小惑星探査機「はやぶさ2」の目指す小惑星1999JU3の名称決定に関する記者説明会

開催日時

  • 2015年10月5日16時~

登壇者


(image credit:JAXA

中継録画

※01:00くらいに始まります

関連リンク

配付資料PDF

発表


(image credit:JAXA

高柳:とりまとめ役の委員長です。はやぶさ2が目指す小惑星1999JU3の名称は「Ryugu」に決定しました。国際的に認められました。
選考結果はこの通りで、選考理由はプレスリリースにある通り。世代を超えて浦島太郎を思い出すだろうし最終的に残るのは玉手箱。開けると白い煙が出てくる。劇的な終わり方。はやぶさ2小惑星のサンプルを持ち帰る。きれいに持ち帰るのが大事。サンプルは太陽系が生まれつつあるころの資料が化石状態。いまの科学技術でサンプルを持ち帰ることが大事なミッション。そういう意味からも太陽系、生命の起源を探るのにぴったりであろうということ。
水を含むC型小惑星であること。Ryuguも水に関係がある。海と生命を探る意味でぴったり。
また大事なことは既存の小惑星の名前に類似していないこと。神話由来のいろいろな名前、「アマテラス」などもいろいろあったが今回は「Ryugu」が選ばれた。商標の面でも問題なし。
応募状況。選考委員として感じたのは館でも子供たちにいろいろ聞いた。委員長のような大役をおおせつかるとは思わなかった。締め切りギリギリでたくさん応募があった。いい名前を最後まで考えたのだろう。類似した名前も含む件数はプレスリリースを参照。
選考委員会のメンバーであるが、わたしは科学館勤め、渡部潤一先生は天文台。月尾さんは冒険家。

質疑応答

(聞き取れず):玉手箱は開けたあとにお爺さんになってしまう。これについて話はあったか

高柳:おじいさんにならない科学技術を今の日本は持っている。これがはやぶさ2の成功に関わるキーポイント。

津田:浦島太郎は自分はハッピーな話と思っている。玉手箱を開けることで生命の歴史に関する知見が発展、時計を進める前向きなイメージであろう。

吉川:玉手箱はキモである。はやぶさ2もコンテナというサンプル室がある。密閉度を強化してガスが漏れないようにしている。サンプルだけでなくサンプルから出たガスも採取する。
玉手箱で煙が広がるとお爺さんになるが今回はその煙からも生命の歴史を探る。

ニッポン放送はたなか:Ryuguの決定について感想など

津田:たいへんいい名前を選んでいただいた。はやぶさ2のプロジェクトチームとしては小惑星に我々自身がやっていて「行きたい」と思えるモチベーションにつながる名前を求めていた。期待以上の名前をつけていただいた。
イメージが多面的に広がるのがよい。水のイメージ、玉手箱。玉手箱はいい行いをしないともらえない。その意味でもミッションにプラスのイメージだろうか。ありがたい名前と感謝している。

吉川:つけ加えるとすると心配していたのは「イトカワ」のときは糸川英夫という伝説的な名前だった。今回は神話的な名前でないとIAUに通らないと思っていた。
昔話から選んでいただいてほっとした。IAUとのやりとりでは「一般的な名前では厳しい」という話だったのでよかった。

日経新聞やの:表記の関連。「Ryugu」は国内的にどう書くか。「リュウグウ」か「りゅうぐう」か。なぜ「Ryugu」なのか。

吉川:小惑星の名前は正式にはアルファベットで書くとIAUで決まっている。日本語表記はかなで問題ない。小惑星はカタカナで書くのが慣例。「リュウグウ」がよいだろう。

(聞き取れず):ほかにどんな名前が提案されたのか、どんな名前が最後まで残ったのか

高柳:「やまと」が多かった。日本の文化にとってはロマンがあるが国際的な名前としては「やまと」は戦艦に使われていたこともあり委員会で議論したが今回は「Ryugu」を採り上げた。

津田:7000件の応募の中で45件は少ないがこれで上位。みなさんいろいろな名前をつけていただいた。委員会では悩んだ。

(同):応募リストの公開は

津田:リスト自体を公開することは控えたい。

NVSさいとう:探査機の名前が「はやぶさ2」ということで鳥のハヤブサにかけた提案はあったかと思う。海にまつわる小惑星になったということでほかに「ウラシマ」などといった名前が挙がってくることはあるか

津田:はやぶさ2という名前は変えるつもりはない。「はやぶさ2」はRyuguとは結びつかないが小惑星名とミッション名ということで。

毎日新聞さいとう:名前の決定のされかたについて。マイナープラネットセンターはIAUとどういう関係にあるのか

吉川:名前はIAUの中にある名前を決める委員会で。MITの観測チームから「Ryugu」で提案してもらった。マイナープラネットセンターはIAUの下部組織。そこのサーキュラーに出た段階で正式決定となる。
IAUサーキュラーに本来なら9月末に出るようだが技術的なトラブルで今のところ出ていない。マイナープラネットセンターの別のページにはもう「Ryugu」と出ている。

さいとう:正式手続きを経て委員会で了承されていると言うことか

吉川:その通り。

さいとう:通常、審査に3か月かかるとのことだが今回早かったのは

吉川:審査に立ち入ることはできないので詳しいことはわからないが、審査に対してふさわしいか議論になるのだと思う。「Ryugu」には異論がなかったのでは。
はやぶさ2のミッションターゲットということは先方もよく知っている。だから早かったのかもしれない。これほど早いのは異例。

