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ミッション:フロンティア−知覚の宇宙《そら》へ(東京都写真美術館)

「アート+科学でさぐる知覚のフロンティア」と題し、「アーティストや科学者が展開する未知の世界を視覚的に探求する試みや、そこから生まれるすぐれた造形性・概念をもつ取り組みを特集」という展覧会。今日まで。d:id:Imamura:20041213:mで、未来館での展示を見に行っている。

入口手前にかかっていた宇宙写真「宇宙への旅−25年の歴史」(→紹介)は大変すばらしく、暗く静かな宇宙へ行った人たちの息づかいが伝わってくるようだった。よく見る写真がいくつもあったにもかかわらず、大きく美しいプリントで見ると印象がずいぶん変わる。黒の黒さに遠慮がないというか、生きるものを寄せ付けない黒さ。宇宙へ行くって、こういうことなのか。

モリナガ・ヨウの、王立科学博物館の原画は細かさにため息。第3弾早くこいこい。

ISS飛行軌道に基づく球体モデル」(→写真※説明が間違ってます)は、現物を手に取ることができて大満足。地球の大きさに対して、ISSの軌道は高いような低いような、不思議な深さの溝になっている。これで高度400キロ。

[書影:イマジナリー・ナンバーズ―コンピュータによるヴィジュアル・プログラミング・ラボラトリー] 木本圭子の「イマジナリー・ナンバーズ」(→紹介)は、数式で表された点がきわめて細かな粒子として表現されているもの。フィルムに細かく細かく描かれた点が美しい。単なる点の集まりだけれど、視覚に入ってくる情報が多いから「鑑賞」できる。そういう点ではメガスターに似ている。

動画も展示されていたが、普通のビデオプロジェクターが使われていたのが惜しい。IBMの超高精細モニタ「T221」で見てみたいと思った。これは22.2インチで3840×2400ピクセルという、とんでもない解像度を持っている。実際に見ると、デスクトップのアイコンは数ミリ角しかなく、ほとんど判別不能である。こういう高密度の画面で砂のような点がうねっていたら、なにか違うものを感じるかもしれない。

この展覧会が「知覚のフロンティア」を提示できていたかは、うーんちょっとどうでしょうというところだったけれど、科学とアートを結ぶ試みはさらに続けてほしい。