観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機」打ち上げ後の記者会見

公式動画と打ち上げ結果の報告

みんなのロケットが宇宙へ!! - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

▼【国内初】民間企業単独で宇宙空間へ 今回の実験結果について報告いたします。

  • 打上時刻:5時45分0秒
  • 飛行時間:515 秒(8分35秒)
  • 最大高度:113.4 km(暫定値のため今後の解析により変動する可能性がございます)
  • 最大高度の時刻:打上げから240秒(4分0秒)
  • 落下位置:射点より東南東37kmの海上

5:45に点火し離床した『宇宙品質にシフトMOMO3号機』は、今回最大の実験目的であった、〝高度100kmへの到達〟を達成することができました。

MOMO初号機、MOMO2号機の打ち上げ実験を経て、改良を加えてきた部分は概ねほぼ予定通りに動作し、今後の改良に必要なデータを取得しております。

報道でも伝えられております通り、今回の打ち上げ実験の結果については、民間企業単独で開発するロケットで宇宙空間に到達した例は、日本国内では初めての例となります。また、液体燃料のみ、また炭化水素系の燃料で宇宙空間に到達した例も、おそらく国内初と思われます。

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登壇者

(image credit:NVS

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(左からひふみろくん、三戸氏、藤野氏、丹下氏、植松氏、堀江氏、稲川氏、山本氏、吉田氏、酒森氏)

中継録画

  • 【放送予定】2019/5/4 4:00~ 「宇宙品質にシフト MOMO3号機」打上げ実験 Live streaming schedule about IST Sounding Rocket MOMO F3 Launch | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-(http://blog.nvs-live.com/?eid=575

(2分46秒くらいに開始)

稲川貴大社長から

本日打ち上げた「宇宙品質へシフト MOMO3号機」の打ち上げ結果について。(上の結果報告に加えて)燃焼時間は116秒(速報値では108秒)。

今回の打ち上げ実験は高度100キロメートルの宇宙空間への到達が大きな目標だった。観測ロケットとして実用化する技術の実証という目標を達成し大成功。今回の成功によって北海道の大樹町が名実ともにロケットの発射場、宇宙基地や宇宙港としての実績を作れた。

インターステラテクノロジズが発射場を整備しているので民間初の宇宙港、ロケット発射場が大樹町にできたと考えている。

国内のこれまでのロケット開発において液体ロケットのみで宇宙空間へ到達したのは我々が調べた限りでは日本初。H-IIAロケットは固体ロケットと液体ロケットを組み合わせている。
特に炭化水素系液体燃料で宇宙空間へ到達したのも国内初。

我々の技術的特徴である低価格な民生品を多用したロケットにおいて宇宙空間へ到達可能であると実証できたのも大きな成果。これによりロケット全体、将来にわたって低価格なロケット打ち上げを実現できるだろう。

打ち上げ実験は飛行経路がコントロールされ安全性に問題なく、警戒区域内に着地した。今後打ち上げ回数を増やしていきたい。

無線のデータについてコマンド無線とUHFのCバンド無線をテレメトリとして搭載、どちらも取れている。詳細なデータ解析の結果は随時公表していきたい。
Cバンド無線は大樹町内の東京大学のパラボラアンテナ整備(この会場の裏にある)を共同研究という形で使わせてもらった。大学との連携の成果と考えている。

来場者数について。

  • 大樹町多目的航空公園のパブリックビューイング…4月30日:2,948名、5月2日:1,481名、5月4日:1,317名
  • SKY-HILLS…4月30日:451名

堀江貴文取締役から

やっと打ち上げ成功の会見ができ気が楽。失敗すると疲労もたまって気の利いたことも言えなくなる。自分はどちらかというと資金調達担当なのでほっとしている。打ち上げ成功すれば資金調達できる契約がある。今後の次世代軌道投入機である「ZERO」の開発に必要な工場の建設などがスムーズになるだろう。ほっと一息。

観測ロケットのMOMOシリーズ、今回ほぼパーフェクトに打ち上げられた。次につながる結果を残せた。飛行高度も高度100キロメートルにプラス13キロと余裕が出たためもう少し重いペイロードを積むなどの打ち上げ需要に応えられるだろう。
MOMOの事業化にもめどが立ってきてよかった。

大樹町を有力な宇宙港として発展させていきたい。我々もどんどん投資をして工場を拡張し人を雇い、大樹町の産業振興に寄与したい。
我々がここからロケットをどんどん打ち上げられるようになれば関連の製造機械メーカーや衛星メーカーが立地してくるだろう。盛り上がってくると思う。大樹町に限らず北海道全体が盛り上がる一助になれば。

