ではのちほど。(くわしく→d:id:Imamura:20060926:kengaku)
会場到着(17:50)
予想通りというとアレですが、開場待ち行列は今、地下2階から最初の踊り場付近まで。開場後も十分余裕がありそうです。
イベントを終えて:加速器はやっぱりものすごい
いやー興味深い話をたくさん聞けました。C/P対称性の破れとか超ひも理論とか難しいところは軽めに流し、加速器とそれを取り巻く環境や人々の話を中心に。
KEKでは、小さいものを突き詰めていく方向で研究や実験が行われていて、でもその成果は宇宙開闢の謎を解き明かすとか、スケールがものすごく大きくなってしまうという、このギャップが面白いと感じます。今、ビッグバンから1兆分の1秒後について研究していて、次のなにか(失念)ではビッグバンの1兆×1兆×1兆分の1秒後についてもわかるかも、みたいな話になっているそう。
- →参考:2005年のKEK一般公開を見に行ったときのレポート:d:id:Imamura:20050904:kek
ほかに、40キロもの長さを持つ直線の加速器「リニアコライダー」をどこに作るかという話とか、世界の萌え萌え加速器を次々見たりとか、楽しげな話が次々と出てきました。
人工的に発生させたニュートリノと自然由来のニュートリノを「養殖もの」「天然もの」と置き換えたり、こういうゆるめのイベントならではの発想も出てきてナイスでした。
話す側と聞く側の両方で、リテラシーを向上させていきたい
今回の「見学ナイト」では、壇上と客席の両方に手探り感があったように思います。そのぶん、次回はますます面白くなりそうな気がしました。
で、そのヒントになりそうなことをいくつか:
藤本先生、山下先生とも「こんな話をしてもいいのかわかりませんが」と言う場面がときどきありましたが、こちらが「いやそこをぜひ聞きたい」となること多し。つまり話す側の遠慮と聞く側の欲望がちょっとミスマッチだったりして、そのあたりもっと突っ込んでいきたいです。
見る側の視線と、現場で研究している人の視線にずれがある、という話は、工事現場のカッコイイ写真をたくさん撮っている西澤丞さんもおっしゃってました。「何にカメラを向けてるの? こんな工事現場で撮るものがあるの?」という雰囲気の中で撮影するものの、できあがった写真を現場の人に見せると「自分たちはこんなすごいところで働いているんだ」と初めて気付くことが多いそう。
KEKでも同じように、見学者が「すげー」なんて言いながらカメラを向けていた対象は、研究者の側からすると単にそれが必要だからそう作ったにすぎなかったりして、美として見る感覚は出てきません。でも「ここからのアングルねぇ…と思って自分で見てみると、見慣れた機械でも確かにかっこよく見えてきた」とおっしゃっていたりして、互いの感覚はもっともっと近寄れるのではないかと感じたのでした。
あと、海外の加速器や研究所の写真は、明らかに「見せる」工夫がされています。カメラマンが、「このアングルでこれを撮るとかっこいいぞ」と理解していて、研究者を撮るのでも見栄えをきちんと考えていることが素人にもわかるほどでした。こういうのはやっぱり、欧米が一枚上手なのかも。
KEKの話ではありませんが、宇宙探査機「はやぶさ」の研究成果として、小惑星「イトカワ」の立体写真(赤青セロハンのメガネで見る方式)の画像が公開されています。それを作ったのは日本のISASではなく、NASAのJPLだったとか。ISASに限らず日本の研究所には、そういう一般向けのアウトプットに対する嗅覚がもう少しほしいかもと感じます。
で、見る側の我々も「こういう機器を見たい!」「こういう話を聞きたい!」と声を上げていきたいと。そうすれば先方は「それは気がつきませんで」と見せてくれたり聞かせてくれたりするんではないかと。そういうことを考えたりしたのでした。
あと、今回お客さんに「ロケットまつり」の人々が見あたらないのがもう本当に残念でならないと思いました。基本的なお膳立ては20日の金曜日に行われた「はやぶさスペシャル2」と同じで、現役・本職の研究者をお招きして最先端のお話を伺うものですから、「はやぶさ」が好きな人は加速器も気に入ると思うんです。
いやそりゃ宇宙探査機と比べると、加速器は研究対象の実物感では負けてます。でも「理系サブカル」的なつながりでいけるんじゃないかなー。
- 関連記事:「理系サブカル」が好きなのだ:d:id:Imamura:20061006:rikei