さいとう:応募では「やまと」が一番多かったのか

高柳:「アマテラス」が多かったがすでにある。「やまと」も比較的多かった。

日経やの:「はやぶさ」も戦闘機の名前だがどうなのか

高柳:いろいろな解釈がある。国際的な名称を選ぶときになぜ「Ryugu」を選んだかがMITのリニアに送られている。名前の理由を認めてもらう必要がある。
はやぶさは日本が打ち上げる探査機。国際的なOKが不要だった。
これからスイングバイが話題になるだろう。そのとき目的地に名前があるのはとてもよい。はやぶさ2にとってはさい先がよいスタートになった。

科学新聞社くわはた:8月31日までに募集があり委員会で話し合われ、今はもうIAUのリストに載っている。先方の審査は相当早かったのか

吉川:リニアチームに提案をお願いしたのは9月の半ばころ。おそらくすぐIAUに提案していただいたのではないか。IAUではそこですぐに審査が始まるが審査委員だけが見られるWebページで議論するらしい。委員皆さんすぐに見ていただいて決まったようだ。

くわはた:具体的な決定日は

吉川:IAUサーキュラーが発行されると日付が入る。それが正式な命名日となる。それが出ないと我々も正式な命名日はわからない。

NVSさいとう:現在地球スイングバイに向けてコースニングしていると思うが状況を知りたい。スイングバイ前に名称決定したことへの感想を

津田:はやぶさ2の地球スイングバイは12月。イオンエンジンの噴射は完了して計画通りの軌道に乗っている。現時点の距離は2000万キロ。秒速5キロ強で進行中。地球に近づくと位置や速度の測定精度が上がっていく。それによって軌道を微調整するのを11月に予定。今は測定と軌道計画の最中。
地球スイングバイが近づけばいろいろご報告できるだろう。そのとき「1999JU3」ではなく「リュウグウ」と言えるのは我々としては言いやすいし名前を知っていただく意味でもよいタイミングであった。
3か月かかると思っていたので締め切りからすぐにMITのリニアチームに提案したら予想以上に早く進んで感謝している。

毎日新聞永山:MITチームに提案したときの選考理由にプレスリリースから追加することはあるか

吉川:基本的にはリリースと同じ。IAUに提案してもらう文章、4行くらいをリニアチームのOKをもらった。

永山:その内容は

吉川:「Ryugu」という名前の由来、日本の昔話で海底にある場所へ行って帰ってきた。これがはやぶさ2のサンプルリターンと同じであるというような内容。

永山:一般の方は浦島太郎はめでたしめでたしではないという理解だと思う。津田さんがいい話と考える解釈とは

津田:年を取るのは悪いことではないと思っていて、時間を前に進めるということ。惑星科学や生命の歴史をひもとく歴史を前に進める。それがはやぶさ2の目的。
我々の知識が年を取るというふうに考えられたらと思う。

ニッポン放送はたなか:「Ryugu」は海外で「リュウグウ」と読めるのか、そのあたりでスペルを調整などしたか

吉川:我々としてはこの「Ryugu」がいいと思って提案した。リニアチームからは異論はなくこれでよいのだと思う。

毎日新聞さいとう:資料内、4~5ページに命名規則があるがこれはIAU内のものか

吉川:その通り。

さいとう:戦争に関係するものは100年経過後とあるが

高柳:選考委員ではこの規則をそれなりに考慮した。「やまと」ならその理由を説明しなければならずそこが難しいのではないかという議論があった。命名規則だけから「やまと」をリジェクトしたわけではない。

さいとう:浦島太郎の伝説はは国際的に有名なのか

津田:ちょっとわかりませんが、浦島太郎伝説は日本の神話にもとづいていてそれが民話に転じたものと認識している。日本の代表的な神話に由来しているといえるのでは。
世界中の人が知っていることが条件ではない。

高柳:日本の神話と説明しているのでそう理解されていると思う。

(聞き取れず):今後の成功に向けての抱負を

津田:チームにとってはたいへんやる気が出る、行きたくなる名前をつけていただいたので目の前の地球スイングバイを成功させ、無事リュウグウ方向へ向けていく。小惑星に行くまではイオンエンジンの噴射や光学探査などたくさんのハードルがある。ひとつひとつ進めていきたい。

吉川:今回のミッションはとても長い。リュウグウ到着は2018年夏。まずは到着しなければ。気を抜かず。壇上にあるおだんご、このくらいしかリュウグウのことはわかっていない。ぜひとも探査機が到着してもっと精密な形になることを期待している。


(image credit:JAXA

ライター喜多充成:リュウグウのマッピングについて。イトカワのときは由野台などつけていた。今回はどうなるか

津田:イメージしやすくなったといえばそうかもしれないがすべて竜宮城関係でつけるとは考えていない。

NVSさいとう:リュウグウに着いてから探査を1年半続けるが、これは適切か。イトカワのときは3か月しかなかったが

津田:はやぶさに比べたら今回は格段に長くなっている。今回は科学を重視するミッション。はやぶさは工学的ミッションだったのでとにかく行って帰ってくることが重要だった。科学者に言わせればもっと長くと思うかもしれないが1年半は適切と思う。
リュウグウに滞在できる期間は軌道力学的に決まってくる。少し長くとか少し短くといったことはできない。これより長い往復タイミング、短いタイミングを考慮して1年半が適切と考えた。

吉川:サイエンス的には1年半でも短いと言われてしまう。1年半をどう使って最大限の成果を得るかが悩ましいところ。

さいとう:着いてしまえばあっという間か

吉川:やりたいことがたくさんある。データの伝送に時間がかかる。リュウグウに長く残りたいがカプセルを手にするのが遅くならないようにしたい。その点でも1年半は適切と思う。

(以上)