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99/03/09 (Tue.)

元記事:夜の記憶−99/03/09 (Tue.)】

電車の吊り広告に、新潮文庫の新刊案内が出ている。1枚の広告に2冊、それぞれのさわりを載せてある。その中に、原田宗典の『買った買った買った』があった。いわく、バナナはなぜバナナと呼ぶのか、「バナ」や「バナナナ」ではなくなぜあえて「バナナ」なのか、バナナはあのカーブといい食べ方といい、なかなかカッコよくなれない食べ物だ、トム・クルーズだってバナナをカッコよく食べるのは難しいだろう…記憶なので細部は違うだろうが、まあこんな内容である。原田宗典はまだ読んだことがなく、面白いという評判だけ聞いていた。なるほどこれは面白そうだ。よし買おう。即断即決万事解決。本屋だ。
 ところで上のさわりの文章を読んで最初に思ったのは、原田宗典の面白さって、その質が面白いWeb日記に似ているなということ。少しずれた感覚。テンポのいい文章。おもわず一人「くくく」と笑ってしまう恥ずかしさ。こういう種類の文章って、Webで見かける「面白い文章」に多いと思うのだ。まんぷくやリンク集には載せていないけれど、「...so what?」とか。「アブノーマルスタア」とか。ほかにもたくさんあるはずだ
 さて本屋に着いた。新潮文庫の新刊は。なんと、新潮文庫の新刊はたくさんあるのに原田宗典だけ1冊もない。棚には原田宗典の既刊がたくさんあるが、いま読みたいのは『買った買った買った』なのだ。しばし黙考。決めた。原田宗典はまたの機会にして、宮部みゆきにする。『スナーク狩り』がいいな。さすが新直木賞作家、宮部みゆきコーナーが作られている。しかし、よりによって『スナーク狩り』だけ1冊もない。まだ読んでない宮部みゆき作品はたくさんあるが、いま読みたいのは『スナーク狩り』なのだ。またも黙考。決めた。宮部みゆきもまたの機会にして、本屋をあとにした。