スポンサーから

丹下大氏(実業家、株式会社SHIFT社長。「宇宙品質にシフト MOMO3号機」のネーミングライツを獲得)

1号機の打ち上げを見たとき、日本人として誇り高い仕事と考え応援したいと見学、スポンサーになった。
ITの仕事をしているが機械工学科出身なのでフライス盤やマシニングを扱ってきた。ロケットを飛ばすことが偉業だし、ちょっとしたことでうまくいかず現場は胃が痛い思いをしているだろうと想像しつつ現場に入った。
稲川さん堀江さんが頑張っていたためキャンプ場を移動しつつ連泊して(家族も連れてきていたため)応援。お二人やみなさん、ボランティアスタッフが一生懸命やっていて打ち上げ成功したことがすばらしい。

ITの仕事は自分たちの成長産業であったが、子供の世代は宇宙産業になるだろう、そうしていきたいという夢もあり子供も連れてきた。いい経験だった。インターステラテクノロジズは今後も有名になって資金調達も…ゼロからイチを作るのは大変だと思うがここで成功したのはありえないくらいの実績。これからもっと応援団が増えてくることを期待。個人的にも応援したい。

今日は快晴の中気持ちよく上がっていってよかった。おめでとうございました。

藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役

本日は民間初のロケット打ち上げ成功おめでとうございます。2号機からスポンサーとして参加。このひふみろくんも機体に描かせていただいた。ひふみ投信のマーケット基準価格が10月に下がったとき、2号機が地上で爆発炎上した画像がネットに貼られて「ひふみはもうダメだ」と書かれたりした。
そんな中で3回目のスポンサーをするのは社内でいろいろ意見があった。我々は投資を支える仕事をしている。危ない時に逃げるのではなく成功するために…成功するまで挑戦する限り失敗ではない。MOMO3号機にスポンサーさせていただく機会をいただき成功して本当にうれしい。
会社側からスポンサードに反対があったため3号機は自分のポケットマネーを大半にし会社のお金は一部とした(個人が2/3、会社が1/3。参照:http://ima.hatenablog.jp/entry/2019/03/19/113000)。ある意味自分も背水の陣で支援、祈るような気持ち。

今回打ち上げが成功して、十勝晴れの中ロケットロードが見えて幸せな気持ちになった。投資は信じて託すること。結果が出て次の事業につながる循環が見えた瞬間だった。
これからもお手伝いすることがあると思う。どういう支援ができるか堀江さん、稲川さんと相談しつつ、宇宙事業や大樹町、北海道を支えていきたい。

三戸政和氏(株式会社日本創生投資 代表取締役社長)

自分は一人で会社をしているので金額は小さいが気楽にスポンサードさせていただいた。もともとベンチャーキャピタリストをしていたためベンチャービジネスの大変さ、99%が失敗する。中でも研究開発系のベンチャーは「死の谷」というが事業化がとにかく難しい。3号機の成功で死の谷を越えて事業化が見えてきたのがうれしい。

2005年からVCをやっているため2000年ごろインターネットが大きくなってきたところを見ていない。宇宙ビジネスの最初を手伝いたいとスポンサードさせてもらった。死の谷を越えたこの会社が日本の宇宙ビジネスを牽引し、大樹町がシリコンバレーのように宇宙ビジネスの生態系を作っていくことを期待している。その一端を担えたことがうれしい。

山本真行氏(高知工科大学教授)

音波を観測するためにMOMO2号機から搭載していただいている。3号機に搭載したものは2号機と同じ。正常に動作し282.5秒までデータを取得。その先はテレメトリの関係で取得できず、最高点から下り始めたあたりまでのデータを得られた。

音の観測は防災のため。高知県津波防災に取り組んでおりそのためのデータを取得。音が数百キロという長い距離を到達するとき上空からも伝わってくる。上空からどう音が伝わるかを知って防災に利用するため気球やロケットを使って観測する。
今回花火を事前と事後に計5回上げた。その音が上空のロケットまで届くか観測。データにそれらしき信号はあるが、それが実際に花火の音なのかどうかは今後詳細に解析する。解析にはひと月ほどかける。

