吉村昭の『関東大震災』を読んだ。今年は関東大震災から90年である。
- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/08/01
- メディア: 文庫
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1923年(大正12年)9月1日の午前11時58分、相模湾を震源とするマグニチュード7.9の大地震が起きた。
関東大震災の模様をどこからどう描くか。この本はこんな内容になっている。
(実際の章立てとは違います)
- 震災前の地震学と前震
- 地震の模様と被害
- 火災、特に3万人以上が亡くなった旧被服廠の被害
- デマの伝播による朝鮮人や社会主義者の殺害
- 遺体処理
- がれき処理
- 各国の救援
- インフラの復旧
- 避難住宅
- 震災後の地震学
吉村昭の文章は冷静で淡々としている。そこが自分にはいい感じ。
地震では助かったのに、デマで殺されてしまった人がたくさんいる。ここはずいぶん詳しくまとめられている。この時代は朝鮮人だけでなく社会主義者への警戒感が強かった。なにしろ1923年といえばソ連成立の翌年だ。各国からの救援物資のうち、ソ連からのものは断ってしまったということも書かれている。そういう大正時代の世相もわかって興味深い。
(9月19日記)