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共同出版ビジネスの会社が訴えられる

【元記事:共同出版ビジネスの会社が訴えられる:d:id:manpukuya:20070705:jihi

こういう形の自費出版共同出版協力出版)は、個人的にはまったく勧めない。ISBNを取得せず同人誌として自費出版するならともかく、わざわざISBNを取得して、全国の書店に流通させる商法に向く本はとても少ないと思うからだ。

だから以前も書いたように、「本を出したいのだが」といった相談に対しては、基本的にこう答えることにしている。

「一般の書店で売ることにこだわらないのがよいと思います。同人誌のような体裁の冊子として必要な部数だけ作って、関係の方々に配っては」。

まんぷく::日記 - 「本を出す」より「本を作る」ほうが好ましい

共同出版を利用する著者に対して、もっと厳しく書いているのが下の記事。

そもそも、「素人の書いた本が、なぜ書店に並ぶのか」ということを、お金を払う前によく考えることが重要です。夢と希望を想起させるようなウマい話には、ウラがあるということは、マスコミで報じられるマルチ商法やらキャッチセールスなどの事例から、多くの人がすでに知っていることでしょう。

(中略)

もう一度、書きます。「素人の書いた本が、なぜ書店に並ぶのか」。「共同出版」の契約に捺印する前に、そのことを考えてください。ネットで調べる。消費者センターに問い合わせる。知人にたずねる。そして、すこしでも疑問があるのなら、判子を押してはいけません。押してしまったら、トラブルの際に出版社側は、ひたすら「私たちは説明した」「著者の自己責任だ」と主張するに決まっています。

(中略)

自費出版社の巧妙な話術や戦術に抗い、納得のいくかたちで素人が本を出し、書店に並べてもらうためには、一定水準のリテラシーが必要不可欠だと思います。その水準とは、しつこくて申し訳ありませんが、「素人の書いた本が、なぜ書店に並ぶのか」を徹底して考えてみるということに尽きます。

おそらく、わけもわからず契約書にサインしてしまう人がたくさんいるため、出版社側の言動に詐欺的な部分があったとしても、泣き寝入りしている著者が多数いるにもかかわらず、そういった人たちが表面化してこないのでしょう。契約させてしまえば、あとは著者の自己責任で、トラブルがあっても出版社側が免罪されるようなシステムを、自費出版社側も巧妙につくりあげているのでしょう。

そんなシステムを見抜くようなリテラシーを、自費出版を希望している著者の方々には持ってもらいたいですね。個人的には、そんなシステムで商売をしている自費出版社はマズいと思います。また、そういう出版社の本を並べている書店にも、自費出版社のそんなシステムづくりに加担している責任がないとはいえません。

でも、契約書に捺印してしまったら、そうしたおかしなシステムに巻き込まれてしまったとしても、著者の自己責任に還元されてしまう可能性が高いんです!

書籍出版 双風舎 - 自費出版と自己責任

「『本を出す』より〜」で紹介したこちらの記事も、改めてリンクしておこう。

書店の棚は有限である。新刊は一日に百種類以上、文芸書はその一部とは言えかなりの数である。陳列するというのは在庫するという事であり、本屋は借金をして店に本を置くのである。ならば売れる可能性の低い本より、少しでも確率の高い本を選ぶだろう。それが商売人として当然の感覚だ。

自分が読者として本屋に行った時の事を考えて欲しい。聞いた事も無い著者の、良く知らない出版社の、造りの安っぽい本(そのくせ値段は1000円以上しっかりする)を買うだろうか? 本屋には他にもたくさんたーくさん本があるのに?

メモを手にしたお客さんに問い合わせを受ける。聞いたことないタイトルと著者。出版社を聞いて納得。「ああ、自費出版か」

在庫が無いと答えると怪訝な顔をされる。「著者に本屋にあるって聞いたんだけど」…知人に買わせようとするのはどうか、と。それだったら同人誌で安く仕上げて、ただで献本した方が友情には有益と思うんだけどなー。

本屋に流通と聞いて、自費出版の著者は自分の本が村上春樹とかの本の横に平積みされている様を夢想するのかも知れない。でも、ありえないから。全国に無数にある書店に配本してもらって、その上で平積みしてもらうにはどれだけの部数が必要か一度計算してみると良い。結構絶望的な数だから。ああいう出版で万単位の部数、刷れるのかな?

(中略)

もちろん自費出版の著者は真摯なのだろう。自分の作品が傑作だと信じているに違いない。お金を出してでも世に問いたいという心理なのだと思う。

でも自信があるなら、普通の出版社に持ち込むべきだ。一社が駄目でも、二社三社、安易に金を出さず、足を棒にして出版社廻りをして欲しい。それでも駄目なら、まず自分の作品を疑ってかかるべきだ。

もし本当に傑作なら、金など要求せずに、一緒に本を作りましょう!と言ってくれる編集者がいるはずだよ。

自費出版の本が売れる訳ない! (のべるのぶろぐ 2.0)

こういう話題の流れで紹介するのは厳しいかもしれないけれど、「『本を出す』より〜」がこんなエントリのコメント欄からリンクされていた。

コメント欄に、「共同出版はやめなされ」という意見の人がいろいろ書いている。

自分としては、一般の書店に本が並ぶということそのものが、厳しい予選(企画提案や賞への応募、持ち込みなど)を勝ち抜いた証明であってほしい。お金を出してシード選手になろうとする人も、それを助ける商売も、決してよいこととは思えない。

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