実験に際しては大樹町内の11か所にセンサーを設置しており、そこでも音を取れている。

ロケットは上昇時だけでなく、下りのところでも音速を超えてそこでも衝撃波が出る。打ち上げから9分後、5時54分ごろ耳で確認した。センサーのデータにも入っている。

このたびはおめでとうございます。そしてありがとうございます。ふだんJAXAなどと実験するのとは大きく違う場面で実験させていただき感謝している。

吉田茂司氏(株式会社GROSEBAL代表取締役

今回弊社の商品、とろけるハンバーグを載せていただいた。私は相模原商工会議所青年部に所属している。日本応援事業が去年帯広で開催され、堀江さんが講演会で「ここには青年経済人が集まっているのでスポンサーしていただけると助かる」と、たぶんリップサービスだと思うんですがおっしゃっていて(堀江氏「いやいや本気です、ガチです」)、では応援させてほしいということになった。

相模原は「銀河連邦」として大樹町と姉妹都市になっている。

その点でも応援したい。応援ありきで考えているので相模原名物のとろけるハンバーグをロケットに載せては面白いのではないかと連絡したところ「そんな面白いことは民間の我々しかできない、ぜひやりましょう」と。

こちらが応援する立場だったが、現場でISTのみなさんのがんばりを見ていると自分たちが応援されている気持ちになった。打ち上げに感動した。この感動は多くの人たちが味わうことができたのではないか。関係者の方々にお礼を申し上げたい。

これを機にもっと多くの人たちがロケット開発を応援していただければ。

森正人氏(大樹町長)

昨日までつぼみだった桜が今日開花した。まさにサクラサク、その瞬間を多くの皆さんと共有できたことを心からうれしく思うし、MOMOを開発してきたインターステラテクノロジズの皆さんにも敬意と感謝を申し上げたい。

大樹町は「大樹ここから宇宙そらへ」というキャッチフレーズで航空宇宙の取り組みを進めている。インターステラテクノロジズは大樹町の町民が行っている企業体。その彼らが宇宙への取り組みを成功させ、これから衛星投入機の開発を進めることを大樹町としても支援、応援していきたい。

インターステラテクノロジズはこれからMOMOの打ち上げとZEROの開発を進めていく。大樹町はZEROを打ち上げられる射場を整備しなければならない。北海道はもとより道内外の民間企業の皆さんと協力しつつ国の支援もいただき、ZEROが大樹町から衛星を宇宙へ打ち上げる舞台を作っていきたい。

大樹町が射場を作る活動に対して、そしてインターステラテクノロジズの活動に大きなご支援をいただきたい。

松千春氏(「宇宙品質にシフト MOMO3号機」プロジェクトマネージャー)

昨年8月に先代2号機のプロマネ金井から引き継ぎ、1年弱プロマネとして観測ロケットのMOMOを引っ張ってきた。いろいろなことがあった。2号機の原因究明から縦噴き試験、リハーサルなど。それぞれうまくいく面と思った通りいかない面があり、一喜一憂しつつ今日を迎えた。

MOMOを1号機から見ていて人も増えてきた。プロジェクトマネージャーとして見ていてよかったのは、いいチームができあがってきていること。観測ロケットのMOMOもそうだし軌道投入機のZEROに大きくつながると思うのでいいチームを発展させつつ、MOMOというステップを上りながらZEROに向けてがんばっていきたい。今後も支援をよろしくお願いします。

最後になるがMOMOについてはインターステラテクノロジズだけでなく大樹町の皆さん、漁業関係者の皆さん、航空関係や会場関係の皆さん、さまざまな人の努力やご協力で成り立っている。この場を借りて感謝を申し上げたい。

質疑応答

HTV北海道テレビよだ:堀江さんに。前回2号機の打ち上げで「死の谷、デスバレーは想像以上に深く越えるのが難しい」とのことだったが(参照:http://ima.hatenablog.jp/entry/2018/06/30/100000)しっかり越えられたと思うか

堀江:ひとつめは。次には軌道投入機がありそちらは越えるのがもうちょっと大変。しかし死の谷の越え方はわかった。次への気持ちの問題、ZEROの技術開発の難易度は高いが一度も死の谷を越えずに臨むとなかなか難しい。
今回越えられたことによって資金的にも気持ち的にも楽になったのでは。この(高度100キロメートルという)死の谷を越えた企業は世界でも数えるほどしかない。それはすばらしいこと。

