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50年前の宇宙開発競争をふり返るbot

「百年前新聞」(@100nen_)というTwitterアカウントがあって、ちょうど100年前のできごとをいろいろツイートしてくれる。今は11月に第一次世界大戦がようやく終わったところ。スペイン風邪が流行していて、いろいろな人がバタバタ亡くなっている。2015年には北海道三毛別のヒグマ事件の実況もあった。

百年前というと遠い昔のようだが、Twitterでリアルタイムに流れてくるのを読んでいるとそうは思えず、歴史に対する認識が変わる。ときどき入れてくれる世界情勢などの解説も的確でよい。

そういえば来年の7月20日アポロ11号の月面着陸から50年になる。12月21日にはアポロ8号が打ち上げられ、有人で初の月周回軌道への投入が行われた。地球から人間がこれほど遠く離れるのは初めてで、その道中には初めて地球全体を1枚にとらえた写真を撮ることになる。漆黒の宇宙に浮かぶ、青く美しいマーブルの玉。人類の世界観はこれで大きくアップデートされた。

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アポロ計画ソ連との月着陸レースだった。鉄のカーテンの向こうからは、ソ連も月着陸計画を進めているという情報が断片的に伝わってくる。同時にこの時期はベトナム戦争という、東西陣営の悲惨な代理戦争も行われている。

日本の宇宙開発はというと、東京大学の宇宙航空研究所が鹿児島宇宙空間観測所(現在の内之浦宇宙空間観測所)で観測ロケットを打ち上げている。初の人工衛星おおすみ」を打ち上げて世界で4番目の人工衛星打ち上げ国になるのは、アメリカが人間を月に送った翌年の1970年2月11日である。

こういうのを50年後の今リアルタイムにふり返るのはなかなかよさそう。そういうbotはないかと探してみたが見つからず、自分でやってみてもいいけれどbotの運用ならということで得意そうな人にもちかけてみた。

これをツイートしたのが13日。そこからDMでやり取りしつつ、あっという間にbotを作ってくれた。

昨日は21時51分にアポロ8号が打ち上げられた。次々に届く打ち上げシーケンスの報告は臨場感たっぷりだ。このあたりは@lizard_isanaさんの絶妙なさじ加減で、結果がわかっていてもわくわくする。解説のツイートもいい感じ。

おすすめはアプリの通知をオンにしておくこと。こちらから見に行かなくてもイベントがあれば通知が来る。打ち上げ時はにぎやかだけれど、それ以外はわりと静かになるはず。

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ツイートはTwilogでふり返れるようにした。昨日のツイートはこちら。

当時の実際のタイムラインはNASAのサイトに秒単位でまとめられている。

アポロ8号が「地球の出」を撮影するのは、日本時間で12月25日の午前1時39分39秒のことらしい。上のリストには載っておらず、2013年に公開された下の記事でわかる。

「地球の出」の撮影から45周年を記念して、当時の写真や交信記録、宇宙船と月や地球の位置関係などから正確な時刻を割り出しCGで再現するという企画である。最初の動画の4分40秒が「地球の出」の撮影で、世界標準時で12月24日16時39分39秒とあった。

(上の埋め込み動画はその少し前から始まります。まず白黒写真が撮影され、「カラーフィルムで撮りたい」というやり取りがあってあの写真が撮影されたのでした)

50年前のふり返りbotは、来年7月20日の月面着陸まで怒涛の展開となる。ソ連の打ち上げ情報もわかる限りツイートするし、日本の宇宙開発についてもツイートする。アポロ11号の狂騒がおさまったあとのアポロ13号で「ヒューストン、問題が起きた」の交信が行われるのは1970年(2020年)4月14日12時28分20秒である。楽しみだ(結果がわかっているから安心して不安がれる)。

そうそう、アポロ計画50周年をふり返る英語のbotがあることも教えてもらった。こちらは英語だけれどずっと詳しい。あわせてどうぞ。

NASAも公式でアポロ計画50周年の記念サイトを公開していた。(音が出ます)