冥王星に行くとどのくらい暗い?

探査機「ニューホライズンズ」が9年間の旅のクライマックスとして、いよいよ冥王星に接近しようとしている。近くを通り過ぎながら観測する「フライバイ」であり、チャンスはこの1回限りである。

NASAのサイト(http://www.nasa.gov/)はトップページからニューホライズンズを大々的にフィーチャーしている。

ニューホライズンズからはすでに冥王星のかなりきれいな写真が届き始めている。

この写真を見て、人間の目でもこのくらい明るく見えるのだろうかと考えた。なにしろ地球から冥王星までの距離は現在30AU、つまり地球と太陽の距離の30倍であり光でも4時間半かかる遠さだ。実は太陽の光がほとんど届かない暗黒の世界だったりしないだろうか。

検索してみると「満月の夜よりずっと明るい」といった話がたくさん出てきた。そうなんだ。

考えてみると、冥王星は地球からも望遠鏡を使えば見ることができるはずだ。そうでなければクライド・トンボー冥王星を発見できない。つまり冥王星は太陽の光を反射して輝いているということであり、太陽からは冥王星が明るく光る程度の光は届いているのだろう。

ここで気がついた。光の強さは距離の二乗に反比例する。距離が倍になると明るさは1/22、つまり1/4になる。距離が30倍なら明るさは1/900だ。太陽の明るさなら千分の一でもまだ相当明るいだろう。

『マーカス・チャウンの太陽系図鑑』にも「太陽の明るさは地球の千分の一しかない」とあった。

マーカス・チャウンの太陽系図鑑

マーカス・チャウンの太陽系図鑑

『マーカス・チャウンの太陽系図鑑』に載っていた冥王星の想像図。けっこう明るい。

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この本が出たのは2012年。冥王星の画像はぼんやりしたものしか載っていない。

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それがニューホライズンズの接近でこのくらい鮮明に見えるようになったのだからすごい。

APOD: 2015 July 13 - Last Look at Plutos Charon Side

http://apod.nasa.gov/apod/image/1507/Pluto03_NewHorizons_960.jpg

APOD: 2015 July 13 - Last Look at Plutos Charon Side

ニューホライズンズが冥王星に最接近するのは14日の午後9時ごろ。この探査機には冥王星を発見したクライド・トンボーの遺灰が載っているそうだ。

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追記:冥王星にいる気分になる時刻がわかるページ

NASAが「Pluto Time」というキャンペーンを行っている。googleマップで地球上の任意の場所を指定すると、その場所の空の明るさが冥王星の真昼と同じになる時刻を教えてくれる。皇居を指定したところ、「今日は午後7時2分」と出た。つまり冥王星に行くと、昼間の空の明るさは地球の夕暮れと同じくらいになるということだ。この時刻を「Pluto Time」と呼んでいて、Pluto Timeの写真をアップロードしてシェアしましょうと提案している。

日が落ちたあと、暗くなるまでの時間は「マジックアワー」と呼ばれる。昼から夜へ移り変わるとき、なんともいえない柔らかい光に包まれる時間帯である。映画「天国の日々」はこのマジックアワーを積極的にとらえて美しい映像に仕上げている。撮影監督はネストール・アルメンドロスである。

天国の日々 [DVD]

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冥王星の昼間はずっとマジックアワーだということであり、暖かくはないだろうが地球人にとっては心安らぐ日の光なのかもしれない。

追記:Pluto Timeの写真を撮ってみた

追記:さらに鮮明な冥王星の写真が公開された