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自首をするのもひと苦労

去年の大みそかに、オウム真理教平田信容疑者が丸の内署に出頭、逮捕されたというニュースがあった。出頭を決意したのは、震災の様子を見て思うところがあったからだという。

その後、自首してきた容疑者への警察の対応がなかなか面白いというのでそちらが話題になっていた。

  1. 情報提供を呼びかける電話番号に連絡して本人を名乗ったが相手にされなかった
  2. オウム真理教関係の捜査本部がある大崎署へ出向くも、署の入口がわからず引き返す
  3. 霞ヶ関へ移動、警視庁の入口で警備をしていた機動隊員に名乗り出たが「丸の内署か交番へ」と取り合ってもらえなかった
  4. 丸の内署へ出頭、名乗り出たら「本人ですか」と聞かれ「本人です、背が高いです」と答える。ほくろの位置や指紋などから本人と断定、やっと逮捕

お話でよくあるパターンだと、警視庁を追い返されたあたりで「これは天の配剤だ、逃げ続けろということなのだ」と考えを変えたらすぐに見つかって捕まりました、という流れになりそうなところ。

それにしてもこれは「日本の警察はたるんでる」という話になるのかな、いたずらが多くてしかたがないのかも、と思ったら警視庁の警備に関してはいたずらどころではなかった。

これ、私も機動隊員の気持ちが分かりますよ。


警視庁本部の正門前は、皇居のお堀に接しているので、ちょっと他の警戒ポイントとはわけが違うのです。

それは、・・・電波系がよく来る場所。

私も機動隊時代は、あのポイントによく立って警戒していましたからわかります。

機動隊の事情と平田の自首 | 外国人犯罪の増加から分かること

なるほど。上の記事では具体例がいろいろ紹介されている。

いたずらだったらきつくお灸を据えればすむかもしれないが、そっち系の人は自分が嘘を言っていると思っていないのだからある意味もっとやっかいだ。

考えてみれば、身分証明書があれば本人といえるかというとなかなかそうはいかない。自首しても本当に本人なのかを確認するのは難しいものだ。

余談というか気になったのは、平田容疑者が逃げ続けた動機に、警察庁の国松長官狙撃事件があったこと。「自分じゃないのに犯人扱いされていたのが恐ろしくて」と語っているそうだ。

狙撃事件は時効が成立しているが、それにあたって警視庁は「オウム真理教が犯人だと信じている」と異例の発表をしている。裁判で有罪とされるまでは人を無罪と扱う「推定無罪」が今の社会の原則だ。警視庁の発表はその原則にそむくもので、異様なものを感じた。

オウムなのだから犯人扱いされても仕方がないと思うだろうか。もしそうなら、身に覚えのない犯罪のぬれぎぬを着せられることなど、自分に限ってあるはずがないと根拠なく確信していることになる。たくさんの冤罪事件を見れば、そのように脳天気ではいられないことがわかるだろう。

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