オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

キーワードモデレーションシステム稼働、に感じる不安

キーワードモデレーションシステム案」の提示を経て、キーワードモデレーションシステムがひとまず稼働を始めた。が、どういうキーワードに対して票を投じたらいいのか、自分の姿勢が決まらない。

自分の場合、文脈外のキーワードにリンクしてしまう、いわゆる「誤ヒット」もまたはてなダイアリーの楽しみであると考えている。日記の登録後「キーワードの編集」(キーワードへのリンクを外す操作)をするのは自分にとって苦ではなく、また、面白い誤ヒットだと思えば「キーワードの編集」はしない(たとえば最近は、「緊[[急電]]源」が面白いと思った)。

一方、ほぼ必ず「キーワードの編集」をするキーワードもある。たとえば「日記」「情報」「文化」「社会」「残念」などで、これらへリンクしないのはそれぞれ理由がある。とはいえ、必ず「キーワードの編集」をするキーワードに、ただマイナスモデレーションをつければいいのかというと、そういう気持ちにもならない。

リンクしたくない、という意思表示の一票がたまっていくとキーワードへ自動リンクしなくなる。そこまではいい。しかしさらにマイナスモデレーションがたまると、そのキーワードは削除されてしまう。これは避けたい。自分にとっては、リンクはしたくないキーワードであっても、それが即、削除してほしいキーワードではないからだ。

個人的には、多重登録されたキーワードを除けば、キーワードはむやみに削除したくないと思っている。誰がどんなキーワードに価値を見いだすかわからない以上、価値観の受け皿であるキーワード空間はできるだけ広げておきたいと思うからだ。

リンクしたくないキーワードの中には、説明が面白かったりしっかりしていたりするキーワードもある。モデレーションシステムは、「リンクしたくない」というユーザーの気持ちを重視するあまり、キーワードの辞書的な側面を殺してしまいやすくなるのではないか。

もしかすると、はてなは、多くの人がリンクしたくないと考えるキーワードは、たとえ説明がしっかりしていても無用だ、と考えているのだろうか。しかしそんなことはない。はてなは、キーワードの存在意義の一つに辞書的な側面をきちんと挙げている(→d:id:hatenadiary:20040601#1086065845)。とはいえ、その意図がきちんと実装されているかというと、少し疑問でもある。

「自分の日記からこのキーワードへリンクしたくない」気持ちと、「このキーワードを削除してほしい」気持ちは、感情のベクトルが違うのではないか。この2つの気持ちを、1つの「キーワードモデレーションシステム」で扱うのは難しいのではないか。というのが、今のところの印象だ。

もしかすると、マイナスをつけないキーワードにはどんどんプラスモデレーションをしていくべきなのだろうか。それは大変すぎる。「とりあえず、全キーワードにプラスモデレーション」という機能が欲しくなる。さてどうしたものだろう。

それから、「キーワードモデレーションシステム案」へのコメントとして、d:id:Imamura:20040327:p2では「キーワードの存在そのものを許すかどうかではなく、自分の日記がそのキーワードへリンクするかどうかが、ユーザーにとっては重要なのだと思う。であれば、自分の日記からキーワードへリンクするかどうかを、細かくコントロールできればそれですむのではないか。」と書いた。ほかにも心配ごととして、「『削除予定キーワード』がなくなると、登録や編集はしていないが気に入っていた、というキーワードが、いつの間にか削除されていることがありそうで心配。」とも書いた。残念ながら、「キーワードモデレーションシステム」は今のところ、これらに応えるものではない。