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キーケットへ行ってきた

22日(土)にキーボードマーケットトーキョー、略してキーケットへ行ってきた。キーボードに関する即売会である。

自分が常用するキーボードはすでに自作し完成しているが、新しいものや面白いものを探す感覚で。


電磁石でキーの重さを変えられる「MagLev Switch Force Feedback」


一般に市販されているキースイッチでは、キーを押すときの重さは主にキースイッチ内のばねの強さで決まる。ばねを交換すればキーの重さを変えることもできる。「famichu」はばねの代わりに磁石を仕込んだキースイッチ「MagLev Switch」を作っている。磁石の反発力でキーを浮かせていて、それがキーを押すときの重みにもなるしくみ。

「MagLev Switch Force Feedback」は電磁石を用い、キーの重みを可変にしたもの。触ってみると、確かに設定によってキーの重さが大きく変化して面白い。システム全体がこのサイズになっているのは電磁石の冷却に必要だからで、これを普通のキーボードに組み上げる場合、うまく冷やすしくみが必要とのことだった。

電磁石なので電源を切るとキーの軸が下にストンと落ち、電源を入れるとスコンと持ち上がるのがいいギミックだった。これがキーボードだったら朝電源を入れると「ザッ」と全キーが持ち上がることになる。考えるだけでかっこいい。

PLAフィラメントの廃材をキーキャップに再生するプロジェクト


FDM方式の3Dプリンタを使っていると、フィラメントの端材がよく出てくる。通常捨てるしかないが、ysklabではキーキャップへの再生に利用している。

PLA素材の不要なフィラメントを集めて溶かし、アルミ製の型に押し込む。キーキャップの軸は精度が必要なので0.2ミリのノズルを装着した3Dプリンタで別に出力しておき、型に押し込むときに接着させる方式となっている。「アップサイクルキーキャップ」と名付けたとのこと。

アルミの型の切削は、プリント基板を製造するJLCPCBの姉妹サイト、JLC3DPで行った。3Dモデリングしたデータをアップロードして素材を選べば加工して送ってくれる。プリント基板や3Dプリントだけでなく金属加工のサービスも一般的になってきて、アイデアを実現するハードルが下がっているのだな。

アルチザンキーキャップのミクロな宇宙

キーキャップをキャンバスにして造形を行う文化がある。そうやって作られた凝った造形のキーキャップは「アルチザンキーキャップ」と呼ばれる。キーケットではキーボードだけでなくアルチザンキーキャップもたくさん販売されていた。ミニチュアものを2つ紹介。


Foodie&Keyは主に食品サンプルを小さなキーキャップの上に展開している。二郎風のラーメン、カセットコンロつきのおでん、ハンバーガー、たこ焼きなど。どれもキースイッチの台座がついており押し込むことができる。もちろん自分のキーボードの特別な場所に飾ってもよい。緻密な仕上がりで見ていて飽きない。


こちらは「しゃちの水槽」が出展していた多肉植物のキーキャップ(上段)。3Dプリントした植木鉢のキースイッチ台もついてきて、キーボードに装着しなくてもスコスコ押せる。造形がとても細かい。下段は金魚が泳ぐ池。

買ったもの

「狭ピッチキーボード」とはキースイッチを通常より狭い間隔で並べたキーボードである。キーキャップもそれに合わせて少し小さいものを使う。狭ピッチだと指が遠くのキーまで届きやすい。「狭ピッチ」の読み方は「せまピッチ」? 「きょうピッチ」? と@takashicompany氏に聞いてみたところ、「自分は『せまピッチ』と呼んでいるけれど『きょうピッチ』でも全然構わない」とのことだった。

買ったのは「Rookey」という9キーのマクロパッド。これは狭ピッチではない。基板1枚を切り離してスイッチプレートとメイン基板、スペーサーにするアイデアがよい。10センチ角のプリント基板はとても安く製造できるので、それをうまく利用している。

https://github.com/takashicompany/rookey/raw/master/images/daihuku/DSC01480_2.jpg

それからこちらも。

企業スポンサーのブースのうち「Lofree」ではお高いキースイッチが割引で買えるとのことで、11時すぎに来たときは購入希望の長い行列ができていた。「最後尾」の札も使われていた。

午後、行列がなくなってから「Hades」を4個買った。冥王の名がつけられた静音リニアのキースイッチである。自分のキーボードのカーソルキーをこれにするつもり。

追記:次回のキーケットは?

次回のキーケットは2026年3月28日に都立産業貿易センター浜松町館(今回までとは別の会場)で開催されるそうです。