BS1の「BS世界のドキュメンタリー」で、高レベルの放射性廃棄物を10万年保管するフィンランドの施設が紹介されていた。
- 地下深く 永遠(とわ)に 〜核廃棄物 10万年の危険〜(http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/110216.html)
原題は「Into Eternity」。フィンランドのオルキルオト島に、国内の原発で出た高レベルの放射性廃棄物を保管する施設「オンカロ(隠し場所の意)」が建設されている。核廃棄物が無害な物質になるには10万年かかる。とても人の手で管理し続けられる期間ではない。放射性廃棄物はロケットに載せて宇宙へ飛ばしてしまえという意見もある。しかし、万が一打ち上げに失敗したら最悪の事態だ。
オンカロは、地震や火山の影響を受けない場所に作らなければならない。18億年前の地層を500メートルの深さまで掘っている。オンカロが西暦2100年ごろ、核廃棄物でいっぱいになったら入口は分厚いコンクリートで封鎖される。そしてそのまま、10万年間放っておかれることを期待するという計画である。
10万年のうちには人類が滅びてしまうかもしれない。そののち、オンカロのことを知らない者がそこを見つけたとしても、中に入れないようにしたい。知的生命体が近づいたとき、その奥には匂いも色もないが危険な放射線源があると理解できないレベルの文明には扉を開けられない程度の堅牢さが必要だ。
「ここは危険だから近寄るな」と言葉や絵を使って警告する案内を作っておくのがいいだろうか。むしろ見つけられにくくするために、なにも示さないのがいいかもしれない、なんて話が大まじめに議論されている。中身が中身だけにまじめなのは当たり前だが、SFファンが好きそうな展開だ。
しかし案内板を作ってどんなに警告しても、それを見るのが人間ならかえって興味を引いてしまうだろう。古代遺跡の発掘を考えてみるとよい。インディ・ジョーンズが「入るな」ととれる象形文字を見つけたら、奥にお宝があると確信するに違いない。「危ないから入るな」とどんなに言われても、いやそう言われればこそ中身を見てみたくなるのが人間なのだ。この楽観的な好奇心、前向きな鈍感さこそ、人間がここまで繁栄した理由のひとつかもしれない。
「本当の本当に危険なんだから入っちゃダメ」ということをどうやって伝えればよいか。そこが面白いと思った。
さて、日本ではどこでも必ず地震が起きるし火山もある。10万年放っておける場所はないから「オンカロ」は作れない。じゃあどうするのかというと、Wikipediaには保管期間が数百年ですむ方法を研究中とあった。Wikipediaのことだからあんまり信頼はせず、日本は原発の廃棄物をどうするつもりなのか、もうちょっと詳しく知りたいところだ。
- 放射性廃棄物 - Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/放射性廃棄物)※記事の最後の「再処理+群分離+核種変換(消滅処理)」を参照
「地下深く永遠に」は5月18日の深夜に再放送される。原発関連の特集のひとつ。
シリーズ 核廃棄物はどこへ(5月16日〜18日:週間スケジュール)
79分版が映画館で公開中
BS1の「地下深く永遠に」は50分。同じ作品の79分バージョンが「100,000年後の安全」というタイトルで公開されている。
- 映画『100,000年後の安全』公式サイト(http://www.uplink.co.jp/100000/)