オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

99/05/13 (Thu.)−PowerBookの使い心地

元記事:夜の記憶−99/05/13 (Thu.)−PowerBookの使い心地】

米国Apple社に続いて、アップルコンピュータ株式会社からも新しいPowerBook G3が発表され、月末から発売されることになった。しかしどうもPowerBookというのは、使い勝手においてWindowsノートよりもずっと無理のある製品だという気がする。
 もちろんMicrosoftシンパなつもりはない。家では今でもMacintoshがメインマシンだし、爆弾(=システムエラー)さえ出なければ、MacOSそのものは自分にとって使い勝手が良いOSだと言える。なによりMacOSには、Windowsと比較して「デザインされている」という実感がある。
 それでも、ノートパソコンでMacOSを使おうという気にはまったくならないのである。出先で爆弾が出たらイヤだから? それもあるが、MacOSというOSは基本的にノートパソコンというハードウェアに向かないと思うのだ。
 Windowsと比べると、MacOSはマウスへの依存度が高い。というより、マウスを使わなければならない操作が多い。[ファイル]などのメニューを開くには、Windowsなら[Alt]+[F]だがMacOSではキーが割り当てられていない。キーボードによるタスクの切り替えも、Windowsであれば[Alt]+[Tab]。一方MacOSでの[command]+[Tab]というタスク切り替えの操作は、ようやくバージョン8.5になって採用されたものだ。また、Windowsではキー操作だけでファイルをコピーできるが、MacOSではそうはいかない。
 ノートパソコンには、マウスの代わりとしていろいろなポインティングデバイスがついている。[G]と[H]と[B]のキーの中心にポッチがついているもの、スペースキーの手前に指でなぞる部分がついているもの。薄型ノートの流行ですたれてしまったが、トラックボールというものもあった。最近のPowerBookは、なぞり型が続いている。これらを使ってみたことがある人はわかるだろうが、どれを使っても操作性はやっぱりマウスには及ばない。ThinkPadのポッチ(トラックポイント)もよくできてはいるが、人差し指の付け根が痛むし、マウスと比べるとどうしても「よっこいしょ」感が強い。ノートパソコンにマウスを接続して使うケースがよく見られることからも、マウス以外のポインティングデバイスが使いやすいものではないことがわかるだろう。
 そこへきて、マウス操作への依存が大きいMacOSである。PowerBookで、扱いにくい「なぞり型」デバイスを使わなければファイルのコピーすらままならないとなると、ストレスがたまっていやんなっちゃうはず。
 このあたりが、MacOSがノートパソコンに合わないと思う部分なのだ。じゃあどうすればいいのかといえば…上で挙げた操作はOSデザインの根幹にかかわるだけに、解決方法はないのだった。もしノートで使いやすくなるようカスタマイズされたMacOSが出たとしたら、それは今のMacOSとはだいぶ違うものになるだろう。それはそれで面白そうな気もする。自分で想像してみるのもいいかもしれない。