今朝のニュースで、電力不足をどう補うかというシリーズの一環として、太陽電池について採り上げていた。
屋根に太陽電池パネルを取り付けたという、あるお宅が登場する。太陽電池によって自宅で使うぶん以上に発電できた場合、電力会社に電気を売ることができる。そのお宅では、ひと月の電気代がタダになった上に、電力会社に電気をおろして収入になったという。
といっても、自宅に太陽電池を取り付ける人の心理は「太陽電池で儲けたぜイッシッシ」というものではない。出てきたお宅の奥さんは「少しでも地球環境の改善に役立てば、という気持ちです」と話していた。
(自分が別のお宅に話を伺ったときも、まったく同じ回答だった。その方は「我が家はパソコンなどでたくさん電気を使うので、その罪ほろぼしのようなもの」とおっしゃっていた)
住宅の屋根に太陽電池を取り付ける場合、施工費用は約300万円。その1/3程度は自治体からの補助金でまかなえるそうだ。それでも200万円はかかるわけで、月の電気代が2万円だとしても元を取るには100ヶ月、つまり8年以上かかる。
その上、太陽電池事業は今、なかなか難しい状況にあるそうだ。
まずこのところ、太陽電池パネル設置の補助金を打ち切る自治体が増えているとのこと。理由は「太陽光発電がある程度普及して、補助金としての役目を終えた」のような感じ。去年は、新規に太陽電池を設置した住宅の戸数が初めて前年を下回ったという。
また、太陽電池の製造コストはなかなか下がらない。太陽電池の原料になるシリコンの値段が高騰しているなどの事情があるそうだ。
そんな中、太陽電池パネルを板のように均一に並べる方法とは異なる技術が研究されている。
光を反射する素材で作った板に、パラボラアンテナのようなくぼみをたくさん作る。それぞれのくぼみの焦点に小さなシリコンの球を置くというもの。板に当たった光はくぼみで反射し、シリコン球に集中する。こうして、太陽光をより強くして発電できるそうだ。
この方法だと、原料となるシリコンが少なくすむ。さらに、このタイプの太陽電池は、シリコンを加工する際に出る切りくずのような、価格の安いシリコンでも作れるのだそうだ。
検索してみたら説明があった。
直径が1mm程度の球状Siを並べてつなぎ,太陽電池とするもの。専用の製造装置を使って,溶融したSiを滴下すれば球状Siを作れるため,既存の平板の太陽電池のようにSiインゴットから切り出す際の切りしろ部分が発生しない。この製造工程の違いなどから,Siの使用量を削減できるとする。
球状Si太陽電池とは - NE用語 - 日経エレクトロニクス - Tech-On!用語辞典
2006年3月の記事ではこんな話も。
フジプレアムとクリーンベンチャー21による集光型球状Si太陽電池セルの量産化の計画としては,まず2006年4月に生産能力250kW/月ののパイロット生産ラインを稼働。続いて,2006年中に量産ラインの建設計画を決定し,2007年4月に本格稼働させる予定だ。
(中略)
京セラも,「Siの使用量を1/5に減らすことができる」とする球状Si太陽電池の開発にメドをつけたことを明らかにした。
球状半導体とは - 旬な材料- Tech-On!
こういう新技術は面白い。安くて効率のよい太陽電池に期待したい。
「太陽光熱複合発電」というのもある
以前、日記に書いておいた。こりゃ楽ちんだ。
太陽からやってくる光だけでなく、熱も使って発電する。太陽電池だけを使う発電よりも効率がよいとのこと。
まんぷく::日記 - 「太陽光熱複合発電」の研究