よだ:死の谷を越えて成功したことの世界的な価値は

堀江:サブオービタルの打ち上げサービスはあまりないが需要は意外とある。
国際宇宙ステーションへ実験器具を持って行く用途は何年も前から準備をするが、実験器具が打ち上げに耐えられるかなどの予備実験のためにサブオービタル機を使うとか、高知工科大学のような文字通りの観測用途もある。
とろけるハンバーグのような話も我々はウェルカム。面白い、ともするとくだらないと言われるようなことに使われてこそ宇宙産業は大きくなる。
インターネットもそうで、最初はみんなNASAのホームページにつなぐだけで喜んでいた。今は本当にさまざまなネットサービスがある。宇宙もそうなるべき。次はもっと面白い企画を準備している。話題になるものを宇宙へ飛ばす。そういうことをしていきたい。そうすることでマーケットが広がることを期待している。

よだ:宇宙先進国の他国との差は縮まったか

堀江:日本は宇宙ビジネスで世界一になれる潜在力があると思っている。だからこそ政府にも働きかけているし、宇宙基地としての地理的なアドバンテージはアメリカより大きい。この狭い国土の東側も南側も太平洋が広がっている(そのためロケット打ち上げに向いている)。
ニセコのようなすばらしい雪が降る場所は世界にそうないから世界的なスキーリゾートになっている。意外と日本人が気づいていないこと。宇宙に関しても同様。
日本は産業の立地もよい。素材産業からエレクトロニクス、工作機械など国内ですべて調達できるのは非常な強み。今日もロケットの打ち上げ直後に北朝鮮がミサイルを打ったが、ロケットの部品は輸出規制が厳しい。国内で調達でき射場もあるのは非常に恵まれた環境。その潜在能力を引き出したい。

さっぽろテレビみやなが:稲川さんと堀江さん。打ち上げの瞬間、大空を上っていく姿、宇宙空間へ到達したときのお気持ちは

稲川:自分は安全管理の責任者で制御系のエンジニアでもあるので機体の姿勢や落下位置の安全を確保できるか確認しながら、万が一の時は緊急停止する役割。機体そのものはまったく見ていない。興奮する間もなく数字が目標通りになっているか目で追っていた。
高度を見ているのは自分なので、高度100キロメートルに到達したとわかった瞬間は「100キロ越えた」と叫んだ。声が思わず出た。

堀江:自分は飛行安全の責任者ではないので映像や無線に気を配りつつ、機体が離床することは前2機でわかっていたし新規開発のGGGも機能することはわかっていたので離床はするだろうなと思っていた。
これまで一度も越えられなかったマックスQ(動圧最大点)が気になっていて、そこを越えたあたりでほっと一息、これは成功するなとわかったのでその瞬間よかったなと思った。あとは高度100キロへ行くことがわかっていたし(今村註:ロケットの燃焼は2分で終わり、高度40キロから100キロまでは慣性で到達する。下図参照)、途切れ途切れながら映像も届いていたのでみんなでよかったねと。

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彼(植松プロマネ)なんか一番泣いていた、けっこう早くから、打ち上げ直後から泣いていたよね。それを見ながら心からよかったなと思いました。IT系の仕事は終わりがない。納品やサービス開始はスタートで、永遠にゴールが来ない。
ロケット打ち上げは毎回打ち上げというゴールがあって感動を分かち合えるのが喜ばしい。うれしいしやりがいがある。

みやなが:なつのロケット団から20数年(今村註:そこまではいかない。2005年ごろ始動。参照:http://ima.hatenablog.jp/entry/20091125/rocket)、インターステラテクノロジズを振り返って6年間で一番大きな壁は。またそれをどうやって乗り越えたか

稲川:3か月や半年に一度、大きな壁がある。それをなんとか越え続けて一度でも倒れたら終わり。どれが一番大変ということはない。
自分は打ち上げに失敗した「ひなまつり」のお手伝いからここに関わった。毎号機の打ち上げ、エンジンの開発でもちょっとした改良のすべてが山場でありこれ一つというものはない。

堀江:僕の方が(なつのロケット団の当初からで)長いんで、一番最初の火入れ…2007年くらいに千葉県の鴨川市、場所がなくてなんとか探し当てた人家から離れたログハウスを買って手作りでロケット開発を始めた。今では考えられないがガレージでロケットエンジンを2~3秒燃やした。推力が30キロと小さなもの。それから難民になった。衝撃波(による大きな音)が毎回出るので相当(人家から)離れたところでやらなければならない。いろいろ探し求めたあげく北海道の赤平市にある植松電機さんと共同で実験場を使わせてもらえることになった。そのルートで大樹町を紹介してもらい、高度1キロくらいの打ち上げに成功した。
そこから宇宙へ行くまでが長かった。数年前には宇宙へ行けているはずだったがいろいろなところでたくさん壁に当たった。やったことがある人が少ないので情報がない。先人がやったことをまねすればいいのだろうが先人がいない。手間取ったが今回は大きな壁を越えたと思う。壁としては今回が一番大きかったがまだまだ壁があるのでがんばっていきたい。

