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1995年3月20日のこと

15年前の今日は月曜日だった。

その前日、3月19日に山田康雄が亡くなったというので、20日の朝は追悼コーナーが流れるのを期待してワイドショーをザッピングしていた。8時半すぎのことだ。

山田康雄のニュースはなかなか出てこなかった。民放各局を順にチェックしていると、おかしなことに気がついた。

あるチャンネルで、先ほどからずっと同じ風景が映し出されている気がする。これはテレビ朝日だったような記憶があるが、定かではない。

画面には、どこかの道を遠くからとらえた風景が出ていた。街路樹とワンボックスらしき車が見える。太陽が降り注ぐ朝の風景である。カメラは望遠で固定されたまま動かない。

テレビの文脈、特にワイドショーの時間帯に、このようなごく普通の風景をえんえん流すのはちょっと変だ。

そう思いながらも、ほかのチャンネルでは山田康雄のことをやっているかもしれない。同じ風景の画面が気になりつつも、ほかのチャンネルに変えてはタレントの誰がどうしたという話を見て、山田康雄の話をやらないなあと思っていた。

しばらくして、どこかの局がようやく山田康雄の死去を伝えるコーナーを始めた。映画やドラマの吹き替えと、ルパン三世の声で活躍したと紹介され、最後には「カリオストロの城」のラスト、フィアットからルパン三世が「さようならー、さようならー」と手を振りながら走り去っていくカットが使われた。あざといが満足。

そしてこのあとどうしたのか、ちょっと思い出せない。さっき同じ風景をずっと映していたチャンネルに戻して、なぜこんな放送になっているのか、事情を知ろうとしたような気もする。「火災が発生している模様」というアナウンスがあったようにも思う。

でもこの時は、倒れた人が霞ヶ関駅などから地上へ次々と運び出されていた段階で、現場でもなにが起きたのかまだわかっていなかったと思う。

都市の中心部の地下鉄で、一般市民を巻き込む大規模な毒ガステロが行われたとわかるのはもっとあとのことだ。

だから地下鉄サリン事件というと、自分には山田康雄の死がセットになって記憶されている。あれから15年が過ぎた。