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99/07/14 (Wed.)−新聞と高速道路と映画監督

元記事:夜の記憶−99/07/14 (Wed.)−新聞と高速道路と映画監督】

読みそこねた新聞を読む。今日の新聞を読んでから読む。すると、続報を読んでから第一報を読むといった具合になる。被害者の身元がわからなくなり大雨はまだベタ記事程度、4コママンガを見てから元ネタを知り、広島の連敗は減る。単純な方法ながら、時間を逆戻りする感覚が味わえて面白い。
 さて、そんな今日の新聞に載っていたのがこんな外信。
 6歳の少年がおもちゃの電動カーで高速道路を疾走(うそ。時速は1桁)。幸い、怪我もなく無事に保護された。警察は、少年がどうやって高速道路に入ったのか、首をひねっている。
 このニュース、ネタの面白さもさることながら少年の名前がふるっている。その名もジョン・カーペンター
 ジョン・カーペンター、映画監督。1948年、ケンタッキーに生まれた彼は長じて映画の道へ進み、「ニューヨーク1997 escape from new york」(1981)「遊星からの物体X the thing」(1982)「ゼイリブthey live」(1988)「エスケープ・フロム・LA escape from L.A.」(1997)などを監督。唐突な設定、いきあたりばったりの脚本、いい加減な演出、しかしどこか憎めない魅力を持つ作品を撮り続けている。まさにB級映画監督の鑑である。
 そんな彼の固定化されたスタイルの1つに、「ジョン・カーペンター落ち」がある。主人公は傷つきながらも敵を何とか倒したが、相手は完全に滅ぼされたわけではなかった…残った細胞のかけらが不気味にうごめきエンドタイトル、という感じ。多くの作品がこの「さあ、これからどうなる?」という終わり方で、これはこれで安心して観ることができてよいのだった。
 彼の場合、大作ぶったり芸術ぶったりせず「こんなもんだネ」という気分で映画を作っているらしきところに好感が持てる。決してB級の枠を外れることがなく、つねにどこか抜けている映画たち。それをわかった上で彼の作品を観ると、その向こうにゆるぎのない「ジョン・カーペンター・スタイル」が見えてくる。それこそが彼の作品の魅力なのだ。高速道路を走ったジョン・カーペンター君の未来は明るいぞ。