池袋の新文芸坐で観る。
ニューヨークのマンハッタンで、軽薄なメディアパブリシティ屋がたまたま入った電話ボックス。電話を終えたところ、その公衆電話に電話がかかってきたのでつい取ってみたら、「この電話を切ったらお前を撃ち殺す」と言われてしまう。さてどうする? という話。こういうシチュエーションものは好きだ。
しかし観終わってみると、限定状況のワンアイデアものとしては、もうちょっと脚本をがんばってほしかった印象。
こういうタイプの話は、主人公と犯人との知恵比べであると同時に、制作者と観客との知恵比べでもある。「なぜわざわざそういうことを?」「この方法のほうがよいのでは?」と思うところがいくつかあった。
それに結果を見ると、主人公にとって犯人が、感謝すべき救い主になってしまっている。『ファイト・クラブ』の薬局のエピソードと同じで、この主人公は暴力的な方法によって、むりやり魂を解放させられる。悪人であるはずの犯人は、その点において「いい人」になってしまっているのだ。そして、そのことについて主人公はどう思っているのか知りたかった。
『ゴースト・ドッグ』のフォレスト・ウィテカーが、実直な刑事の役で出ているのを見られたのはよかった。