電力館の思い出

渋谷の電力館が5月いっぱいで閉館していた。

電力館」 は、平成23年5月31日をもちまして、

閉館いたしました。永らくのご愛顧ありがとうございました。

電力館ホームページ

地震の少しあと、そういえばやっているのかなとサイトを見に行ったら「休館中」だったのを覚えている。おとといまたふと確認してみたら、上の「閉館のお知らせ」にさしかわっていた。

シブヤ経済新聞にいきさつが載っている。

全館リニューアルに向け、昨年4月から段階的に改装を進め、今年3月20日にグランドオープンを予定していたが、東日本大震災の影響を受けオープンを延期。営業を再開することなく、今回の閉鎖が決まった。

渋谷「電力館」が閉館−東電、福島第一原発事故受け改装再開断念 - シブヤ経済新聞

ところでこの記事は昨日付なのね。閉館を決めたのがいつなのかを知りたい。

Googleのリアルタイム検索で「電力館」を調べてみたらわかった。

6月6日のツイートに「しばらくの間臨時休館」の貼り紙がある。この段階ではまだ閉館していないようだ。

そして6月8日に「閉館いたしました」の貼り紙が投稿された。

6月6日から8日の間に、5月31日で閉館と決まったらしい。ちょっとモヤモヤする。なんとなく東京電力らしいというか。そしてリアルタイム検索便利すぎ。

それはさておき、電力館にはちょっとした思い出がある。

1990年ごろから、電力館では毎週月曜に無料の映画上映会をやっていた。予備校を抜け出して毎週のように渋谷へ向かい、いろいろな映画をここで観た。

上映されるのは昔の名作が多かった。ヒッチコックキューブリック、「道」、「第三の男」、「アラビアのロレンス」、「イージー・ライダー」、「タクシードライバー」、そのほかたくさん。受験生だから家では堂々と映画を見られないし電力館のチョイスは自分でレンタルする傾向とも違う。なるほどこれは名作だと思う映画もあったしよさがわからない映画もあった。映画を意識して観るようになった時期にとてもいい経験をさせてもらった。

そういえば電力館にはビデオブースもあった。いろいろな映像作品をライブラリから選んで見ることができる。イジィ・トルンカの「真夏の夜の夢」やユーリ・ノルシュテインの「話の話」はここで見たのを覚えている。

映画上映会のほうは、たしか1992年ごろから有料になっている。といっても入場料は100円で、これはどうやら上映会を休憩所にする浮浪者が出てきたからのようだった。

このころは「ホームレス」という言葉はまだ一般的ではない。1992年9月発行の吾妻ひでお『夜の魚』(asin:4872330749)に収録の描き下ろし「夜を歩く」には「ホ○ム○スの人の食い物をかっぱらう」とある(「これは人間としてやってはいけない最底(原文ママ)の行為である」と続く)。そしてこの短編が2005年3月発行の『失踪日記』(ISBN:4872575334)に改めて収録されたときにはもう堂々と「ホームレス」と表記されていたのだった。

ともかく、電力館に行っては電力のことをちっとも勉強せずに帰る時代があった。そんなだから、原発事故のあおりで閉館してしまうのは仕方がないとはいえ残念でならない。その節はお世話になりました。