iPhoneのアプリ「Hyperlapse」でタイムラプス動画を撮るようになると、自転車でも撮影したくなってくる。
今回も3Dプリンタでアダプタを作ることにした。
こういうスマートフォンホルダーを100円ショップで買ってきた。
これを自転車のマウンタに取り付けられるようにすればいい。こないだGPS用のホルダーを作ったのと同じ手法だ。
- 3DプリンタでeTrex 30Jの自転車用ホルダーを作る(d:id:Imamura:20140901:etrex)
モデリングして出力したのがこれ。素材はPLA、infill(内部の充填率)は70%、shell(造形物の外面を何層で作るか)は4、1層の厚みは0.3ミリという設定で出力時間はほぼ1時間だった。
この向きで出力したのはサポート(支え)を少なくして出力時間と樹脂の使用量を節約するため。
100円ショップのスマートフォンホルダーを取り付けるとこう。
出力してみると首の根元が弱そうに思えたため、やはり100円ショップのエポキシパテで補強した。
さっそく外に出て撮影だ。
するといきなりこうなった。あれー?
内部の充填率(infill)が低いのと、造形方向に問題があった。この方向に出力するのだと積層面の面積が小さいため、積層面どうしがはがれやすい。ちょっとした段差を乗り越えた衝撃で簡単に折れてしまったのだった。
- 参考:3Dプリンタでデジタルモノづくりをはじめよう(1):【第1話】「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」との出会い (1/4) - MONOist(モノイスト)(http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1409/30/news004.html)
図11 プリントの方向により強度が変わる
3Dプリンタでデジタルモノづくりをはじめよう(1):【第1話】「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」との出会い (3/4) - MONOist(モノイスト)
設計を変えてやり直し。斜めに出力すれば積層面の面積が大きくなり折れにくくなる。今度はABSで出してみた。斜めの出力でサポートが増えたのと、infillをたしか95%に上げたため2時間くらいかかった。
出力テーブルにスティックのりを塗ると、ヒートベッドなしでのABS出力でも反りが小さい。
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サポートはまず手でバリバリ外す。
細かいところはラジオペンチを使った。
よし、もう一度外に出て撮影だ。
するとまたまたこうなった。あらー?
強度はちゃんと上がっていて段差の通過程度では折れなかったが、撮影後の出先で自転車置き場に止めたとき、マウンタがほかの自転車に引っかかって強い力がかかり、メリメリと折れてしまった。
エポキシパテで再度補強。
これで今のところうまくいっている。
肝心の撮影結果だが、今のところ近所しか回っていないので公開できない。自転車で遠出したときにうまいのが撮れたらここに載せます。
サポートはみっちり詰まっているより適度なすき間があるのがいいみたい
サポートの形状で出力がうまくいくかが変わるようだ。
ABSでの出力に際しては、サポートを自分で追加した。ななめに出力するから出力物の接地面積はごく小さく、サポートの役割が重要になる。だからサポートは出力物にしっかりついていてほしい。ソフトウェアまかせのサポートは外しやすいかもしれないが、出力中に外れてしまいやすそうでもある。(実際そういうこともある)
そこでサポートを自分でモデリングした。サポートは出力物に約1.5ミリ幅で接するようにし、これで出力時にサポートから出力物が取れてしまうことはなかった。
その代わりというか、サポートを除去すると少しえぐれたような筋が残った。今回の使用では問題ない。
さて、交差するサポートはそれぞれ別のレイヤに作成した。下はレイヤごとにオブジェクトの表示色を変えてある。
モデリングに使っているDesignSpark Mechanicalは、同じレイヤで複数のオブジェクトが接するとその瞬間に一つのオブジェクトに融合してしまう。形状を検討しつつのモデリングではちょっとわずらわしい。
モデリングが終わり、複数のサポートが別々のレイヤに分かれたままSTL出力した。
STLファイルをMakerWareに読み込み、出力結果をプレビューする。プレビュー中は、これから作られる形状を積層面で輪切りにして見ることができる。
サポート部は、モデル的にはこういう断面になることを期待している。
実際の断面はこうなった。サポートどうし重なっているところが穴になって抜けているのがわかる。
前掲の写真の右側はそのことに気が付かず、出力を始めたら思ったのと違う形状が出てきたのでいったん止めたもの。
こうなってしまったのは形状がレイヤで分かれていたからだろうと考えて、サポートのレイヤをひとつの形状にまとめてからSTL出力した。
プレビューで、当初考えていた通りに出力されることを確認。
そうして出力を始めたら、上の写真の左側のようになってしまった。数ミリしか出力していない段階で、出力物がラフト(土台)から外れて出力失敗となってしまったのだった。
ということで、次回は大きなサポートをつけるときは面倒でも右のように、適度に穴が開いた形状にしようと思う。あるいはSTLファイルの解釈のぶれ(考えようによってはバグ)を利用するとか。
(10月25日記)