
- 作者:横田増生
- 発売日: 2005/04/19
- メディア: 単行本
遅ればせながら読了。ネット書店だからどうこう、というレベルを超えて面白かった。
Amazonの物流センターは、アルバイトを単に肉体として扱う職場である。仕事は、最低限の脳があればできる単純作業のみ。労働としての充実感は皆無であり、キャリアやスキルはまったく身に付かない。
工場での似たような状況を伝えるNHKスペシャル「フリーター漂流」を思い出しながら読んだが、この番組は巻末の参考文献一覧に挙げられていた。未読だけれど『希望格差社会』(ISBN:4480863605)と合わせて、現代の単純労働のありさまを考える三点セットになりそうだ。
Amazonの「顧客志向」
ところで本書では、Amazonのことを「徹底した顧客志向」としているけれど、それはちょっとどうだろうかという点がある。以前も書いたように、Amazonには顧客からの注文、いわゆる「客注」のシステムがないのだ。
Amazonの「在庫切れです」は、単にAmazonの倉庫にないというだけであり、出版社が絶版にしているものではない(絶版書は「お取り扱いできません」という表示になる)。
一般の書店や多くのネット書店では、店頭にない本は出版社から直接取り寄せることができる。しかしAmazonにはこのしくみがないのだった。自分が担当している本が「在庫切れ」になり、あまつさえマーケットプレイスでプレミアがついて売られているのを見ると、「Amazonにないだけで、ほかのネット書店や街の書店には置いてあるのに」という気分になる。しかしAmazonにはほかのいろいろな強みがあり、客注がないからといって利用者が減るものではない。そこがまた歯がゆい。
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コメント
id:kajie『いつも拝見しています。amazonには出版社客注のシステムがないというのはたぶん誤りだと思います。amazon上では「お取り寄せ」または「1〜2週間程度」「3〜5週間程度」と表示された場合は、amazon倉庫にも取次倉庫にも在庫がなく、版元に注文を飛ばしている状態になりますので。』
id:manpukuya『こんにちは。いや実は版元に在庫があるにもかかわらず「在庫切れ」になっていて、存在する新本を買いたい人がいてもAmazonでは買えないという状態になっている本があるのでした(→たとえばISBN:4767802512。在庫は十分ございます!)。http://d.hatena.ne.jp/manpukuya/20041105/amazon などでも、状況を説明しています。もしかして、私が「客注」の意味を取り違えていたりして?』