みやなが:壁を乗り越えていこうという情熱の源は

稲川:人類が進む道として宇宙があり必ず大きくなる産業分野。指をくわえて見ているよりは自分たちで市場を広げなんとかしなければならないという思い。誰もやらないのだから自分たちでやらなければならないというモチベーション。

堀江:同じですね。宇宙へ人やモノを気軽に送れないのは、ひとつはコストの問題。そこをほかの人たち…ほかのプレーヤーも多少いるが同じように切磋琢磨している状況。誰も成し遂げていないことをやっていくことにやりがいを感じる。
ほかの人たちがやってくれることはほかの人たちがやってくれればよく、それはそれで後方支援する。こちらは自分も含めていろいろな人たちと協力し推進していきたい。

HBC北海道放送ほり:稲川社長と堀江さんに。インターステラテクノロジズはこれからも大きくなると思う。5年後や10年後どうなっていると思うか

稲川:まずは目の前のこと、MOMOの打ち上げを定常的に行う。それから軌道投入機のZERO。超小型人工衛星という新しい宇宙産業が市場としてできあがりつつある。衛星はあるがロケットが足りない。超小型人工衛星をZEROて気軽に打ち上げられるように。定期便のようにどんどん出て行く世の中を作るのが5年後。
10年ごとなるとだいぶ先になるのでそこは堀江さんに。

堀江:僕はロケットの事業についてはどちらかというと控えめにお話をしてきた。がNewsPicksだったかのコメントに「長期的なロードマップやビジョンがない」と書かれていて腹が立った。心の中にあるが言っていないだけ。一度も宇宙への打ち上げに成功していないのにそういうことを言うのはおこがましいと思っていた。
ライバルの会社には「CGベンチャー」も多い。CGベンチャーとは我々の業界での呼び方で、りっぱなCGムービーを作って資金を集めるが製品はできないところのこと。クラウドファンディングでお金だけ集めて製品が出ないようなところ。先のコメントはCGベンチャーのようなことをしろということかと思うが僕らはCGベンチャーではないので、打ち上げ実績を積んでから大言壮語を言おうと。
なので今日は言わせてもらいます。ZEROの開発はMOMOの技術開発と平行してかなり進んでいる。ZEROに使う6トン級の最初の燃焼試験は終了している。開発を進めていく。5年以内に打ち上がっているだろう。超小型人工衛星の打ち上げマーケットに参入している。
10年後はZEROが成功すれば資金調達もできているだろう。我々が大きなロケットを作らないのは簡単に言えば金がないから。6トン級でも大きな実験設備が必要、毎回タンクローリーで液体酸素を持ってくる。大樹町で酸素製造のプラントを作るという話になってくる。これまでとは比べものにならない資金が必要になる。資金さえあれば我々のエンジンはスケールアップしやすい設計で、スペースXなどと同じエンジン。彼らが作っているマーリンやラプターといったエンジンに比肩するようなエンジンを作ることは10年スパンなら可能。大型ロケットも作ることになる。大型ロケットを作れれば有人宇宙船も打ち上げられる。ZEROの発展系で打ち上げ能力を上げた「ZEROヘビー」も考えていてそれを作れれば月や小惑星へ探査機を送ることも可能になる。そうなればJAXAや大学が作るような深宇宙探査機をローコストで送ることができるようになる。
先日はやぶさ(2)のプロマネと話をした。

彼らは10年に一度しか探査機を打ち上げられず、イオンエンジンやソーラーセイルなど新規要素も一発勝負。打ち上げ機会が増えれば新しい技術をどんどん試せて進化が早くなる。そういったところにも進出していきたい。
20年後のことも話していいですか。社名のインターステラテクノロジズ、ステラは恒星のこと。太陽とかベテルギウスなど。インターなので恒星間飛行を念頭に置いた社名。なので恒星間飛行もやります。やりますよ。小惑星帯で燃料を補給して…小惑星に水があればそれを電気分解して推進剤にしたり、もしウランがあれば原子力ロケットを作って隣の恒星系まで行くことも視野に入れている。ご期待ください。

ほり:予想以上の答えをありがとうございました(会場、笑い)

TBSサンデージャポンかねこ:堀江さんに。先ほどパブリックビューイングでは「このあと打ち上げの打ち上げをしたい」と言っていたがなにを口にするのか

堀江:なんだろう…シャンパンじゃないですか?

