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99/07/28 (Wed.)−月食の頃

元記事:夜の記憶−99/07/28 (Wed.)−月食の頃】

今日は月食があった。
 月食は、月に地球の影がかかって満月が欠ける現象だ。なぜ満月なのかといえば、月に地球の影がかかって月食になるには、月−地球−太陽がこの順で一直線に並ぶ必要があるからだ。地球が月を見たとき、真後ろに太陽がいる。だから、太陽に照らされた月面のすべてが見える。これがすなわち満月だ。
 一方、太陽−月−地球という順に一直線に並べば新月になり、完全に一直線になれば月が太陽を隠して日食が起きる。また半月が半月に見えるのは、太陽が月を真横から照らしている様子を地球から見ているからで、月−地球−太陽がなす角は90度。このようにして、月の形と月がいる方角によって太陽がどこにいるのか方角がわかり、その結果おおまかな時刻もわかる。真南に右半分が欠けた半月がいれば、太陽は東の空にあることになる。つまり、右半分が欠けた月が南中するのは夜明けだとわかる。太陽も月も、東からのぼって西へと沈む。左半分だけの月が東の空に上る(このとき、月は上半分が欠けて見える)のは真夜中、西の空に沈む(同様に、月は下半分が欠けている)のは正午ということになる。満月がのぼるのは太陽が沈んだときで、満月が沈むのは夜明けとともにだ。
 今日の月食では、東に出ている月の右下が欠けていた。これが単に半月ならば、ありえない向きにありえない形に欠けた月がかかっていることになり違和感がある。この違和感によって、下が欠けた月を東に見る不自然さを、心の奥底が知っているとわかる。月って、見てないようで案外ちゃんと見ているものなのかもしれない。