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元記事

週のはじめから波乱の土俵際。夜の11時すぎに近所のNさんよりtelあり、今日の消印が必要で新宿郵便局まで行きたいというので甲州街道を爆走。結局0時直前に郵便局には着いたのだが、書類をまとめているうちに次の日になってしまい、本日消印有効がきかなくなってしまった。さっき出しても今出しても、宛先に届くのは同じ時間であろうのに、数分の違いが消印の日付で1日の違いに拡張されて有効無効が決まるとは、レ・消印ミゼラブルである。
 しかし実はNさんは、今日のようなギリギリが好きな人なのだった。しかも、うまく人の助けを借りてギリギリをくぐり抜ける才覚を持っている。同じようにギリギリに陥っても、できるだけ独力でやろうとしてしまう(=人の使い方を知らない)自分とは正反対で、皮肉抜きに大したものだと思う。あえてギリギリを誘い込んで自分のやる気を鼓舞し、その上でうまく人に頼りつつギリギリを撃退する。ここまで鮮やかに決めるには、周囲の誰がどの程度の手伝い能力を持っているか、また誰がどの程度手伝おうとしてくれるかを完璧に把握していなければならないわけで、人を見る目に関してはタンゲイスベカラザル能力といえよう。
 ところが今日はギリギリとの攻防について見込みが甘く、ギリギリを駆逐できなかった。ギリギリが好きとはいってもギリギリに負けるのは嫌いなNさん、本当に残念そうだ。「うまく消印をもらえていたら別の人生が待っていたかもしれない」なんてことを言っている。確かにこの気持ちはわかるのだ。受け入れがたい事態に遭ったとき、現実を認めたくないとき、別の人生について考えるのは自然なことだろう。たとえば事故を起こしてしまったとき。現場に数秒ずれて近づいていたならこんなことにはならなかったはず、家を出るのが少し遅ければ、いや、あの信号が赤だったなら…なんていろいろ考えてしまう。現実を受け入れるためのワンクッションを、心が求めているのだ。もちろん覆水は盆に返らないから、目の前の苦境をどう打破するかに心を砕くべきなのだが、すぐには切り替えられないものである。