先週の「SPA!」(8月1日号)に、「楽しめることがなにもない症候群」という特集があった。その中に、大もうけした個人投資家の愚痴が載っていた。
総資産約140億円という大富豪のB・N・Fさん(仮名)。ジェイコム株の誤発注事件で、一日に20億円も儲けた無職男性、と話題になった方だ。さぞ豪快で楽しい日々を送っているだろうと思いきや、「性欲もわかないくらいグッタリな日々」だという。
「億単位の金額が上下するのはしんどくて、エネルギーを吸い取られてしまうんです」
(中略)
取材中、「もうやめたい。ここ数年、ずっとキツイ」と、何度も繰り返したB・N・Fさん。その生活は、トレードを中心に回っており、相当にストイックだ。
「平日は必ずトレードをしていて、何年も休んでないですね。(…)気晴らしといえば、家の近くを散歩するくらいかなあ。トレード後はグッタリして、何もする気が起きないんですよ。(…)平日に力を使い果たしているので、土日はたいてい寝ていますね」
(もう十分稼いでいるのに…という質問に対して)「(取引を)休んだ日に1億円の利益を出せるような値動きがあったら、1億円分を損した気分になってしまうはずです。それが耐えられません。(…)パチンコ中毒に似てるかもしれませんね」とこぼす。
「欲しいものもないですし、服もダイエーので十分。お金を使うことに興味はないし、贅沢といえば家で食べるしゃぶしゃぶくらい」
(後略)
なにも生産せず、使い道のないお金をただただ増やし続ける生活。これはこれで、なかなかにショッキングだ。精神科医・春日武彦氏のコメントもあった。
お金が目的ではないのだから、確かに依存症に近いですね。大損することで「足を洗おう」と待っているのでしょう。
じゃあ、140億円がたとえば十分の一とかになっちゃうような大損をすればいいのか。それでも14億円。日本人の平均的な生涯賃金は約3億円であるというから、今後の生活には十分すぎる。
そういえば、「週刊アスキー」の今週号(「時をかける少女」が表紙の)に、ビル・ゲイツの引退を特集する記事があった。
これによると、世界一のお金持ちであるビル・ゲイツの資産は、現在約6兆円。日本国民全員にXbox360とソフト1本を配ってもまだ余るとか。はあーそうですか。
インフレ下においては、お金は増やさないと価値が減る
投資セミナーには、代々受け継いできた資産があり、働かなくても暮らしていけるお金持ちも来るという。なぜリスクを負ってでも資産を増やさなくてはならないのかというと、現代の社会が基本的にはインフレだから。
インフレとは、100円の商品が明日は110円になる経済状況である。100円をタンスに入れっぱなしにしておくと、今日買えた商品を明日は買えなくなる。つまり、100円という資産額は変わらなくても、その価値が目減りしていく。
だからお金持ちでも、今ある資産の額を維持するだけでは足りない。最低でもインフレ率と同じペースで、資産額を増やしていかなければならないという話。皆さん、それぞれなりに大変なのです。