日時
- 2015年4月27日(月)14時30分~15時30分
中継録画
JAXA公式の中継録画
05:10くらいに始まります。
- 小惑星探査機「はやぶさ2」第1回目イオンエンジン連続運転後の運用状況に関する記者説明会 | ファン!ファン!JAXA!(http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/4507.html)
参考:今村が撮影した動画
00:40くらいに始まります。
概要
國中:まず最大のトピックスとして、はやぶさ2の状況を報告。
津田:現在のはやぶさ2の状況。今年末に地球スイングバイ。イオンエンジン運転中。定常運転としては2回に分けて。1回目を3月3日~21日に。2回目は6月上旬。
1回目の結果として正しい軌道に乗っていることをご報告したい。
第1回では合計600時間のイオンエンジンの運転のうち409時間の連続稼働時間実績。使用するイオンエンジンはAとD。
残りの200時間弱は6月上旬。
4月26日現在、探査機は安定して深宇宙を航行中。
第1回イオンエンジン連続運転後の軌道決定結果
最終的には1万キロ以下にまで地球に近づくようにする
52億キロの総飛行距離のうち3億5千万キロを飛行
配付資料
質疑応答
読売新聞ほんま:第1回の連続運転が計画通りに終わって現在の気持ちと抱負、津田先生はプロマネに就任の感想も
津田:第1回終了は定常運用が始まったばかりで達成感はない。始まったばかり。出だしは順調で幸い。さらに気を引き締めて運用。
プロマネ就任について。今まではプロジェクトエンジニアとして構想段階からかかわってきた。技術中心からはやぶさ2全体を見ることに。責任は増したがサブプロマネも含めバックアップ体制は整っている。
体制が構築されて心強い。
國中:初期運用、巡航運転開始でほっとしている。苦しい開発を強いられてきたが
寄付金なども含め日本全国の方から応援をいただいた。
はやぶさと異なり4つのイオンエンジンを健全な状態で宇宙に投入できた。
共同通信すえ:イオンエンジンの連続運転について。増速によって軌道を誘導したのか
津田:軌道を曲げるのは加速や減速というのとは少し違うが増速はしている。地球をかすめる軌道に投入できた。
EDVEGA(1年間地球を回って戻ってくる)。図中①はわざとずらした軌道へ上げている。それを調整することでより効率を高めることができる。
すえ:國中さんに。プロマネの引き継ぎはなぜ今なのか
國中:はやぶさ2の開発は短く、また世界から注目されてきた。2015年12月に間に合わせるよう組織を補強して開発してきた。稲葉サブプロマネのコントロールもあり目標を達成できた。
ほかのプロジェクトメンバーが昼夜をいとわず努力してくれた結果。
自分は本来研究開発部門。たくさんの衛星を作ってきた。運用はそれまでたくわえた技術を吐き出す場。イオンエンジンの研究開発をしてきたが未来の技術開発は注力できていなかった。
JAXAは魅力的なミッションを生み出すことができなくなっている。より魅力的な技術開発に注力したいと考えていた。
探査ハブという新組織で深宇宙探査を進めていきたい。稲葉さんも筑波の研究開発部門へ。筑波と相模原でより連携のとれた、有機的につながった研究開発をしていきたい。
日経サイエンスなかじま:AとDのイオンエンジンを使ったとのことだがこれは当初の予定だったか
國中:熱的な関係や各エンジンの調子をみて決定。ABの組み合わせでは太陽の熱が入ってくるなどして温度が上がりやすい。対角線の組み合わせの方が熱的に有利。
4つのエンジンに電源は3つ。切り替えながら使用。端にあるAとDは電源の選択肢が少ない。これらを先に使い込んでおいてBとCを温存しておきたい。
なかじま:ベストな選択ができたということか
國中:その通り。すべてのエンジンが健全だったため余裕をもってスラスタの選択ができた。
國中:適材適所という考え。設計・製造フェーズと運用フェーズで最適な配置は異なる。
また技術研究開発に注力できていなかったという個人的な希望もきいてもらった。
読売新聞ほんま:最終的な距離は地球から1万キロとのこと。今後のイベントごとにどのくらいの距離になるのか
津田:スイングバイ前は軌道変更は2回。微修正を含めて3回。
次は6月に200時間。およそ1週間。図の③からさらに地球に近づくようにする。これで1万キロ以下に。微調整があるため正確な数字は今は言えないがそのように調整。
地球に近づくほど計測精度が上がる。はやぶさ2が地球に近づいてくるにしたがって軌道決定の精度を上げていく。
できるだけひきつけておいて軌道変更。10月から11月に微調整。
赤旗新聞なかむら:12月3日について、幅は
津田:今のところこの1日に行う。2回目の誘導制御の結果もあるため時刻はまだ申し上げられないが。
なかむら:日本からはやぶさ2が見えるのか
津田:そういうことができればいいがスイングバイは非常に精密。軌道設計が最優先。偶然うまく日本から見えるようになるといいがそうなるとは限らない。
宇宙エレベーターニュース秋山:12月3日の地球スイングバイに向けてさまざまな調整がある。ここでこういうことがあると地球スイングバイの日が移動するというようなことはあるか
津田:今のところお伝えしているのは日単位では動かないであろうということ。時間や分の単位では6月の運用結果や10月~11月の誘導制御の結果で変わってくる。
いずれにしても別の日になるということはまずないだろう。
宇宙作家クラブ松浦:イオンエンジンの累積運転時間。2台で600時間ということは1200時間なのか。イオンエンジンの運転の累積時間はどのくらいになるのか。初代と比べて短いように思う。
現在の運用体制について。初代は1週間交代、スーパーバイザー、学生、メーカーなど定常5人ほどでレンジング。2で変わったところはあるか。
津田:地球スイングバイまではAとDがそれぞれ600時間なので累積は1200時間。
ミッション全体としてはスイングバイ後はほとんどの時期3台運転となる。おおよそ全部で1万時間。3台分で3万時間。
体制について。今のところもスーパーバイザー体制。おおよそ1週間交代。
学生は今は参加していない。スーパーバイザーとスーパーバイザーサポート(正副)。地上局管制が1~2名。今は安定した定常運用なのでこの感じ。
忙しい時とそうでないときでメリハリをつけていなかないと。特に小惑星に着いてからは忙しい。随時最適化をかけていく。
國中:最も大変と考えているのは近接運用。2018年半ばから1年半。データを取っては受信する。1日3交代で1年半となると20~30人のオペレータが必要。それまではオペレーションのスキル向上のための重要な期間。
最低20名規模のチームを育てる。2か月サイクルで回すのがミニマムと考えている。
学生はなるべく使わず内部で育成をしていきたい。
(以上)