大山顕写真展「日本の美しい景観」と「ロケット交流会2012」に行ってきた。
- 「住宅都市整理公団」別棟 : 2012年10月31日(水)〜11月4日(日)写真展やります!(http://blog.livedoor.jp/sohsai/archives/51932730.html
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- 「住宅都市整理公団」別棟 : 「日本の美しい景観〜大山顕写真展〜」順調に開催中(http://blog.livedoor.jp/sohsai/archives/51935024.html
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- ロケット交流会への展示、参加のお誘い(http://manned-rocket.jp/219.html
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どちらも明日までなので、ちょっとでも気になる方はぜひ行ってみるとよいのではないでしょうか。どちらも無料です。
(ここからたまには日記調で)
まずは「日本の美しい景観」展。みなとみらいへは渋谷から東横線で。
この風景も来年3月までですよ。
「日本の美しい景観」展はみなとみらいギャラリーで。
さてこれは開催中なのか準備中なのか? ジャンクションだけ準備中なのか? 答えは「全部開催中」でした。「準備中」だったのは12時半に写真を撮る定時観測企画「瞬間写真」(Twitterのハッシュタグ「#shoot1230」でやってます)の展示をする予定だった(そしてあきらめた)からのもよう。
展示はこんな感じ。
展示されていた写真は20点から30点くらいで、写真展としては決して多くない点数。だけど一枚一枚の情報量が多いからじっくりと見ることになり、全部鑑賞するのに1時間以上かかった。
大山さん(@sohsai)の写真は基本的に引いて撮影されている。たとえばこんなふうに。(クリックすると大きな画像へ)
- (©Ken OHYAMA)
パソコンの画面でこういうのを見るとなると、引いた構図で全体を見通したり、細かく見たいところを拡大表示したりする。展覧会のために大きくプリントされた写真を見るのも基本的には同じことで、下がって全体を見たり近寄って部分を見たりする。
にもかかわらず、展示された写真を見るのはパソコンの画面で見るのとはまったく違う体験であると感じる。バーチャルとリアルとか陳腐な表現は使いたくないけれど、細かいところを見るために自分の足で近寄って自分の目でじっと見るのは独特のリッチさがあってよい。近寄ったとき、その写真が視界の外にまで広がっていることを実感できるからかもしれない。
それでいて近寄ったときの感覚は、撮影された場所にいるような臨場感ともちょっと違うからまた面白い。自分の中にある、工場や団地を見たときの記憶はもっと濃密で、音やにおいが含まれているし2つの目で立体として感じ取っているし視線の移動や対象の変化(煙が流れるなど)といった動きもある。それに比べると写真はまさに薄い体験で、対象に視覚でしか近寄れない欠落感がそう思わせるのかもしれない。
ともかく、大きくプリントされた写真をじろじろ見るのはいい体験だ。
川崎市市民ミュージアムは1996年11月26日から1997年1月26日の日程で「ドイツ現代写真展 遠・近 ベッヒャーの地平」という企画展を開催した。ベッヒャー(詳しくはキーワード「Becher」を参照)はたくさんの種類の給水塔やタンクや工場などを曇りの日に、白黒で、正面から同じように撮影し、大判のプリントで並べる「類型学(タイポロジー)」という作風の写真家で、これが独特のグルーヴを生み出していて気持ちよい。
- 古書古本 Totodo:ドイツ現代写真展 遠・近 図録 (ベルント&ヒラ・ベッヒャー ヘーファー グルスキー シュトルート 他)(http://totodo.jp/SHOP/F3-045.html
)
- 古本・古書買取の小宮山書店 美術・写真集・文学などの特集 ドイツ写真(http://www.book-komiyama.co.jp/feature_list.php?feature=29
)
- ベッヒャー派 | 現代美術用語辞典ver.2.0 β版(http://www.artscape.ne.jp/artwords_beta/ベッヒャー派
)
- 「ドイツ現代写真展」を特集した「美術手帖」(1997年3月号):古本・古書の買取・販売 小宮山書店 美術手帖 特集 ドイツ写真 ベッヒャー以後/写真集(http://www.book-komiyama.co.jp/booklist_detail.php?item_id=18594
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「ドイツ現代写真展」では一見なんでもないような写真を超大判でドーンと見せられてクラクラする感覚を味わえた。「日本の美しい景観」でもそれに近いものがある気がした。
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大山さんに聞くと、「ドイツ現代写真展」で感じるところがあって工場や団地の写真を撮り始めたという話。「当時はHIROMIXや蜷川実花がブームだったがちっともよいと思えなかった。あの展覧会でベッヒャーの写真を見て救われた気分だった」だそうだ。
会場にいらしていた方ともお話をした。文具王こと高畑正幸(@bungu_o)さんと「ニセドイツ」研究のnoby(@nob_de)さん。
高畑さんは「TVチャンピオン」の文具対決で3回チャンピオンになったまさに文具の王。
- B-LABO|文具王・高畑正幸公式サイト(http://bungu-o.com/
