(旧タイトル:「Windows PCのRetina化にはThunderboltが必須?」→結論は「No」。PCではHDMI 1.4やDisplayportで高解像度をサポートする。詳しくは下の追記を)
今回発表されたMacBook ProのRetinaモデルで、ついにパソコンにもRetinaディスプレイが搭載された。15.4インチに2880×1800ピクセル。解像度は220ppiで、iPhoneの326ppi、「新しいiPad」の264ppiに比べるとやや劣るが、実物を見るとそんな数字の問題は吹っ飛んでしまう。すごい説得力だ。
アップルストア銀座で撮ってきた実機の画像。
我が家のMacBook Airで同じような画面を作って2倍にした画像。
- Retina搭載MacBook Proはどこで買う? アップルストア銀座は断続的に入荷中 | パソコン | マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/news/2012/06/14/175/index.html)
これはあれですね、iPhone 3GSからRetinaなiPhone 4Sにしたときと同じ精細感。
- 新しいiPhoneへ環境を移す手順 - Imamuraの日記(d:id:Imamura:20111106:iPhone4S)
いや、RetinaなMacBook Proがもっとすごいのは、15.4インチとこれまでになく大きな画面で200ppi以上の製品を出せたことだ。ピクセル数が上がるとドット抜けなども出やすくなるから、製造時の歩留まりが悪くなりそうだもんね。(待てよ、1ピクセルくらいドット抜けがあっても気づかないか?)
今回はMacBook Proの1モデルだけがRetina化されたが、そのうちにMacBook AirやiMacもRetinaになるのだろう。Cinema Displayのような大画面がRetinaになったらすごいだろうな。
MacのRetinaモデルはいつ出てもおかしくない状況だったから、Windows陣営も対策を練っているだろう。そういえば昔、IBMがものすごい解像度の液晶モニタを出していた。「T220」と「T221」というモデルで、3840×2400ピクセルの22.2インチ。画面を出すには専用のビデオカードが必要で、DVIを4本束ねて使うそうだ。
- IBM T221 3840×2400px レビュー 〜仮想楽団Medias〜(http://7.pro.tok2.com/~medias/mfvo/html/ibmT221.html)《DVI1本でも表示はできるがリフレッシュレートが13Hzしか出ない、4つつないでやっと48Hzとのこと》
- 元麻布春男の週刊PCホットライン〜モンスターディスプレイ「IBM T220」実見記(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010719/hot155.htm)《T220は約200dpi。DVIを4本つないでもドライバの問題で41Hz。「1画面分のフレームバッファだけでも25MBを超える高解像度(24bitカラーモードの場合。一般的な32bitカラーモードなら35MBを超える)だけに、41Hzのリフレッシュレートでも必要となるデータ転送レートは1GB/secを超える」とのこと》
- 3,840×2,400ドットの中古液晶が特価販売中、在庫は少量(http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20090627/etc_ibm.html)
あれ、つまりDVI1本ではこのクラスのモニタに画像を送出するには伝送速度が足りないということ?
DVIの伝送速度は「シングルリンク」で165Mbps、「デュアルリンク」で330Mbps。一方、最近のMacで使われている「Thunderbolt」の伝送速度は10Gbps。まさにけた違いだ。ThunderboltではRetinaな液晶モニタを問題なく使えるが、DVIだけのPCでは無理そう。
以下、あとから勉強して書き直したぶん
PCの世界ではHDMI端子を持つマザーボード、ビデオカード、液晶モニタが主流になりつつある。HDMIは1.3以降の伝送速度は10Gbps。Thunderboltと同じだ。HDMI 1.4は3840×2160ピクセル(1920×1080ピクセルの倍)や4096×2160ピクセルをサポートする。これならRetinaな解像度の世界でもとりあえずやっていける。
- ギガバイト、「GA-Z77P-D3」「GA-Z77M-D3H-MVP」「GA-H77-D3H-MVP」国内発売 | パソコン | マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/news/2012/06/14/147/index.html)《ローエンドのGA-Z77P-D3は「映像出力端子…HDMI×1」》
- ギガバイト、ファンレス冷却のGeForce GT 610カード - 実売5千円前後 | パソコン | マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/news/2012/06/14/150/index.html)《「映像出力端子はDVI×1、HDMI×1、D-Sub×1」》
- 【PC Watch】 ナナオ、世界初の暗部視認性向上技術搭載23型ワイドIPS液晶(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120614_539906.html)《「インターフェイスは、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、HDMI×2を備える」》
HDMIの次はDisplayPortになっていくらしいけれど、上のリンクを見る限りPCで主流になるのはもう少し先みたい。
追記:去年発売された4k×2Kモニタは288万円
- 【PC Watch】 ナナオ、4,096×2,160ドット表示対応の36.4型ワイドディスプレイ 〜最大輝度700cd/平方m、直販288万円(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20110620_454615.html)
- DuraVision FDH3601 | EIZO株式会社(https://www.eizo.co.jp/products/id/fdh3601/index.html)
