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ES細胞互換の幹細胞をヒトの皮膚細胞から作成

【元記事:ES細胞互換の幹細胞をヒトの皮膚細胞から作成:d:id:manpukuya:20071121:iPS

こりゃあすごいことじゃないですか?

※以下、素人のにわか調べなので間違いが含まれているかもしれません

ES細胞(胚性幹細胞)は、心筋細胞とか肝細胞とか神経細胞とか、いろいろな細胞に分化させることができる。再生医療や薬の作用・副作用の研究など、さまざまな分野に応用できると期待されている。

ところがES細胞は、受精卵からでないと作れない。人間の受精卵はもう人間扱いするべきじゃないの? 受精卵をES細胞にしちゃうのって殺人と同じ? とか言われて、生命倫理の面から難しいことになっていた。

その関係で、受精卵ではなく卵子クローン胚を使ってES細胞ができた! と言ってセンセーションを巻き起こしたのが韓国の国民的英雄、黄禹錫(ファン・ウソク)教授。受精卵を使わないなら倫理上の問題はクリアできる、これはすごいという話。ところが、彼の研究成果が捏造とわかって大騒ぎに。このスキャンダルで、再生医療の研究は数年間停滞したと言われている。

そして今回、ヒトiPS細胞を皮膚細胞から作ったという成果が日本から出た。あちこちのニュースに出る「××大学の××教授の話」みたいなコメントでは、揃って「ノーベル賞級の成果だ」と絶賛されている。

一方、クローン羊「ドリー」を作ったイギリスのイアン・ウィルムット博士は、今回の研究成果をうけて、ES細胞クローン胚から作る研究を断念すると決めたそう。

また、ファン教授が「できた」といっていたクローン胚からのES細胞作成についても、とりあえずサルについては本当にできた、というニュースが14日に出ていた(時事)。この研究チームは「次はヒトクローン胚で」と意気込んでいただろうけれど、今回のニュースを見てさぞ落胆していることだろう。

NHKの9時のニュースに、iPS細胞を作った京大の山中伸弥教授が生出演していた。

「スポーツが好きで、けがをしては形成外科のお世話になったことがきっかけで臨床医になった。しかし形成外科の現場は研究途上の分野が多い。新しい治療法を待っている患者さんたちのために、研究の道へ路線を変えた」「1年ほど前に、マウスの皮膚細胞からiPS細胞を作ったときは世界の研究者を出し抜いたと思った。しかしふと振り向くと距離を縮められてきていて大変だった。それでも、実用化が早まる可能性にもつながるので、研究の成果を待ち望んでいる人にはよい状況だろう」といった話をしていた。

ただし、このへんの話題に詳しい人に聞いたところでは、臨床への採用となると日本は他国よりも遅くなるだろうということだった。厚生労働省の認可手続きは先進国の中でも特に慎重だからだそうで、海外で普通に使われている新薬が日本では使えなかったりする。それと同じことが、このiPS細胞を使った治療でも起きそうだ。

またiPS細胞は、ES細胞とはまた別の課題や問題を持つ。iPS細胞がガンを誘発しないかどうかの研究が必要だし、一人のiPS細胞から精子卵子の両方を作ることも理論上はできちゃうという。

ニュースなどを見たりした限りでは、iPS細胞の研究はまだまだ先が長いようだ。とはいえ今回、大きな一歩を踏み出したのも確かだろう。自分の体を材料にして臓器や神経を作り、自分に移植するといった夢のような世界が、また少し近づいてきた。