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文具の楽しさをいろいろ語ってくれて、今朝オープンしたという文具のネットショップも紹介してもらった。「商品の説明を作るのが大変で、商品がまだ1点しかないんです」。
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こうやってAmazonにリンクしてしまうとAmazonのほうが安いしそっちで買いそうになるけれどちょっと待って、こっちを見てみて。
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文具王のページでは文具王ならではの濃いうんちくが山盛りになっている。工業製品にこれでもかと詰め込まれた工夫が開陳されていて読み応えがある。おまけにここで買うと文具王の手書きで緻密な解説書までついてきちゃう。ステマではありません。アフィリエイトも仕込んでいません。
文具のお話をうかがっていて、文具は誰でも使うものだから共通の話題にしやすいし工業製品としても安くて身近なのがいいところだ、という話になった。これが工場や団地ではおいそれと買うわけにはいかないし買っても自分の家で楽しめるわけではない。大山さんは「持って帰って楽しむことができないから代替行為として写真を撮っている。全部を持って帰りたいから引きの構図になる。写真に撮りたくて撮っているわけではない」と話していて、これも面白いと思った。
高畑さんは文具のことだけ考えている人ではなく、街を見る目をいろいろ持っている。
- 顔に見えるものコレクション
- くり返しものコレクション
- オジギビトコレクション
- 悪い人コレクション
(powered by Webstagram - the best Instagram viewer:http://web.stagram.com/n/bungu_o/
)
特にくり返しものは自分も好きなのでシンパシーを感じました。勝手に。
- わたしのくり返しものコレクションその1:Imamura's fotolife - タグ「くり返し」(http://f.hatena.ne.jp/Imamura/t/くり返し
)
- わたしのくり返しものコレクションその2:manpukuya's fotolife - タグ「くり返し」(http://f.hatena.ne.jp/manpukuya/t/くり返し
)
ところで大山さんは今回展示に使ったプリントを販売するかどうか迷っていたようですが、わたしはこれがほしいです。くり返しもの大好き。
- (©Ken OHYAMA)
さて、もうひとかたは「ニセドイツ」のnobyさん。
- 『ニセドイツ ≒東ドイツと西ドイツの製品史』の補完ブログ(http://nisedeutsch.blog112.fc2.com/
)

ニセドイツ〈1〉 ≒東ドイツ製工業品 (共産趣味インターナショナル VOL 2)
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おっ、本では「共産趣味」の言葉が使われている。これはid:warszawaさんご存じかも。
ドイツ製というと日本では品質の良さというイメージがあったりする。またサッカーや原発廃止などで、この1年ほどの間にドイツの露出が増えてきているという。オクトーバーフェストなんてのも数年前からありますね。人間は露出が多いものには無条件で好感を抱くもので、最近はドイツへの好感度も上がっているとのこと。
ところが実際のドイツはちょっと違っていて、そういうところを研究しているのがこの方なのだった。
たとえば文房具は高級なものとそうでないものの差がはっきりしていて、安いものは本当にすぐダメになる。日本は安いものでも最低品質の底があまり低くなく、ドイツとはずいぶん感覚が違う。
文具王さんとはホチキスの原理が拳銃の銃弾装填機構由来であるという説の真偽について議論しており、お互いの専門知識で熱く語り合う姿がすばらしかった。展覧会というイベントで結びついた方々。いいですね。
とかやっていたら14時になってしまい、あわてて早稲田の理工へ。渋谷から副都心線。初めての副都心線。来年3月からは東横線から直通で行ける副都心線。
渋谷の真新しい地下通路。
そして西早稲田駅の改札から徒歩0分で早稲田の理工学部に到着。こりゃ便利になったものじゃ。
理工学部の敷地では山手線側の端にある63号館の、そのまた山手線側の端にあるエントランスで、日本の民間宇宙開発が一堂に会していたのだった。
なつのロケット団の液体燃料ロケット「ゆきあかり」。到達高度1001メートルという記録は法規制で高度1キロまでしか上げられないというのでぴったりを狙ったもの。すばらしい精度です。
ほかにも能代ロケットイベントの紹介や先日の「ロケットまつり」でお話をうかがったペンシルX、東工大や東海大のハイブリッドロケット、北大のCAMUIロケットなども集まっていて、なかなか壮観な眺めになっていた。
なつのロケット団が上映していた燃焼実験や打ち上げ実験のビデオを15分くらいじっと見ている頼もしい小学生がいて「あすのロケット団」と呼ばれていたとか、なかなか楽しい雰囲気なのだった。
会場ではミニ講演が随時行われているほか、明日の4日は宇宙機エンジニアの野田司令こと野田篤司さんのトークもあるもよう。
さてそろそろ帰りましょう。
建築学科もある早稲田の理工の建物だから、段々がある柱もちゃんと理由があるのだろう(けど理由は知らない)。
帰り道のいい感じの風景。
ちょっといい感じの連絡通路。
とかなんとか撮りながら帰宅。今日は濃かった。この日記もやたら長くなってしまった。皆さんとは今後またなにかできるといいなー。
- そっち方面の皆さんに宣伝
- ロケットまつり56に出演します:次回、ロケットまつり56のお知らせ(http://rocketfes.com/post/34028599254/56
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