かねこ:けっこういいものですか

堀江:まだ用意していないです。あるのかな、いいものが。
(横から「とろけるハンバーグ」)
とろけるハンバーグ? 持ってきたんですか? さすがですねえ、食べさせていただきます。

吉田:とろけるハンバーグは国産和牛100パーセントです。

堀江:ありがとうございます。

フリーランス大塚:稲川社長に。MOMOの今後の方向性について。技術が枯れる方向、高性能化、コストダウンなど。どうするか

稲川:まったく同一の機体でいくことはない。直近の機体で大きな設計変更はないが、次の段階へ行くときはMOMOも改良していく。能力を大幅に上げる方向ではなく運用しやすい、低コスト、軽く作れるなど、低価格になり打ち上げ精度が上がる改良をしたい。
ZEROにつながる技術開発のプラットフォームとしても活用できる。ZEROの打ち上げではアビオニクスのアップデート、センサーを追加、分離機構などさまざまな新規要素が入ってくる。MOMOの3号機ではその部分の実証ができていない。アビオニクスもZEROに向けて考えているがまだかなりプリミティブな状態なので、常にリファインしてZEROへシームレスにつなげていく技術的なロードマップを描きながらMOMOを運用していく。

大塚:4号機から商業運用を開始?

稲川:打ち上げ「実験」は3号機までと思っている。3号機もペイロードとして商業利用があるのですでに商用化されてはいるが本格的な、「実験」がつかない「打ち上げ」は4号機から。

大塚:4号機のペイロードはもう決まっている?

稲川:決まり次第公表します。

大塚:MOMOはトラブルシューティングに1年ほどかかったが5号機や6号機となっていくと年間何機ほど上げる目算か

稲川:需要や周辺環境の調整もあるので具体的な数は申し上げられないが年間1機から大きく増やしたい。初号機と2号機の間は製造期間がかかったが3号機の製造は早かった。製造体制や組み立て場の整備も随時行っている。年間何回か打ち上げられる体制もすでにできている。

NVS齋藤:今回打ち上げ直前にエマスト(緊急停止、エマージェンシーストップ)があり、点検後打ち上げた。どのようなことが起きたのか

稲川:Tマイナス10秒(打ち上げ10秒前)にオンボードコンピュータ(OBC)の自動判定でエマストのフラグが立った。そうなると機体をすべて安全側に戻して打ち上げない。一種の安全装置。その安全のフラグがTマイナス10秒で立った。
その原因は自動シーケンスに入るタイミングが一部合わずエマストのフラグが立ってしまった。打ち上げのカウントダウンをしている最中にどのタイミングで緊急停止が入ったかわかったので、止まった場所のタイミングを修正してもう一度やろうという話が司令所であった。
そして45分後にリカバリーした。

齋藤:打ち上げ時のロール制御について。回転せずまっすぐ飛んでいった。GGGの評価は

稲川:GGGについては100パーセントうまくいった。姿勢角のデータをすでに得ている。ロール制御は完璧に動作。ロール制御にはパドルと呼ぶノズル先端の部品をコントロールする。45度まで振れるようになっているが常に10度以下でコントロールしていた。ロール制御は完全にできていた。初号機で起きたロールの外乱を適切に評価して対策を打てた。100パーセントうまくいった。

齋藤:きれいな打ち上げでした。打ち上げ成功おめでとうございます

司会:このあとフォトセッションに移ります。

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(image credit:NVS

司会:このあとぶら下がりで取材していただけます。

NVSによるぶら下がり取材

NVS齋藤:(稲川社長に)ニコ生とYouTubeに中継中です。打ち上げ成功おめでとうございます。打ち上げを見守ってくれたファンの皆さんに一言お願いします

稲川:かなり長い間見ていただいてありがとうございます。お待たせしました。ロケットは延期や天候の問題などがあったり、今回は風が強かったので長く待っていただいてありがとうございます。
これからもMOMOやZEROを打ち上げていきます。技術情報をなるべく公開しつつ進めていきたいと思いますので暖かく見守っていただければと思います。

齋藤:めっちゃきれいな打ち上げでした。よかったです

稲川:最高ですね。僕も動画でしか見ていませんが(笑い)

齋藤:ありがとうございます

(以上)