GPM主衛星の初画像に関する記者説明会

日時と場所

  • 日時:2014年3月25日(火)14:00~
  • 場所:JAXA東京事務所プレゼンテーションルーム

登壇者

  • JAXA GPM/DPRプロジェクトマネージャ 小嶋正弘
  • 情報通信研究機構NICT) 電磁波計測研究所 所長 井口俊夫
  • JAXA 地球観測センター 技術領域リーダー 沖理子

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  • 【放送予定】3月25日(火)14:00~ GPM主衛星の初画像取得に関する記者説明会【JAXA】 | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-(http://blog.nvs-live.com/?eid=192

資料

図1 二周波降水レーダ(DPR)による降水の三次元分布。画像クレジット:JAXA/NASA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140325_gpm_j.html
図2 GPMマイクロ波放射計(GMI)による降水の平面分布。画像クレジット:NASA/JAXA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140325_gpm_j.html
図3 左:平成26年3月10日22時の静止気象衛星の雲画像(グレースケール)にGMIの36.5GHz水平偏波チャンネルの輝度温度観測を重ねたもの。画像クレジットはNASA/JAXA(雲画像データはJMA/NOAA提供)。右:同日21時の実況天気図(気象庁提供の原図に着色・編集)。日本の東側にある発達した温帯低気圧をGPM主衛星が捉えた。
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/images/20140325_gpm_03.jpg
図4 DPRの二つの周波数による観測の違い。左:DPRによる地表面の降水の強さの分布。右:左図の黒線ABに沿った、Ku帯(13.6GHz)によるレーダ反射因子の鉛直断面図(上)とKa帯(35.5GHz)によるレーダ反射因子の鉛直断面図(下)。横軸は左図中のA点からの距離、縦軸は高度(km)。画像クレジット:JAXA/NASA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140325_gpm_j.html
図5 GMIの13周波数チャンネルによる輝度温度。画像クレジット:JAXA/NASA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/images/20140325_gpm_03.jpg
[JAXA]GPM主衛星 二周波降水レーダによる初観測画像~雨雲スキャン~
GMI初画像の動画(NASA作成)

GPM/DPRの運用状況

さまざまなクリティカルな運用を無事終了、地球を指向するようになりGMIに続いてDPRのチェックアウトを開始。

3/5にDMIオン、チェックアウト。DPRのオン、チェックアウトは3/9から。

現在は性能の確認中。

DPRの特徴は2周波で観測でき高精度、高感度に雨を観測できる。TRMMは観測軌道の関係で亜熱帯まで観測、DPRは南北緯度65度まで観測可能。

初画像を公開。TRMMでは行けなかった北緯40度くらいの画像を公開。

(取得画像をもとにした動画を視聴)

GPM/DPRが取得した初画像について

降水の3次元分布

図1は図3左図の中央あたりを帯の長辺を断面にして西側から見たもの

図1 二周波降水レーダ(DPR)による降水の三次元分布。画像クレジット:JAXA/NASA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140325_gpm_j.html

雨雲スキャンレーダーという呼び名をつけたように立体的に雨雲システムをスキャンできている。

図2はGMIの観測。走査方向はDPRの3倍くらい広いが立体的な情報を得られない。GMIとDPRを合わせて精度を上げる。

図2 GPMマイクロ波放射計(GMI)による降水の平面分布。画像クレジット:NASA/JAXA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140325_gpm_j.html

レーダー反射因子は降水量に変換する前のデータ。

Ku帯とKa帯で見えているものの違い

気象学的な面白さとしては固体(雪)と液体(雨)が混ざっているみぞれのような場所(融解層)はレーダーに強く出る。

図4のA側で低くB側で高くなっている。暖気と寒気の状況を示しておりA側は融解層が地上に接触=雪が降っていると推測できる。

図4 DPRの二つの周波数による観測の違い。左:DPRによる地表面の降水の強さの分布。右:左図の黒線ABに沿った、Ku帯(13.6GHz)によるレーダ反射因子の鉛直断面図(上)とKa帯(35.5GHz)によるレーダ反射因子の鉛直断面図(下)。横軸は左図中のA点からの距離、縦軸は高度(km)。画像クレジット:JAXA/NASA
http://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140325_gpm_j.html

レーダー反射因子から降水量推定をすると3次元的なデータになる。

TRMMとの違いは40度付近の低気圧を観測できたこと。中緯度、高緯度にかかる降水システムを観測できる。

雪と雨、降水粒子の情報を取得できるようになり観測の精度向上。

各種の研究への寄与、温暖化研究など。

質疑応答

赤旗新聞なかむら:図4でどこが融解層か

沖:この濃さが大きく変わっているところ。

なかむら:みなさん各専門の見地から感想を

小嶋:DPR全体の観測を担っている。ちゃんと動いて絵が取れるところまで来てほっとしている。

井口:わたしも設計段階から携わっている。設計通り動いていることに喜び。仕様に対して地上試験ではKu帯は性能がよかった。上がってからどうかと思ったがやはりKu帯はいい。今後が楽しみ。

沖:わたしはデータ解析係なので最初のデータが我々のセンターに入ったときみんなと待ち構えた。スキャンのヌケなどがなく正常にきれいに動いているのを見てハードウェアの方からは当然だと思うかもしれないがそういうことがすばらしく、センター内で手を取り合って喜んだ。
今後の解析が楽しみ。

