ISS「きぼう」ミッションステータスブリーフィング+「きぼう」利用勉強会(宇宙医学研究:生物学的リズム研究)

配付資料

以下は取材時のメモです。

「きぼう」運用状況

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軽微な水もれ
HTV3が上がったあとのタスクを地上から、の準備

■2011年
シャトル退役7月
HTV飛行運用
古川聡ミッション達成
ICS通信チャンネル復旧、勾配炉実験開始

■2012年
星出ミッション
HTV3(2012年度)

「きぼう」利用状況

二次元ナノテンプレート実験実施中
HICARI実験準備中…勾配炉の問題で延びていた
→通信異常あり原因調査中
マランゴニ対流実験
たんぱく質結晶生成実験

成果が少しずつ出始めた1年間

HTV2で上げた2つの実験ラックを準備進行中→星出飛行士が引き継ぐ
新たな補給体制の確立

質疑応答

読売新聞きむら:水もれについて。きぼうの中の米国実験ラックということか。
横山:その通り。
きむら:どうなったのか。
横山:実験ラックの引き出しを出すときに水質検査のための水を取るアダプタが干渉したらしくその直後から水もれを把握。つくばからモニタ。
きむら:センサがあるのか。
横山:その通り。
きむら:宇宙飛行士の作業が発生したのか。
横山:確認中。
きむら:水が飛び散ったなどはないのか。
横山:ない。ふきとった。
きむら:ドラゴン計画について。
横山:2月初旬ドッキング予定。荷物は少ないが離脱して帰還まで。
きむら:日本の荷物は。
横山:どういう環境かを測るための小さな計測装置を積んでいる。積んだ荷物がどういう環境にさらされるかわかる。
きむら:今後の利用を見通してということか。
横山:その通り。荷物はICSという中継衛星との通信装置、故障部分を分析して特定できたため持ち帰る。それを分析の上新しい装置を上げなくてはならない。
きむら:星出ミッションではどういうことをするか。
横山:きぼうウィークリーニュースにあるが…小型衛星放出、医学実験(古川ミッションでやった)の次のフェーズ。そのほかはまとめて説明する機会があるだろう。
きむら:船外活動は。
横山:決まっていない。できるものはやってほしいと思っている。

時事通信いまい:こうのとり3号機の打ち上げが遅れることになったがきぼうでの宇宙実験への影響は。
横山:基本的には影響はない。遅れた大きな理由は最後のスペースシャトルという追加ミッションでたくさん運んだ。ATVも飛んで当時は供給過剰のきらいがあった。

産経新聞おの:HTVは1年度に1機という話だったが、2012年度は4号機も上げるのか。
横山:技術的な理由としては一度上げて次を上げるのに10か月かかる。年度内にもうひとつ上げられるかは3号機の結果次第。
おの:いずれかの年度で2機上げることもあるのか。
横山:NASAとの協議の中で考えられる。
おの:ソユーズとドラゴンで回収する資材の重さは。
横山:数十キロ、4機で200キロ程度ではなかったか。正確な数字は今ここには持っていない。
おの:シャトルと比べると。
横山:シャトルはトン単位だから…ドラゴンは2トンと計画しているそうだ。どのタイミングになるか、見ながら計画している。

利用勉強会(宇宙医学研究:生物学的リズム研究)

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JAXANASAの倫理委員会の承認で行われた
ゆらぎを解析することで概日リズム(サーカディアンリズム)をはかることができる
ホルター心電図で記録、RR間隔に24時間の周期がみられる
測定機器はHolter ECG(FM-180)を宇宙飛行士に取り付ける。記録された心電図のRR間隔、心臓の1回の拍動を記録。RR間隔の時系列データを得る
どのような周波数成分が含まれるかを分析、10秒周期(LF間隔)と3秒周期(HF間隔)
呼吸をして肺がふくらんだときたくさん空気が入り心臓が早く動く、息を吐くときは心臓はゆっくり動く
睡眠中にHFが高くなるとわかっている。睡眠や休息の質に関係するとわかっている
LFは緊張の度合いの指標になると言われている(圧受容器反射の感受性)

HFとLF成分の変化
24時間の中にひとつピークと底がある(24時間でゆらいでいる)

体内のサーカディアンリズムが飛行前、滞在中、帰還後の飛行士に不整脈などの悪影響を与えるか知りたい

DF1、(1か月後に)DF2、(帰還30日前)DF3

150日以上の長期滞在者を対象にした

実際のRR間隔の24時間記録
つくばJAXAでダウンリンクして解析
大きく24時間でゆらいでいることがわかる

滞在後期は24時間の正確なリズムが出ている
飛行前はサーカディアンリズムがばらついている→滞在が長くなるにつれて強くなる
リズムの量の変化→6人のうち4人でリズムパワーが明瞭に出ている

HF成分(休息の質にかかわる)の比較。
飛んだ直後は外界の変化の影響からか減るがだんだん改善していく

LF/HF比
平均としては宇宙にいるからといって過緊張状態とはいえない。後期は地上にいるのとあまり変わらない

宇宙に行ったとき90分で一周するからサーカディアンリズムは乱れるかと思われたがむしろきれいになっている。船内のスケジュール管理が厳密だからかも。
生体リズムがなぜ徐々に回復してきたのかは今後の研究で

質疑応答

メディカルトリビューンすやま:サーカディアンリズムの乱れについてもう少し詳しく。
山本:リズムの乱れは脳梗塞の発症を高くするなどがわかっている。生活習慣病については動物実験では比較的明らかになっている。リズムをノックアウトしたマウスでは中性脂肪が増えたりする。ヒトについては糖尿病患者の時計遺伝子の発現分布が崩れているなど。
すやま:時計遺伝子の働きが重要?
山本:注目されていてそういう研究が増えている。