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99/08/15 (Sun.)−映画『π』

元記事:夜の記憶−99/08/15 (Sun.)−映画『π』】

突如映画ばかり観ている。『π』は数の魔力にとらえられた男の話。デビッド・リンチ(『イレイザーヘッドeraserhead』)やデビッド・クローネンバーグ(『ビデオドロームvideodrome』)、塚本晋也(『東京フィスト』/『鉄男TETSUO』は未見)にどこか近いものがある。黄金比フィボナッチ数列に関する不思議な一致や、ヘブライ語を数字に置き換えて得られる奇妙な暗合など、「数字のふしぎ」みたいな本によく出ていそうなネタが、物語の神秘的な面を受け持っている。そして、πはそういった「数字のあやかし」方面の象徴として扱われているのだった。だから、πの話だと思って観に行くと、πの扱いの意外な小ささに失望してしまうかもしれない。いずれにしても、こういう数学小話は大好きなのでとても楽しめたし、自然科学が苦手な向きにも「そういう不思議な話がある」という了解ごととして捉えてしまえば十分に物語を楽しめると思う。
 そして、『π』のもう1つの魅力はその映像だ。モノクロの映像は強烈なコントラストで、見ていて気持ちがいい。自分で撮った写真をいくつか『π』風のコントラストにしてみたので、これは明日以降に紹介しよう。
 『π』は渋谷のシネマライズで観た。レイトショー公開のため1日1回しか上映されないこともあってか、立ち見も出る盛況だった。意外なのはパンフレットが作られていなかったこと。しかし配給元のアップリンクに『π』というサイトがあり、そのまま印刷すればパンフになるくらいの大量の情報が公開されている。これほどの量の情報をWWWに載せてしまうとは気前がよい。でもできれば、パンフも作ってもらいたいけれど。