なかむら:面白い現象というのは

沖:人工衛星は低気圧を大きなシステムでとらえられる。地上のレーダーではあのようにきれいには撮れない。

井口:地上のレーダーは遠くほど解像度が下がりますから。
TRMM以上の成果をという使命感、義務感をばねにやってきた。今後大変かもしれないが。

朝日新聞ともおか:ブライトバンドの関係。降水が強くて赤くなっているところと融解層で赤くなっているところはどうやって弁別しているのか。また降水が強いところは雨雲が厚いといっていいのか

沖:2つめの質問から。(雨があるということは雨雲があるということ?)雲だけで雨をともなわない雲もありそれは雨雲とはいわない。
これで見えているのは雨雲。

井口:「雨雲」はあくまで雲を指している。雨が降っているところは雲とは異なる。
ライトバンドについて。ぼたん雪は半分溶けている。氷と水では電波の吸収率や反射特性が全く違う。氷を電子レンジにかけるとなかなか溶けないが水になったところは急激に温まる。
ぼたん雪のような粒の大きさの違いが大きい。大粒はすぐに落ちるため密度が下がる。これがKu帯。
Ka帯では電波の反射効率が下がるためブライトバンドはきれいには出ない。

NVS斎藤:DPRとTRMMを見比べてどう違うか、どうすごいと思ったか

沖:いつも見慣れているのがTRMMのPRの画像。DPRでもついKuを見てしまう。同じかそれ以上にきれいなので、たぶん複合的な効果で全体がアップしていてきれい。

斎藤:Kuのデータ反射因子の画像。前線において雨の降り始めの高度がよく見えているというものなのか。

沖:図4はどちらかといえば寒冷前線ではなく温暖前線。降り始めの高度について。前線は降り始めの領域がななめにある。その境界が見えているものと思う。

斎藤:GPM計画全体の進捗としてはどうか

小嶋:GPM主衛星は計画の中核。半年ほどかけてデータの取得と校正。そして一般にデータ提供を始める。
本来かかげている目標に近づいてきている。

共同通信すえ:図1は生のデータなのか

沖:降水強度を推定するところ、アルゴリズムを通した結果。

井口:衛星から来たデータそのものからこの絵ができているわけではない。図1は2周波を使った降水推定アルゴリズムにもとづく画像。

小嶋:KuとKaの2つの周波数で同じ雨を観測するのが重要なこと。図1は校正など十分ではないが2周波から雨を求めたということ。今後、推定制度を向上させていく。

すえ:降水推定精度が上がったとなると図での違いはあるのか

沖:細かい数字までは現在調整中。地上のデータと突き合わせてみるなど。
一番細かく見えているところはTRMMよりずっと細かい。

井口:わたしが画像を見た経験では上空のわずかな雲がより広がっていると感じた。前のTRMMでは見えなかったものが見えるようになってきた。

すえ:降水が強いところ、上空の雨が降っているところを示しているということか

沖:その通り。雨雲の形とは異なる。

フリーランス秋山:今後校正を進めていく上での課題、どこを調整するか

小嶋:まずエンジニアリング的な校正。地上に受信機と送信機を置きDPRからの電波を受けて強さを調べる。送信電力がちゃんと出ているかを見る。地上から電波を発信しDPRの受信系の感度が仕様通り出ているかを見る。
絶対値が所定の数値内に入っているかということ。

井口:アルゴリズム側からするとパラメータを推定することになりその確認。降水強度の推定。これはTRMMでもやったがDPRで精度が上がっていることを証明したい。
雨粒の大きさの情報を得られると話したが実際にできているのか。
雪と雨について。雪と分かっているところで降水強度を測定できているか。
北海道のほか北国、カナダや北欧などの協力も得ながらパラメータ推定をしていく。これは半年以上かかるものもある。

沖:熱帯ではTRMMで検証したが日本でうまくいったからといってほかの国で同じようにいけるかわからない。
センターの仕事は降水推定が妥当にできているかの検証作業。これから比較検討していく。

読売新聞のより:観測している領域の横幅は。データ提供にどういうところを想定しているのか、どうやって提供するのか。

沖:観測幅は250キロ。図4のAとBの範囲が750キロ。
ユーザーについては、ユーザーにいくつか段階がある。校正や検証が済んだデータをJAXAのデータ配布のシステムを使いデータをダウンロードしてもらう。
研究や教育のほか、数値天気予報に使うユーザーには準リアルタイムでデータを出すようにしている。
GPM計画の目的はほかの衛星も使って全球的な降水観測をすること。
洪水が起きそうな所へデータを配信するなど。

(以上)

ぶら下がりで聞いた話

(今村の理解不足で間違っているかも)

Q:そもそも雲と雨の違いは? 霧雨をとらえることはできるのか

A:粒子が小さく、上昇気流で落ちてこない水滴が集まったものが雲。粒子の大きさで雨になることが決まるわけではなく、上昇気流が強いと上空で大きな氷塊になりひょうとして降ってきたりする。DPRは粒子の大きさとしては10ミクロン以上のものをとらえる。

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