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夢生成における各種制御エンジンの働きについて

最近見る夢は、人がたくさん出てくるものが多い。20人とか30人くらいいるような状況で、たとえばグループ旅行、通夜もしくは法事、誰かの家へみんなで遊びに行く、といった夢である。周囲は全員知っている人という設定で、いろいろな人と話したり遊んだりしている。あっち方面の知人とこっち方面の知人がまざっていて、その二人が一緒にいることは現実ではまず考えられなかったりもするけれど、そこはまあ夢だしね。

ところで、これだけたくさんの人を夢に登場させる場合、夢を生成している脳に負担がかかったりしないだろうか。群衆制御エンジンの負荷が上がって、60fpsを維持できなくなっちゃうーみたいな。

いや本当に危なくなったら脳が焼き切れる前に、モブシーンからもっと負荷の低い場面へ、強引にでも変更してしまうだろう。脳は勝手だから、夢としての前後のつながりに脈絡はなくてもいい。そこが夢の気楽なところだ。

そういえば夢では、なにかをしようとするのだがうまくいかない、という場面がよく出てくる。こういうとき脳は次の話を考えるのが面倒で、時間かせぎのために「なかなかうまくいかない」演出を加えているのかもしれない。そうすれば夢の進行中、物語生成エンジンの負荷を下げることができる。

もうひとつ、夢の中では自分の知らない話題や場面に進みかけると、それを回避することが多いように思う。たとえば、聞きかじったことがある分野の、もう少し高度な話に入りかけると場面がいつの間にか変わってしまうとか。ここまでは知っているけどその先は知らない、というとき、さらに先に進むのをなんとなくやめて、ほかのことを始めたり。

これも物語生成エンジンの限界といえるだろう。エンジンは、脳が知っていることをミックスしながら夢の中の話を作っていくが、「なんとなくそんな感じで」ですら場面生成処理ができないくらい知らなければ、夢としての物語を作れず、夢の連続性がとぎれてしまう。だから脳が知っている方向へ、多少無理があっても物語を方向修正するのだ。

夢について考えていること

  • 夢は、記憶というハードディスクのデフラグのようなものではないか。起きている間に蓄積したことを、寝ている間に整理するような。
  • 夢は脳の中でリアルタイムに生成・体験するものではなく、一定時間分の夢を高速で作っては脳の中に記憶として置かれるものなのではないか。夢の中での体験はすべて、目が覚めたときに記憶としてパッケージングされている。過去の実体験を記憶する領域と、夢の場面を記憶する領域は同じなのではないか。(テレビを見ながらうとうとしたときなどに、実時間ではほんの数秒から1分程度の眠りでも、それより長い時間経過をともなう夢を見ることがあるため:09/01/19追記)