- 作者:最相 葉月
- メディア: 単行本
星新一の評伝。紹介記事や書評が出ている。
生命科学の動向を取材していたのですが、仕組みや社会的意義のわかりにくいクローン技術や遺伝子操作などの最先端の科学をどうすればわかりやすく伝えられるか悩んでいて、たまたま書店で『ボッコちゃん』の文庫を立ち読みしたんです。
(中略)
私自身、中学時代に全部読み終えると、卒業した気分で忘れ去っていたのですから、星新一を苦しめた「子供の読者」のひとりだったのです。
〔著者インタビュー〕星新一への鎮魂歌 - 最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』
星を古くから知る同人誌の主宰者や小松左京や筒井康隆らの貴重な話のなかに、最相の洞察と批評が効いている。(中略)取材対象に肉薄しようとする著者の情熱に圧倒された。こうして新たな解釈を加えられたことで、星新一という「一冊の本」はテクストの厚みを増した。評伝を読む意義を改めて考えさせてくれる一冊である。
asahi.com:星新一 一〇〇一話をつくった人 [著]最相葉月 - 書評 - BOOK
星新一のショートショートは確かに、いつか「卒業」するものという感覚がある。でも最相葉月のように、大人になってから読み返すと意外なほど面白く、子供向けというイメージが変わったりする。「おーい でてこーい」なんかは本当にすごい話だ。
星新一と藤子・F・不二雄はそういうポジションが似ている気がする。ただ星新一には、藤子・F・不二雄の「異色短編集」のような、いかにも「大人向け」の作品がほとんどない。そのぶん、大人になってから読み返すのに抵抗が出やすいのかなと思ったりする。
いや星新一のショートショートや「ドラえもん」を大人が読んでも別にいいんだけれど。「21エモン」とかも、独特の終末感が漂っていて今読んでも面白いだろうし。「きみもゼロ次元へ行くのかね」とか、最終話の「宇宙の果てだから、見える星が少ないや」とか。
我が家の星新一はというと、もう箱にしまってあってすぐには読めない。いつか子供を持ったら読ませたいので、処分することはないだろう。