観測するのか

北里:定期的に観測を行う。予定としては重力計測降下運用のとき、より低いところへ下りるのでさらに解像度が高いデータを得られるだろう。BOX-Bで極域の観測を行う。先のことだがインパクターでのクレーター実験で地下内部の観測もしていきたい。

はまだ:表面に水を含む鉱物がある可能性はあるのか

北里:そう信じている。

はまだ:水野さんへ。わかっている範囲でクレーター仮番号6はあの一番大きなクレーターか

吉川:直径210メートル。全体を見たとき一番大きなクレーターではない。クレーターといってもインパクトクレーターか単なる陥没かはわからない。クレーターができた原因も含めて解析していく。
一番大きなクレーターは経度90度で正面に来るもの。直径300メートルほどあり6番ではない。

f:id:Imamura:20180802145938p:plain

一番大きなクレーターもLIDARで観測はしている。

はまだ:300メートルクラスの一番大きなクレーターは考えられていたリュウグウの成り立ちからありうるものなのか

吉川:サイエンスチームは今まさに議論になっている。インパクトクレーター、他天体がぶつかったものだとするとどのくらいの大きさの隕石がぶつかったのかなどを解析する。表面物質の性質や全体の構造、ラブルパイルかどうかも関わる。サイエンス的には面白いポイント。結論はまだいえない。
一番ありそうなのは隕石の衝突だが、リュウグウの自転が遅くなったことと関係があるのかなど、いろいろな可能性がある。今後の可能性で解明していく。

ニッポン放送はたなか:13ページの「科学的な解釈」について。「(2)二次的な加熱による脱水を経験した」なら望みがあるということか

f:id:Imamura:20180802145933p:plain

北里:その通り。

はたなか:水がないことについて吉川先生からも

吉川:ある意味意外で、C型だから水の吸収が当然見つかると思っていたらそうではなかった。初めて行く天体ではなにが起こるかわからず、面白いデータ。どういう意味があるのかを突きつめていきたい。

はたなか:降下運用は順調か

吉川:はい。中高度降下運用は小惑星を確認しつつわりと速く下りていって上昇できた。

はたなか:さらに表面近くへ下りることでの注意点は

吉川:重力測定も無事できるだろう。1キロほどとさらに下りるのでさらに慎重に。

毎日新聞いけだ:クレーターについて。見た目一番大きなクレーターはまだLIDARで観測していない?

水野:観測しています。
今この場ではデータがないので申し上げられないがデータは取っています。

いけだ:深さと直径の比率が重要なデータなのはなぜ?

水野:その比率で、惑星を構成する材料やクレーターが過ごしてきた環境がわかる。

いけだ:北里先生に。実際に観測された反射率がどのくらいというのはいえるのか

北里:だいたい2パーセントくらい。

いけだ:「二次的な加熱」にはなにが考えられるか

北里:太陽光で照らされて暖かくなる。今は最高でも100℃だが過去にはもっと太陽の近くを回っていた可能性がある。

(以上)