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NHKスペシャル「危機と闘う・テクノクライシス〜軍事転用の戦慄 ロボット」

【元記事:NHKスペシャル「危機と闘う・テクノクライシス〜軍事転用の戦慄 ロボット」:d:id:manpukuya:20060710:nhk

世界で軍事ロボットの開発が加速している。米国は、アフガンやイラクでの経験を元にロボット兵器を大幅に導入した「未来戦闘システム」を目指して走り出した。「未来社会の夢」だったロボットが、人間の命を標的にした兵器となる時代が到来した。

NHKスペシャル〜危機と闘う・テクノクライシス 第2回

という内容の番組。攻撃能力を持つ無人飛行機やロボット車の走破コンテストなど、アメリカでは軍事のためのロボット技術が進んでいる。

その中で、日本の研究として例のパワードスーツ(筑波大学の山海教授のプロジェクト)が紹介される。腕や足の力を上げて、介護アシストなどに使えるだろうというようなもの。これも海外からは、軍事転用したい人たちの視察が引きも切らない。

イスラエルでは昔から無人戦闘機の研究が盛んで、無人戦闘機だけの部隊もある。パレスチナでも、それに対抗して無人機を導入しようとしている。お互いの兵士は戦闘では減らず、どちらの陣営も民間人の犠牲者が積み上がっていくという構図が紹介される。

で、最後には山海先生が、ロボット工学を目指すきっかけとなったアシモフの『われはロボット』を本棚から取り出す。冒頭には、「ロボットは人間に危害を加えない」などと定められた「ロボット三原則」。しかし現実はちっともそうなっていない、というまとめ方。

言いたいことはわかる。わかるんだけれど引っかかりも感じた。

その中心になるのが、「人の暮らしを豊かにするはずのロボット技術が、人の命を奪うために使われている」といった言い回しだった。

前者の「人」の暮らしが豊かにならない原因を、後者の「人」が持っているとしたらどうか。ロボット兵器を使って人の命を奪うことで、ほかの人の暮らしが豊かになるではないか。

ロボットだからといって、普通の兵器と変わることはない。ロボットと聞いて日本人が想像するのは鉄腕アトムでありアシモなどであって、それは確かに「人の暮らしを豊かにするはずのロボット」というイメージに沿っている。しかしこれらは、「ロボット」の中ではきわめて限定されたジャンルである。だから、上のような言い方をされてなんとなく「うんうん」と思うとしてもそれは幻想であり、日本人に特有の狭いロボット観にすぎないのではないかと思った。

自動車は便利だけれど、ときどき人を殺してしまう。ロケットとミサイルの関係もそうだ。同じ技術が、宇宙探査にも人殺しにも使われている。技術とは単に使いようであって、それはロボット技術でも例外ではないんじゃないだろうか。

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