36.4インチに4,096×2,160ピクセル(ドットピッチ0.1995mm)ということで、ピクセル数は多いものの解像度は127ppiと平凡なのだった。「インターフェイスは、Dual Link DVI-D×2、DisplayPort×2(使用の際はいずれか2系統入力が必要)」とのこと。
今使っているモニタはナナオのS2242Wで、22インチに1,920×1,080ピクセル。「DPI Calculator / PPI Calculator」(https://www.sven.de/dpi/)で計算してもらったらドットピッチは0.247mm、102.92ppiだそうだ。
- 買った日の記事:液晶モニタを買い替える - Imamuraの日記(d:id:Imamura:20100517:monitor)
過去記事
4月の段階で、「そろそろRetinaなMacが出るのでは」という予兆をまとめた記事。
- MacのRetinaディスプレイ対応の先駆け - Imamuraの日記(d:id:Imamura:20120403:macretina)
関連リンク
そういえばちょっと前に出たMacBook Proはモニタの解像度が高い「高解像度モデル」を選べたなと思って調べてみた。
2010年に出たMacBook Proの「高解像度モデル」は、15.4インチに1680×1050ピクセルで128ppi。一方通常モデルは1440×900ピクセルで110ppi、つまり今回のRetinaモデルの半分だ。下の表を見ると、17インチモデルの1920×1200ピクセルが132ppiで、「高解像度モデル」よりも解像度が高いとわかる。
- Apple系、ディスプレイの解像度(ppi)一覧 〜簡単な1コマ説明付き〜 : もっと知りたいリンゴあれこれ(http://yucomac.blog96.fc2.com/blog-entry-112.html)
高解像度モデルが最初に出たときの記事。
- 【PC Watch】 【新MacBook Proレビュー】Core iシリーズを搭載してパフォーマンス大幅向上 〜新たに搭載されたグラフィックス自動切り替えとは?(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/20100427_364098.html)
しかし17インチのMacBook Proは今回発表されず、ラインアップからも消えてしまった。
ちなみにRetinaなMacBook Proでは、ツールバーやシステムフォントを小さくして、そのぶんコンテンツを広く表示する設定や、その逆の設定なども選べる。「高解像度モデル」に反応していたような解像度マニアにはたまらない。
過去の高解像度マシンについてメモ
RetinaなMacBook Proの220ppiという解像度はVAIO Type Pと同じなのね。VAIOは8インチで1600×768ピクセル。MacBookは15.4インチ。
- ソニー、封筒サイズの“ポケットスタイルPC”「VAIO type P」(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0108/sony.htm)《具体的なppiについては言及なし》
- ホイール欲しい ハンドル欲しい » VAIO type P の画面と解像度(http://wlog.flatlib.jp/item/1288)《他機種との比較が充実》
上の記事によると、LOOX Uは269.5ppi(5.6インチ/1280×800ピクセル)で、「新しいiPad」に匹敵する細かさ。
単に高解像度というだけなら、WILLCOMのスマートフォンであるAdvanced W-ZERO3[es](通称ad[es])が3インチ/800×480ピクセルの311ppiと、iPhone 4に迫る解像度。2007年6月にこの解像度はすごかった。OSがWindows Mobileだったので操作の軽快さはぜんぜんありませんでしたけどね。
- ウィルコム、無線LAN対応の「Advanced/W-ZERO3[es]」(http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/34882.html)
以下、いったんアップしましたが所感部分は間違いなので撤回の上記事の一番下に移動しておきます
となると、今後出るであろうRetinaな液晶モニタは、アップル製以外でもThunderbolt端子しかないということになるのかも。
Thunderboltを策定したのはアップルとインテルだから、アップル以外のメーカーからThunderboltのモニタが出てもおかしくない。むしろ今後の高解像度パソコンへの道筋がきちんとつけられていたことがわかって安心なのではないだろうか。
先日開催された「COMPUTEX」ではThunderboltがいろいろアピールされていた由。
- 【レポート】COMPUTEX TAIPEI 2012 - 米Intel、「Thunderbolt」を第二世代へアップデート | パソコン | マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/articles/2012/06/05/computex03/index.html)
- 【レポート】COMPUTEX TAIPEI 2012 - Thunderbolt周辺機器が多数登場、普及は本格化へ | パソコン | マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/articles/2012/06/11/computex_tb/index.html)
- 【レポート】COMPUTEX TAIPEI 2012 - ASUSもThunderbolt対応マザーやA85マザー出展、Thunderboltは拡張カードも (1) Thunderbolt対応マザーとThunderbolt後付け用拡張カード | パソコン | マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/articles/2012/06/12/computex21/index.html)
パソコンの高解像度化は情報量も増えるし、使う側にはいいことばかりだ。こういうイノベーティブな変化をもたらすのが今回もまたアップルというところが実に面白いと思う。iMacの大ヒットで、USBがあっという間に普及したのを思い出す。また未来が少し近づいた。
追記:関連記事
- 元麻布春男の週刊PCホットライン - HDMIディスプレイを今買うか、DisplayPortを待つべきか(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0520/hot547.htm)
2008年とちょっと前の記事。それぞれどういうものかふれられている。