本日、三菱重工飛島工場にて、H-IIBロケットの機体公開がありました。
H-IIBの特徴といえば:
- H-IIAの直径が全体で4メートルだったのを、第1段のコア機体部分について5.2メートルにふくらませた(くびれて細くなっている部分の太さはH-IIAと同じ4メートル)
- フェアリングを大型化して、HTVを積めるようにした(HTVはISS(国際宇宙ステーション)への補給機のこと)
- 第1段エンジンを、LE-7Aの2クラスタとしたこと
というわけで、太く頼もしくなったH-IIBを拝見してきたわけです。
ロケットは組立工場の1階と、上から見る形の3階から見ることができました。
1階はクリーンルーム装備です
「コンタミ3原則」《コンタミ3原則を守って打上げ成功!》1.発生させない 2.残さない 3.持ち込まない
入るとドーン! 2連になったLE-7Aエンジンです。
こちらは2段目。エンジンはH-IIAと同じLE-5Bです。
上から見るとこんな位置関係。
1段目の最上部に、「H-IIB」のロゴがかろうじて見えました。
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FSW(摩擦かくはん接合)なる新方式で、機体内側のアルミどうしをつなぎます。ちなみにつながれるほうのアルミの部材にはリブ(強度を上げるための板、ここでは三角に配置されている)がついていますが、これは下の板と別に用意してつなぐとかではなく、リブの高さぶんの厚みがあるアルミを削り出して作っているそうです。おかげで部材の強度は上がりますが、アルミ材はほとんどが削られてしまうわけで、できあがる部材よりも削りかすのほうが多いという状態。これこそまさに「切り粉製造業」です。
驚いたのはH-IIBの開発費がわずか260億円しかかかっていないこと。新規のロケットを開発する場合、1000億円以上かかるのが普通です。ロケットエンジンをH-IIAと同じにしたりして、なるべく安く安く…と作るとここまで安くなるんですねー。
なおH-IIAはこれでお役ご免ということはなく、打ち上げる荷物(ペイロード)の大きさによってH-IIBと使い分けるそうです。H-IIBができたから新機種に移行するというよりは、ロケットのラインアップ増強という位置づけです。
だから、H-IIBのSRB(横についてる補助エンジン、型番はSRB-A)はつねに4つであり、衛星の重さによってここの数を減らしたりできるH-IIAとは対照的です。
大きい衛星も上げられますよ、と言えるようにして、商売として衛星を打ち上げる体制を強化していこうという流れです。
そんなH-IIBは、3月下旬と4月中旬をめどに種子島で燃焼試験を行うそうです。さらに平成21年度中には試験機の打ち上げを予定しているとのことでした。早く打ち上げを見に行きたーい。
(当日配布された資料をスキャンして、http://www.pluto.dti.ne.jp/imasa/image/H2B/ にアップしました)