- 『moon』公式サイト(http://oniongames.jp/moon/)
今日の「ニンテンドーダイレクト」の中で、「moon」がSwitchに移植されると発表されたそうだ。1997年10月の満月の日、プレイステーション用に発売されてから22年目にして初めての移植である。その間PSアーカイブスやPSクラシックにも収録されなかったから、ソフトがプレミア価格になっていた。
moon(ムーン) PlayStation the Best
- 発売日: 1997/10/16
- メディア: Video Game
いまAmazonでは中古が6,000円台になっている。(44,500円とか37,999円は新品の価格。新品で持っているのはすごいといえばすごい)
Switch用のmoonは1,980円だそうで、評判を聞いても遊ぶ機会がなかった人が遊べるようになるのはいいことだ。
2010年には「moon」制作スタッフの西健一が、「技術的、権利的問題はクリアしているがセールスが期待できないとPSアーカイブス入りが立ち消えになる」とツイートしていた。
moonのPSアーカイブの件。技術的、権利的にはクリアで実際に何回か話しは来たのですが、いまそんな古いゲーム出しても1〜2万本も売れなさそうというスポンサー判断でいつもポシャります。オリジナルもそんなに売れてないですからね^^; #moon2
— Ken-ichi Nishi / 西健一 (@Route24) October 10, 2010
それが今日大逆転したのだから、そりゃあファンは喜びますよ。
「moon」はいろいろと独特なゲームで、そこに魅力を感じて熱く語る人が多い。
- 戦闘しないRPG。勇者に殺されたアニマルのさまよう魂を救うと手に入る「ラブ」の数でレベルアップする。「アンチRPG」をうたい、キャッチコピーは「もう、勇者しない。」
- 行ける範囲の広がり方。最初はすぐ疲れるので遠くへ行けない。レベルアップすると体力がつき、より遠くまで行けるようになる
- このシステムは「moon」に関わった人たちの間だけで継承され、「ラブデリック系」と称されるタイトル以外では見たことがないのが面白い
- ハナモゲラ語、またはムーンボイス。登場人物がしゃべるとき、「どうぶつの森」のようなモヨモヨした声を出す。それ自体ではなにを言っているのかわからない。キャラクターごとに異なる声で、それぞれの口調を想像させる
- これも「ラブデリック系」ゲームで多く使われた手法
- 癖がある登場人物。会話やイベントを通して、それぞれなりに考えを持って生きていると感じられる
- ストーカー的な主人公。登場人物は曜日や時刻で行動が決まっていて、タイミングを待つためにずっと後をつけることになったりする
- 選べるBGM。特定の場所を除き、手に入れたMD(Moon Disk)から自由に選曲できる。複数の曲でプレイリストを作り、その順で再生することも可能。収録されている楽曲はさまざまなインディーズバンドが提供している(ゲーム中のMDはモノラルだったが、Switch版はステレオになるとのこと)
- 粘土のキャラクター。勇者に殺された「アニマル」は粘土の人形を撮影して使用
ゲームの紹介ツイート。
【好きなゲームを語りたい その4】自分から関わっていくという話 pic.twitter.com/K9rBtFN8eQ
— おくら/単行本①巻発売中! (@okura_yp) May 2, 2018
いろいろと独特なので、「幻の傑作」のような扱いをされるのはちょっと違うと感じる。合う人にはすごく合って一番好きなゲームに挙げる人がたくさんいる。「UNDERTALE」の作者、トビー・フォックスもmoonが好きなのだそうだ。唯一無二のゲームだが一方であまりに独創的なので、ピンとこない人もまた多いのではないだろうか。
今回の移植はオリジナルをあえて忠実に再現しているそうで、現代に合わせた調整などはしていないとのこと。だとするとちょっと理不尽に難しいところもあるからその点でも人を選びそう。あとMDのプレイリストを編集するUIがねーちょっとねー。
とはいえ好きな人の好きっぷりがすごいので、今日公開された記事でもブコメでファンが大喜びしている。
- 初代PSの名作「moon」が22年ぶり復活! Nintendo Switchで10月10日発売 (1/2) - ねとらぼ(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1909/05/news042.html)
- 異色のRPG「moon」がオリジナルスタッフ完全監修でNintendo Switch用DLソフトとして登場! - GAME Watch(https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1205422.html)
- 「いきててよかった」
- あの“アンチRPG”「moon」がSwitch向けに10月10日配信決定 - 4Gamer.net(https://www.4gamer.net/games/999/G999903/20190905009/)
- あの『moon』がSwitchで10月10日に配信! オリジナルスタッフが監修【Nintendo Direct 2019.9.5】 - ファミ通.com(https://www.famitsu.com/news/201909/05182637.html)
- 「ついに…!!!サントラいまだに持ってるよ〜!!」
- 「あのmoonが。懐かしい。遊んでた当時ですら『このゲームはすごいぞ』と話していた、あのmoonが」
