家の近くから、8階建てくらいのマンションが見える。
ある日そこに足場が組まれたと思ったら、何日か後には白い布のようなもので覆われてしまった。ちょうど、建造物をなんでも梱包して見せるクリストの作品のような具合である。
解体してしまうのだろうか。それとも、塗装をし直すのかもしれない。でもいつも通る道からは少し遠くて、詳しい状況はわからなかった。
ある夜、家に帰る途中でそのマンションを見た。すると、今回は塗り替えか何かで、解体ではないだろうということがわかった。
白い布ごしに、いくつもの部屋に電気がついていたのだった。