昨日の暖かさで今月の平均気温が上がるのを恐れた誰かが仕組んだとしか思えない今日の寒さ。東京では雪まで降ったりなんかしちゃったりして、どうやらバランスはとれたらしい。
最近たてつづけに小学館文庫である。夏目房之介『手塚治虫の冒険』と山根一眞『メタルカラーの時代1』。
ところが! あっ、愚痴が出そうだと思ったでしょう。そうなのだ。改めて、
ところが! 内容以前にレイアウトがあまりにずさんで、気をそがれることはなはだしい。「(日)」ってのはたぶん丸数字の「(1)」なのだろうな。MacOSでWebを見ているとよくある機種依存文字だ。対談形式の『メタルカラー』では、話者が替わっているのに改行がない部分がある。あるいは、行間が一定でない部分がある。平体(文字をつぶして、1行に入る文字数を増やす)の濫用、文字詰め(文字と文字の間隔)のバランスが悪い。いかにもDTPで作ったらしい、見栄えのしない文字づかいである。「小学館文庫」と名乗るわりには、大出版社らしからぬ質の悪い文字たちを見せられると、本の内容を理解する以前に、そこにどんな文字が書いてあるのかを読み取るために脳を使わねばならなくなる。本への没入度が下がり、ストレスが残る。これは、ハーフレートの携帯電話では音質が悪いために込み入った話をする気が起きないようなもので、相手が何を発声したのかを聞き取る作業に脳が追われて、なかなか話の内容にまで脳の手が回らない状況に似ている。本の内容がいくら良くても、その内容を理解する以外の部分への脳の負担が大きくては価値も半減である。ほかの文庫が、長年の蓄積で読みやすいページを作っているところを見習ってほしいものだ。
99/02/19 (Fri.)
【元記事:ただ日記−99/02/19 (Fri.)】