- 「不親切だし理不尽と思われて仕方ないけど、投げ出さなければ応えてくれる難しくて良いゲームなんです」
- 「思い出深いゲームで欲しいけど切なくなるので買わない。」
- 「もう何年も、十何年も、moonやラブデリック関連の話題が出るたびにずっと熱望していた移植版が、熱望しつつも権利関係的に難しいだろうなと諦めつつあった移植版が、、、switch買います買わせていただきます」
- 「ゲームの面白さの成分に『楽しい』『泣ける』『怖い』以外に『エモい』という成分があることを知った作品」
- 「背景画を愛でよう」
- 「この件でゲーマー嫁が朝からLINEではしゃいでた」
- 「何かが起きるのを、じっとわくわくしてただ待っていられたあの頃のゲーム」
- 「すごく嬉しいんだけど思い出補正かかりすぎてて実際やるのは怖い」
- 勇者に殺されたモンスターを救うアンチRPG『moon』がNintendo Switchで復活。「僕にとってはこのゲームは永遠のライバル」と語る開発者コメントも到着(http://www.gamecast-blog.com/archives/65948815.html)
- 『moon』スイッチ版配信についてオニオンゲームス木村氏にさっそく聞いたら、あれこれ答えてくれました! - ファミ通.com(https://www.famitsu.com/news/201909/05182640.html)
- 祝『moon』スイッチ版配信決定記念! 木村祥朗氏×倉島一幸氏ロングインタビュー。復活の舞台裏から変更点、あの“幻の結末”のことまで、たっぷり訊きました(1/2) - ファミ通.com(https://www.famitsu.com/news/201909/05182573.html)
そのほか、以前の記事をいくつか紹介。
- 2003年4月24日付:Hello , Hello , Hello ,『ギフトピア』!!第一回 - ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地。(https://www.1101.com/nintendo/giftpia/01.html)
- Hello , Hello , Hello ,『ギフトピア』!!第二回 - ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地。(https://www.1101.com/nintendo/giftpia/index.html)
- 2014年6月18日付:AUTOMATON vs. 木村祥朗 『moon』から『Million Onion Hotel』まで (前編) | AUTOMATON(https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/interview-kimura-yoshiro-1/)
- AUTOMATON vs. 木村祥朗 『moon』から『Million Onion Hotel』まで (中編) | AUTOMATON(https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/interview-kimura-yoshiro-2/)
- AUTOMATON vs. 木村祥朗 『moon』から『Million Onion Hotel』まで (後編) | AUTOMATON(https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/interview-kimura-yoshiro-3/)
- 2017年10月30日付:伝説のRPG『moon』20年目の同窓会──ラブデリックメンバーが語る、ディレクター3人という奇跡のような開発スタイル…そして「あのころ」の始まりと終わり【座談会】(https://news.denfaminicogamer.jp/interview/171030)
特に最後の「20年目の同窓会」はすごく長いけれど必読です。
そういえばmoonはサントラも出ていたのだった。もしSwitch版がよく売れたらこれも復刻してほしい。なにしろこの値段ですよ。
THE SKETCHES OF MOONDAYS~WE KEPT OUR PROMISE TO YOU~
- アーティスト:ゲームミュージック
- 発売日: 2003/05/26
- メディア: CD
- アーティスト:ゲーム・ミュージック,THE SLEEPWALK,セロニアス・モンキーズ,U.M.A.
- 発売日: 1997/11/21
- メディア: CD
「SKETCHES OF MOONDAYS」は3枚組で、MDの曲も全部収録されている。ぜひお願いします。
記念に。 #moon pic.twitter.com/pG1PjNdMIF
— akira ueda (@A8quattro) September 5, 2019
追記:このエントリの投稿後に発表された記事から
- Switch「moon」発表でなぜゲーマーは狂喜したのか? 「伝説のアンチRPG」と呼ばれたその理由を振り返る(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1909/25/news099.html)
- クソゲーだから,覚悟のうえで買ってほしい――「moon」移植版配信開始記念,木村祥朗氏&西 健一氏インタビュー - 4Gamer.net(https://www.4gamer.net/games/476/G047661/20191011057/)