KEKは加速器などをいろいろ使って、陽子やら中性子やらをあれこれしているところ(ここで説明できるほど理解していない)。
そんな程度の理解でも、施設の見学は面白かった。実験機器優先、人間の都合は後回し、という研究所としては当然の事情からくる、ある種の美しさがあった。
特に、KEKが扱うものは円が重要であることが多く、パイプをドーナツ状に巡らせたり、機器を円形や放射状に置いたりといった配置がよく出てくる。それを四角い部屋でやりくりするために、どこか変な空間ができたりするが、そう感じるのは人間の都合であり、機器としては単に本来あるように存在している。その具合がなかなかそそるのだった。
機器を覆うように出ている大量のケーブルにも機能美を感じる。うねるケーブルの束は「アキラ」に出てきそうなので、「アキラケーブル」と呼んだりして。
あと、スケールが大きい話がいろいろ出てくるのもクラクラしてきて気持ちがいい。重力波による空間のゆがみはとても小さくて、太陽と地球の距離で水素原子1個分なんです、とか。ニュートリノを1秒間に数十兆個、KEKから250キロ離れたスーパーカミオカンデまでバンバン放出するんです、地球の丸みがあるので放出器はやや下向きなんですよ、とか。Belle測定器から得られるデータは全体で1.1ペタバイトありますよ、とか。
こういう浮世離れした調子でも家族連れが多かったりするところがまた面白い。あと、KEKの研究員の皆さんはなんとなくオーラが似ているように感じた。宇宙の成り立ちとかに興味がある人は、雰囲気が近くなるものなのだろうか。そしてそのぶん、ニュートリノ振動実験のところで説明してくれたロッカーなお兄さんはより異彩を放っていた。
往復はもちろんつくばエクスプレス。秋葉原から、快速なら45分でつくばセンターに着いてしまう。文明ってすばらしい。りんかい線で、新宿から有明へ直通できるようになったときの感激を思い出した。
途中の駅の開発はまだまだこれから。車窓の風景を見ていて、妙に新しい道路や駐車場が見えたら駅に入るというパターンが多かった。
追加写真
制御室の1つ。昔ふうのコンピュータに見えるが現役とのこと。(05/09/07追加)
そのほかの写真はこちらで:
- 200509KEK - Imamura's fotolife(http://f.hatena.ne.jp/Imamura/200509KEK/)